インタビュー記録
対象: 研究者 B氏
内容:■■■■■■島における土地神信仰、ひいてはウワンネ神について
以下内容抜粋
■■■■■■島について調べていらっしゃるんですか? ああ、それはご苦労様です。
あの島割と出来たのは新しいはずなのに、文献とか全然残ってないでしょう? 島全体が秘密主義っていうか、何につけても門外不出ばっかりなので。
–––––土地神さま、ウワンネ神についてですよね。ウワンネ神は、一般的に実在した魚人族の男性だと考えられています。名前については島民の間ではウワンネと発音されていますが、元々はオアネという名前だったのが訛ってそんな風になった、という説もありますね。
何故実在したと断言できるかといえば、■■■■■■島に古代からある建築物や漢方医療なんかが、古代魚人島に見られるものと概ね合致しているからです。
ウワンネ神が島に降り立ったのが今から数百年前とされていますから、その時代に島民が魚人島の文化を知るためには島民が持ち帰ってくるか、魚人島出身者が島にもたらすかしかないわけです。
当時の航海技術であの島から新世界の海を二回も超えた人間がいたと仮定するよりは、たまたま魚人族が島に流れ着いたと考える方が、まあ自然ですよね。
島民に自らの肉を分け与えた、という伝承にいわゆるカニバリズム的な文脈があるかどうかは正直僕には明言することができません。
学者の間、まあ研究しているのは本当にごく僅かなのですけど、食うに困って本当に島でカニバリズムが行われたと主張する人もいれば、肉というのはウワンネ神がもたらした建築技術や漢方医療のことで文字通りの血肉ではないとする人もいるので。まあとにかく資料が少ないものですから、僕らも手をこまねくしかできないのが本音です。
(中略)
そういえば、面白いことが最近わかってきたんです。
ウワンネ信仰は偶像崇拝ですので、たいていお祭りの時には像やら絵画やらが今でも作られているんですね。それで面白いのが、昔作られたウワンネ像と今現在作られているウワンネ像っていうのが、全く別物と言ってよいほど違うんです。
原初のウワンネ像っていうのは、スタンダードに僕たちが想像するような魚人族の男性です。体格が良くて、肌が青白くで、背中の方にもヒレがついている。頭部付近の長くて赤い背ビレからリュウグウノツカイの魚人だったか、それがモチーフになっていたことはまず間違いないですね。
一方で現在のウワンネ像は、なんの魚人なのかさっぱり検討もつかない姿をしているんです。ヒレの位置もアシンメトリーなら、色もなんだかめちゃくちゃなマーブル模様。
これは5年前ぐらいにオークションでたまたま見つけて競り落としたウワンネ神の絵画なんですけど、これに至ってはもう足の大きさ、左右の目の位置すらちぐはぐですよね。
僕も長らくこの学問を研究してきましたが、ここまで大幅に見た目が変わるのはウワンネ神以外には見たことがありません。
いつリニューアルされたのかは不明なのですが、割と早い段階で今の見た目になったんじゃないかと言われています。
こんなところでよかったでしょうか?それはよかった。世経で読みましたよ、最近■■■■■■には魚人族の移住者がたくさんいるとか。えっ、その記事のライターさんなんですか?
いやあすごいなあ、ウワンネ神も草葉の陰から喜んでいれば良いのですがね。