ACⅥの世界観について考えてたら、もしかして美術文化と同様に食文化も死んでね?という考えが浮かび始めている。
だとすると、もしかしてアリサワは食文化の死滅に否を突きつけたって事になる…?
ルビコン星系へと突入した救助艦隊。
彼等は真っ先にルビコン3近辺宙域に辿り着いた後、ルビコン星系の被害の観測を行いつつ大気圏突入の準備を開始していた。
「…駄目です。ルビコン3で活動していたあらゆる組織からの通信が途絶しています」
「技研の通信も途絶えているのか?」
「残念ながら…」
ルビコン星系に辿り着くまでに数ヶ月もの月日が経っている。今すぐにでもルビコン3に降り立って救助活動に入りたくても、この艦隊が二次災害を引き起こしてしまっては最悪だ。
その気持ちを抑え、救助艦隊がルビコンの大気圏内に進入しても安全か否か。それをあらゆる観測手段で迅速に調べ上げていた。
「観測ドローンによる観察結果が出ました」
「どうだ、進入は可能か?」
「恐らくは。酸素濃度は薄くなっていますが、人間が生存可能な範囲内です。他の測定結果も、1点を除いて許容範囲内に収まっています」
「1点を除いて、か。それは何だ?」
「ルビコン全域に確認出来る、コーラル反応です。ご存知の通りコーラルはエネルギーや食料の他に、麻薬にもなる物質です。防護装備を付けずに大気に拡散しているエーテルを吸い込めば、救助隊全員が薬物による禁断症状を起こしてしまいます」
「災害救助を前提として、防護装備は配備しているが…コーラルに引火しては危険だ。コーラル反応を避けて救助活動は出来ないのか?」
司令官の提案に対して副官は静かに首を横に振り、話を続ける。
「残念ながら、それも不可能です。コーラルの反応は
「……………」
「当然、生存者達はそんな装備を持っているわけがありません。既にアイビスの火から数ヶ月が経過している事を考えると…恐らく、コーラルの被爆を免れた者は居ないでしょう」
次々と多種多様な観測データが、艦橋の空間を利用して展開されている空間ディスプレイに映し出される。
「エンジンの熱量で、コーラルに引火する事は無いのだな?」
「わざと反応が高い箇所に突入しなければ、理論上は」
空間ディスプレイ越しに、壁面に設置された巨大ディスプレイの映像を見る。
そこに映し出されているのは、かつての自然豊かな景色は業火によって消え去り、大地と海面の多くが灰色に染まり切ったルビコン3の姿。
「ならば行くまでだ。我々はこの宙域で、呑気に灰に染まった惑星を見に来ただけではないのだからな」
…
「…クソッ」
ルビコン3の大気圏内に降り立った救助艦隊。20隻の輸送艦は各艦の通信範囲圏内ギリギリまで散開し、生存者の捜索及び救助を開始した。
伝令方式で各艦からの救助状況が次々と旗艦へと集約され、纏められる。救助開始から凡そ1日が経ち、纏められた結論に救助艦隊司令官は思わず悪態を吐いた。
生存者の数が、余りにも
その理由の一つは、ルビコン3に多数建造されていた
空前絶後の大災害であるアイビスの火であっても、超巨大建造物はその耐久性能を発揮。運良く内部に避難出来た人々を、その業火から守り切る事に成功していたのだ。
そして超巨大建造物の一部には、緊急避難措置に備えて非常用食料と、僅かな量ではあるが繁殖用のミールワームも備えており、これを見つけられた幸運な生存者達は、救助艦隊に発見されるまでこれで細々と食い繋ぐ事に成功していた。その他にも、超巨大建造物の外で幸運にも生き延びれた生存者も、予想以上に多い。
勿論、1人でも多く生きている事は大変喜ばしい事ではある。しかし僅か20隻の救援艦隊で生存者を救助出来る人数は、生存者の母数から考えると余りにも足りない。それは持ち込んできていた救難物資にも、同じ事が言えた。
ルビコン3の人々を救うには、緊急編成されたこの救助艦隊では何もかもが足りていないのだ。
「兎に角乗せられるだけ乗せるんだ。1人でも多く連れて帰る。救難物資も乗せられない人に配るんだ。無駄な物資の余りは許さん」
「観測も怠るな。アイビスの火に関して我々の知見は何もかもが足りていない。情報は随時本社に送信しろ」
救助艦隊は生存者を発見しては次々と輸送船に収容。収容限界となった後に発見された生存者達には救難物資を届け、1人でも多くこの過酷な環境を生き延びられるように全力を尽くした。
片手間だが、アイビスの火に関する
「…悔しいが、我々に出来るのはここまでだ。帰還する」
数日間の救助活動にて、多くの人を輸送艦に乗せる事は出来た。しかしそれを遥かに上回る人数の生存者を置いて行ってしまう事に無念の意を抱きながら、救助艦隊は上昇を開始。ルビコン3の大気圏を離脱し、帰還を開始した。
…
救助艦隊がルビコン3から帰還の路を辿っている最中。
救助艦隊から一連の報告を受け取ったアリサワ本社は、アイビスの火によって発生した被害とルビコン3に関する速報を隠す事なく発表した。
同時に200隻規模の輸送艦隊を編成し、第二次ルビコン救助艦隊の派遣を行う事を宣言。更に輸送艦の大規模建造と人員の大規模募集を掛け、ルビコン3の救助活動を今後も継続的に行っていくと発表した。
こうしてアリサワ本社はルビコン3救助の為に動き出したが、対して人類社会は大きく揺れ動き、逆方向へと傾き始めていた。
アリサワから発表された救助艦隊の一次観測情報を信じるなら、アイビスの火は状況証拠的にコーラルが燃料となって、周辺星系を燃やし尽くしたとしか考え付かないからだ。
発見当初は、その有用性から人類社会の次世代を切り開くと謳われていた物質が、まさか複数の星系を焼き尽くせる程の業火を生み出せるなど、その衝撃と恐怖は、正に青天の霹靂と言って良いだろう。
なれば、人々の思いはどうなるか。
簡単だ、
アリサワの発表からおよそ1週間後。
「政府」はルビコン3を封鎖惑星と公式に認定。惑星封鎖機構を派遣し、到着次第ルビコン3を恒久的に封鎖すると宣言した。
救助艦隊「生存者が多過ぎて救助しきれないんだが!?」
アリサワ「第二次救助艦隊の編成開始!輸送艦と人員も増やして救助活動は継続する!」
人類社会「コーラルめっちゃヤバい…ヤバくない?」
政府「惑星封鎖機構派遣してルビコン3を恒久的に封鎖します」
アリサワ「は???」