エアはパートナー。
ミシガンは上司。
ラスティは戦友。
カーラは悪友。
プルートゥはご友人。
素敵だ…
お人好しな大艦隊
辺境開発惑星 ルビコン3。
宇宙に於ける人類入植地の最前線であり、新エネルギーの研究所でもあったその星は、発展に伴って多数の
それを支える資金と技術の根幹となったのが、ルビコン3で発見された新エネルギー物質「コーラル」。
簡潔に言えばコーラルは「情報導体」でもあり、「エネルギー」でもあり、「食料」でもあり、「
何の前触れも無く発生した空前絶後の大災害。
コーラルを燃料にして燃え上がったその業火は、ルビコン3のみならず
燃え残った其処にあったのは、アイビスの火によって荒廃した世界と、コーラルによる致命的な汚染。そして、アイビスの火の種火となったコーラルは、汚染という残滓を残しているだけだった。
人類社会の最上位組織として緩やかな統制を行っている「政府」は、ルビコン3封鎖の為に「惑星封鎖機構」の派遣を決定。
数ヶ月後にルビコン3に降下した駐留部隊はコーラル関連施設を制圧。衛星軌道周辺にも複数の宙域迎撃拠点「封鎖ステーション」を建造。衛星砲によってルビコン3への無許可な大気圏突入及び大気圏突破を防ぐ。
こうしてルビコン3は、ある例外を除いて何人たりもと近付けない牢獄となった。
それから約半世紀の時が経ち。
ルビコン3の或る独立傭兵から、
コーラル争奪戦勃発後に於ける、ルビコン3に存在する勢力は以下となる。
星外企業 ベイラム・インダストリー。「物量による制圧」を社訓とし、大豊核心工業集団等の複数の企業を傘下とした「ベイラムグループ」を形成している、アーキバスと双璧を成す巨大企業。
同じく星外企業 アーキバス・コーポレーション。 エネルギー系統の技術開発に優れており、アーキバス先進開発局、シュナイダー、VCPL等の複数企業による「アーキバスグループ」を形成している、ベイラムと双璧を成す巨大企業。
「政府」の公的戦力の一つ 惑星封鎖機構。コーラルの星外流出阻止の為に派遣されており、その技術力は企業をも上回る。そして人類社会に於ける最大限の正当性を持った勢力でもある為、企業達は表立って惑星封鎖機構の支配地帯への侵入は不可能となっている。
他にも密航した独立傭兵やルビコニアンのドーザーなどといった勢力もあるが、コーラルを巡る争いはベイラム、アーキバス、ルビコン解放戦線による三つ巴の争いとなっていた。惑星封鎖機構はあくまでもコーラル関連施設の封鎖とコーラル流出阻止を目的としている為、必要無ければ態々この三つ巴に顔は出してこない。しかし哨戒中に遭遇したならば、容赦無く攻撃は行う。
致命的なコーラル汚染が残る世界で行われている地獄絵図だが、しかしとある時だけは例外となる。
それは凡そ半年に数日間。紳士協定によって多くの者達が銃口を降ろし、ルビコン各地に訪れる、呆れる程にお人好しな艦隊を迎え入れる為の休戦日。
…
夥しい量のデブリが今も尚漂う、ルビコン3 大気圏外。
封鎖ステーションに搭載されている宙域レーダーが、大艦隊の接近を感知した。その総数は240隻。そして感知と同時に、敵味方識別信号を受信。惑星封鎖機構のシステムが即座に解析し、その結果衛星砲の準備…どころか戦闘配置の発報すら行われなかった。
通信が入る。
『此方は第一特別輸送艦隊。応答願います』
『惑星封鎖機構より第一特別輸送艦隊へ。ようこそルビコン3へ、貴艦隊の到着を待っていた。ルート情報を送信する、それに沿って大気圏に降下及び大気圏突破を行ってくれ』
『……ルート情報を受信しました。これより我が艦隊はルビコン3への降下を開始。各封鎖ステーションにも艦を送りますので、受け入れの準備をお願いします』
『了解した、すぐに通達しよう。貴艦隊の平穏な活動を行える事を願っている』
『ありがとうございます。通信終了』
通信の直後、大艦隊の一部が隊列から離脱。各封鎖ステーションに舵を取る中、残りの大部分は惑星封鎖機構から送られたルート情報に沿って、ルビコン3への降下進路を取る。
大気圏降下の時が近付くにつれて、大艦隊の姿が封鎖ステーションからは目視でも確認できる程の距離となっていく。
その艦隊は殆どが輸送艦で構成されており、護衛艦は必要最低限に控えられている。輸送艦の武装に関しては、単艦では精々デブリ除去や小規模な敵対勢力の撃退が出来る程度。
その
輸送艦200隻に満載されたその数量は、節約出来ればルビコンの人々がギリギリ半年程度は食い繋ぐ事が出来る。
しかし輸送先は戦乱のルビコン3。当然それらの値段が高い………と、いうわけでも無く、ルビコニアン用の品物は輸送費も考えると赤字そのものと言える程の格安で、そして惑星封鎖機構にはルビコン3への進入許可の条件として、割引で提供されている。
しかしベイラムグループやアーキバスグループなどといった本来居ない筈の不法侵入者に対しては、惑星封鎖機構の目を盗んで横流しするという
だがその割高な値段であっても、最終的な収支は輸送費込み込みで考えると決して安くない程の赤字を叩き出している。
そしてこの輸送艦隊による食料輸送は、コーラルが再検知されるよりも遥か前………凡そ半世紀前、アイビスの火の直後から行われている。赤字の総額を考えると、正に天文学的数字と言える。
それでも根気良く半年のペースで合計720隻の輸送艦隊をローテーションで往復させ、膨大な生活物資を提供し続けているのは、間違いなくお人好し以外の何者でもないだろう。
そんなお人好しな企業の名は、「アリサワ・フードコーポレーション」。
社訓は「どんな場所でも、あらゆる人々に食べ物を」。
アリサワ「コーラルが再検知?そんな事より美味しい食料を運ぶんだよ!」