ブルーアーカイブ・白銀の記録   作:Wandarel

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前回のあらすじ
ダレル先生は見知らぬ少女の夢を、そして過去の十字架を再び背負うこととなった。
だが、その顔に悔いは無い。



第4話「あまねくなんかの始発点」

山海経、ひいてはキヴォトスに来て約1年が経った頃、ダレルは山海経を出ていっていた。

その理由としては、連邦生徒会という組織から呼ばれたのがきっかけである。

キサキよりもミナが少し心配そうにしてたのはたぶん気のせいだろう。

DUと呼ばれる連邦生徒会とやらの自治区にて部屋で待機してた時に、うっかり眠ってしまった……。


 

ダレル「……ん?」

 

ふと目が覚め、状況は大きく変わっていた。

突然の事で反応が遅れたがすぐに臨戦態勢に入る……つもりだった。

 

ダレル(相棒がねぇ……。)

 

必ず常備しているLucasがどこにも見当たらなかったのだ。

決して外すことがないがゆえの疑問だった。

しかし、それよりも気になることがある。

 

???「………。」

 

目の前に佇むこの女だ。

ダレルが声をかけようとした瞬間、突然その女は話し始めた。

 

???「私のミスでした。」

ダレル「は?」

 

流石に突拍子もないことでびっくりして変な声が出た。

 

???「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。」

ダレル「いや、なんのことか知らねぇけど。」

???「結局、この結果にたどり着いて初めて、貴方の方が正しかったことを悟るだなんて……。」

ダレル「だからなんの事なんだよって。」

???「……今更図々しいですが……お願いします、ダレル先生。」

ダレル「……いや待て、どういうことだ?おまえは何を言っているんだ?そしてなんでお前は俺の名前を知ってるんだ?!」

???「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。……何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……。」

ダレル「なんだと……?」

 

まるで、己がキヴォトスにいたかのような事を言う女に疑問が募る。

 

ダレル(どういう関係性だ……?一体俺は何を忘れている?)

???「ですから……大事なのは経験ではなく、選択。

あなたにしか出来ない選択の数々。」

ダレル「……選択……。」

 

自分にしかできない選択の数々、その言葉が妙に引っかかる。しかし、その詳細を思い出すことは出来なかった。

 

???「責任を負う者について、話したことがありましたね。あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます。」

ダレル「いやそもそも俺がこの状況を理解できてないから。ていうか割とこっちの話スルーしてんなおい。」

???「大人としての責任と義務。そして、その延長線にあった、あなたの選択。そしてそれが意味をする心延えも。」

ダレル「……。」

 

その言葉にダレルは沈黙するしか無かった。

しかし、女は続けて言葉を発信した。

 

???「……ですから、先生。私が信じられる大人である貴方になら、この捻れて歪んだ先の終着点とはまた別の結果を……そこへ繋がる選択肢はきっと見つかるはずです。だから先生……どうか。」

ダレル「えー、急に言われてもなぁそんな事……だいたい俺アンタのこと知らねぇんだけど……っておい何フェードアウトしようとしてんだ逃がさねぇぞおい!待て!おい!普通にどうすりゃいいんだよそれ!!おおぉーい!!」

 


???「………。」

 

鋭い声が頭に響く。どこかで聞き覚えがある声だ。

 

ダレル「うーん……」

???「……先生、起きてください。」

 

まだ声が響く……。

 

ダレル「あと10年……」

???「ダレル先生!!」

ダレル「……うーん、うるせぇな今何時だよ………。」

 

ぐったりしながら起きると目の前に鋭い目つきをした少女がいる。

 

ダレル「おー?絶世の美女。」

???「……まだ寝ぼけてるんですか?」

 

少女は少しため息をつくとこちらに目を向ける。

 

???「少々待ってくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは。」

ダレル「?????」

???「……夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして集中してください。もう一度今の状況を改めて説明します。」

ダレル「あ、よろしくお願いします。」

リン「私は七神リン、学園都市「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です。そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生……のようですが。」

ダレル「おう。」

リン「……混乱されてますよね?分かります。」

ダレル「おう。」

リン「こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず私についてきてください。」

ダレル「おう。」

リン「どうしても、先生にやっていただかなくては行けない事があります。」

ダレル「……えーっと、リンって言ってたな。」

リン「はい。」

ダレル「話長すぎて半分以上聞いてなかったわ。30文字以内に簡潔に述べて。」

リン「……学園都市の命運を賭けた大事なこと……ということです。」

ダレル「OK今のでだいたい把握したわ。じゃ、案内頼むわリンちゃん。」

リン「誰がリンちゃんですか。」


そうしてリンについて行き、エレベーターに乗る。

エレベーターから見える外の景色は絶景であった。

 

ダレル「おー、綺麗だなおい。」

リン「「キヴォトス」へようこそ、先生。キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります。」

ダレル「……え?俺1年前からキヴォトスにはいたぞ。」

リン「……は?ということは……。」

ダレル「次にお前は「ここでの環境には既に慣れているのですか?」と言う!」

リン「ここでの環境には既に慣れているのですか?……えっ!?」

ダレル「ま、そゆことよ。」

リン「……そんな先生ならそれほど心配しなくてもいいでしょう。あの連邦生徒会長がお選びになった方ですからね。」

ダレル「んー、でその連邦生徒会長殿は?」

リン「…それは後でゆっくり説明するとして。」

 

そう言ったあと、エレベーターが止まりドアが開く。


ざわついている会場、様々な生徒がそこそこの数いるように見える。

すると、青髪の生徒がこっちに向くなり、詰め寄ってきた。

???「ちょっと待って!代行!見つけた!待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」

ダレル「おいおい、いきなり詰め寄るたぁ随分余裕がないんだな。」

???「うん?隣の大人の方は……?」

 

さっきの発言含め、こちらの存在に気づいたみたいだった。

だが、横からかなり高身長で妖艶な雰囲気を纏っている生徒も現れる。

 

???「首席行政官、お待ちしておりました。」

 

それに続くかのように栗色?の髪の生徒も詰め寄る。

 

???「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答の要求されています。」

 

ふと、リンの顔を見ると心底面倒くさそうな顔をしていた。

 

リン「あぁ……面倒な人達に捕まってしまいましたね。」

ダレル「大変だねー。」

リン「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。」

ダレル「……めっちゃ怒ってんな。」

リン「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由はよく分かります。」

ダレル(今しれっと暇そうって言いかけたな。)

リン「今学園都市に起きている混乱の責任を問うために……でしょう?」

???「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!数千もの学園自治区が混乱に陥っているのよ!この前なんか、ウチの学校の風力発電所がシャットダウンしたんんだから!」

 

???「連邦矯正局で停学中の生徒達について、一部が脱出したという情報もありました。」

 

このタイミングで新たに銀髪の生徒も加わってくる。

 

???「スケバンのような不良達が、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなってます。」

 

???「洗車やヘリコプターなど、出処の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます。」

 

ダレル(……前々から思ってはいたがここ相当治安終わってんな。ココ最近もやばかったし。)

 

???「こんな状況で連邦生徒会長は何をしてるの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」

 

リンは長く、とても長ーくため息をついたあとに語り始めた。

 

リン「連邦生徒会長は今、席にありません。正直に言いますと行方不明になりました。」

 

???「……え!?」

ダレル「( 'ω')エッ…」

 

そこまで酷い状況なのは聞いてない。

余程のアクシデントなのだろう。

 

???「やはりあの噂は……」

リン「結論から言うと「サンクトゥムタワー」の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが……先程までそのような方法は見つかっていませんでした。」

ダレル「え?それ普通にヤバい状態じゃない?大丈夫リンちゃん?」

リン「リンちゃんじゃありません。」

???「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」

 

質問に対し、リンは力強く頷く。

 

リン「はい。この先生こそがフィクサーになってくれるはずです。」

???「ッ!?」

???「!!」

???「この方が?」

ダレル「え、俺?なにそれ聞いてないんだけど。」

???「ちょっと待って!そういえばこの先生は一体どなた?どうしてここにいるの?」

???「多少の噂は聞いています。キヴォトスでは無いところから来た方のようですが……先生だったのですね。」

ダレル「まぁ1年前から滞在してるからもう名誉キヴォトスの人でしょ俺。」

リン「はい、こちらのダレル先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。」

 

ダレル(……話を聞くに俺が夢(?)で見たあの女が連邦生徒会長ってやつで間違いないな。……いや全く知らなかったけどマジで。)

 

???「行方不明になった連邦生徒会長が指名……?ますますこんがらがってきたじゃないの……。」

ダレル「初めまして、わたくし、ダレルと申します。名前だけでも覚えて仲良くしてください。」

???「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの……い、いや、挨拶は今はどうでも良くて……!」

リン「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと……」

 

ダレル(あれ、リンちゃんめっちゃ怒ってね?)

 

ユウカ「誰がうるさいですって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」

ダレル「ごめん話長すぎて半分くらい聞いてなかった。なんだって?」

ユウカ「早速忘れてる……早瀬ユウカです!」

ダレル「あーはいはいユウカちゃんね。よろしく。」

 

リンが少し険しい顔になり話し始める。

 

リン「先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。」

 

はっきりとした声で響き渡る……。

 

リン「連邦捜査部「シャーレ」。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在する全ての学園の生徒達を、制限なく加入させることすら可能で各学園の自治区で、制約なしに戦闘活動を行う事も可能です。……なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……。シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんど何も無い建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に「とある物」を持ち込んでいます。」

ダレル「あぁ、「シッテムの箱」の事か。」

リン「先生をそこにお連れしなければなりません。……?先生、今なんと?」

ダレル「……え?」

 

その時、ダレルの頭にノイズが走る。

そして少し頭痛がした。


ダレル「よーし出来たぞ「 」。これで完璧だな!」

???「はい、先生。今日のブラックサンダーですよ。」


 

ダレル(なんだ……また…それに俺はなんでさらっと名前を言えた……?)

 

リン「いえ、今はそれどころではありませんね。」

 

リンはすぐさま切り替え、通信機を取り出す。

 

リン「モモカ?シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……。」

 

リンの通信に応じて文字通り桃髪のモモカが反応した。

 

モモカ「シャーレの部室ゥ?……あぁ、あの外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?」

リン「大騒ぎ……?」

 

モモカからの回答に首を傾げるリン。

それに対してモモカが続ける。

 

モモカ「矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ。」

リン「……うん?」

 

ダレル(戦場……か。出来ればそんな言葉、気安く使って欲しくないんだがな……。)

 

紛争経験者として出来ればそんなワードは聞きたくはなかったが、どこに行っても結局は戦いや争いが避けれない以上受け入れなければならない。

などと考えていたらモモカがさらに続ける。

 

モモカ「連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良達を先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいよ。」

 

少し気だるげにモモカが続ける。

 

モモカ「それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるみたいなの。まるでそこに何が大事なものでもあるみたいな動きだけど?」

 

リン「…………。」

 

モモカの言葉にあからさまに嫌そうな顔をするリン…。

 

モモカ「まぁでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所だから、別に大したことな……あ、先輩、お昼ご飯のデリバリーが来たからまた連絡するね!」

 

そう言うとモモカからの通信は切れた。

 

リン「…………………。」

 

怒りにリンがプルプルと震えている。

 

ダレル「………大丈夫?」

リン「………だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、大したことではありません。」

 

すると、あからさまにリンの視線がユウカ含めた3人に向く。

 

???「……?」

ユウカ「な、何?どうして私たちを見つめているの?」

 

するとリンはにっこり笑顔になりハッキリと言った。

 

リン「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるなんて、私は心強いです。」

ユウカ「……え?」

 

流石にその言葉にユウカもハテナが浮かぶ。

そして、リンがさらに続ける。

 

リン「キヴォトスと正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう。」

ダレル「リンちゃん、今のほぼ本音だろ?」

ユウカ「ち、ちょっと待って!どこに行くのよ!?」

 

ユウカ達3人がリンを追いかけていくのを見ていたダレルは再び思案した。

 

ダレル(……俺はこの世界で何を知っている?何故、連邦生徒会長とこそんなん何も知らないはずの俺が機密事項を知っているんだ?)

 

考えれば考えるほど分からなくなっていく。

しかし、これ以上はさすがに距離が離れる……。

 

ダレル「置いてかれたら流石にマズイだろうな。」

 

ダレルは4人の後を追いかけるように走り出した。

その姿はまるで「白銀の暴風雨(ジェットシルヴァ)」であった。




あ久しぶりです、作者のワンダレルです。
またまた色々やりましたが、今回説明するのは多少よ歴史改変が行われていますが何卒ご了承ください。
それでは次回!
ブルーアーカイブ・白銀の記録
「第5話・簡単にくたばれれば苦労しない。」
それでは次回もよろしくお願いします!
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