吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い   作:美味しいラムネ

4 / 40
初投稿です


吾輩はアトラル・カである。炭鉱夫は危険が一杯である。

 

 

 

 

 

巨大な火山に囲まれた黒き大地。大地の裂け目からは赤々とした溶岩がその姿を覗かせ、黒曜石質の大地の周りを、灼熱の川が囲う。

定期的に小規模な噴火を繰り返す山々からは灰が薄らと降りしきる。

 

溶岩島や、決戦場と呼ばれるそれとよく似た構造の名もなき土地。

普段なら誰も見向きもしないような大自然の中に埋もれたそこで、翠緑玉と黄金が、その拳を幾度となくぶつけ合っていた。

 

異常に活性化した粘菌を纏った拳が、直径10メートル以上はある大きさの瓦礫で構成された拳とぶつかり合う。

かつて防壁の役目を果たしていた瓦礫に粘菌が触れると、途端に赤熱し、瞬時にその大質量を瓦解させる。

 

ほんの数刻前まではなだらかだった土地は見る影もない。

地面には隕石が降り注いだ後かのようなクレーターが無数に形成され、大地の奥深くまで刻まれた打撃痕からは、溶岩が柱のように吹き出しアーチを形成している。

例えるならば、『地獄』が相応しいこの光景。これをたった一体のモンスターが、それも古龍ですらない竜の一体が生み出したのだというから驚きだ。

 

『猛り爆ぜるブラキディオス』。

 

異常に活性化した粘菌との共生の中で形成されていった荒々しくも美しい翠緑玉の外殻を纏った破壊の権化。

瀕死に追い詰められているのにもかかわらず、砕竜の胸の内は歓喜に満たされていた。

 

「────────────!!!」

 

鼓膜が破れんばかりの絶叫に応えるように、辺りに散らばった粘菌たちも赤熱化する。

大地も、壁も、その全てが臨界点に達した粘菌に覆われ、空間そのものが赤く染まったかのように感じる。

 

大地が、割れた。

黒曜石の岩盤は、その拳に一分たりとも耐えることなく爆散し、それを合図にして全ての粘菌が同時に炸裂する。

 

「ピギャアアアアアアアアアア‼︎(吾輩死んじゃうって、死んじゃうって!)」

 

その常軌を逸した爆発のエネルギーは、空を覆っていた暗雲と火山灰とを一瞬にして吹き飛ばす。

空の裂け目から月光が差し込む。

 

──ああ、これでも「オマエ」は倒れてはくれないのだろう。

 

瓦礫のドレスを纏った美しき女王よ。

幾度拳をぶつけても、その悉くを防いだオマエは。オレの熱も、オレの粘菌達も、その全てがオマエに届く前に遮られる。

 

 

「ピギャァアアア!(不味いって、不味いって、ちょっと、瓦礫越しでも衝撃がッ!)」

 

「グラァアアアア‼︎!」

 

深く両の足を踏み込み、強烈な右ストレートを放つ。

たったその一動作だけで、大気が揺れる。

 

──オレは、嬉しいのだ。

 

この世界に生まれて、砕竜が初めて感じた感覚は、痛みだった。

今でこそ砕竜と共生関係にある粘菌だが、それに耐えうる外殻が形成されるまでは粘菌の爆発に耐え続ける必要がある。

本来であれば、異常に活性化した粘菌との共生など不可能。通常の粘菌の数倍の威力を誇るそれに、赤子の身で耐えれるわけがない。

 

だが、その砕竜は耐えてしまった。

その結果、災厄が生まれた。

 

──空を飛び回る奴も、水の中を泳ぐ奴も、大地を馳ける奴も、みんなオレの拳を耐えることはできなかった。どんな攻撃も、オレには効かなかった。

 

だが、オマエはどうだろうか!

砕竜の炉心が、今まで以上に煌々と輝く。

 

あの、この場所ごと消しとばすつもりで放った一撃も、オマエは耐え抜いてみせた。

その瞳を爛々と輝かせ、女王へと果敢に挑みかかる。

 

拳が逸れるたび、地面はより深く沈み、投げ飛ばされるたびに外殻が剥がれおちる。

何かが光ったかと思うと、『雷』で構成された刃がオレの体を切り裂き、『灼熱』と『極寒』の爆発がオレの体を揺らす。

『濁流』がオレの粘菌達を押し流したかと思うと、大喰らい達の使う『龍』のエネルギーが爆発を伴って炸裂する。

 

「グルル…」

 

露出した体表から流れ落ちる体液を振り払うように頭を振るう。

体の節々が痛むが、それは砕竜の動きを何ら阻害することはない。寧ろ、増してゆく痛みに連動するように、指数関数的にその動きは苛烈さを増してゆく。

 

「ピギャアアアアアアアアアア、ピギャアアアアアアアアアア‼︎(おいちょっと待てこれ食らっても全く堪えないのは流石に…!)」

 

一体その小さい体のどこにこんなにも多様なエネルギーを秘めているのだろうか。

まるで、嘗て戦った小さき者達のようだなどと、彼が知恵を持っていれば思ったのだろう。

 

知恵を持つわけではない彼の想いはただ一つ。

目の前の、女王に勝ちたい。それだけだ。

 

名もなき火山での死闘、その終わりは近い。

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

吾輩である。

吾輩は今火山に来ている。破茶滅茶に熱い。今まで数多くの火山に訪れてきたが、ここは別格である。

クーラードリンクがなければ即死だった。

 

そんな吾輩は今、ピッケル片手に採掘作業に勤しんでいるのである。

これも全ては新武装の開発、それも『属性エネルギー』という吾輩には備わっていない力を使った武装の開発の為である。

 

 

ある朝、雪山を散歩している中で急にクシャルダオラに襲われて、吾輩は気づいたのだ。

ハンターの武器を使い、モンスターの死骸を操り、調合を駆使する。これ、あくまで全部小手先の技ではないか!

これでは真の強者に出会った時、なすすべも無くやられてしまうだろう。というか死にかけた。

 

鋼龍クシャルダオラ。流石は古龍。滅茶苦茶であった。投擲系の攻撃が全部龍風圧で弾かれやがる!ギリギリ隕石だけだったぞ突破できたの!

たまたま進路上に吾輩が居ただけだったようで、本格的な戦闘になる前に退散できた。しかしだ。本格戦闘になってたら不味かった。一応紫毒姫の激毒ぶっかければ何とかなるかなとかも思ったがリスキーすぎるのである。どうして吾輩は定期的に死にかけるのであろうか。まだハンターに出逢ってないだけマシか。吾輩、隠密上手いからなぁ!*1

 

何とかクシャルダオラから逃亡した後、吾輩は一晩考えた。吾輩に足りないものは何か、と。

 

 

思いつかなかった。

 

 

それでは問題なので、とりあえず足元に生えていたドキドキノコを齧ったところ、天啓が降りてきた。

あの圧倒的な古龍達やハンターに抵抗するために吾輩に足りていないもの、それは必殺技なのである、と。脳内で祖龍が言っていたから間違いない。

そう、必殺技。モンスター達が使う大技や、ハンター達の使う狩技のような一撃で戦況をひっくり返すような切り札の事である。

そして、吾輩にはそれがない。厳密に言えばメテオはそれに当たるかもしれないがあれ見た目ほど威力無いしやってることただのちょっと強いウラガンキンだぞ。キリン相手に決め手になったのは、空中という相手に不利な場所に引きずり込めたからに他ならない。

 

必殺技かぁ、王の雫でも撃ってみようかなどと考えてみてふと気づく。

撃龍・霹靂神、王の雫、エスカトンジャッジメント、ビッグバン。うーんどれも吾輩には無理である!

膨大な生命エネルギーの放出とか無理である。撃龍・霹靂神なら行けそうだろって?どこをみて行けそうだと思ったんだ。吾輩ができるの撃龍槍ぐるぐるパートだけだよ属性エネルギーなんて持っていないから。おいアマツマガツチ。ダイソンってどうやってるんだよ教えてくれよ。

そう、吾輩無属性なのである。炎は吐けないし雷は落とせないし吹雪は起こせない。なんなら雷は弱点である。

水圧レーザーなんて無理だしそもそも龍属性はなんだかよくわからん。イビルジョーの落とした滅龍核を見たところで綺麗だな、という感想しかわかない。生命エネルギーを引き出すとかどうやるのだろうか。サイヤ人か何かか?

 

そういえば原種はどうしていたのだろうか。

アトラル・ネセトはあくまで攻撃手段兼防衛手段で必殺技という感じはしなかったし、強いて言うなら糸結界+撃龍槍、か?それって普段の吾輩ではないか。

 

ちくしょう、吾輩に必殺技の習得は無理だというのか。せめて属性技だけでも使えるようになりたいぞ…!

そう心の中で叫びながら、発掘した水属性のしょぼい大剣を地面に叩きつけて気づく。そういや吾輩、今でも武器を使って属性使ってるじゃん、と。そして連鎖的に気づく。ハンター達が使う武器。それは何から出来ているか。モンスターの素材である。

つまり、モンスターの素材、例えば宝玉とか火炎袋とかを使えば吾輩も属性を擬似的に使えるではないか、と!

 

そうと気づけばあとは早かった。今までもドボルベルクやディノバルドのように、モンスターは使ってきた。その経験を生かせばいいのである。脳内の範馬勇次郎も『持ち味をイカせッ!』と言っている。

しかし、その作業は難航した。なにせ工房が長い時をかけて作り上げてきた加工技術。それを一部とはいえ再現するのは容易なことではなかった。

具体的にいうと何回か死にかけた。一番多いのは雷電袋の誤爆である。弱点属性を扱う時は慎重にしろとあれほど…!調合した薬がなければ吾輩死んでいたかもしれない。薬のおかげである程度の無茶なら出来るようになったのである。

 

何十回に及ぶ試行錯誤の末、ようやく使える水準に達した武器…いや兵器が完成し始めた。竜の体をかけ合わせて作った武器だし『竜機装(クロスドラゴンウェポン)』とかどうだろうか。

ライゼクスの雷玉に冠甲、フルフルの電気袋やジンオウガの蓄電殻を組み合わせて、フルクライト鉱石と鉄鉱石の合金性の棒で指向性を持たせて作ったライトニングブレード再現機に、瞬間凍結袋を内部に組み込んだことで、着弾時に莫大な冷気をあたりに振り撒くハンマー。滅龍核を大砲に組み込み龍属性のレーザーを放てるようにした圧縮砲。

あとは今までも使っていたディノバルドの尾剣を紅蓮石などで強化したモノも合わせればいい感じである。

 

今までのハンターサイズの装備に加えて、吾輩達モンスターサイズの巨大な武器達。これで隙のない二段構えの出来上がりである。内包する属性のエネルギーも桁違いである。

まぁ問題があるとすれば3回も使えば内包したエネルギーは枯渇するしその威力は本家本元のそれと比べればお粗末極まりないことだな。

結局小手先の技が増えただけじゃないかとか言ってはいけない。

 

ここに水属性が加われば完璧なのだが、残念なことに吾輩何も思いつかなかったのである。水袋の中の水ぶちまけてどうしろと。粉塵とか粘液とか使う相手には洗い流せるから有効かもしれないが、普通のモンスター相手に効果があるレベルの濁流を起こすとかロアルドロス何体分の水が必要になるんだ。想像もつかない。仮に用意できたとしても、意図的に兵器にするためにモンスターを狩り始めた時点で間違いなくシュレイドの方向からミラバルさんがこんにちはしてくる。そして吾輩は死ぬ。

 

水属性は…まぁ、発掘武器があるからいいか。ハンターだってそれでモンスター狩ってきたのだし。

 

いい感じの兵器ができて、なかなか満足だった吾輩だが、普段使い用の盾を作ろうとしてとんでもないことに気づいた。

鉱物資源が枯渇してやがるのである。特に火山でしか入手できない種類のものが。鉄鉱石とかマカライト鉱石はおやつにできるぐらいあるのに。

何故だ。ほんの数週間前までアイテムボックスの中に山のようにあった筈なのに…そういえば、吾輩、兵器作る中で時々鉱物をつまみ食いしていた記憶が。

 

そんなこんなで吾輩は火山を訪れることになったのだ。

そしてそろそろ1ヶ月が経とうとしている。久しぶりにここまで長く一箇所に滞在した気がするぞ。

というかここからどうやって外に戻るかがわからん。地下に地下に迷路のように続いているせいでもう1週間は日の光を浴びていないのである。

マグマのおかげで洞窟内はずっと昼間のように明るかったがな!

 

1ヶ月も篭ったおかげで、しばらくは補充しないで済むぐらいの鉱物資源が集まった。これは完全金属製の外装とか作ってもいいかもしれない。まぁモンスター素材の方が強いからそれはないか。

副産物として、大量に護石も出土した。それも、RISE仕様の護石が大半である。

 

護石。それは数多くのハンターを沼に引きずり込み、そして特定のモンスターを嵌め周回の餌食へと追いやった魅惑のアイテム。

装備したものにスキルという恩恵を与えるそれは、手に入れるまでどんな能力になるかは完全にランダム。その所為もあって、多くのハンターを、理想の能力を持った護石である神おまを求める終わりのない旅路へと誘ったあの護石である。

一応、吾輩は今までに護石を入手したことが無いわけではない。しかし、今まで一度も効果が発動したことがなかったので、「あぁ、きっと護石は吾輩に恩恵を与えてくれないか、もしくは古い時代(スキルポイント制の)の護石しかないのだろうな」と思っていた。だが違った。

恐らくは、発掘装備を作った古代文明とは異なる文明が作った護石なのだろう、RISE仕様の護石が発掘され、同時に吾輩にも護石の効果はあると判明したのである。拾った護石を首にかけたら体が鬼火を纏ったのである。

 

 

ちょっと待て。護石で付く鬼火纏のスキルレベルは2まで、つまり装備したところで体が鬼火を纏うわけ……

まさか吾輩、『護石系統倍化』スキル発動してる、のか?というかそれ以外で説明が付かない。

他の護石を装備してみたら、体が泡を纏ったりもした。やったね吾輩タマミツネごっこができるよ。実際泡やられ状態で外装を操作したらすごかった。速度が尋常じゃない。それに、急制動ができない問題も、外装の鉤爪で地面に体を固定すれば問題ない。

 

閑話休題(それはともかく)、吾輩の体は護石とも親和性が高かったようである。

同時に吾輩の運が頗る悪いことも分かったがな!今まで入手してきた護石、どうやら全て5ポイントよりも少ないスキルポイントしかついていなかったようである!だってスキル発動しなかったし。

 

属性攻撃に加えて、スキルの恩恵にも少しとはいえ与れるようになった吾輩。もうこれは最強なのでは?

そう思って意気揚々と地上に出ようとしたが、道が分からん。

ずっとぐるぐる回ってるような気もするし、ちゃんと進んでるような気もするし、本当に何も分からん。

吾輩、もし鉱物を食べることができなければ、餓死していたぞ。

 

早く地上に出たい。そして太陽の光を浴びたい。

その一心で前へ前へ進み続け、そしてさらに1週間が経って漸く外の光が見えた瞬間、その目に映ったのは『決戦場』みたいなどこか。

 

そしてそこに佇むのは明らかに此方を捕捉して拳を構えるブラキディオス。それもなんか緑っぽい。エメラルドみたい。

 

「ピギャアアアアアアアアアア(猛り爆ぜてんじゃねえかああああああああ!)」

 

 

え、吾輩死ぬの?

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

その日、観測隊は見た。

轟音と共に雲が破れたかと思うと、その下で、2体のモンスターが死闘を繰り広げている姿を。

 

「なぁ、あれは、あれはなんなんだ。」

 

金色の姿を、その外装からわずかに覗かせる女王。

間違いない、あれは捜索が続けられている特殊個体のアトラル・カだ。

 

吹雪、雷、火炎、龍光。

泡沫を舞い、砕竜の攻撃を受け止め、撃龍槍を始めとした兵器を使い苛烈に攻め立てる。

 

金の糸に操られた人形が、女王の軍勢として砕竜に群がる。

もし仮に、ここに龍歴院や王立古生物書士隊、ハンターズギルドの裏に通じる者がいればこう感じただろう。

 

──全てのエレメントを操るあの姿は、まるでかの禁忌の龍の如きものであったと。

 

そして、この戦いを見届けたものは後にこう語る。

 

“一度死した筈の女王は、玉座の上で再び立ち上がり、天の星を以て敵を打ち破った”、と。

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼人薬グレートや硬化薬グレート、強走薬グレートのようなドーピング三種の神器を使い、他にも今まで調合して貯めてきた薬を大量に使った。

撃龍槍を何度もその外殻に突き刺し、バリスタや速射砲は何度当てたか分からない。

四属性による連撃も受け止められ、鬼火を纏った撃龍槍の一撃は、その拳と相殺しあった。

 

一撃でも喰らえば即死しても不思議ではない極限の戦いの中で、吾輩も相当疲労してきたのを感じる。

キリンや、クシャルダオラのような古龍にも匹敵する威圧感。

 

一度逃げようとした時には、逃亡は許さんと言わんばかりに、放り投げた岩は全て爆破された。陸路で逃げようにも周囲が火山で囲われていて出口がない。入ってきた入口は既に崩落している。

 

もはや吾輩も、砕竜も、引くことは能わず。

猛り爆ぜるブラキディオス。お前は、お前はここを死地と決めたのか。

 

目の前の、満身創痍と言った様相の砕竜を見つめる。

吾輩は、砕竜と真っ向から向き合った。ぶっちゃけ最初は何度も逃げようとしたが、今はそのつもりはない。攻撃は避けても、戦いそのものから逃げようという心は消え失せた。

逃げが封じられた吾輩は、真っ向から彼と向き合った。

その苛烈な攻撃を全て捌ききり、ついには瀕死まで追い詰めることができた。

 

砕竜の口から垂れる唾液が、あまりの高熱に蒸発する。

 

「───────────!」

 

ブラキディオスが、その腰を深く落とし、大きく息を吸い込み始める。

その拳に、今までの何倍もの厚さの粘菌が集まり、グローブのような何かを形成する。

 

来る。

彼の、その残り少ない命の全てをかけた最期の一撃が。

 

まともに喰らえば、まず間違いなく絶命するだろう。

吾輩は、取り出した塊を口に放り込む。これで万が一の保険はつけた。

 

あとは、吾輩の盾が勝つか、彼の拳が勝つか、だ。

 

─────────────────!!!

 

砕竜が声にならない叫び声をあげた。

粘菌を纏った拳が、吾輩の盾にぶつかる。そして、何十重にも重なった爆発が、吾輩の人形を一瞬で蹴散らし、用意した20枚の盾のうち半分を一瞬のうちに消しとばす。

 

「ピギャ!(くそ、真面目に喰らえば吾輩粉微塵だぞッ!)」

 

全力のストレートを放った反動で、急に軌道は変えられないだろうと思い、今なら跳べると吾輩は踏む。

そして、取り出した石を経由して、空へ跳び上がる。その瞬間、残り10枚の盾も粉砕された姿が見えた。

 

「ピギャアアアアアアアアアア(ふぅ、危ない危な………っ!まて、()()()()()()()()()()()()()

 

ぞわ、っと全身が震える。

吾輩の真上に、何かいる。

 

砕竜だ。奴め、自分の脚の裏で爆発を起こして、無理やりここまで上がってきやがった。

爆発で両の足が吹き飛んでいる。そうまでして吾輩を殺したいのか、お前は!

 

キリンとの時とは、まるっきり逆のシチュエーション。

なるほど、あの時のキリンの判断は間違っていなかった。こう成ってしまえばもう、

 

「ピギャアアアアアアアアアア(食い破るしかない!)」

 

瞬時に展開した武器を、次々とブラキディオス目掛けて投げつける。

しかし、その全ては、白く輝く拳に弾き飛ばされる。

 

あ。

 

拳が、外装を打ち破り、吾輩の胸に触れた。

そのまま、地面にからだが、おとされ、て。

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

女王が、血に沈む。

 

 

ブラキディオスは、その両脚から血をとめどなく流しながらも、満足げに拳を天に掲げる。

ピクリとも動かない女王の姿を見て、死を確信した。

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

吾輩の、心の臓はまだ止まっていない。

先程飲んだ塊、『根性玉』というアイテム。吾輩もどうやって作ったか思い出せないが、その効果は簡単。

最後の(ライフ)を失う攻撃を、一度だけ肩代わりするというもの。

 

そして、吾輩は攻撃を耐え切った。

何とか、砕竜に気づかれないように、いにしえの秘薬を飲み干す。

体に活力が戻る。

 

これが吾輩のやり方よ。吾輩はまだ死にたくないからな。

 

吾輩はいつかこの大地で死ぬのかもしれない。

でも、それは今ではない。この命、お前程度にくれてやれるほど安くはないぞ。

 

ピギャアアアアアアアアアア(吾輩はまだ、死んでいないぞッ!猛り爆ぜる、ブラキディオスッッッッ!)

 

吾輩が取り出したのは、各種属性を纏った竜玉を内包した、巨大な岩石。その後方には数本のガンランスが取り付けられている。

それを思いっきり上空へ持ち上げ、そのまま大地へ落とす。

 

ガンランスのリバースブラストにより加速した隕石は、砕竜の体に衝突すると同時に、内包した莫大な属性エネルギーを一度に解放する。

世界から、音が消えた。

 

 

 

 

あぁ、猛り爆ぜるブラキディオスよ、其方もまた強敵(とも)であった。

 

 

立ったまま死んでいる砕竜の眼をそっと閉じる。

 

 

「ピギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!(また、また!吾輩は生き残ったぞおおおおおおおおおおおおおお!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

この馬鹿、生き残ったという事実に夢中になって、頭上に観測船がいることに気づいていないのである。

そして、その飛行船が爆速で退避を始めたことも。

 

勿論の事、この戦いの情報は観測船によってギルドへと持ち帰られることになる。

多分次回あたりにこの馬鹿死ぬんじゃないかな?あーあ。

 

 

 

 

 

 

*1
否。観測隊の隠密能力が高くてバレていることに気づいていないだけである。









「四属性全てを操る、か。まるでかの禁忌のような…」

「原種のように瓦礫を纏うだけではなく、用途を理解した上で兵器を扱い、古代文明の名残りである発掘武器を使いこなす、か。」

「あり得ないほどの高い知能を持ちながらも、古龍ではない、か。一体奴は何なのだ。我々を避けるように移動を繰り返す以上、此方としても手出しがしにくい。討伐依頼を出そうにもその頃には既に別の場所へ移動している。現在は火山地帯へ止まっているようだが…」

「待て、あの周辺には古代文明の遺跡があった筈。…まさか奴は古代人の作った兵器の一種なのか!?」

「迂闊に手を出せば、国が消えかねんぞ…!もっと早期に対処をしておくべきだった!」

あまりにも少ない情報に、ハンターズギルドの上層部は頭を抱える。
そこに、とんでもない情報がもたらされる。

「や、やりやがったっ!まじか、いやマジか、マジでマジかよ!」

伝令の手に握られた依頼書。
その依頼主は彼の国の第三王女。

「待て、伝令。それ以上は何もいうな。聞きたくない。勘弁してくれ。」

その内容は、特殊個体・アトラル・カの討伐及び捕獲。

「どこの誰だそのクエストの掲載を許可したのはッ!しかも受諾済みッ!」

そして、受注者の名前を見て気づく。
その名前は、かつて旧砦跡で、アトラル・カと激戦を繰り広げ、その後も古龍を始めとした多くの天災を狩り続けた天災の名であった。












♦︎






次回、平和に過ごすアトラル・カ。
そんな彼女に迫る、ハンター。あーあ。ついに出会っちまいましたね。


感想、評価、誤字報告などありがとうございます!大変感謝しています。
急に伸びて大変びびっております。感想の返信も遅れます。申し訳ございません。

次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)

  • 掲示板if②
  • 擬人化if
  • vsアルバトリオン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。