その通りだったよ、
後今更ながらですが、番外編は時系列不順で行きます。書ける物から書いていくので。
追記
少しだけセリフを追加。
ウォッチポイント・アルファ。
ルビコン3に於けるコーラル争奪戦の最終舞台、ルビコン3から退却した惑星封鎖機構の最終防衛ライン、企業勢力の決戦場。
その全てが1箇所に集結した其処は、未探索深度を除いても20000m近くの深さとなる。
その中で「深度1」と呼ばれる、ウォッチポイント・アルファの入り口の最下層。
今は残骸となった自動大型迎撃砲台「ネペンテス」の周辺は、激戦地と化していた。
次々と深度1最下層へ降下していたのは、ベイラム部隊の精鋭部隊「レッドガン」。
度重なるアーキバス部隊との交戦、惑星封鎖機構との交戦、そして惑星封鎖機構の高性能兵器の多くをアーキバスに鹵獲され、今やベイラムは敗走を続けている。
それでもとベイラムの
現在のレッドガンはAC戦力こそ多くを欠いてしまっているが、MT戦力や汎用戦力の大半以上は未だに健在。各個撃破さえされなければ、アーキバスの精鋭AC部隊「ヴェスパー」にも対抗出来る。
…その、筈だった。
『そんなっ……!!』
ミシガンの
そこから動く事なく、ミシガンの応答も途絶えた。
周辺を見ればスクラップと化した多数のレッドガンMT、四脚MT、汎用兵器が床に転がっている。未だに交戦を続けているMTもいるが、その数はスクラップと比べれば少ない。
彼等が銃を向けているのは、独立傭兵が乗る一機のAC。
頭部、コア、腕部はアーキバスの量産型パーツ、脚部はベイラムの量産型パーツであり、ブースターには中量機体にも利用出来るシュナイダー製高機動ブースターを。
武装は左手にベイラム製火力型アサルトライフル、右手に大豊製ガトリングガン。左肩にファーロン製の6連装ミサイル発射機に、右肩にはメリニットの連装グレネードキャノン。
一定の防御と機動力を両立させつつ近距離戦に持ち込み、高火力で敵を粉砕するコンセプトを実現する為に使用しているパーツはバラバラで、正に独立傭兵だからこそ出来るアセンブル。
独立傭兵の名は、「
ミシガンから直々にレッドガンナンバー「
…そして今、レイヴンはまた一つ依頼を達成させようとしている。
『ミシガン総長ォっ!!』
『クソッ…!!奴も消耗している筈だ、俺達で何とかするぞ!!』
投入されたレッドガンの部隊は既に大打撃。総長のミシガンが倒れ、士気も落ちている。それでもこれまで数十機のMTを破壊し、ミシガンのACを撃破した今なら、其れ相応の消耗をしている筈。その望みに賭けて、残存戦力は総攻撃を仕掛ける。
だが最大戦力のミシガンが倒れた今、621にとっては最早MTの群れなど有象無象に変わりない。
何せミシガンがやってくるまで、621はアサルトライフルを中心にミサイルとグレネードを少し添えるだけの、一度に発揮出来る火力の半分すら使わずにレッドガン部隊をあしらっていた。
そしてミシガンが居ない今、火力の節約をする必要は一切無い。
解き放たれた火力が、レッドガンを破壊していく。
アサルトライフルによって流れるように次々と通常MTが破壊され、盾持ちMTはアサルトブーストからのブーストキック、流れるようにダブルトリガーで至近距離から確殺の追撃。ヘリ部隊は6連装ミサイルのマルチロックで容易く薙ぎ払われ、4脚MTは近距離から全兵装を一気に撃ち込まれ、スタッガーの瞬間に至近距離からアサルトアーマー。
『グアッ…!!』
『畜生!何で、お前はこんなに強いんだ!?』
その時、新たな通信がレッドガン各位の通信機に割り込んだ。
…
時は少し遡り、ミシガン撃墜直後。
「ああっ…!!」
ライガーテイルが撃破され、ネペンテスの基礎の壁面に叩き付けられていくのを、レッドガン部隊隊員のオオサワは、物陰に隠れながら他の隊員数名と共に目撃していた。
彼等の乗っていた其々のMTは既に破壊され、スクラップの仲間入りを果たしている。それでも生身だけでも無事だったのは、ミシガンの言いつけ通り戦いながらも脱出レバーをすぐ引けるようにして、乗機が爆発する前に脱出レバーを引いて脱出する事に成功していたからだ。
だが、それを言い付けていたミシガン本人は脱出する事が叶わず、未だライガーテイルの中にいる。
「総長っ…!」
無意識だった。
気が付けばオオサワは叫びながら安全な物陰から飛び出し、危険な戦場を突っ切ってライガーテイルへ全力で走り始めていた。
「おい待てオオサワッ!!危険だ!!」
「…いや、俺も行くぞ!!」
「あっ、ちょ…ああもう、真正面からじゃお前らも危ないってのに!」
「オオサワに続けぇ!!総長を助けるんだ!!」
オオサワの隣にいた隊員達も、オオサワに引っ張られて次々と物陰から飛び出す。
MTに乗っていた時なら直ぐに辿り着ける距離だが、生身の今は酷く遠い距離。しかも今は、MTやACが大暴れしている戦場のど真ん中。
先頭を走るオオサワの目の前を、621が放ったアサルトライフルの流れ弾が着弾する。
「うぉああッ!?」
「立てオオサワ!此処で寝転んでたら死ぬぞ!!」
「走れぇぇぇぇぇッ!!」
目の前を巨大な弾丸が跳弾した衝撃と強風で思わず背後に倒れ込むが、追い付いた隊員達がすぐさま助け起こすと、ライガーテールに向けて再び走り出す。
そして数十秒後、彼等は奇跡的に全員無傷でライガーテイルの元に辿り着いた。
「ハアッ、ハァッ…!総長…!!」
「皆急ぐんだ、早く緊急レバーを…!!」
各所から火を吹くライガーテイルを何とかよじ登っていく。
確かに各所から火を吹き、損傷も酷い。だが、パイロットが乗るコアパーツは損傷こそしているが、特に重要なコックピット辺りの損傷は、外観上余り無い。
それを流し見しながら、コアパーツに外付けされている外部用緊急脱出レバーを引く。
次の瞬間、コアパーツの前面の一部を固定している爆発ボルトが起爆。一部の前面装甲が爆破によって勢い良く分離した。
「総長!!」
いの一番に、オオサワが開口部からコックピットに飛び込む。
そして彼の目に入ったのは。
強打した頭部と破片が突き刺さった腹部から血を流し、身体をグッタリとさせて目を瞑っている敬愛する
「………ッ!!」
脳裏を叩く強い衝撃に狼狽し、オオサワの身体が硬直する。
しかし最後まで諦めず、直ぐにコックピットの内部に飛び込んで、ミシガンの首の付け根に右手を当てて脈を確認。
(落ち着け…落ち着くんだオオサワ…総長が言ってた、こういう時は素数っていうのを数える…!!)
目を閉じて自然数を数えながら*2、右手の感覚に集中する。
それ以外の全ての感覚を切り捨てた今のオオサワの集中力は、間違いなく生涯最高。
時間にして数瞬だろうか、数秒だろうか、それとも数十秒だろうか。
いや、時間はどうでも良い。兎に角、オオサワは感じ取った。
微かに右手から伝わる、ミシガンの
「ッ!!!!」
神速で左肩に付いている無線機を掴み、トークボタンをプッシュ。同時に空いている左手でミシガンを拘束しているシートベルトを外しながら、無線機に向けて叫んだ。
…
レッドガンは、恐らくルビコン3に存在する全勢力の中で最も結束力が高い組織だ。
隊員の多くが様々な経緯でミシガンに拾われ、碌でも無かった人生から
愛憎様々な感情こそあれど、拾われた者達は全員ミシガンを敬愛している事実は変わりない。
そんな彼等が、
『第6波!?レイヴン、更に来ます!!』
『これは…!?621、更に来るぞ!!』
エアとウォルターが発した同時の警告に反応した621は一旦攻撃の手を止め、回避機動。
瞬間、上から怒涛の弾幕が直前にいた箇所に次々と着弾。なぞるように次々と飛来してくる弾丸とミサイルを
上を見れば牽引すらせず、
それに加えて621からはまだ見えないが、第7波〜第10波までの部隊が緊急出撃準備を始め、完了次第即座にウォッチポイント・アルファへの突入を行う手筈となっている。
レッドガンに残された、正真正銘最後の予備戦力。その全てが地獄の穴に、ミシガンを助ける為だけに躊躇無く飛び込み始めた。
ミシガンが倒れ、残存していた部隊の半数以上が倒れた今となっては、コーラル争奪戦に於いてベイラムの敗北となるのは決定的となった。
だが、どれだけレッドガンが倒れる事になったとしても。
何故なら
その絶対の信頼が、躊躇無く彼等を死地へと飛び込ませていく。
落着寸前、ブースターを最大出力。勢いを殺して着地硬直を防ぐ。
『グゥッ…!!』
だが、強化処置を施されていない唯の人間にとって、全身に掛かるGは相当な物。
運悪く着地地点が621の前になった不運なMTは、隙だらけの所を薙ぎ払われた。しかしその数倍の無事だったMT達が即座に立ち直り、621へ全方位から猛撃を開始する。
『ライガーテイルの周辺に奴を近付けさせるな!!圧迫し続けろ!!』
『総長を死なせはしない!!代わりにお前が死ね、G13!!』
死力で猛撃し続けるレッドガン部隊に、被弾が重なる621。
フルで残っていたリペアキットを1回使用。回避重視に戦術を変更し、圧力を交わしながら少しずつ削り取っていく。
『オラァァァァァァァァァッ!!』
『第7波…!?ぶつかって来ます!!』
『避けろ、621!!』
だが、それよりも早く第7波が到達。その内の1機の盾持ちMTが621にめがけ、盾を構えながら全速力で突っ込んでくる。
直前に気付いてQBで回避。躱された盾持ちMTは勢いを止められず、無様に床を転がっていく。
しかしそんな事を気にしている場合ではない。更に数を増やしたレッドガン部隊の猛撃が更に増す。全方位から絶えず飛来する弾幕は、ライガーテイルの周辺を除き、最早MTやヘリへのフレンドリーファイアすら考慮されていない。
『まだ突っ込んでくるのか…!今からゲートを開放する!持ち堪えろ…!』
『回避を最優先にして下さい、レイヴン!』
『俺達がいる限り、総長は死なせないッ!!レッドガンを舐めるなよ
『命の捨て時は今だ!!突っ込めぇぇぇぇぇぇッ!!』
ウォルターの通信、エアの交信を受けて621は無理して攻撃を加える事はやめ、回避を最優先。障害物も存分に駆使して徹底的に圧力を躱わし、スタッガーに陥るのを阻止する。
『ゲートを解放した!撤退しろ、621!』
『更に第8波が降下してきます、今直ぐ撤退を!』
『G13が逃げるぞ!!』
『逃がすかよ、叩き落とせぇッ!!』
レッドガン第8波、
それとほほ同タイミングでウォルターから送信されたマーカー情報を受け取った瞬間、マーカーの方向に即座に振り向きつつアサルトブースト。
被弾も厭わずに一直線に突き進み、深度2に通じるゲートを潜り抜けた直後にゲートが再び封鎖され、621とレッドガンを完全に隔離した。
『待てぇぇぇぇッ!!逃げるなぁァァァァァァァッ!!!!』
『よせ、今は総長を助けるのが先だ!!』
『救護班、今すぐ降りてこい!!総長を運び出すんだ!!』
『周辺の安全を確保しろ!!アーキバスが来たら即座にブッ殺せ!!』
『オオサワ、総長はどうなってる!?』
『頭部と腹部から出血してる!頭部はガーゼを当ててるけど、腹部は破片が刺さってて下手に弄れない!!』
『総長と血液型が同じ奴は無事か!?居たら今直ぐ降りて総長に輸血を!!』
『救護班、まもなく現着!総長はどちらに!?』
『近くに緑の発煙筒を焚いた、そこを目指せ!!』
こうして、レッドガン…否、ベイラムグループはコーラル争奪戦に敗北し、ルビコン3から撤退した。
しかしレッドガンは、最終的に
ミシガン「ミシガンは転んで死んだ、伝記にはそう書いておけ!!」
レッドガン各位「総長ォォォォッ!!」
オオサワ「信じない、俺は信じないぞ!!」(戦場の中を猛ダッシュ)
オオサワ「総長生きてる、皆助けて!!」
レッドガン「皆、命を捨てろぉ!!」(薩摩魂)
621「ご主人もエアも逃げろって言ってるし、割とヤバい状況だし大人しく逃げるわ」
ベイラム「コーラル争奪戦に負けた…」
レッドガン隊員達「総長が生きてるので全部ヨシ!!!!」
多分回復したら、ミシガンが生き残り全員分のお好み焼きを奢りで、食堂のババアと一緒に頑張って作ってる。