カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする   作:Kicks

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第9問

Dクラス代表 平賀源二 討死

 

『うおぉーー!』

 

その報せを聞いたFクラスメイトの勝鬨とDクラスの悲鳴が混ざり、大音響が校舎内を駆け巡った。

 

「本当にDクラスに勝てるなんて!」

 

「これで畳や卓袱台ともおさらばだな!」

 

「ああ。アレはDクラスの連中の物になるからな。」

 

「坂本万歳!」

 

「姫路さん愛してます!」

 

一部雄二とは関係ない発言はあるが、雄二を褒め称える声がいたる所から聞こえてきた。

 

がっくりとうなだれているDクラス生徒達の奥で雄二はFクラスの皆に囲まれている姿があった。

 

「あー、そう手放しで褒められると、なんつーか。」

 

雄二は頬を掻きながら明後日の方向を見て、照れていた。

 

「坂本!握手してくれ!」

 

「俺も!」

 

Fクラス生徒たちは雄二を英雄扱いをしていた。

この光景でみんながFクラスの教室に不満を抱いていたかが伝わってくる。

 

明久は()()()()()()雄二の所に行って皆に混ざっていこうとした。

 

「雄二!」

 

「ん、明久か。」

 

「僕も雄二と握手を!」

 

雄二が振り向いたので、明久は颯爽と駆け寄った。

 

しかし、雄二はハイキックで応えて、体勢を崩した明久を押さえつけた。

 

「雄二……!どうして押さえつけようとするのかな……!」

 

「黙れ!血塗れの制服で靴下に砂を詰め込んだ物を持って来た奴を押さえつけて何が悪い!」

 

船越先生の放送の件で須川に粛清を行ったため、明久の制服は返り血にまみれていた。

 

「雄二、皆で何かをやり遂げるッて、素晴らしいね。」

 

「おーい、誰かペンチを持ってきてくれー」

 

「す、ストップ!僕が悪かった!」

 

「チッ、生爪を剥ぐつもりだったんだが」

 

明久は雄二に二度と逆らうまいと思った。

 

「まさか姫路さんがFクラスだなんて、信じられん。」

 

平賀が明久の背後から歩み寄りながら呟いた。

 

「あ、その、さっきはすみません……」

 

平賀とは別の方向から姫路も駆け寄ってきた。

 

「いや、謝ることはない。ルールに則ってDクラスを明け渡そう。ただ、今日はこんな時間帯だから、作業は明日でいいか?」

 

「もちろん明日でいいよね、雄二?」

 

Dクラス代表の平賀の姿を見て今日中に済ませろなんて言えないので、明久は雄二に聞いた。

 

「いや、その必要はない。」

 

雄二は明久の予想できない返事をしてきた。

 

「Dクラスを奪う気はないからだ。前に言っただろう?俺たちの目標はAクラスだ。」

 

「でもそれなら、何で最初からAクラスにしないのさ。おかしいじゃないか。」

 

最初からAクラスを狙うなら、何の関係もないDクラスを戦いを挑むのはおかしいと明久は不思議に思った。

 

「少しは自分で考えろ。そんなんだから、お前は近所の小学生に『馬鹿なお兄ちゃん』なんてあだ名をつけられるんだ。」

 

「……人違いです。」

 

「まさか……本当に言われたことがあるのか?」

 

予想外の状況で雄二は明久に思わず憐みの眼差しで見た。

 

「D、Dクラスと戦った理由って、Aクラスに宣戦布告してほしいってこと?」

 

いたたまれない空気を変えるため、何より自分が雄二達に馬鹿にされないために神野は聞いた。

 

「え?何のためにさ?」

 

「AクラスがDクラスと戦えば、点数が消耗して、Aクラスの戦力は減る。坂本君はこれを狙ってたんじゃないのかな?」

 

「そうなのか、坂本?」

 

「残念ながら、それは無理だな。試召戦争をやったら、勝敗関係無く必ず補充試験を受けることがルールだからな。」

 

「じゃあ。何の条件なんだ?」

 

「なに。そんなに大したことじゃない。指示のタイミングは出すから、その時に窓の外にあるアレを動かなくしてもらいたい。それだけだ。」

 

雄二が指したのはBクラスの室外機だった。

 

「Bクラスの室外機のことか?」

 

「ああ、設備を壊すんだから、当然教師に睨まれる可能性もあるだろうが、そう悪い取引じゃないだろう?」

 

悪い取引であるはずがない。もし事故に見せかければ厳重注意で済み、3カ月もの期間をFクラス教室で過ごすことが逃れるからだ。

 

「それはこちらとしては願ったり叶ったりの提案だが、なぜそんなことを?」

 

平賀の疑問は当然だ。目標はAクラスなのに、Bクラスのエアコンを使えなくしてFクラスに何のメリットがあるのか他のFクラスメンバーでも分からないからだ。

 

「次のBクラス戦の作戦に必要なんでな。」

 

「……そうか。ではこちらはありがたくその提案を呑ませて貰おう。」

 

「タイミングについては後日話す。」

 

「ああ、ありがとう。お前らがAクラスに勝てるよう願っているよ。」

 

「そりゃあ、どうも。」

 

Dクラス代表の平賀はこうして去っていった。

 

「さて、皆!今日はご苦労だった!明日は消費した点数の補給を行うから、今日の所は帰ってゆっくりと休んでくれ!解散!」

 

雄二が号令をかけると、皆は自分のクラスへと向かい始めた。

 

Fクラス教室に戻り帰る支度をしていた神野に、雄二と明久は声をかけてきた。

 

「神野君、帰ろうとしている所悪いけど、やってほしいことがあるんだ。」

 

「何だい。吉井君?」

 

「今すぐ数学の船越先生のフォローを頼む。」

 

「ああ、あの放送のフォローのことか。」

 

「そうだよ!じゃないと僕の貞操が危ないからね!何とかするって言ったのは神野君だよ!」

 

「わかった、明日の朝予定だったけど、フォローするよ。」

 

「ちなみにどうやって何とかするの?」

 

「船越先生に『あれは吉井君の数学の単位が危ないので、数学の補習を受けたいですという意味だった。』ということにする。」

 

「…うっ、数学の勉強か…。」

 

「貞操の危機よりはましでしょ。」

 

「それでもまだ危険じゃない?」

 

「安心して、その補習する教室で僕も自習して万が一のことが起きないようにするから。」

 

「じゃあ、何でそんな放送にしたのかって船越先生に聞かれたら、どうするの?」

 

「須川君の悪戯だったという事にするよ。だから、隠し持っている包丁は取り下げてね。」

 

明久は、神野君の抹殺を諦めた。神野君が死んだら、船越先生との補習で貞操の危険が発生するからだ。

 

「じゃあ、ウチも補習に参加する。数学苦手だし。」

 

ここで、話を聞いていた橘さんも数学の補習の参加を表明した。

 

「それと、船越先生のことが終わったら、本日中に神野にやってほしいことがある。次のBクラス戦に向けての準備だ。」

 

雄二は神野にある指示を出した。

 

 




明久と橘の強化イベント(数学)発生
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