硝子とは幼馴染ですよ   作:ノワールキャット

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第七話 合同任務_参

─────A.M.2:30

 

夜は開けず、雲によって月は隠され、明かりは一つも無い。黒い制服に身を包んだ4人は『ここから先、巳南山道』と書かれた木の看板を見付けた。

 

「この先だね」

 

「千里、どんな感じだ?」

 

「うっすらだけど見える。道なりに進めば相対するはずだ」

 

「これ生きてるの?」

 

丸型のサングラスを掛けた長身で白髪の男、五条悟。前髪が特徴的なお団子結ぶにした男、夏油傑。千里眼を発動させ、赤い眼で山道を見渡す男、神原千里。茶色の髪をショートボブにしている女、家入硝子。

 

4人は緊急で天成山に訪れていた。本来の予定は土地神の情報を徹底的に集め、それから天成山に突入し、呪霊を祓除すると言うことだった。しかし、新たな行方不明者が2名現れ、その救出の為、すぐ様突入することになった。

 

─────1時間前

 

「マジか」

 

「どうやら肝試しのつもりで天成山に入山したらしく、一足先に下山していた佐藤さんと言う方が中々戻らない友人を不審に思い、警察に通報したらしいです」

 

部屋で寝ていた悟らを叩き起こしたのは一本の電話だった。1:20に通報があり、高専関係者の警察官から今回の任務の担当になっていた補助監督にすぐさま連絡が入ったらしい。

 

「タイミングが悪いな」

 

「だけど、姿を見せていなかった呪霊が姿を現しているかもしれないな」

 

「はい、その可能性があるので予定を変更してすぐさま呪霊を祓うことになりました」

 

「分かりました」

 

「突入時刻は午前2:30となります。そして、今回の呪霊を正式に特級仮想怨霊『天成神』と呼称することが決まりました」

 

特級仮想怨霊『天成神』の祓除の為に急遽、天成山に突入することとなった悟、傑、硝子、千里。情報がほとんどない、最悪のコンディションで挑むことになった。

 

─────A.M.2:30天成山へ突入

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「傑、呪霊は?」

 

「いないね、索敵で出してる呪霊にも反応がない」

 

「ちっ!千里眼を常時出せればな...」

 

「常時出してたら、千里の脳が焼き切れるよ」

 

今の所は特に問題はなく、むしろ気味が悪いくらいに非常に静かだ。傑が呪霊を使い、周辺を隈なく探索し、悟が六眼を使い、土地神の位置を探る。

 

「うん?」

 

「呪霊の残穢がある」

 

「何処だ?」

 

「多分このまま進めばあるぞ」

 

呪霊の残穢を発見したらしい悟の言葉を信じ、少し駆け足で進む。大体5分ほど走り続けだろうか?進めば進むほど木々が生い茂っていく。走っていく中で傑と「おっと!」と声を上げ、何かに躓いたようだった。

 

「夏油どうした?」

 

「いや、何か足元に躓いて...はっ」

 

「ん?傑そこになんかあんのか?」

 

途中で傑の声が途切れ、傑の側に近寄ると傑ともう一つ何かが転がっていた。

 

「マジか...」

 

「ちっ」

 

「っ!」

 

3人は声を失った。傑が躓いたのは岩や木の根などではなく、頭部のない人間の胴体だった。血は草木に染み込み、この視界の悪さで死体だと判断することが出来なかった。

 

「被害者か...」

 

「仮にも特級の居る森だ。生きてたら奇跡だかんな」

 

戸惑っていた傑と硝子とは裏腹に悟と千里は冷静だった。

 

「一応、回収しておくか?」

 

「いや、やめとこう。荷物がある状態で特級と会いたくねぇ」

 

「それもそうだな...」

 

一先ず先に呪霊を祓除することを優先し、遺体の回収は後回しにする。場所を記録し、後で自分達か補助監督にでも回収してもらえばいい。

 

「それよりも早いこと呪霊を見付けないとな。傑、残穢はこの辺か?」

 

「いや、もう少し先...だ」

 

「「っ!?」」

 

「うん?どうした急に黙って」

 

3人がいきなり黙ったことを不思議に思った悟は顔を傾けるが硝子が震えた手で指を指した。

 

「ご、五条...後、ろ」

 

「ん?後ろ?」

 

硝子の言葉通りに悟は後ろを振り向いた。

 

「ナ、ナ、ナ...ナニ」

 

ぎょろぎょろと目を忙しなく動かす虚な目。昆虫のような足をいくつも持ち、バラバラと動かす胴体。六本の腕を持ち、人間の髪で覆い隠された人間の頭部と思しき球体を垂れ下げていた。

 

悍ましい、その一言に尽きる。ここまで醜悪な姿をした呪霊を4人は見たことがなかった。

 

「黄龍!」

 

最初に動いたのは千里だった。黄龍を呼び出し、そのまま目の前の特級呪霊に突撃させた。

 

「一旦逃げるぞ!」

 

「あぁ!」

 

「分かった!」

 

目の前の出来事に呆けていた悟と傑だったが、千里の言葉にすぐさま反応し、一旦戦線離脱を決めた。傑が飛行可能なマンタの呪霊を呼び出し、悟と共に飛び立った。一方で千里は硝子を抱き寄せ、呪霊に突撃させていた黄龍を呼び戻し、背中に乗るとそのまま上空へ飛び立った。

 

「あの呪霊は一体何なんだ!?」

 

「俺も分かんねぇよ!一瞬六眼で見たが、すっげぇ濃い呪力しか分かんなかったぞ!」

 

「あれは呪霊でも、土地神でもない。あれは...」

 

「怨霊だ」

 

怨霊───人間が死後呪いに転じた呪霊を主に指す。特定の個人に取り憑き、加害を加えられたことをトリガーに顕現し、周囲に危害を加えるものは過呪怨霊とも呼ばれる。

 

「くっそ!最悪の方が出やがった!」

 

「千里、お前。アレ(怨霊)の正体が分かんのか!?」

 

「推測の域を出なかったが、今のを見てハッキリした。あの怨霊は生贄にされた巫女の成れ果て(・・・・・・・)だ」

 

「巫女?それって△市の伝承話に登場する巫女かい?」

 

「あぁ、巫女は望んでこの村を救ったんじゃない。巫女は村人達に無理矢理人柱にされた(・・・・・・・・・・)んだ」

 

「「「!?」」」

 

3人は千里の言葉に驚愕を顕にした。伝承話では巫女が村を救う為に身を捧げたと書かれているが、千里の考えが正しかった場合は事実が捻じ曲げられ、村人に対しての怨みからあの呪霊は生まれたことになる。

 

「結局、千里の仮説が正しかったわけだな」

 

「出来れば当たって欲しくなかったけどな。これは...中々面倒くさそうだ」

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