カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする 作:Kicks
「休戦になったぞ!!」
16時過ぎても決着が着かなかったので、戦争は協定通り一時休戦になり、続きは明日になった。
現状は、Fクラスは計画通りBクラスの教室前に攻め込むことに成功したため、続きはBクラス教室で行うことになった。
しかし、Fクラスはほぼ全力を注いだため、全体的な被害はかなり大きかった。
「雄二、ハプニングはあったけど、今の所順調ってわけだね。」
「そうだな。」
「けど、あの根本だよ。絶対にまだ何かを企んでいるはず。」
戦況の現状報告中に、ムッツリーニが傍にやって来る。
「……雄二、Cクラスの様子が怪しい。」
「何だと?Cクラスが?」
ムッツリーニが集めた情報によると、Cクラスが試召戦争の用意を始めているそうだ。
「この戦いの勝者と戦って、漁夫の利を狙うつもりか。いやらしい連中だな。」
「雄二、どうするの?」
「んー、そうだなー」
雄二は、時計を見て遅い時間でないことを確認する。
「Cクラスと協定を結ぶか。Dクラスを使って攻め込ませるぞ、と言えば俺達に攻め込む気なんて無くなるだろう。」
「それに、僕らが勝つなんて思ってもないだろうしね。」
雄二達はCクラスとの協定をどうやって結ぶのかを定める。
「よし、お前ら。今から一緒にCクラスに行ってくるか。」
「そうだね。」
「わかった。」
明久と神野とムッツリーニと秀吉と橘は立ち上がる。
「秀吉は念の為、ここに残ってくれ。」
「ん?ワシは行かなくていいのか?」
「お前の顔を見せると、万が一の場合にやろうとしている作戦に支障があるんでな。」
「よくわからんが、雄二がそう言うのであれば従おう。」
秀吉は素直に引き下がる。
「坂本君、出発しよう。」
「神野、出発前に、姫路と他のFクラスメンバーを連れていきたい。できれば10人くらいな。」
「なんで?」
「まぁ、ちょっとした予防策だな。」
「わかった。」
神野は首を傾げながらも、他のFクラスメンバーに声をかける。その結果、須川や美波や田中が付いていくことになり、9人でCクラスへと向かうことになった。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。Cクラスの代表は?」
雄二がCクラスの教室を開くと、教室にはまだかなりの人数が残っていた。ムッツリーニの情報通り、試召戦争の準備をしているのだろう。
「私が代表の小山だけど、何か用かしら?」
神野たちの前に出てきたのは黒髪をベリーショートにした気の強そうな女子だった。
「Fクラス代表として交渉に来た。時間はあるか?」
「交渉?ふぅん……」
小山は雄二の言葉を聞いて、いやらしい笑みを浮かべている。
「ああ。不可侵条約を結びたい。」
「不可侵条約ねぇ……。どうしようかしらね?根本君?」
小山は振り返り、教室の奥にいる人達に声をかける。
「当然却下。だって、必要ないだろ?」
「な!?根本君!Bクラスの君がどうしてこんなところに!」
奥から取り巻きを連れて現れたのは、Bクラス代表の根本恭二だった。短く刈り揃えた黒髪と口の周りには整えられていない髭と性格の悪そうな目つきが印象的である。
「協定を破るなんて酷いじゃないか、Fクラスの皆さん。試召戦争に関する行為を一切禁止したよな?」
「何を言って—―」
「先に協定を破ったのはソッチだからな?これはお互い様だよな!」
根本が告げるとBクラスの取り巻きが動き出す。その背後には先程まで戦場にいた小柄な数学の長谷川先生の姿が隠されていた。
「長谷川先生!Bクラス吉野が召喚を—―」
「その前に、長谷川先生に話がある!」
雄二が強い口調で呼び止める。
「おいおい、坂本。協定破って先生に言いつけるってバカじゃないのか?流石Fクラス代表ってことか?」
馬鹿にしたように根本は挑発する。しかし、雄二は気にしない。
「何ですか、坂本君。」
長谷川先生が前に出てきた。
「Bクラスが協定違反をしていることはご存知でしょうか?」
「雄二、根本君が事前に根回ししているだろうよ。」
「話を聞く限り、休戦協定を破ったのはFクラスのようですね。そこで協定違反を訴えるのは、戦争云々以前に人としてどうかと思いますよ。」
少々厳しい意見を長谷川先生が返す。やはり、根本が事前に説明しているようだ。
「休戦協定はBクラスとFクラス間の協定でしたが?」
「いいや、試召戦争に関する一切の行為だ。」
「……なるほど。先生確認です。ここで、代表を討ち取っても協定違反にならないということでよろしいでしょうか?」
「双方の代表が合意してくれるなら問題ないです。」
「いいだろう。」
根本は嫌らしい笑みを浮かべた。ここで倒せると思ったのだろう。
「お前ら、Fクラス代表を仕留めろ!」
「神野たち、Bクラスメンバーを倒せ!」
根本が6人のBクラスの生徒達と一緒にFクラス代表の坂本を襲う指示を出す一方、雄二が神野に指示を出す。
『
Bクラスメンバーと神野と雄二が数学勝負で挑む。
「姫路、島田。お前らは出入り口を抑えて、援軍を来ないようにしろ!他の皆は、3人のフォローをしろ!」
『了解!
姫路達が召喚獣を召喚する。
「馬鹿だな、坂本!カンニング野郎が俺達を倒せると思っているのか?」
嘲笑う根本に、雄二は鼻で笑う。
「馬鹿はお前だ、根本。お前は、神野のことをわかっていない。よりによって、一番最悪の状況になっていることにまだ気づいていないのか?」
『数学 Fクラス 神野大輝 482点 &
Fクラス 坂本雄二 75点』
「何ぃ!!」
根本が驚いて引き攣った顔をする。
「お膳立てありがとう、坂本君。この状況で暴れることを俺はずっと渇望していた。」
召喚獣が得物を構えて、戦闘が始まった。