カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする 作:Kicks
「うわぁ、そう来たか。」
「卑怯だよね…。」
神野と明久がFクラスに戻って来ると、そこには穴だらけの卓袱台とへし折られたシャープペンシルがたくさんあった。
この破壊行為は、Fクラスの級友たちが補充試験を受けないようにするための嫌がらせが目的である。地味ではあるが、有効な戦略である。
「代表の坂本君は大丈夫?戦死してないことはわかるけど…。」
神野は、代表の無事を確認するために教室内を確認する。しかし、雄二はFクラスにはいない。
「雄二よりも、まずは卓袱台とシャープペンシルをなんとかしようよ。これじゃあ、補充試験が出来ないよ。」
「卓袱台とシャーペンは何とか支給するから安心しろ。」
雄二がFクラスの教室に入ってくる。神野が雄二の様子を見ると、無事であることが確認できる。
「雄二、どうしてFクラスの教室にいなかったの?」
「ああ、Bクラス代表の根本から提案があってな。16時までに戦争に決着が着かなかったら、明日の8時まで試召戦争に関する行為を一切禁止するという取引を済ませた。その翌日からは、16時までと同じ配置でな。」
「ふーん、体力自慢のFクラスでは、休みなしの方が有利じゃないの?」
「姫路以外はな」
「そういう訳で、この取引は俺たちにとってかなり有利な内容になる。」
神野は、その取引について不思議に思ったので、質問をする。
「何か根本が他に企んでいる可能性があると思うけど?」
「あるだろうが、その都度対応するまでだ。」
雄二が肩をすくめる。確かに出来ることはない。
「神野、吉井!」
突然、須川がFクラスの教室内にやってくる。
「どうしたの、須川君?」
「秀吉が人質に取られた!お陰で渡り廊下戦でBクラスのメンバーはあと2人だけど、攻めあぐねている!」
「なんだって!人質作戦なんて卑怯な作戦の王道じゃないか!」
「…取り合えず、現場に行こう。」
神野は明久と須川を連れて、渡り廊下に向かう。
☆
「止まれ!それ以上進めると、召喚獣に止めを刺して、木下を補習室送りにするぞ!」
まるでドラマのワンシーンのようにBクラス男子が叫ぶ。隣には補習担当員と英語Wの教員がいて、いつでも秀吉を補習室に送れる状況が整っていた。
「どうする、神野君!?貴重な女の子を見殺しにしたら、Fクラスの士気がガタ落ちだよ!」
「ワシは男じゃぞ!」
状況を確認して、神野は提案する。
「それなら、人質は秀吉君ではなく、代わりに俺じゃあだめ?
「「はぁ??」」
神野の申し出にBクラス男子二人は呆れたような顔をする。
『英語W Fクラス 神野大輝 218点』
さらに神野は自分の召喚獣に武器を投げ捨てる。
「秀吉ではなく、俺一人を道連れにした方が戦力的にメリットがあると思うけど?」
Bクラス男子二人はお互いの顔を見合わせる。
「どうする?」
「確かに戦力的には神野だけど…。」
「まあ、余計なことしたら秀吉を道連れにすればいい。それでいいだろ。」
神野の召喚獣は両手を挙げて、ゆっくりと近づく。刹那、秀吉を人質にしてない方の召喚獣が神野の召喚獣を回り込んで、首筋を突き付ける。
これで人質が二人に増えた。
「秀吉君を解放しろ。」
「OK、OK。」
Bクラスの召喚獣が秀吉の召喚獣を解放した時、神野の召喚獣が自分が突き付けたBクラスの召喚獣の両腕を掴んでそのまま秀吉の召喚獣を人質にしていたもう一人の召喚獣に肩から突っ込む。
その結果、3体の召喚獣はもつれ込むように倒れたので、他のFクラスのメンバーはBクラスの召喚獣に止めを刺した。
「ギャー…。」
「補習室は嫌だぁぁー…。」
補習監督員は戦死したBクラス二人を運んでいったのを確認した姫路は、皆に指示を送る。
「どんどん、進めましょう!消耗した人は、Fクラス教室で補充試験を!」
Fクラスメンバーが次に向けて動くと、秀吉がやってくる。
「のう、神野。」
「何?」
「助けてくれてありがとうのう。」
満面の笑みで礼を言う秀吉を見て、女だったらいいのにと思う神野だった。