吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い   作:美味しいラムネ

28 / 40




お久しぶりです。まだ6月58日なので初投稿です。本当に申し訳ない。


吾輩はアトラル・カである。『禁忌』の脈動 王の雫は恐ろしいのであるよ

 

 

 

 ゼノ・ジーヴァ。異質な魂を意味する、いずれ古龍の王となった可能性がある、異常存在。仮に成体となれば、彼の煌黒龍に届きえたかもしれない存在。そんな、世界にとっての脅威はハンターによって落とされた。

 

 ムフェト・ジーヴァ。純粋な魂を意味する、世界を思うがままに作り変える、ただそこにあるだけで世界を破壊する古龍の王。彼は、ハンターによって討ち取られ──その同族、子孫。羽化、変態の途中であった無数の繭は、その存在を脅威に感じた煌黒龍によって一つ残らず破壊された筈だった。

 

 ハンターによって、煌黒龍は討ち取られた。故に、殲滅は半端に終わった。ただ一つ、隠された繭が残ってしまった。そして、それは目覚めた。不自然な地脈は元に戻り始め、故にそれは強烈な飢餓感に苛まれながら外界へ落ちた。変態を半ばで断ち切られたその存在は、ムフェトとゼノ、その両方の身体的特徴を併せ持った、奇妙な外見をしていた。

 

 「Graaaaaaaaaaaaa...」

 

 燃え滓となった同族の肉を喰らい、飛び散った煌黒龍の血を啜った。まだ、足りない。谷を出た。視界に映った竜を片っ端から喰らった。まだ、足りない。何も足りていない。

 魂が、どこへ行くべきかを理解していた。ゼノが生まれた地へ。そこへ辿り着けば、私の飢えは満たされる。

 

 水と雷を操る龍を喰らった。その龍の持っていた力が、体に染み渡った。あぁ、まだ足りない。氷を操る、深い蒼色の体毛を持った一角の龍を喰らった。氷が私を愛するようになった。まだ、足りない。

 

 悉くを喰らい尽くし、ついに目的地へと辿り着いた。あぁ、やっと、私の飢えは満たされる。

 

 赤龍を超える大厄災の脈動。無論、世界の恒常性は、それに対するカウンターを用意していた。

 煌黒龍は再び目覚め、導きの青い星がその地へと帰還した。そして、膨大なエネルギーに釣られて、悉くを滅ぼす自浄作用の化身もまた、動き始めていた。

 

 新大陸に集う、最強の存在達。そんな中、何も知らない黄金の女王はというと───

 

 

「ピギャアアアアア(綺麗な景色を見ながら昼間から飲む酒は美味いのであるよ!)」

 

 龍結晶を眺めながら、優雅に酒盛りをしていた。そろそろ死ぬんじゃないかな、コイツ。

 

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 絶景の中、自作のクラフトビールを啜っている吾輩である。この世界に酒税法はないのである。ところでビールの作り方ってこれであっているのであるな?

 

 つまみに、アブラフグの刺身とジャンゴーネギの味噌汁を食べながら風景を眺める。いい具合に味噌が溶けているのである。

 

 いやぁ、龍結晶、絶景である。この世界に来てから見た風景の中でトップ3に入るのであるよ。ジエン・モーラン亜種の霊水晶も美しいのであるが、この龍結晶もなかなか綺麗である!綺麗なのであるが...何故か、異質な、ゾッとする感覚があるのであるよな...龍結晶の味は、甘ったるくて、辛くて、塩っぱくて、でも癖になる味であったよ。燃料としても優秀である。二度とここに戻ってくる予定もないし、いっぱい採掘するのであるよ!

 

 そういえば、砂漠のあいつら、元気にしているのであるかな...いつかまた会いたいのであるよ。*1

 

 

 少し昼寝をした後、起き上がってピッケルを取り出す。採掘の時間であるよ!龍結晶を組み込めば、あらゆる装備の性能が向上するのである。まぁ、消耗品であるから、ここぞという時にしか使わないつもりであるのである。

 

 「ピギャアアアアア(電磁加速砲とか、ラオシャンロンハンマーとかパイルバンカーとかの加速機構に組み込めば、威力は上がりそうではあるが...)」

 

 多分、電磁加速砲の方は砲身が焼き切れる。地脈の影響か、吾輩の雷の威力が微妙に上がっているのであるし、一発限りの超兵器になってしまう気がするのであるよ。

 

 他にも、龍結晶の膨大なエネルギーのおかげで新兵器がいくつか作れそうである。オストガロアが使っていた、磁力を操るモンスターの素材を使って、新種の武器──名付けるとしたら、マグネットスパイクとでもいうべき武器、の開発途中である。あとは、巫女?っぽい人のいた塔で剥ぎ取った兵器を転用した兵器とかもあるのである。

 クシャルダオラには、氷属性のエネルギー弾を出す砲台と、小型ダイソン罠を組み込む。パオウルムーの空気砲と比べればよっぽど高威力である。なんなら、それと合わせれば氷を纏った暴風を本家のように出せるのであるよ。

 あとは、振り子の様に動いていた大岩を鉱物でコーティングして作った吾輩よりも大きなフレイルとか。吾輩は一体何と戦うつもりなのであろうか?

 

 冷静に考えなくても吾輩の兵器って表に出たら不味いのでは...?まぁ、本当にダメなのはバレてないし*2大丈夫であるな!

 

 武器を作るのは楽しいのであるが、できれば使う機会がないといいなぁ、なんて思うのであるが...多分、無理なのであろうなぁ。吾輩は旅をしながら料理して、静かに暮らしたいのであるよ。

 

 採掘を続ける中で、突如として龍結晶の地の中心部から上がったキノコ雲を眺めながら思う。え、待って何事!?何が起きた!?古龍か、古龍なのか!?

 

 泣き声が聞こえた気がした。狂おしいほどの飢えと悲哀を伝える叫び声が。どこだ、どこにいる...というかこれ逃げないとまずいのではあるまいか!?

 

 何かがぶつかり合う音、そして爆音と轟音が響き、遠くに聳え立つ龍結晶が倒れた。崩れさった結晶片が宙に舞い、キラキラと輝きながら落ちる。

 

 透き通った赤の甲殻を纏った龍と相対するのは、二頭の古龍。炎王龍『テオ・テスカトル』と炎妃龍『ナナ・テスカトリ』。赤い龍は...ムフェトジーヴァか?しかし、それにしては妙な感じがするのであるよ。どちらかというと、ゼノ・ジーヴァに近いような...

 

 粉塵と爆炎が舞い、その中で奇妙な龍は叫ぶ。ナナとテオが同時にそれぞれの大技『ヘルフレア』と『スーパーノヴァ』を放つ。それに立ち向かうように放たれた圧縮ブレスが混ざり合い、特大の衝撃波となって解き放たれる。

 

 「ピギャアアアアア(さっきのキノコ雲は、こいつらの...!)」

 

 2対1なのに、明らかに奇妙な龍の方が優勢だ。不味いな、全速力で逃げようとしてはいるが、衝撃が凄すぎて思うように飛び立てない。しかも、あの奇妙な龍と目が合った気がするのであるよ。

 こんなところに居られるか!吾輩は現大陸に帰らせてもら...う...

 

 吾輩の隣に、全身血まみれになった炎王龍が吹き飛んでくる。それは、何かに手を伸ばそうとして、次の瞬間に絶命した。

 焔の向こう側から現れたのは、高熱により全身が焼きただれ、片目を潰されながらも勝ち残った奇妙な龍。炎妃龍の肉体をそれはそれは美味しそうに一瞬で平らげ──次の瞬間、目標を吾輩へ定め、突っ込んできた。

 

 「ピギャアアアアア(わ、吾輩は美味しくないのであるよ!!!!!)」

 

 

 吾輩、なんか悪いことしたかなぁ!?常に運勢がマイナスに振り切れてはいないのであるか!?

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

 あの時と似た感覚がある。あの、生物としての限界を超えた古龍。キリンと戦った時と同じ感覚。

 あの生物は、超えてはいけない壁を超えている。禁忌とそれ以外を隔てる、超えてはいけない壁を。

 

 「ピギャアアアアア(おいおい...まじかよ....!)」

 

 周囲の砕けた結晶と岩盤、持ち歩いている瓦礫を組み合わせた即興の三重城壁。その上には無数の罠と狩人人形を配置する。エネルギー弾に槍衾、降り注ぐ矢の雨。

 ハンターたちはボウガンから弾丸を放ち、赤熱した暴発寸前の大砲の筒からは榴弾が放たれ続け、金の糸でがっしりと編まれた城壁の守りは、ドボルベルクのテールアタックすらも弾き返すだろう。

 即興の国家と、1匹の龍。今のアトラル・カは、単独で軍隊であり、国家であった。そんな即興で展開された小さな国家は、あっという間に瓦解した。

 リオレイア希少種の甲殻を容易に傷つける古代文明の罠を食い破りながら、岩石の中を泳ぐようにして龍が羽ばたく。

 

 古代、シュレイドの人々も同じ感覚だったのであろうか。

 積み上げた歴史、作り上げた兵器の数々が一瞬にして無に還る。

 

 城壁に使われていた岩が爆散し、散弾のように四方へ広がる。

 

 「ピギャアアアアア(電磁加速砲チャージ完了──穿てっ!)」

 

 空間を歪ませるほどの大電力の解放。現代文明における単独の国家が30分で消費する電力に匹敵するほどのエネルギーの解放。それを喰らった龍の甲殻に穴が空く。

 テオ・テスカトルたちが甲殻を削っていたおかげで弾丸が貫通し、その衝撃で龍の体が揺れた。

  

 「Gragaaaaaaa…」

 

 ミチミチという音と共に、その傷が塞がり始める。それと同時に、爪を突き立てられた龍結晶が風化し始め、音も立てずに崩れ去った。

 間違いない、目の前の龍は、龍結晶のエネルギーを喰らっている。火傷が消えていない様子を見る限り、完全な再生とはいかないようだが厄介極まりないのである。

 

 続け様に放たれる圧縮されたブレスを紙一重で避ける中で、奇妙な感覚を覚える。その吐息の中に、別の龍のものであるはずのエネルギーが混ざっている感覚があるのであるよ。

 

 互いに周囲の地形を破壊しながら戦闘は続く。逃亡はやはり絶望的であるな。

 

 「ピギャアアアアア(げっ...『絶対回避』っ!)」

 

 己の狩魂を解放し、既のところで龍の顎門を避け、すれ違い様に速射砲による接射と、パイルバンカーによる撃龍槍の一撃をぶつける。

 致命傷には、程遠い。水のレーザーを、氷の大竜巻を、ライトニングブレードを、炎の大剣を、ドボルベルクの大質量を立て続けにぶつけ続ける。切り倒した龍結晶や、捲り上げた岩盤を壁にしながら、バルファルクの翼脚から龍気を逆噴射させ、引き撃ちを続ける。

 

 打ち上げタル爆弾が飛翔し、内部に秘めた鉄片が甲殻の下に突き刺さる。

 あらゆる攻撃を浴びせられながらも、壁を破壊し続けながら前へ迫り来る龍の姿は、恐怖そのものだ。

 ラオシャンロンの頭骨を使ったハンマーによる一撃を腹にぶち当て、フルスイング。吹き飛んだはずの龍は次の瞬間には体勢を整え、再び吾輩に向かってくる。

 

 「ピギャアアアアア(行け!シャガルマガラ!クシャルダオラ!)」

 

 シャガルマガラの人形とクシャルダオラの人形を糸で繰り、2体の連携で龍に対応する。

 いや、これでも足りないのであるな...だったら。その無念、吾輩が借り受けるのであるよ!

 

 回収しておいたテオ・テスカトルの体に糸を突き刺し、即興の人形にして向かわせる。吾輩を含めれば4対1。いや、ハンター人形や他のモンスター人形も含めれば万軍と一体の龍の戦闘。だが、蹂躙されるのは吾輩の方かもしれない。

 

 殺したはずの龍が動き出した姿を見たジーヴァは、嬉しそうに笑い、噛みつこうと迫る。

 狂竜の波動。鋼鉄の突進。粉塵の大爆発。その全てを喰らってもなお狂気的に吾輩を喰らおうとジーヴァは迫る。

 おかしいであろう、エネルギーの収支はもう合わないはずだ。...怒り喰らうイビルジョー、それに目の前の龍は似ているのである。

 

 「ピギャアアアアア(ぐぅ...っ...!)」

 

 外装の盾が、一枚破壊される。吾輩の甲殻に僅かに斬撃が届き、体液が溢れる。

 シャガルマガラの押さえつけで転倒した龍目掛けて、翼脚による突き刺しを連続して繰り出し、最後には鬼火を纏った隕石をぶつける。

 

 追撃の氷のエネルギー弾を振り払った直後に、擬似再現したスーパーノヴァをぶつける。地面が焼け、ジーヴァの全身が焼ける。そこ目掛けて、蝕龍カートリッジと龍結晶を喰らったシャガルマガラの狂竜ブレスが放たれた。

 

 これでも、ダメか!

 首筋から溢れた血を秘薬で抑えながら吾輩は龍を睨みつける。

 無数の武具を糸で操り、同時に瓦礫なども合わせて撃ち放つ。弾かれ、砕かれ、吹き飛ばされ、文明の利器が溶かされる。けど...それでいい!

 

 「ピギャアアアアア(下手に砕いたことで、モロに浴びたな!ジーヴァモドキ!)」

 

 劇毒を始めとした無数の状態異常。オストガロアの粘液や、ブラキディオスの臨界した粘菌、龍を喰らう蝕龍蟲の力。あえて内部を空洞にして作った鉄製の脆い武具の内部にそれを仕込んだのだ。

 ひび割れた全身にはよく染みるだろう。まだまだ終わらない。爆弾を無数に取りつけられた大車輪が、回転しながらジーヴァの体に衝突し、爆散。

 

 「ピギャアアアアア(これで...どうであるか!)」

 

 鬼火と粘菌、爆薬を粉塵を纏った撃龍槍を頭部に投擲。同時に鬼火を纏った泡をぶつける。

 

 「ピギャアアアアア(ガァッ...!?何が起きた!?何が起きたのであるか!?)」

 

 凄まじい衝撃と共に視界が反転した。吹き飛ばされている。何故?何が起きたのであるか!?

 

 混乱の最中、更なる絶望が舞い降りる。それを察知した瞬間、人形たちをしまい、無数の盾を展開した。

 

 (遮蔽物の岩は無いのである...当たり前だけど、ゲームとは違うのであるよな...!そんなこと、とうの昔にわかりきっていることであるよ!)

 

 鉄鋼身、金剛身。様々な金属とモンスターの素材を混合した盾を取り出して、瓦礫の山に身を包み、龍気を全開で放出する。

 耐えるか、死ぬか。生と死は、この一瞬で決まる。

 

 

 

 

 Sapphire of the Emperor(王の雫)

 

 

 

 この世界で最も美しい宝石。

 夜空に輝く導きの蒼い凶星。

 

 世界から、音が消えた。色が消えた。

 

 

 

 

 あぁ

 

 成る程。

 

 純粋(ムフェト)へ成りきれなかった異形は、その脳に染みついた狂気から、この一瞬だけ解放された。

 

 私を壊したアイツとアイツ。その影が見え隠れするから──

 だから、私はこいつを喰らいたいと思ったんだ。

 

 

 

 崩壊し、崩落する世界の中で、女王は起き上がる。

 

 「ピギャアアアアア(吾輩は、生き残ったぞ──ジーヴァアアアアアああ!!!

 

 

 次の瞬間、ジーヴァは極限まで圧縮されたブレスを放とうとし──それは、白銀の巨棘を纏った龍の突進により中断される。

 

 『悉くを殲ぼすネルギガンテ』。

 

 味方...ってことでいいのであるな?

 食う場所が少ない蟲に興味はない、とばかりにフンと鳴いたネルギガンテは、「着いて来れるか?」と言わんばかりに全身の棘を逆立たせる。異形の王に相対する、龍と竜。ここに、一時的とはいえ最強のコンビが成立した。

 

 「Graaaaaaa…gruaaaaaaaa!!!」

 

 ここからが本当の戦いだ、と言わんばかりにジーヴァの胸が輝く。

 この世界には、周囲の属性エネルギーを胸の水晶で吸収し、それを自らの力へ変える禁忌の古龍がいるとされる。

 ジーヴァは、間違いなく彼の禁忌のように、喰らった古龍のエネルギーを薄く纏っていた。

 キリン亜種の冷気を。ネロミェールの水と雷を。そして、ナナテスカトリの炎を。ジーヴァ種の持つ、地脈エネルギーの吸収機能が異常発達した結果獲得した、異形の力。

 

 

 日が落ち、天に蒼い星々が輝く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
超特殊許可級3体同時(弱点克服済み)とかいう無理ゲーになっている模様

*2
黒龍以外は基本バレてます。終わりです。







感想、評価、誤字報告などありがとうございます!大変感謝しています。

ジーヴァ擬きさんの特徴

・ゼノジーヴァが仮にムフェトになったらやばいって話がありましたね。あれに近い存在です。
・アルバが同族を全員焼いてくれたおかげでエネルギーが集中した。でも無理やり羽化させられたから色々中途半端。おかげで腹ペコ
・色々食べた
・アルバの血を啜っている
・それはそうと喰らった古龍のエネルギーを我が物のように扱うことができる

ネルギガンテの特徴
・あなた、ST2でも思ったけど、古龍界の主人公では...?


更新が遅れて申し訳ないです。本当に申し訳ないのでアトラル・カがウェディングドレスを着るので許して

次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)

  • 掲示板if②
  • 擬人化if
  • vsアルバトリオン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。