戦争コンビの抑止力は、椚ヶ丘の落ちこぼれ 作:時長凜祢@二次創作主力垢
始まりの時間
それは、三年生に上がった頃の、始まりの方で起こった事件。確か、エンドのE組として生活を送り始めた時のこと。
……多少は暇潰しになればいいと思っていたのに、今のところなんの面白味もないな、なんて考えながら朝食を食べていた時に、たまたま点けていたテレビからそれは聞こえてきた。
【臨時ニュースです!!月が!!月が爆発して、7割方蒸発しました!!我々はもう一生、三日月しか見れないのです!!】
「「………………は?」」
テレビに映されたのは宇宙からの映像。見事なまでに三日月になってしまった巨大な月の姿は、あまりにも異質だった。
「あ、ほんとだ。三日月が見える。」
朝一からまさかのCG映像?なんて思いながらも、念のために確認しようと、自身を養ってくれている新宿の情報屋、折原臨也と暮らしているマンションのベランダへと足を運び、空をゆっくりと見上げてみれば、確かにそこには三日月があった。太陽の当たり方により、陰りができることにより見えるはずのそれだけど、どう見てもあれは、穴がぽっかりと空いたかのような状態だ。
ということは、テレビの報道は全くの真実であり、本当に月は7割消し飛んだということだ。
「ええ……?流石にこれは非日常すぎじゃない?なんで急に月が爆発すんの……。」
「セルティ姉さんという名の首無しさんがいる時点で非日常だと思うけどね。」
「あれはもう非日常なんかじゃないって。だけどさぁ、流石に月が爆発して蒸発するってのはどうなわけ……?」
二人してベランダに足を運んで、三日月になってしまった月を眺めながら、ぽつりぽつりと会話する。まさか、イザ兄の口から非日常すぎるなんて言葉が聞こえてくるとは思わなかったけど、それだけ彼も驚いて、呆気に取られてしまったのだろう。
そんなことを思いながら、自身が手にしているミックスベリージャムトーストを齧る。
「……月で核兵器の研究でもしたのかな?」
「さぁ?そんな話聞いたことないけど……。なんか面白いことがありそうだし、ちょっと調べてみようかな。」
「やめといた方がいいと思う。」
しばらく三日月を眺めた私とイザ兄。でも、これって結構お行儀悪いよね。うん、席に戻ろう。
トーストをもぐもぐ食べながら室内に戻り、先程まで座っていた席に腰を下ろす。イザ兄も同じように席に座り、目玉焼きと焼いたベーコンを乗せるジブリトースト的なやつを食べ進める。まぁ、あれ、私が作ったんですけど。
「昔は目玉焼きやベーコン焦がしまくってたよね、莉兎ちゃん。だけど今はシェフにも匹敵するような料理を作ってくれるし、こんなトーストやいろんな料理に作れるオリジナルソースも作れるようになったし、そのジャムもお手製だしでかなり料理スキル上がったんじゃない?」
向かい合って、トーストを頬張るイザ兄が笑顔を見せながら、料理の腕前を褒めてくれた。前に比べたら、断然上手くなっていると。
「まぁ、もう5年も一緒に住まわしてもらってるし、家事をなかなかしないイザ兄の代わりに家事やってれば上達するよ。」
それは当然だろうと思い、ここまで上達した理由を口にすれば、イザ兄はくつくつと声を抑えて笑う。無駄に顔がいいからか、女なら誰もが見惚れそうだし、キャーキャー騒ぎそうだと考える。5年も一緒にいるせいで、私は慣れてしまったけど。
「確かに。にしても、莉兎ちゃんがここまで料理も家事もこなせるようになって、なおかつ上達し続けてると、最悪、俺、莉兎ちゃんなしじゃ生きていけなくなるかも。
だって莉兎ちゃん、すごく気配りもできるし、ちょうどいいタイミングでお茶とかコーヒーとか、あと、ちょっとした甘い物とか夜食とか持ってきてくれるから。
もう莉兎ちゃん、俺のところに永久就職しない?莉兎ちゃんみたいなできる秘書、ちょっと欲しかったんだよねー。」
「え、ヤダ。」
「即答………」
即答くらいするに決まってる。情報屋なんていう危ない職業をしてる男の秘書とかごめん被る。だってめんどくさいし、あんまり危ない橋は渡りたくない。間接的であってもだ。だからそれは断る。
それに、私は秘書みたいな固っ苦しい仕事なんかより、カフェ&バーみたいな趣味に走った仕事をしたいから。
だから、学校が終わったら、バイトしながら専門の学校に通ったり、資格試験を受けたりして、下準備をしたいのである。高校まではお世話にならなきゃいけないけどね。
「俺、結構優良物件だと思うんだけど?お金はあるし、頭もいいし、顔もいいしの三拍子だよ?」
「自分で言うのか。」
呆れの視線しか向けることができない。確かに、イザ兄は頭がよくて、お金も持ってて、顔もよくて、運動もできるけど、付き合いたいとか、結婚したいとか?ずっと一緒にいたいとか……そんな感情抱けないんだよなぁ……胡散臭いし、なんかめんどくさそうだし。
「俺以外にいい男はいないと思うよ?」
「ねぇイザ兄。気づいてる?今のイザ兄、中学生の女子に結婚してって言い寄ってる変質者に見えなくもない状態だよ?
よかったね、家の中で。外だったら警察案件だよ。」
誤解を招く可能性が高い言葉を選んで紡いでいるイザ兄に対して、ドン引きしながらも、私は朝食であるトーストとスープ、ヨーグルトを食べ終えて、コーヒーを一杯飲む。
現在時計は7時ちょうど。制服には着替えているから、あとは歯磨きをして、髪を整えて、椚ヶ丘の別校舎であるE組に向かうだけだ。
「よしっと。じゃあ、行ってくるねイザ兄。」
「ん、行ってらっしゃい。なんかあったら言うんだよ?」
「はーい。」
身支度を済ませた私は、もう三年の付き合いになる椚ヶ丘中学校のカバンを手に持って、イザ兄に一言告げる。それを聞いたイザ兄は、玄関まで足を運んだのち、笑顔で手を振って見送ってくる。学校内で何かあれば、自分に言えという言葉とともに。
その言葉に返事を返すが、イザ兄に学校であった問題を明かすつもりはない。特に、他のクラスの生徒にいろいろちょっかい出されたとか、E組の生徒と一悶着あったとか、絶対に彼に知らせてはダメだ。
イザ兄は変わり者だ。“人、ラブ!俺は人間が好きだ!愛してる!だからこそ、人間の方も俺を愛するべきだよねぇ”なんて、アホらしいことを高らかと言うような、変人の分類に属する存在だ。
夜中になんかリビングでそんなこと言ってて、ドン引きした記憶は、未だに鮮明に残っている。うっそだろお兄さんと、思わず漏れた言葉もあった。
そんな彼は、掴みどころのない雲のような存在だ。博愛主義者ではあるのだろうけど、わかっているのはそれだけだ。他に自分が知ってることと言えば、情報屋をしており、常人ならば絶対に手を出さないような悪趣味があり、作り手の性格や個性が味に出るからという理由から、人の手料理を好んで食し、レトルトやインスタント、ジャンクフードといったものをあまり口にしないといったところか。
まぁ、そんな彼なんだが、どうやら私のことを気に入っているらしいというか、かなり気にかけているらしいというか、とにかく、人間愛の範疇より深めの何かを向けてきている傾向がある。
その証拠に、妙に私に対して甘く、こっちが困惑していれば、それを解決するために動いたりする。同時にどことなくこちらに対して過保護な部分を持ち合わせており、私が悪質なナンパに捕まっていたことを話せば、一週間ほど家から出してもらえなくなった上、ナンパ男が社会的に抹消されるという展開になってしまった。
つまり、私が学校内でいじめられたなんて言ったら、きっと彼は、こちらをいじめていた生徒を徹底的に調べ上げたあと、なんらかの方法で、その犯人を家族諸共ぶっ潰しにかかってしまうだろう。実際、一度あったしね……。イザ兄の信者かなんかに絡まれて、それを知ったイザ兄が、あれよあれよと言ってるうちにサラッと消していた。
あの時のことを思い出して、少しだけ寒気を感じ、ブルっと震える。同時に耳元についているアクセサリーに触れ、カバンの中に入れていた手鏡にそれを映す。
そこにあるのは夜桜をイメージして、月と桜のチャームが合わさっているピアス。
イザ兄から中学校に入学した時に与えられたもの。
「……これ、外したらダメなんだよね。家にいる時以外は。」
このピアスはイザ兄から贈られたものだ。謎の人脈を持ち合わせている彼が、一人のメカニックに依頼して、作らせたのだと言っていた。
このピアスに搭載されているのは、遠くにいようとも会話内容を聞き取ることができる盗聴器と、危ない橋を常に歩いている彼の関係者だからという理由で、拉致された時のためのGPS、そして、540分は余裕で録画できる特殊な小型カメラが組み込まれている。
防犯のため、守るため。イザ兄はそう言ってるけど、ちょっと過保護すぎてはないかと思ったり。
「………この学校の生徒たち……一体何人イザ兄に消されるのかな。」
最悪、E組の生徒以外が被害を受けてしまうかもしれない。
そんなことを考えて、ぶるりと感じた恐ろしさに体を震わせる。
「イザ兄の考え、全く読めないな……ほんと。」
人間愛を謳いながらも、誰かに深く関わろうとしない彼は、一体、何を思って私にこんなものを渡してきたのやら。理解不能な行動の数々に、わずかながら表情を歪める。
でも、理由を問いただしたところで、イザ兄はきっとどこ吹く風。誤魔化される未来しか考えられない。
そんなことを思いながら、私は電車に乗る。新たな非日常への一歩を踏み出していることに気づかずに。
☪︎ ☾
それは突然現れた。今日もいつものように、暗い表情をしている生徒たちと、無駄に明るい新人教師、雪村あぐり先生と、なんら変わりない生活を送るのだろうと思っていた時。
なぜかE組に入ってきたのは、無駄に明るい雪村先生ではなく、黒スーツに囲まれ、銃を突きつけられているタコのような黄色い生き物だった。
(………は?)
言葉にこそ出さなかったが、まさにそんな心境だった。雪村先生はどこ行った?この黄色いアカデミックドレス着てるタコは何?なんで銃口突きつけられてんの?ていうか、なんでこいつ、銃口突きつけられてるにも関わらず笑ってんの……?
あまりにも非日常としか言えない状況に困惑しながら、タコのような謎の生き物を見つめる。
「初めまして。私が月を
よくわからないままに、黄色いタコのような謎の生き物を見つめていると、それはそんなことを告げてきた。E組全員が無言になる中、私はこんなことを思った。きっと、このクラス全員が同じことを思っていただろう。
“まず5・6か所ツッコませろ!!" と。普段は何事にも無関心で、周りのことなど気にしていない私であっても思ったんだから、何事にも無関心というわけじゃないみんななら、余計にそう思うだろう……多分。
「防衛省の烏間という者だ。まずは、ここからの話は国家機密だと理解頂きたい。」
微妙な雰囲気になってる中、スーツを身に纏う男性が、静かに口を開いた。その表情には、こちらの困惑を悟っているような、自分自身も困惑していると言ってるかのようなものが浮かんでいる。
国家機密って、なんかヤバい話が舞い込んできたな。確か、ここをいじれば、一時的に盗聴器を切れたはず……。私を養ってくれている情報屋に、聞かれたらまずい内容だと判断して、軽く耳飾りを弄う。
『はいはい切らないでね莉兎ちゃん。なかなか面白い話になってるみたいだし、俺も聞かせてもらうから。
まぁ、そっちで切っても、すぐにこっちから電源入れることができるし、無駄なことはしない方がいいよ?』
(み゛!!?)
だが、それは突如聞こえてきたイザ兄の声により阻止されてしまった。え?ちょっと待って?これ、通信機にもなってんの!?
『軽くカスタマイズしてもらったんだよ。あ、安心してね?俺の声が聞こえるのは莉兎ちゃんだけだから。
ピアスに特殊なマイクとスピーカーを仕込んでて、それを身につけてる人間のみに届くんだって。
いやぁ、ほんと、君のお兄さんってすごいもの作るよね。』
周りに聞こえる聞こえないの問題じゃない!!と怒鳴りたくなった。でも、イザ兄と話してることがバレたらめんどくさいことになるのは確定なため、黙り込むことしかできない。
ていうか、知り合いのメカニックって私の兄かよ。なんつーもん作ってイザ兄に渡してんの兄さん……。
『国家機密級の内容か……面白そうな内容ではあるね。厄介事なのは間違い無いけど。防衛省が出張ってるなら尚更。
うーん……カメラも起動したいけど、昨日、改造してもらうために持っていったから、まだ昨日分の映像を回収してないんだよなぁ。
撮れるっちゃ撮れるけど、昨日分の映像はまるまるデリートされちゃうし……。
あ、そうだ。今度、
イザ兄……あまり私の兄に妙なものを作らせないでくれないかな……?危ない仕事させないで……。そう思ってはいるけど、今抗議するわけにもいかず、黙り続ける。視線は常に防衛省の人と、黄色い謎のタコのような生き物に固定して。
「単刀直入に言う。この怪物を、君達に殺して欲しい!!」
……何て?イザ兄との突然の通信に驚きつつも話を聞こうとした瞬間、烏間さんにそんなことを告げられて、意味が分からず固まってしまった。
『殺して欲しい?教師を?カメラ起動できないから状況が飲み込めないな……。莉兎ちゃん。
今目の前に、防衛省以外の奴いたよね?そいつの特徴とか知りたいから、外見を口にしながら質問してくれる?』
「……すみません、烏間さん。お隣にいる謎の黄色いタコのような生き物なんなんですか?タコ型の地球外生命体?」
「失礼な!生まれも育ちも地球ですよ!確かにタコみたいな見た目してますけどね。」
『………は?』
イザ兄の指示に従い、外見を口にしながら質問をしてみれば、謎の黄色いタコのような生き物がプンスカ怒る。
「茹で蛸。」
「体の色を変えれますからね。」
ポツリと呟いた言葉に対してもご丁寧に説明をしてくれた謎の生き物。なんなんだこいつ。いや、ほんとなんなんだこいつ。
『意味わかんないんだけど?』
うん、私も意味がわからない。やっぱり直接モニターに映像を送れるようにしてもらった方が状況を読みやすいなとかぶつぶつ通信機の向こう側で呟いてるイザ兄に同意しながら、防衛省の人に目を向ける。
「すみません、状況の説明をお願いできますか?ちょっとよく飲み込めないんで……。」
((((流石莉兎/旭/旭さん!!どんどん質問してくれる!!))))
クラス中から尊敬というか、よくやった的な視線を向けられながらも、とりあえず状況を理解するために、烏間さんに質問をする。烏間さんは、小さく頷き、静かに口を開いた。
「国家機密のため、詳しい事を話せないのは申し訳ないが、こいつが言った事は真実だ。月を壊したこの生物は、来年の3月、地球をも破壊する。
この事を知っているのは各国首脳だけ。世界がパニックになる前に…秘密裏にこいつを殺す努力をしている。」
やっぱり、詳しい内容は教えてもらえないのかと思いながら、烏間さんを見つめていると、彼は徐に懐から何かを取り出した。よく見るとそれは、ナイフ……の形をしている何かだった。
「つまり、暗殺だ。」
烏間さんは取り出したナイフの形状をしている何かを、黄色いタコみたいな生き物目掛けて振りかぶる。だが、その攻撃はタコが当たる前に一瞬にして躱したため、当たる事はなかった。
「だがこいつはとにかく速い!!殺すどころか眉毛の手入れをされてる始末だ!!丁寧にな!!」
「『……ツッコミを入れていいところかな?』」
そのあとも繰り返し彼はナイフらしき何かを無駄のない動きで使い、タコを攻撃し続けるが、残像が残るくらいの速さで動き回るタコがハサミやピンセットを
……なんで眉毛の手入れ?ますます訳がわからなくなってきたんだけど?
『面白いと言っていいのか、意味がわからない、非現実的すぎると頭を抱えたらいいのか……。俺まで混乱してきたんだけど?』
微妙に疲れているような、呆れているような、困惑しているようなイザ兄の声。彼がこんな声を出すとは珍しい。なかなかに愉快なことになってきた。引き換えに頭が痛くなってきたけど。
「ちなみに、最高速度って分かります?」
「ああ。満月を三日月に変えるほどのパワーを持つ超生物だ。最高速度は実にマッハ20!!つまり、こいつが本気で逃げれば、我々は破滅の時まで手も足も出ない。」
『……ごめん。もうわけわからなくなってきた。この世にまさか俺でも理解不能な出来事があるとは思いもよらなかったよ。
面白いし、興味を惹かれないかと言われたら嘘になるけど、多分、理解する前に頭がパンクすると思うな。』
……イザ兄が弱気な発言をするとかどんな状況だ。まさかの事態に私まで混乱する。なんだこれ。なんなんだこの状況。イザ兄でも理解できないならこの世のほとんどの人間が理解できないってことじゃん。
「ま、それでは面白くないのでね。私から国に提案したのです。殺されるのはゴメンですが…椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならやってもいいと。」
(((((何で!?)))))
『ますます状況がわからなくなった。』
(私もますます状況がわからなくなった。)
超破壊生物が、なぜE組の担任をすると言ったのか……。多分、何かしらの理由はあるんだろうけど、その理由はなかなか思いつかない。
そもそも、なんで破壊生物がE組を知っていたのか、まずはそれから紐解かなくてはならない。紐解くにはピースが足りなさすぎて、推測すら立てることもできないけれど。
「こいつの狙いはわからん。だが、政府はやむなく承諾した。君達生徒に絶対に危害を加えない事が条件だ。
理由は2つ。教師として毎日教室に来るなら監視ができるし、何よりも、30人もの人間が…至近距離からこいつを殺すチャンスを得る!!」
誰もが混乱し、困惑し、状況を読み取るために頭を回していく中、烏間さんの言葉が教室に響く。
その言葉に、このE組にいる生徒たちは、謎のタコ型怪物が、なんでうちの担任になるんだとか、どうして自分達が暗殺なんかしなくてはならないのかと抗議する。
当然の反応だ。怪物を殺す術など知らないし、何より私達はみんな、暗殺などと言った仕事なんてした事がない。
経験なんて一つもない子供に、政府はなぜ暗殺を任せるのか……疑問が尽きないのも無理はない。
だが、そんな皆の声は、烏間さんが口にした、次の一言によりかき消される。
「成功報酬は百億円!」
((((百億円!?))))
『なんか静かだけど……?』
「……皆目がお金になってる………。」
『あ、なるほどね。そりゃ当然だ。百億円なんて大金、まともに仕事をしていても手に入るもんじゃない。
それこそ、大手会社の社長とか、財閥の会長とか、グループの社長や会長クラスでなければ無理な金額で、好きなだけ遊んでもなかなか減らない額だからね。』
ポツリと違和感など見せないように、全員の状況を呟けば、こちらの音を拾ったイザ兄が、納得したように言葉を返す。
「当然の額だ。暗殺の成功は冗談抜きで地球を救う事なのだから。」
生きている中、転がり込むはずのない大金の提示に固まる中、烏間さんが口を開く。同時に彼は、隣にいる破壊生物へと目を向けた。
それに従うように、私も破壊生物へと目を向けてみれば、なぜか緑と黄色のしましま模様を体表に浮かべているそれがいた。
「幸いな事に、こいつは君達をナメ切っている。見ろ。緑のしましまになった時はナメてる顔だ。」
((((どんな皮膚だよ!?))))
「ツッコミどころ満載の教師だなこのタコ……。」
もはやこれしか言葉にできない。ここまでツッコミのオンパレードを叩きつけたくなる生き物なんて、人間でもなかなかいない。
本当に生まれも育ちも地球なんだろうか……説明を聞く限り、人外としか思えないのだけど。
『なんらかの研究が非公式で行われていて、それの影響でヘンテコな怪物が生まれたのかな。そんな研究、見つかるかわかんないけど、試しに探ってみるべきか……いや、今はまだ様子見がいいか。
調べる価値があったら調べるとして、今は莉兎ちゃんの安全が第一だからね。
まぁ、危害を加えないという条件で話をまとめているなら、滅多な事じゃそんな事にはならないか。』
キーボードを叩く無機質な音が聞こえる。イザ兄の呟きから判断すると、こんな怪物が生まれるような非公式の研究を確かめようとしたのだろう。まぁ、すぐにやめたみたいだけど。
調べるためにはピースが足りないというのもあるだろうけど、今はまだ、厄介事に首を突っ込むより、別のことに集中したいというのもあるのかもしれない。スリーピー・ホロウや、ワルキューレの事を調べてるのを見たことあるし。
多分、セルティ姉さんに興味を向けているのにも関係あると思われるけど、まぁ、私が首を突っ込むべきもんじゃないから無視してるけど、妙な事にだけは巻き込まないで欲しい。
妙な事件に現在進行形で巻き込まれてはいるけど、これ以上増やさないで欲しい。
「当然でしょう。国が
((((だから、なぜ手入れする!?))))
「……手入れが趣味なの?」
眉毛を丁寧に整えたり、戦闘機をピカピカにしたり……このタコは一体何がやりたいのか……。謎が深まるばかりである。
「そのナメ切ったスキをあわよくば君達に突いて欲しい。君達には無害で、こいつには効く弾とナイフを支給する。
君達の家族や友人には絶対に秘密だ。とにかく時間がない。地球が消えれば、逃げる場所などどこにも無い!」
「そういう事です。さあ皆さん。残された一年を有意義に過ごしましょう。」
ヌルフフフと独特な笑い声を漏らす怪物教師に目を向けて、誰もが黙り込む中、次々と自分たちの席に、ナイフと弾丸と、弾丸を撃つための銃一式が置かれていく。
波乱万丈の非日常の幕が、今上がろうとしている。
まさかこんなことになるなんてね……そんな事を少しだけ考えながら、私は脳内で軽く謝罪する。“すみません。この国家機密、うちの保護者に筒抜けになっています”……と。
旭 莉兎
なんか知らんけど変なことに巻き込まれた新宿の情報屋のお気に入り。
国家機密の内容を自称保護者である臨也に知られてしまっていることにかなり罪悪感を抱いている。
折原 臨也
莉兎のアクセサリーを通してちゃっかり盗聴をしてる上、指示を出して情報を聞き出させていた新宿の情報屋。
そしたら自分ですらも理解不能な国家機密を聞いてしまい頭を抱えた。
莉兎ちゃんが危ない目に遭いそうなんだけどどうしたらいい、これ?
主人公のオチは誰がいいですか?
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主♀溺愛臨也さん
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妹分から特別になっちゃった静雄さん
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悪友?いいえ、特別ですよカルマくん
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執着強め?主♀に惚れてる学秀くん