硝子とは幼馴染ですよ   作:ノワールキャット

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授業

「いいか?このグラフから読み取れる値を①の式に代入することで解を求めることが出来る。そして、代入した値を②の式と連立方程式で計算することで答えを出せる。ここまででなにか質問はあるか?」

 

呪術高専に入学して早数日。高専が学ぶのは一般の五教科に加え、呪術や体術が混じった時間割となっている。基本的に午前は座学、午後は体術となっており、そこに任務などが入っている。土日など休日は授業は無く、緊急の任務が入らない限り、基本的には休みとなっている。

 

そして、只今は数学の授業中である。例題の解き方を教示し終えた夜蛾は後ろを振り返った。

 

訳の分からん攻防をする男子生徒2名に机に突っ伏して眠る女子生徒1名、片手で缶コーヒーを飲みながら小説を読む男子生徒1名。誰1人まともに授業を聞いていない。

 

「お前ら...授業を聞けぇ!」

 

夜蛾は怒りで拳を振るわせ、大声を上げた。この光景は彼らにとって日常茶飯事である。授業をまともに聞かず叱られる。喧嘩で建物を破壊し、叱られる。任務先で必要以上に損害を出し、叱られる。担任に怒られるのが当たり前になってきており、夜蛾は気苦労が絶えなかった。

 

「悟!傑!お前らは喧嘩をやめろ!硝子は起きろ!千里は本とコーヒーを仕舞え!」

 

高専生で歴代一の問題児だろう彼らはそれはそれは問題が多い。

 

まず悟は言動と態度が壊滅的だ。必要以上に相手を煽る、任務先で損害は当たり前、剰え同級生である傑とは度々喧嘩し、高専の建物を破壊する。傑は悟よりかは穏やかで問題行動は少ないが、同級生との喧嘩で高専の建物を破壊している。上記の2人が学生一番の問題児だろうが、硝子と千里の2人も負けていない。硝子は未成年だと言うのに喫煙と飲酒をやっている。身体に良くないので何度か注意をしたが一向に止める気配がないので諦めたのだ。上記のことを除けばそこまで問題があるわけではなく、一部の先輩の術師からは好かれてるらしい。最後に千里、彼も2人ほどではないが問題児だ。彼は道路交通法違反の常習犯で移動のためにバイクを持っているらしいがバレなければいいだろうという考えだそうだ。授業をサボることもある。

 

「お前達はまともに授業を受けることも出来んのか」

 

─────むすっー

 

4人は気に食わないと言う表情をしている。現在進行形で彼らは罰として夜蛾の目の前で正座をさせられている。『私達は授業をサボった問題児です』と言うプラカードを首に引っ提げながら。

 

「何だ。言いたいことがあるなら言ってみろ」

 

傑、硝子、千里は面倒くさいと思ったのか目を逸らして無視してる。

 

「...呪術はまだ分かっけどさー。数学とか社会とかって必要なのかよ?英語なんて特に使わねぇだろ。呪術師の活動は日本じゃねぇか!」

 

案の定、悟は噛み付いた。

 

「...いいか、悟。高専は一応教育機関だ。表向きには私立の宗教学校だと偽っている。だから筋を通すためにも一般教科も教えているんだ。それに出来て損はない。大体、悟の術式は数学が絡んでいるだろ。無限級数なんて複雑な内容を何も知らないまま術式を扱えるわけないだろ」

 

「じゃあ、英語は何だよ?呪術師は日本限定だろ?」

 

((確かに))

 

悟の疑問に傑と硝子の2人は同調を示した。日本は呪術大国と呼ばれるほど呪霊の発生数が異常だ。海外だと極端に呪霊の発生が下がり、呪術師の数も激減する。海外にも任務があることは知っていたがほとんどがあまり大した任務ではないだろうと2人は思っていた。

 

「海外だと発生数下がるらしいけどその分、生まれる呪霊が強いんだってさ。俺の使ってる黄龍だって元は中国で手に入れたものだし」

 

「へー、そうなんだ」

 

「ていうか千里。中国行ってたんだ」

 

「おう、一人旅してたら使い勝手良さそうだったから手に入れた」

 

「何だその理由は」

 

「ゴホン!千里が言った通りだ。海外では呪霊の発生率は下がるがその分、強力な呪霊が発生しやすい。日本以上の治安の悪さと信心深さも相まってな。だから定期的に海外へ呪術師を派遣しているんだ」

 

夜蛾曰く海外での呪霊の強さは極端だそうだ。蝿頭か特級のどちらかで蝿頭の場合は呪霊の存在を認知している教会が祓除しているとのこと。特級に分類される呪霊のほとんどは悪魔や邪神、神話上の怪物がモチーフとなって発生するそうで過去には殺人鬼がモチーフとなって発生した呪霊もいるそうだ。

 

「専属の翻訳係とかいねぇのかよ」

 

「勿論そう言った人も居るがほとんどが一般人だ。一般人を危険な呪霊のところに連れて行けるはずがないだろう。ともかくだ...お前達はもう少し真面目に授業を受けろ」

 

「「「はーい」」」

 

「テストの結果だけ良ければ大丈夫と言う考えは無しだからな」

 

「「「ちぇっ」」」

 

「お前ら...」

 

夜蛾は拳をまた振るわせる。この問題児集団は全員がその場のノリと気分で物事を決めようとする。

だが、1名不貞腐れている生徒も含め全員、根は真面目な普通の生徒だ。問題をよく起こす生徒達だが全てを適当に済まそうとはしない。

 

「少しは反省しろ!」

 

─────ゴチン!

 

教室で鈍い音と夜蛾の怒号が飛んだ。この光景が日常であり、当たり前である呪術高専1年達。

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