カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする   作:Kicks

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第16問

「神野が不正をしている!この勝負は無効だ!」

 

終戦直後、根本が抗議している。この戦いを無効にして、試召戦争を仕切り直そうとしているのだ。

 

「妙な言いがかりはよせよ、根本。どんな不正をしたんだ。」

 

「点数だ!姫路の解答をパクったんだ!だから、神野の点数があんなに高得点だったんだ!」

 

「数学と化学なら、神野は姫路よりも上だぞ。なあ、先生。」

 

「あ、はい!数学の点数でしたら、神野君は姫路さんよりも上ですね。ざっと見て、70点くらいでしょうか?」

 

根本の言い分を却下するために、雄二は根本の言いがかりに対応する。

 

「そもそも、このCクラスでの戦いは双方の代表が合意したものだから、それを無かったことにはできませんよ。」

 

数学の長谷川先生は根本の申請を却下した。

不正はそもそもやっていない上に、たとえ本当にやっていたとしても、明確な証拠が無い以上、認可することはできない。

 

「神野、よくやった。」

 

「坂本君、お疲れ。」

 

雄二と神野はお互いの手を叩いた。

 

「さて、それじゃ嬉し恥ずかし戦後対談といくか。なぁ、根本。」

 

雄二は、抗議を却下されて床に座り込んでいた根本に話しかける。

 

「本来なら設備を明け渡してもらい、お前谷は素敵な卓袱台をプレゼントするとこだが、特別に免除してやらんでもない。」

 

雄二の発言に、ざわざわと周囲の皆が騒ぎ始める。

 

「落ち着け、皆。前にも言ったが、俺達の目標はAクラスだ。ここがゴールじゃなくて、通過点だ。だから、Bクラスが条件を呑めば解放してやろうかと思う。」

 

その言葉でFクラスの皆は納得したような表情になった。Dクラス戦でもいたことだし、雄二の性格を理解し始めているのだろう。

 

「その考えは反対かな。」

 

しかし、神野は雄二の提案に反対意見を出す。

 

「なぜだ、神野?」

 

「ここで、Bクラスを和平交渉で終結して、Aクラスに勝ったとしよう。そうなったら、BクラスがFクラスに再戦を申し込む可能性が高い。Aクラスの設備を手に入れるために。」

 

「……そんなことをすると思うか?こうして負けてるのに?」

 

「うん、何らかの卑怯な対策を用意してね。」

 

何とか和平交渉で終結したがっている根本に向けて、神野はきっぱりと言い切る。

 

「ん~。まあ、これに関しては、事情を説明するべきか。」

 

雄二が急に神妙な面持ちになって、クラスメイトに説明する。

 

「正直に言って、どんな作戦でも、うちの戦力じゃAクラスには勝ち目がない。」

 

50人いるAクラスの内、40名はBクラスよりも少々点数が高いレベルだ。しかし、上位10名特に代表の霧島翔子が別格である。もし、上位9名が霧島の守りに徹すれば、Fクラス全員で取り囲んだとしても、返り討ちに遭うだろう。

 

「なら、なおさらAクラスを諦めて、Bクラスの設備を狙うべきでしょ。」

 

「いや、クラス単位では勝てないから、一騎討ちに持ち込むべきだと俺は言いたかったんだ。」

 

「一騎討ちって、どうやって?」

 

「Bクラスを使う。」

 

「なるほど、Fクラス設備と交換して欲しくなかったら、Aクラスと戦えということだね?」

 

「そういうことだ。」

 

試召戦争で下位クラスが負けた場合は、設備が1ランク落とされる。

逆に、上位クラスが負けた場合は、相手クラスと設備が交換される。

つまり、この条件を呑んで、Aクラスと戦うことになっても、Bクラスは設備がFクラスからCクラスで済むことになる。

 

「Aクラス戦の件はわかったけど、勝ったとしても、Bクラスが再戦してくる懸念は変わらないよ。それに不可侵条約を結べなかったCクラスも不安だし。」

 

神野はBクラスやCクラスの連戦という不安事項も指摘する。

 

「神野の懸念も最もだ。だから、見逃す条件は他にもある。」

 

「……条件は何だ?」

 

力なく根本が問う。

 

「大きく分かれて3つだな。」

 

雄二が条件を提示する。

 

「1つ目は、BクラスはCクラスに宣戦布告をしろ。CクラスがFクラスに戦争を申し込みできないようにするためにな。」

 

試召戦争の決まりの一つには、『負けたクラスは3カ月の間、宣戦布告の権利を失う』がある。

これは、負けたクラスがすぐさま再戦を申し込んで、試召戦争の泥沼化を防ぐためだ。

 

しかし、これもそこまで無茶な内容ではない。万一BクラスがCクラスに負けても設備がBクラスからCクラスに下がるだけだからだ。

 

「2つ目は、さっきも言ったが、Cクラスの試召戦争に勝ったら、Aクラスに行って、試召戦争の準備が出来ていると宣言して来い。ただし、宣戦布告はするな。すると戦争は避けられないからな。あくまでも戦争の意思と準備があるとだけ伝えるんだ。」

 

「……最後は?」

 

「3つ目は、Bクラス代表がコレを着て、撮影会をしてくれるなら、見逃そう。」

 

雄二が取り出したのは、文月学園御用達の女子の制服だ。他校にも大人にも人気がある逸品である。

 

「な、何で俺がそんなふざけたことをするんだ……!」

 

根本が慌てふためき始める。

 

「そりゃあ、BクラスがFクラスに攻め込めないようにするための作戦だ。その撮影会で作った写真集がばら撒かれたくなければ、Fクラスに攻め込むなっと。」

 

雄二はニヤついた顔で、交渉する。

 

『Bクラス生徒全員で必ず実行させよう!』

 

『任せて!必ずやらせるから!』

 

『それだけで教室を守れるなら、やらない手はないな!』

 

Bクラスの生徒達は大喜びで承認する。Bクラス代表を生贄にすれば、設備が守れるなら断る理由などはないからだ。

 

「だ、誰がやるか!Fクラスの設備と交ぐふぅっ!」

 

「代表が交渉不可能になったため、代わりに俺が答えます。その3つの条件は受諾します。」

 

Bクラス男子は一瞬で代表を見限って、鳩尾に拳を打ち込んだ。

 

かくして、FクラスとBクラスとの戦争は『和平交渉にて終結』となり、BクラスはCクラスと試召戦争にすることになった。

 

 

 

 

 

 

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