マリー、ママになる   作:新任曇らせ隊

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すいません、今回いつもより短いです。
 
メインシナリオどこから絡ませようと思ってたら、ワンクッション置こうとして怪文書みたいなの書いてました。

今回から本格的に原作の中身とか設定から乖離というか分離していきます。

まずゲマトリアの皆さんは漏れなく改変されてます。

今回はそんな改変されたゲマトリアのメイン、黒服さんです。

時系列的におかしい部分もありますが、黒服さんはホシノを手に入れる前に一度先生と会っている設定です。

注意:原作改変のタグを新規追加しました。






第五話

 

 

 

 人類が知性を得てから生み出したものは何とも面白いものばかりです。理論によって求められ、成り立つものから、明確な理論が当てはまらない、不可思議なものまで、相反するものが共存する世界。

 

 ここキヴォトスでは珍しくない神秘でさえ、外の世界では確認できないということからも興味が湧きます。人が認識することで生まれる実態の齟齬。それはすなわち知性によって生み出されたことに他なりません。

 

 一般的に認識されなければ存在しない、という事柄は多いです。分からないがそれ故にないだろう、という推測に近いもの、とも言い表すこともできます。どちらにも共通することは、理解の範疇に含まれているか否かということ。

 

 人は知性によって存在しない問題を生み出し、それを解決するために新たな問題を生み出しているのです。実に不思議でしょう?

 

 自分で自分自身を苦しめ、その中で新しい発展や発明を生み出す。人が進化していく過程で得たある種の適応とも言えますが、どこまで合理的であるか答えを出すことは不可能。

 

 私とて元々は人の子です。自分の知性に苦しめられることもあれば、助けられることもありました。……今ですらそうですから。

 

 人であることを辞めた…………いえ、自ら望んだわけではありませんが、人でなくなったことは確かです。その時は過去の後悔や妄執に影響を受けるとは思ってもみなかったのですよ。

 

 

 

 ……クククッ、しかし思い返してみれば後悔や妄執による影響を受けたのは必然かもしれませんね。

 

 大人でありながら大人に成りきれなかった。所詮子供の猿真似だったと言えるでしょう。誰が言ったか、大人とは子供が大人の振りをしているだけだと。

 

 ではあの時一体何故、私はキヴォトスを訪れたのでしょうか。

 

 単なる偶然の巡り合わせだったのか、はたまた必然だったのか。今となっては調べる術もありません。……調べる気も毛頭ないですが。

 

 

 ……何故調べないのか、ですか。

 

 

 …………そうですね。人は皆、必ずしも自分の過去を直視できぬから、ですかね。

 

 考えてみてください。自分が過去に行ってきた行為の数々を。

 

 面白いこともあれば、人に話すことも憚られるようなこと、嬉しかったこと、悲しかったこと…………悔やんでも悔やみきれなかったこと。

 

 挙げ始めれば切りがないですが、同じように思い返せばどこまでも哀愁を感じるものなのですよ。

 

 

 

 ……私がこのような考え方をしているのが意外ですか?

 

 クククッ、言ったでしょう。私とて人の子であると。

 

 

 

 しかし面白い話でないことは確かですよ。あなた方からすれば意外であり、言ってしまえば好奇なことでしょうが、その実態はどこまでも詰まらぬものです。

 

 一人の大人が、一人の子供を満足に導くこともできず、全てを終えた。………はずであった、というものです。

 

 今の自分は謂わば中身のない器。数少ない残滓が動いているだけ。ほとんど死人と言って差し支えないでしょう。それこそ過去に対する後悔や妄執の影響を受けたものです。

 

 どこまでも独り善がりな責任感とポリシー。聞き齧ったことでありながら、自分を大人であると示すため、そして誰かを思うという名分で行う自分本意な行為。ルールを逆手にとったグレーなやり方。

 

 大人は汚く、綺麗事だけでは社会を生き抜くことは出来ない。ルールの範疇であればどうであれ問題はない。人がある程度の経験を積んでくると、何時しか頭の中に知らずの内に居座る考えですが、何てことはない、子供が自身を正当化する際の言い訳ですよ。

 

 私もよく口に出すことがあります。ゲマトリアとしての活動で下らない文句を言われることが今まで多々ありましてね。しかしながら何故だかこの言葉は多くの人に刺さるようです。……一体何故でしょうね、クククッ。

 

 

 

 この言葉では黙らない人がいる?

 

 

 

 えぇ、当然そのような人もおられるでしょう。私もつい最近、止まらぬ方に出会いました。久々に出会いましたよ、あのように毅然と私に拒絶と反対を突き付ける御仁は。ゲマトリアの勧誘もにべなく断られてしまいましたし、非常に残念です。…が、半分予想していたことではあります。

 

 

 

 彼こそ新たにキヴォトスにやってきた先生なのでしょう。

 

 私としてはとても時節が良くない時に来てしまったと思いますが、既に起こっている事柄に文句を言っても何も変わりはしません。今はただ粛々と目的を果たすために動くだけ。

 

 幸い、今はアビドスの問題を解決するために奔走している最中、ということもあってか準備を進めるには都合が良い。カイザーには苦労をかけますが、契約の内である以上、役に立ってもらわねばなりません。

 

 

 

 

 計画の鍵は既に手に入れました。後は然るべき手順をもって真なる太陽を顕現させるだけ。

 

 

 

 あの時は肉体の限界という枷によって、自ら手を離してしまった太陽。自分の愚かさ故に、失った我が太陽。

 

 

 

 しかし此度は違う。幾度となく試行錯誤を繰り返し、再び手が届くところに戻ってきた。

 

 

 

 ホルス。それは太陽の偶像。気高き一つの光でありながら、他者を照らす表の王。

 

 

 

 ホシノ………私はもう君を………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 ………………いえ、もうそのように呼ぶ間柄でも、権利もありませんね。

 

 

 

 

 

 

 ホルス、あなたを名実ともに世界の王としましょう。

 

 

 神秘と恐怖の二面を併せれば、あなたに敵う者などいなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 もうあなたを傷付けさせはしない。

 

 

  

 

 

 

 

 そう―――あなたに誓ったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

 

  

 キヴォトス某所。

 

 時刻は午後19時を迎えようとする時、とある高層ビルの一室にて二つの影が対峙していた。

 

 片や全身を黒色で纏められた服装であり、人間のものとは思えぬ風貌の男。そしてもう片方は対照的な白色を基調とした20代後半ほどと思える男。

 

 両者ともに、とてもではないが話を行うような雰囲気ではなく、重苦しい張り詰めたような状態であった。

 

 

「……では先生はホシノさんを諦めることはない、ということでよろしいでしょうか」

 

 

 黒服の男はどこか玩具を取り上げられた子供のように、納得できない、理解できないという声色で話し、苛立ちを隠さず片方の手に握りこぶしを作った。

 

 

「言ったでしょ。彼女は、ホシノはまだ対策委員会の所属だし」

 

「まだアビドスの副生徒会長だし」

 

「今でも私の"生徒"だからって」

 

「だから諦めるということも間違い。始めから私は認めていないから」

 

 先生と呼ばれた白い服の男が話すたび、黒服の男の目にあたる部分で発される炎のような光が少しづつ揺らめく。そして部屋の電子時計が19時ちょうどを示した時、黒服の男は苦渋の決断を迫られた咎人のように重々しい口を開いた。

 

 

「……なるほど」

 

「初めて会った時より思ってはいましたが、まさかこれほどとは」

 

「分かりました。交渉は決裂です、先生」

 

「あなたならば……とは思っていましたが、仕方がありません」

 

 

 そう言って黒服の男は一つのUSBを取り出し、先生へと差し出した。

 

 

「先生、そこまでしてホシノさんを助け出したい、というのであれば」

 

「このUSBに彼女がいる場所の情報が入っています」

 

「あぁ警戒は無用です。これはあなたに対する敬意の形ですので。ウイルスや無駄なものは一切入っておりません」

 

 

 心なしか少し赤黒い色をしたUSBを、先生は躊躇いもなく受け取ると、踵を返して足早に出口へと向かっていった。そこで黒服の男が再び口を開く。

 

 

「先生、あなたは先ほど"大人とは責任を負うもの"と称しましたね」

 

「ならば、これは一つの例として覚えていてください」

 

「一人の男は責任を負いすぎたが故に、終ぞ一人の責任も負うことができなかった、と」

 

「では、ホシノさんの救出を頑張ってください」

 

「先達として、あなたが太陽に近づきすぎた結果、その身を焼かれることのないよう祈っております」

 

 

 

 先生は黒服の男の言葉を聞き終えると今度こそ部屋を退出していった。

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

 先生がいなくなった後、部屋の主である黒服の男は徐に椅子から立ち上がると窓際へと寄っていった。そして夜を迎える街を眺めながら、懐から一枚の薄汚れている写真を取り出した。

 

 

「実に、実に惜しい」

 

「先生、あなたの進もうとする道は煉獄へと続いているのですよ」

 

「先生とは言え無敵ではないのですから」

 

 

 黒い服を着た男と5人の少女が楽しそうに写っている写真を眺めた男は、それを大事そうにしまい込むと、デスクに再び座り、一枚の契約書を手に取った。

 

 

「しかしあまりの眩さに、つい手助けをしてしまいましたが、これも一つの運命、ということでしょうか」

 

「クックック、あぁホルスよ。このような結果になってしまうなど」

 

「どうやら私はどこまで行ってもダメな大人らしい。他の大人にあれほどの気概を見せつけられるとは」

 

「だが、彼ならばあなたを、アビドスを、正しい意味で救えるのだろうか」

 

 

 男は契約書に書かれている内容を一読すると、廃棄処理と彫られた引き出しにその契約書を入れた。代わりに他の契約書を別の引き出しから取り出すと、万年筆を手に何やら書き込み始めた。

 

 

「この時間軸をどのように導くのか。興味は尽きませぬが、先輩相手に啖呵を切ったのです」

 

「私がホシノを諦め、あなたに託したのですから見苦しい終わりなど認めません」

 

「さあ私に代わってホシノを、アビドスを、キヴォトスを救ってみせなさい、先生」

 

「………ゲマトリアは、私は、あなたのことをずっと見ていますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





主人公も小説名にあるマリーも出てこない小説があるらしい。

ちょっと自分でも何書いてるか分からない状況で進めたらこんなのになってました。

今後は今回のような感じでキャラが乖離、分離、崩壊していきます。

構想ではゲマトリアの皆さんは少なくとも一人は激重な矢印が向いている生徒が一人はいます。

具体的には

黒服→ホシノ

ベアト→マリー

マエストロ→カスミ・メグ

ゴルコンダ→ノア


どうでもいいことですが美琴にはそっぽ向かれましたが食峰は来てくれました。


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