「あの子、連れてこなくて大丈夫だったの?」
「数日程度心配ありませんよ。逆に私たち老いぼれに付き合わせる方が酷です」
「違いない」
ヒンメルも反射的に頷く。一部の見た目は兎も角、内面は皆立派な老婆と爺だ。幼い子供に介護させることは酷だろう。自分で言ってて悲しくなるが。
「それに、フェルンには悪いですが。たまにはこういう日もいいじゃないですか。昔の仲間と昔の光景を見に行くのも」
過去を振り返るようにハイターが空を見上げる。ヒンメルもつられて空を眺める。透き通った青空は明るく世界を照らしていた。
「違いないな」
「だね」
後ろから聞こえるアイゼンとフリーレンが嬉しそうな声にヒンメルは頬を緩めた。
ゆっくりと懐かしげに歩む足取りは軽くて浮き足だって歩いてしまいそうなほどだ。けれど、同時にこの大切な一時をまだ味わっておきたくてあの日々の歩みよりも遅く歩む。
「久しぶりにアイゼンの料理を食べたよ」
「そういえば、お二人はご飯はどうしてるんですが」
「僕が作ってるよ。フリーレンも簡単な作業なら手伝ってくれてる。…まぁ、また変な魔法入れられたら困るからね」
「「あー(納得)」」
「………(ほら、ヒンメルもあれでしたからね)」
「………(うまいこと役割分担してるようだな)」
「??…なんだよ急に。何を話してるんだ?」
「なにもありませんよ」
「ああ」
「?」
「雨降ってきましたね」
「このまま行くと泥濘が出来て足が汚れそうだな」
「年寄りにはきついですね~」
「ああ、そうだね。フリーレン皆にあれ頼む」
「分かった」
「「?」」
「わ、地味に助かる」
「これで足が汚れないのか」
「フリーレンがミミックで見つけた魔法だよ。99%の1%を当ててね」
「むふー」
「嬉しそうだな」
「よっぽど引き当てたのが役に立って嬉しいんでしょうね」
「僧侶の力は衰えてないのか?」
「意地の悪いことを聞きますね。ヒンメル。衰えてますが、この杖で殴っても回復させてあげられる程度にはありますよ」
「痛い痛い」
「フリーレン先生~、魔物ですよ~」
「わかった」
「フリーレン先生~、木の実取ってください~」
「わかった」
「ありがとうございます~」
「むふー」
「「(いいように使われてるな/ね)」」
「アイゼンっ!力比べだ!僕が勝てば今日の肉は多めに貰う!」
「いいだろう。…そうだな。俺が勝てばフリーレンからお前の恥ずかしいことを根掘り葉掘り聞こう」
「レディゴ~」
「バッッッッ、か!!卑怯だ!! 「レディゴォオオ~」ぐふぬぬぬんんん…アーーーーッッ!!!」
「…アホだ」
「思ったんだけど、鳥のふんって何で白いんだろうね」
「さぁ、牛乳を飲んでるからじゃないか」
「また、アホみたいな思考を……。白いのは雲を食べてるからです」
「…………えぇ」
「そういえば、この間の手紙。ハートがキモかったぞ」
「ストレートに貶しますねあなた」
「………消した後が目立った。辛うじて読める字であればそれでいい」
「!…ふふっ、ありがとうございます。お言葉に甘えますね」
「丁度、やまびこ出来そうじゃないか」
「やるか。久しぶりに」
「フッフッフ、まだ、衰えてませんよ」
「今回は私が勝つよ」
「フリーレン、魔法は禁止だ」
「………」
会話をして、馬鹿をやって、ちょっと寄り道して歩き続ける。かつてのあの日々とは少し違った形でも、まるで変わらないように戻れた日々が懐かしくて何より愛おしく思えた。
「楽しそうですね」
ハイターがそう言って夜番のヒンメルの横に並ぶ。
既に、他全員は睡眠に入っていたと思っていたので、てっきり寝ていると思っていたヒンメルは少しだけ驚きながらも困ったように笑った。
「ああ、楽しいよ。ハイターも楽しいそうだ。顔が笑ってるぞ」
「!…ふふ、ええ、勿論楽しいです」
指摘されてから気づいたのかハイターが自分の顔を触る。けれど、図星をつかれたような顔はしていなくて、寧ろどこか嬉しそうに笑みを深めた。
「年寄りにはちと厳しいですがね」
「言ってろ。まだ全然平気だろうが」
少し心配した様子を尾首にも出さずヒンメルは軽口を言う。それは、ハイターがヒンメルに求めている、あの日々の態度で、ヒンメルもまた、ハイターにあの日々の態度を求めていたからだった。
それに気づいたのかハイターは、嬉しそうに破顔して言葉を言う。
「まるで、あの頃に若返ったようですよ」
ハイターが夜空を見上げる横顔を見ながらヒンメルは自然と目線をあげる。
「そうだな」
まだ、この光景を一緒に見られるうちは大丈夫だとヒンメルは信じていた。
ー明日はエイラ流星。
旅の目的の日だ。
本当に書きたいとこだけ書いてる…。
会話文の追加はあり。
なんかこういう会話もしていてほしいっていうのを、そのまま感想に書いてくれたら、そのままのっける…かも。