Sin and Punishment   作:アイダカズキ

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【新春特別企画】悪党どもの誕生日

 頭蓋骨から目玉が飛び出し、全身の骨から肉が分離しかねない加圧(G)に十数分間耐えた後──龍一は全身への強烈な加圧が消え失せているのに気づき、そして自分が浮いても落ちてもいないのに気づいた。

 高度約35786km── 地球同期軌道(G E O)だ。

 視界を埋め尽くす青灰色の巨大な球体に龍一は目を奪われた。いや……奪われざるを得なかった。

 図鑑の写真でも、ニュースの映像でもない、他ならない地球の遠景(ランドスケープ)。上手い表現など思いつかない。ただ、綺麗だと思った。実に綺麗だ……。

『……龍一。龍一、聞こえたら応答してくれ。無事か?』

 無線から伝わる〈白狼〉の声に、龍一は骨振動マイクで返答した。多少掠れていても、ソフトウェアが自動調整してくれる。「ああ……どうにかな」

 無事とは言い難い心情だったが。とりあえずは手足がもげていないし、骨と肉も泣き別れになってはいない。

「アレクセイとブリギッテは?」

 返答の代わりに、龍一の「機体」に軽い衝撃があった。バイザーに情報が表示される。後方から射出された電磁石方式のワイヤーガンだ。

『お待たせ、龍一。こちらも配置についたよ』

『私も。ねえ龍一、聞いた?』笑わずにはいられない、という調子のブリギッテ。『私たちの身分、大金に任せて軌道宇宙旅行のチケットを手にした紅海(ホンハイ)電子公司代表取締役の息子とその取り巻きですって』

 龍一もまた失笑せずにはいられなかった。まあ、偽装身分だから何だっていいのだが、それにしても何一つ真実を反映していないことこの上ない。

「皆、準備はできたか?」

『ええ』『いつでも』

 宇宙服に身を包んだブリギッテ、アレクセイからの応答。分厚い宇宙服のおかげで見かけが一緒な上に、太陽光から目を守るためのサンバイザーで顔すら見えない。

「行こう」

 龍一は「機体」の姿勢制御用バーニアを短く噴射、前進する。もちろんワイヤーで牽引している二人をバーニアの炎で焼かないよう注意するのも忘れていない。

 空気も音も大地もない、空と星の狭間を龍一は飛び続けた──聞こえるのはヘルメット内の己の呼吸音のみ。頭上にあるのは吸い込まれそうな漆黒と、眩い星の海のみだ。

『ミルカにも見せたかったわ。この眺め……』

 感慨深げな、どこか悔やむようなブリギッテの呟きが聞こえた。

「そうだな。今度は皆で見たいもんだな」

 自分でもひどい欺瞞だと思った。職業犯罪者の自分たちが「仕事」以外の何で宇宙にまで来るというのだろう?

『いいじゃないか。今度は団体パックで申し込もう』

『ミルカだけならともかく、アイネイアの面倒まで見る必要が出てくるわね』

 失笑と呼ぶには温かすぎる笑いが起こった。ブリギッテもアレクセイも龍一の考えなど見透かしていただろうが、それには何一つ言及しなかった。龍一は黙って二人に感謝した。

『……見えたわ』

 目標を真っ先に捉えたのはブリギッテだった。何もない宇宙空間だけに、弓を使う関係で遠視に長けているのは彼女だ。

 龍一もまた視認した──黄金色に輝く翼のようなソーラーパネルと、極限まで機能を削ぎ落とした骨組みから成る人工衛星。

「見てくれは……他の人工衛星と大して変わらないんだな」

 龍一は無意識に唇を舐めようとして、どれほど緊張で自分の唇が乾いていたかを再確認した。

『ここまでは順調だ。ここまでは、だけどね』

『順調なのはいいことだわ。おかしなハプニングが起こる前に回収しましょう』

「違いない」ブリギッテとアレクセイの声に頷こうとして、龍一はそれでは伝わらないことに気づき、音声で同意を伝える。

 それにしても、と龍一は業の深い感慨に捉われずにはいられない。何だって俺は自分の誕生日に、空と星の狭間で雇われの強盗なんかやってるんだ?

 理由はわかっている。──全て自分のせいだ。

 

【1ヶ月前──イタリア・フィレンツェ、ドラゴネッティ・ファミリー邸宅、最上階ペントハウスのゲストルーム】

「〈明けの明星(ルチフェロ)〉を持ってきてほしいんですの。手段は問いませんわ」

 

 仕事を依頼したい、そうクラウディアに言われた時に龍一は「そら来た」と思った。口には出さなかったが、顔にまで出さなかったかどうかは自信がない。

 案の定、隣に座っているはずのブリギッテから──気取られない程度に──小さく首を振っている気配が漂ってきた。「即答は避けて。それから、用心して」の意だ。この辺りは共に死線を幾度も乗り越えた者同士の、阿吽の呼吸である。

「あのな、クラウディア。初めて会った時もそう言ったが──俺たちは『どこそこの誰それの喉首を掻っ切ってこい』みたいな仕事は請け負っていないんだ」

 それは龍一と仲間たちにとって──特に新香港以降──切実なものとなってきた問題だった。ただでさえお尋ね者なのに、これ以上恨みを買ったら龍一たちの居場所は、今度こそこの地上からなくなってしまう。

「君の目からどう見えているのかはともかく、俺はカフェで一服している間に通りかかった車から短機関銃を乱射されたり、飛行機で移動中に携帯型対空ミサイルで撃ち落とされたりするような人生は生きたくないんだよ」

「あら。現にそうなっていますのに?」

 ぐうの音も出ない。

 ブリギッテの方から飛んでくる「やり込められてどうするのよ」と言わんばかりの視線が実に痛い。

「龍一さん、ブリギッテさん。あなたたちの心配はもっともですが、過ぎた心配ではありますわ。どこそこの誰それの喉首を掻っ切るだけなら、我がファミリーには腕利きの()()がいくらでもいますもの」

 マナー教室のお手本になりそうな優雅な所作で紅茶を口元に運んでおいてから、クラウディアは艶然と微笑んでみせる。

 ドラゴネッティ家のペントハウスからはフィレンツェの街並みが一望できる──素晴しい眺めだった。各国首脳クラスでさえこの部屋で歓待を受ければ悪い気持ちはしないだろう。

 そして部屋の主であるクラウディアも、それに負けず劣らずの存在だった。

 相変わらずグラビア雑誌の表紙から抜け出してきたような出で立ちだ。均整の取れた肢体を包む真紅のドレスは紛れもなくオートクチュールで、一歩間違えば恐ろしく下品な代物になりそうなものだが、着ている本人が全く負けていないのはさすがだ。耳元や胸元、手首や足首までも飾るアクセサリー類もそれに一役買っていた。口の悪い望月崇なら「身ぐるみ剥いだら一財産」と抜かしただろう。

 一部の隙もなく髪をシニヨンに結い上げ、常春の国に相応しいライトグリーンの半袖ワンピースを着たブリギッテとは実に対照的だ。

 そもそも〈ファミリー〉の──それも欧州犯罪組織の雄たるドラゴネッティ・ファミリーからの呼び出しがただの茶飲み話で済むはずもなかったのだ。ましてやそのドラゴネッティの〈慈父(パパ)〉、その第三女であるクラウディアからの呼び出しともなればなおさら。

「昨日、お父様の見舞いに行ってきましたの」

 龍一とブリギッテを応接間に招き、向かいに座ったクラウディアはそう言った。それから、思い出したように小さな声で付け加えた。「まだ会話はできませんでしたけど……確かに私の方を見たの」

「よかった」ブリギッテは〈慈父〉ではなく、知人の父親の容体を気遣う声色で呟いた。

 龍一も黙って頷くしかなかった。数週間前に脳溢血で倒れたクラウディアの義父──〈慈父〉は一命こそ取り留めたものの、今だにベッドから起き上がることはできず、ファミリーの事業を監督できる状態にない。当然、その負担は現時点で次期当主に最も近いクラウディア一人にのしかかってくる形になる。

「不幸中の幸いとして、今のところ深刻な問題は発生していませんわ。お父様はこのような事態を見越して、幾つもの安全措置を取っておりましたもの。私が行うことなどその確認作業くらい……とは言え、当面は事業の拡張ではなく、維持と管理に注力せざるを得ませんけど」

 どこか遠くを見る目でクラウディアは言った。一分の隙もない佇まいだが、その容貌に差す翳りは隠しようもない。

 だが龍一の方に視線を戻した時には、その翳りは一掃されていた。〈慈父〉の娘の顔だ。

「もうお察しでしょうけど、龍一、ブリギッテ。ここにわざわざお越しいただいたのは、単なるお父様の容態の報告だけではありませんの」

「話にもよるな」龍一は一歩引くことにした。一時的な戦略的撤退、というやつだ。

 実際、慎重になる必要があった──何しろたった半月で、龍一たちはファミリーのお家騒動にしっかりと関わってしまったのだから。

 もう少しで欧州を二分するマフィア大戦の渦中に巻き込まれていたと思うと、今さらながら背筋が寒くなる。

「無論。決してあなたたちにも無縁の話ではありません──いえ、むしろ喫緊の課題と言うべきですわね」

 そして……冒頭の言葉に戻るわけだ。

「〈ルチフェロ〉……? それは何かの比喩か?」

「意味ありげなネーミングね。『堕天使の王(ルチフェロ)』とは」

「もちろん『神曲』とは何の関係もありませんわ」イタリア人らしいジョークだ。「まもなく衛星軌道上への打ち上げが決定した、アメリカ・イタリア共同開発の偵察用人工衛星ですわ」

 偵察衛星云々は珍しい話でもない。軍事・諜報に大きく関わる偵察衛星はその性質上、性能その他が一般公開されることはほぼない。ほぼないというだけで、各国のロケット発射場からは毎日のように無数の偵察衛星が打ち上げられ、軌道上に投入されている。わからないのはなぜそれにクラウディアが興味を示したのか、だが。

「ああ、そういうことか……だいぶ読めてきたぞ。〈竜〉応用技術が絡んできているのか」

「ご明察の通り。──彼の国は〈ゼウスの眼〉を搭載した偵察衛星を、全地球規模で運用するつもりですわ」

 無関心ではいられない情報だった。まさにその〈ゼウスの眼〉こそ、龍一たちが欧州で血みどろの死闘に引き込まれた要因だからだ。

「〈竜〉を感知する、天空からの目……」

「ええ。その名前通り、ゆくゆくは未来予測システムとの連動も見据えているのでしょうね」

 ブリギッテの顔からは血の気が失せている。何が恐るべきなのか理解してきたのだ。

 地球全土の〈竜〉をリアルタイムで監視・行動予測できるシステムは、まさに〈竜〉対策に頭を痛めている各国の軍・治安機関にとって福音に違いない。

 だが龍一たち〈竜〉にしてみれば最悪の悪夢だ。今でこそ〈白狼〉が用意する偽装身分や、顔認証システムを欺く特殊メイクなどでどうにかなってはいるが、もうそんな小手先は通用しなくなる。今度こそ本当に、龍一たちの居場所は地上から消滅するだろう。

「それを後押しした要因は……俺か」

 今や竜の存在は公然の秘密となりつつある。ロンドンや新香港のようなカタストロフを自国の首都で起こされたら──それを想像して怖気を振るわない治安関係者はいないだろう。

 米軍の制式装備となった人造の兵士──HWがそうであったように、一企業・一犯罪組織を越えた社会システムとなってしまってはもう阻止のしようがない。

「これはあなたがたと決して無縁のものではない……どころか、あなたたちにしか頼めない依頼ですの。おわかりになりまして?」

「よくわかったよ。わかりたくなかったけど……」

 クラウディアの微笑み──初心な少年ならそれだけで一生を棒に振りそうな笑顔。

「あなたがたには〈ルチフェロ〉を……手段は問わず入手していただきたい。最悪の場合、破壊しても構いませんわ」

 困ったことに、断る理由が見つからない。クラウディアは断ろうとしても嫌とは言わないだろうが、後々どんな厄介事となって降りかかってくるか想像もできないのだ。

「その件は、やはり〈王国〉が動いているのか?」

 兵器商船〈へファイストス〉を沈められた後も、当然ながら龍一に対抗するための兵器開発を〈王国〉が止めるはずもない。が、意外にもクラウディアは困惑の顔でかぶりを振った。

「それが……わからないんですの」

「わからない?」

「お恥ずかしい話ですが、本当にわからなかったんですの。出資元の複数企業がペーパーカンパニーであるところまでは突き止められましたが、それ以上は現時点ではまるで不明ですわ。〈代理人(プロクシ)〉を利用するにしても、資金ルートの全貌を解明するまでは相当の時間がかかるでしょう。申し訳ありません、あれだけ豪語しておきながら」

「クラウディアが謝ることではないわ」

「そうだよ。君にわからないなら、どうしようもない」

 またもや示し合わせたわけでもないのに、二人してクラウディアを慰めるような形になってしまった。しかしファミリーの情報網を持ってしても尻尾すら掴ませない組織が存在するとは……つくづく欧州は底無しだなと思う。

「確かに由々しい事態ね。ファミリーの情報網を掻い潜る方法を〈王国〉が編み出したのか、それとも〈王国〉とも〈連盟〉とも違う新たな組織が動いているのか……」

「何にせよ面白くない話だ」

 実のところ面白くない、どころではないなと龍一は思った。〈王国〉のただ一人の主、〈犯罪者たちの王〉プレスビュテル・ヨハネスの進める最終プロジェクト〈茨の冠〉は未だにその全貌を露わにはしていない。そして龍一たちは、その実態定かではない〈茨の冠〉の妨害以外に打つ手がない──今のところは。

〈王国〉の関与があろうとなかろうと、看過はできない要素だ。

「わかったよ。これは持ち帰って皆で検討する。無視するにはでかすぎる問題だからな」

「ありがとうございます」

 心なしか、クラウディアの表情はいくらか和らいだ。彼女なりに緊張してはいたらしい。

「ただし、あまり猶予はありませんわ。情報によれば〈ルチフェロ〉打ち上げと軌道投入までにはあと1ヶ月」

「今から初めてぎりぎりってところか……」

 情報収集や装備の調達まで考えると、余裕はほぼないと思った方が良さそうだ。何にせよ〈白狼〉たちと詳細を詰める必要がある。

 

「あ、龍一さん、ブリギッテさん、お話は終わったんですか? クラウディアさん、このお菓子すっごく美味しいです!」

 応接室を出ると、控えで待機していたミルカとシュウに出迎えられた──より正確に表現すれば、満面の笑顔のミルカと苦い顔でそれを眺めるシュウに出迎えられた。

「ったく、一人でこの小娘の面倒を任される俺様の身にもなれってんだよ……ま、小娘ってのは甘いもんさえ渡しときゃご満悦だからな」

「と、そんな調子に乗りまくったシュウくんのぷにぷにほっぺに、容赦なく私の人差し指が突き刺さる……えいっ!」

「てめえ何してんだ!? いやマジで何してんだよ!?」

「えっ? シュウくんのぷにぷにほっぺに、私の人差し指を突き刺しただけだけど……?」

「行為はわかってんだよ! なんでそんなことするんだって聞いてんだよ! あと、何で俺様の方が非常識みてえな目を向けられてんだ!?」

「あのねえミルカ。シュウだって一人の人げ……一つの人格なんだから、断りもなしに頬に人差し指を突き刺すのは良くないわ」

「はあい……」

「俺様の言うことには聞く耳持たねえのに、ブリギッテのことなら大人しく聞くのかよ……」

「ブリギッテ、毎日がこの調子だと、退屈せずに済みますわね」

「……たまには退屈させてほしい、というのは贅沢な悩みなのかしら?」

 クラウディアは優しい笑顔でミルカの頭を撫でている。龍一の見たところ、ブリギッテに負けないくらい彼女もミルカに甘い。兄や姉はいても歳の離れた妹がいないと本人が言っていたから、余計に可愛く思えるのかも知れない。

「どうですか、ミルカさん。私の妹になるつもりはありませんか?」

「ちょっとクラウディア? 私の目の前で、ミルカを公然と引き抜きにかからないでくれる?」

「うーん、それも悪くないですけど……クラウディアさんが私のお姉さんになるというのはダメですか?」

 目を丸くするクラウディアの表情こそ見ものだった──が、次の瞬間には噴き出していた。「まあ、どうしましょう。そんな方法で私を口説いてきたのは、あなたが初めてですわ」

「ミルカ……もう、この子ったら」

 ミルカはたちまち腰に手を当ててそっくり返る。「ふっ……綺麗な女の人は、みんな私のお姉ちゃんとなる運命ですからね」

「こいつ、今聞き捨てならないことを言わなかったか?」

 なぜかクラウディアが憐れみの視線を向けてきた。「どこの〈家〉でも、家長は大変ですのね……」

「俺のこと家長って呼ぶのやめてくれないか?」

 実のところ「食い扶持」に関する全ての責任は龍一にのしかかってくるのであまり笑っている場合ではない。勘弁してくれよ、と思う。俺、まだ未成年なんだけどな?

「ところで龍一さん。ご自分について、何か思い当たることはありませんの?」

「俺に?」

 龍一は困惑しながら頭を巡らせたが──見当もつかない。

「ブリギッテさん、龍一さんは……その、本気で言ってらっしゃるのかしら? それとも、()()()()()()()()だけなのかしら?」

「そうだったらむしろわかりやすいのだけど……本当にわかっていないと思った方が良さそう。そういう腹芸ができる人では全くないもの」

「つまりは本気で……」

「ええ……」

 二人の少女が真剣な顔同士を見合わせ、そして……盛大な溜め息を吐くのを見て龍一の困惑は最高潮に達した。

 皆、俺が一体何だっていうんだ?

 

「どうしよう、ブリギッテさん……あの様子だと龍一さん、本当に本気で気づいてないっぽいですよ?」

「ならそれでいいんじゃねえの? こっちは粛々と準備すりゃいいだけだろ」

「そ、そうだよね! さすがシュウくん、わかってるじゃない!」

「やめろ! 犬みてえに撫でくり回すな!」

「……ミルカ。さっき注意したばかりじゃない」

「あっ、ごめんなさい! シュウくんを見ているとつい我慢できなくって!」

「こいつの理性ダメダメすぎるだろ……」

 

「これがロケットブースターか。予想よりでかいな……」

 倉庫の中に屹立する「機体」に龍一は感嘆する。金属製のフレームとブースターのみで形作られた構造物、としか説明しようのないそれは、遠目に見れば確かに龍一の想像するロケットに見えなくもなかった。倉庫の中に収まっているのが冗談に思えてくる巨大さだ。

『私が図面を引き、シュウが〈八卦炉〉で出力した。不格好ではあるが、大気圏脱出能力に不足はない』

「メイド・バイ・シュウ&〈白狼〉なら、その辺を心配する必要はなさそうだな」

 だが、龍一が気にしているのは性能ではなかった。

「……で、誰をこれに括り付けるつもりなんだ? 俺か? 俺なんだな?」

 そう、問題は──どれだけ目を凝らしてもその「機体」には操縦室らしきものがない点だった。ちょうどロケットの先端部に人型のフレームが装着しているのみだ。要するに、龍一はあれに生身で入ったまま宇宙へ打ち上げられるということだ。

『悪く思わないでくれ。宇宙旅行用のチケットが二人分しか用意できなかったんだ。シュウに地上を担当してもらう関係上、軌道には君のバックアップ含めてどうしても三人以上必要になる。それに、アレクセイとブリギッテだけで〈竜〉に対抗するのは荷が重い』

「だから俺が生贄になるしかないってことだろ。わかってるよ」

 龍一は嘆息した──〈白狼〉の奴、俺の扱いがどんどん雑になってないか?

 

【そして現在──赤道上空、高度約35786km】

「現在、目標に動きなし……周囲にも防衛システムらしきものは確認できない」

 だが龍一は楽観できなかった。防衛システムが衛星周囲になければ、

『注意しろ。衛星が起動した』

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 視界の中、〈ルチフェロ〉の外観が見る見るうちに変形していく──龍一は今さら驚かなかった。「物理法則を歪め、無から有を産み出す」〈竜〉は当然のように使いこなす権能だ。

 ソーラーパネルは後方へ折り畳まれて翼へ。円筒に近い本体は、細く鋭く伸びた機体へと。

 鋭いナイフ、あるいは魚──いや、これは戦闘機だ。

(自己鍛造、自己進化……これもまた〈竜〉の基本機能か!)

 自分たちは当然のように使いこなしている機能を、人造物がそのまま模倣している。目の当たりにすると頭に来る光景だ。

「〈白狼〉、強奪は断念。完全破壊プランに移行する──どのみち俺たちでは手に負えない!」

『想定の範疇だな。了解だ。シュウ』

『地上基地だな? そうこなくちゃよ』

 シュウは大火力だけでなく、電子戦含む繊細な作業もこなす。地上基地の破壊は任せて問題ないだろう。

『地上で待ってる……!』

 ブリギッテ、そしてアレクセイがワイヤーの電磁石をオフ、ガスを噴射して離れていく。二人が安全圏に達したのを確認してからバーニアを噴射。

 龍一の「機体」が音のない宇宙空間で咆哮する。

〈ルチフェロ〉の後方からも炎が噴射していた。蹴飛ばされたように加速、その後ろ姿が見る見る小さくなっていく。

「逃がすか……!」

 闇雲に戦おうとしない──情報を持ち逃げするのが目的の偵察型か。面白くない要素がまた一つ増えた。

 遊んでいられる猶予はない。龍一は〈礫〉を放つ──放つという説明は的確ではないかも知れない。距離や障害物の有無を無視し、目標の内部に転移して破壊する〈竜〉の基本兵装の一つだ。現用のテクノロジーでこれを防げる手段は存在しない。

 ()()()()()()()

 漆黒の宇宙に火花が散る。〈礫〉が撃ち落とされたのだ──同じ〈礫〉によって。

「あいつも〈礫〉を使えるのか!?」

 愕然とするような光景だ。今まで人類の保有する現用兵器で、〈竜〉の兵器を防げる機体など存在しなかった──今、この瞬間までは。

 ますます慈悲をかけられない理由ができた。それなら、と龍一は意識を凝らす。巨大な〈柱〉が〈ルチフェロ〉の行く手に音もなく出現する。進路を塞いでおいてから、

(とどめだ!)

〈ルチフェロ〉の存在した空間を〈柱〉が埋め尽くす。質量そのものを武器とした、単純だが破壊も回避も困難な〈竜〉の兵器。

 ()()()()()。赤黒い刃が〈柱〉を叩き切り、霧散させる。

(これも駄目か!)

(〈礫〉だけじゃない。〈ペルセウス〉や〈オーディン〉……今まで俺と戦った〈竜〉たちの戦闘データが、何らかの形であいつにアップロードされている……!)

 転移兵器の()を見切られて、カウンターで撃墜された。ますます面白くなくなってきた。

〈ルチフェロ〉のバーニアがさらに出力を増した。白銀の機体が蹴飛ばされたように加速し、その後ろ姿が見る見る小さくなっていく。

 逃せない──逃さない。覚悟を決めるしかなかった。現時点であの機動力なら、次に捕捉できても〈竜〉の自己進化能力で、おそらくは手がつけられなくなっている。

 全外装排出(パージ)。ブースター最大出力。それでもほとんど〈ルチフェロ〉との距離は縮まらない。もう一つ──もう一捻りが必要だ。

 機体の後方へ〈鱗〉を展開。より多く、より広く。

(……行け!)

 思考トリガーによりブースターとの接続を切断。プールサイドを蹴るようにして、展開した〈鱗〉を力の限り蹴った。

 衝撃に耐えきれず、右足の膝から下が爆ぜた。漆黒の宇宙に自分の足の断片と黒く燃える血を撒き散らしながら、龍一は飛んだ。

〈ルチフェロ〉の機体が眼前に広がる。回避行動を取るが、遅い。

 龍一の貫手が背後から〈ルチフェロ〉を貫いた。

〈ルチフェロ〉の全身から無数の細く平たい刃が滑り出、龍一の全身に突き刺さる。だが悪あがきだ。

「いつか……いつの日か君か、君の同類が俺を追い越す日がきっと来るだろう」

 龍一は〈ルチフェロ〉の機体を貫通した腕に力を込める。渾身の力を。

「だがそれは、今日じゃない」

 龍一の腕が〈ルチフェロ〉を縦に両断する。

 

 文字通りもつれ合いながら、龍一と〈ルチフェロ〉の残り半分は太平洋に落下した。

 

 ──瞼を貫通してくるほど、眩しい陽光を顔面に感じた。

 恐る恐る目を開けてみる。龍一は〈ルチフェロ〉の残骸にしがみつく──いや引っかかるようにして波間に浮いていた。あれほど死闘を演じた相手のおかげで水中に没するのを免れたとは皮肉だ。

「よう。どうにか生きてるみてえだな」

 背にロケットパックを装着したシュウが空中でホバリングしながら、呆れたように声をかけてきた。

「ああ。おかげさまでな」

「逆噴射もなしで大気圏へ突入したんだぞ。感謝なら神様にしとけよな」

 こいつには付き合えねえ、という声色だ。

「地上基地は潰したぞ。アレクセイとブリギッテも無事だ。てめえが一番ひどいな」

「よかった」龍一は心からそう思って言った。できればこのまま眠りについて目を覚ましたくなかったが──そう言っていられない事情ができた。

「悪いがもう一仕事頼めないか、シュウ。俺を陸地まで……フィレンツェまで運んでくれ」

「何でだ? ……ああ、あのファミリーの女に会うのか。賃上げ要求か?」

「いや、それとも違う」

 龍一は右手に握り締めた〈ルチフェロ〉の内部パーツを見る──あの偵察衛星の核《コア》とも言うべき最重要部品。

「クラウディアに確認したいことがある。……いや、確認するまでもないことだから、これは答え合わせだな」

 

 顔が映るほど磨き上げられた執務室のデスクの上に、龍一は焼け焦げた部品を音立てて置いた。「これは返すよ。君の()()の製品だからな」

「えっ……」

 虚を突かれたクラウディアの表情を見て、龍一は自分の直感の正しさを確信した。

「たぶんハンドメイドでの組み立てだったんだろうな。こんな特殊な機材、わざわざラインを組んで製造するとも思えないし……だから制御中枢にまで企業ロゴが入っていたのか」

 龍一は指先で部品の煤を払った。現れた表面は意外に綺麗で、レーザーで刻まれている企業エンブレムと文字列がはっきりと見て取れた──ヴィットリオ・ファイアアームズCo。

「その名前には聞き覚えがある──確か君のファミリー傘下の、小火器専門の製造会社だったな。君が『金の流れを突き止められなかった』と言ったのは嘘じゃなかったんだろう。だが金の流れ込む先は把握していた。にも関わらず、それを俺やブリギッテに伝えなかったのはどうしてなんだろうな? 理由は簡単──俺たちが 〈ルチフェロ〉の破壊に成功しようがしまいが、どっちでもよかったからだ。君の目的は完全に別物だったからだ」

 答えはない。だが答えがないことこそが答えだった。

「ファミリー内部の裏切り者を炙り出す。それが君の本当の目的か?」

「……不心得者というものは、どこにでもいるものですわ」

 クラウディアは微笑みを崩さずそう言った。〈慈父〉の娘としての顔で。

「ヴィットリオ・ファイアアームズ社からディベートを受け取っていた者。また社の情報を利用してインサイダー取引を行っていた者。全員をリストアップ済みですわ」

「まさか殺すつもりか?」

「それこそまさか、ですわ。切り裂いた喉から舌を引き出して往来に転がしておく、などという野蛮なやり方が罷り通る時代でもありませんもの。もちろん、それなりの()()はつけていただくつもりですわ。一生外れない、ファミリー謹製の首輪をね」

 死んだ方がまし、という人生は確かにあるのかも知れない──龍一は内心で背筋を寒くする。

「龍一さんの好奇心が満たされたところで、それで? 追加報酬でしたら危険手当込み、ということで交渉には応じますわ」

「出費は結構かさんだから後金はありがたくもらうよ。だが、追加報酬はいらない」

 クラウディアは真顔になった。まるでそこにいる龍一に初めて気づいたかのような反応だった。

「どこそこの誰それの喉首を掻っ切る、以外の仕事なら文句はなかったのではなくて?」

「クラウディア、それじゃ俺があんまり阿呆みたいで情けないじゃないか。確かに俺は犯罪者だし、ついでに言えば人間ですらないけど、俺のやったことが原因で欧州マフィア大戦が始まるなんて真っ平御免だよ。それをどうでもいいと思うくらいイカれちゃいないよ──今のところはな」

「龍一さん。あなたの生き様は確かに素晴らしいものなのかも知れません。ですがそれは人としての生き様であって、職業犯罪者としては危険極まりない生き様ですわ」

「そりゃ最高の褒め言葉だな。職業犯罪者で、たぶん人でない俺にとっては」

 龍一は静かにドアを閉めた。

 

「はぁ……どうしてこうも上手く行かないのかしら?」

 龍一が退室し、室内に自分一人になると──クラウディアはデスクの上に突っ伏してしまった。

「……これでも私、あなたへのプレゼントのつもりでしたのよ?」

 まあ、龍一の誕生日に「仕事」の依頼を重ねてしまったのは確かに意図せぬミスであり、策士策に溺れた感はあるが。

 龍一の推察は9割方当たってはいたが、それでも見通せていなかった部分はある──クラウディアにとってはむしろそちらが本命と言ってもいい。

 あるいは〈白狼〉なら気づいているかも知れない。〈ルチフェロ〉とヴィットリオ・ファイアアームズ社に投資を行なっていた「裏切り者」のほとんどは、父の側近なのだ。

 至極単純な話ではある。〈慈父〉に忠誠を誓っている者たちが、〈慈父〉の娘にまで忠誠を誓っているとは限らない。近年では〈慈父〉に代わりドラゴネッティ・ファミリーを切り回すクラウディアに対し公然と批判めいた口を聞く者たちも少なくない。

 そういう連中の手綱を締め直し、さらに龍一たちに恩を売る。そのつもりであったのだが、

「マキャヴェリ気取りが、何もかも裏目に出ましたわね……」

 クラウディアはもう本日何回目かの溜め息を吐く。ある意味で彼女は、龍一の無欲さ──もっと言えば愚かしさにしてやられた、と言えるのかも知れない。

「ブリギッテさん。今日ばかりはあなたが羨ましく……いえ、妬ましくなりましたわ」

 あの美しくも精悍な少女の横顔を思い浮かべる。自分も彼女と同じように、龍一と肩を並べて戦えたらどれほど嬉しいだろうか──まあ、あちらにはあちらで苦労は多そうではあるが。

「……いっそのこと龍一さんに関しては、あの人と共同戦線を組んで当たった方がよろしいのかも知れませんね」

 次に機会があれば必ず試してみよう、と決意する。腹を割って話してみれば、案外、向こうも二つ返事で乗ってくるかも知れない。

 

 ──龍一たちが〈カルネアデス〉に帰還した時には、もう日付が変わりかけていた。正直なところ疲れ果てていた。生身で衛星軌道に打ち上げられた上、人造の〈竜〉と死闘を演じた挙句に太平洋へ落下して元気一杯な奴がいたらお目にかかりたいもんだ、と龍一はしみじみ思った。

「皆、お疲れ様。……全く、今日はもう寝るくらいしかできなさそうだな」

「……ええ、そうね」

 ブリギッテの言葉に妙な含みを感じながら応接室のドアを開けた瞬間──銃声にも似た音が連続した。

 

「相良龍一さん、18歳のお誕生日おめでとうございます!」

 

「我が友龍一よ! このようにしてそなたの誕生日を祝えるとは、余としても欣快至極である! 今宵は盛大に食い、飲み、騒ぐがよいぞ! 今宵と言ってもあと数分であるがな! ははははは!」

 満面の笑顔でクラッカーを鳴らすミルカとイナンナ、そして呵々大笑するアイネイアを見て。

 龍一は横目で傍らのアレクセイとブリギッテを見た。「君ら知ってて黙ってたな?」

「聞かれなかったからね」

「聞かないどころか、あなたは知ろうとも知らなかったじゃない」

 ミルカがややしゅんとなった。「ごめんなさい、龍一さん。私が黙っててくださいってお願いしたんです。龍一さんをびっくりさせようと思って……」

 こいつを責めるのは筋違いだろ、とシュウが肩をすくめる。「てめえこそ、まるで気づかなかったんならだいぶ鈍いな」

「俺に隠れて何やらごそごそやっていたのは勘づいていたが」

「えーと……それが自分のことだとは思わなかったんですね?」

「別の意味でサプライズになってんじゃねえか」

「ある意味、龍一らしいわ……」

「謎の納得はやめてくれないか?」

「龍一さん、ほら見てください! お誕生日ケーキも焼いたんですよ! ええと、ちょっと……いや、だいぶ見てくれは悪いですけど……」

 ばつが悪そうな顔をしたミルカとイナンナが二人がかりで運んできたのは──色とりどりの蛍光塗料をまぶされたスポンジとボールの集合体、としか形容しようのない、確かに一見の価値がある代物だった。それをケーキと思わなければ、の話だが。

『だから言ったではないか。私が図面を引いてシュウが出力する、と』

「もう既に『出力』って言ってるじゃないですか! こういうのは手作りだからいいんです!」

「手作りにしても、何をどうやったらこんな斬新な見た目になるんだよ?」

「龍一さん、ほ、ほら誕生日ケーキですよ! ちゃんとローソクも18本立てられますからね!」

「強引に誤魔化しにかかったな……」

 いつの間にか、龍一は笑っていた──笑わずにはいられなかった。世界の果てのそのまた果てまで追いかけ回された挙句、そこで自分の誕生日に少女たちからケーキを作ってもらえるなんて考えもしていなかったからだ。

 

「そう言えば、今日は()()()の生まれた日だったな」

 執務中、〈犯罪者たちの王〉プレスビュテル・ヨハネスがふと漏らした言葉に、金髪の女性秘書は首を傾げながら応じる。「はい。それが何か?」

「いや。単純に羨ましかっただけだ。私には誕生日がない」

 過去に倦んだような、過去に煩わされるような声に、秘書は一礼したのみで立ち去った。

 主がそのような声を出す時は黙っているのが一番の得策であることを、彼女は既に心得ていた。

 

「……そう言えば、今日はあいつの誕生日でしたね」

 無惨な火傷の上から人造皮膚を貼り付けながら男は呟いた──外出するための下準備だ。まだ市販化すらされていないこの人造皮膚は文字通り生きており、通常の皮膚とほぼ変わらない見た目がある。ただし耐久性に問題があり、48時間しか保たない。

「そうでしたね。お祝いのメッセージでも送りますか?」

「まさか。驚くより前に、ヨハネスの偽装工作と思われるのがオチですよ」

「ふふ……それもそうですね」

 出来栄えに満足し鏡から離れた男に、彼の「主」が涼やかな声で問う。

「あの傭兵たちの働きぶりはどうですか?」

「悪くはありませんな。だいぶ出費はかさみますが、その分いい仕事はしてくれる。渡すもんさえ渡しておけば、当分の間裏切られる心配はないでしょう。今のところは、ですが」

「それはよかった。そろそろ私たちも動く頃合いでしょう」

 人造皮膚は男の内心を微妙に再現した。「本当にやるおつもりですか?」

「ええ。予定からはだいぶ外れましたが、修正作業はほぼ終わりました。むしろ私たちの計画の問題点を洗い出せたのは僥倖、と考えるべきでしょう」

「……嫌な役目ですね。あいつに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と伝えるのは」

「何のことかわからない、とは言いません」

 彼女の声はあくまで穏やかだった。男を心底落胆させるほどに。

「龍一さんも夏姫さんも、私に対して怒り、憎むでしょう。ですが最終的には理解してくれると思います。〈犯罪者たちの王〉プレスビュテル・ヨハネスはどのような手を使ってでも殺さなければならない、と」

 あいつらがあなたに怒りや憎しみを向けるとでも思ってるんですか、とは言わなかった。彼女もそんなことは充分承知だろう。口にしたところで失望が増すだけだ。

「そこまでお覚悟なら、俺はもう何も言いません。行きましょう、()()()

 今や世界一の大物女優〈黒き白鳥(オデット)〉の顔をした高塔百合子に、望月崇はうやうやしく一礼する。

 

「ミルカよお、この際正直に言っとくべきじゃねえのか?」

「大丈夫ですよ。きっと龍一さんは嫌とは言いませんから」

「うん?」

「えーとですね、龍一さん……」

 シュウとイナンナに促され、いつになくミルカはもじもじして切り出す。「えーと……今日の準備を頑張ったのは、私の誕生日もこのくらいお祝いしてほしいな、って下心もちょっとはあるんですけど……」

 ああ、と龍一は合点した。係累どころか唯一の「家族」すら失った13歳の少女がそのように自分の誕生日を祝ってほしいと口にするのは、つまり、

「任せろ。盛大にやってやるさ」

 笑いながら、龍一は18本の蝋燭を──ふっと一息で吹き消した。




本来なら『佳き人々の誕生日』と対になる話でしたが、結局今日まで公開が延びてしまいました。すみません。

番外編を続けて書いてだいぶ気は済んだので、そろそろ本編に戻ります。今しばしのご猶予を。
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