カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする 作:Kicks
Aクラスと相談した後、優子はFクラスの皆に雄二の提案の回答をする。
「結論から言うわ。引き分けの提案は呑めない。」
優子はきっぱりと答える。
「理由を教えてくれないか?」
「一部のクラスメイトが猛反対をしちゃってね。引き分けになって、振り分け試験をしたら、Fクラス行きになってしまうってね。」
「なるほどな。」
Aクラスでも上位の成績に位置する神野や姫路がいる中で、振り分け試験を受けたら、今のAクラスメンバーの下位の何人かがFクラス送りになってしまう。
それを阻止したいのだろう。
「仮に引き分けを呑んだとしても、Fクラスと再戦するのが分かっているんじゃあ、今回の一騎討ちが無駄になってしまう。」
「確かにな。」
「それに姫路さんや神野君がいるとはいえ、Fクラスの一騎討ちでここまで
「へえ、やけに弱気な発言じゃないか。」
「これはアタシ達なりの最高の褒め言葉と解釈していいよ。だから、下手なリスクを取らずに確実に勝つ方法を取る。」
優子は毅然とした対応を取る。
「……そうか。わかった。」
雄二は引き分け案を断念した。これ以上粘っても、採用されないと判断したからだ。
何より霧島の懐柔の対価に何を求められるかわからない。
「では、引き分け制度はなしで、坂本君と霧島さんは視聴覚室で試験を受けてください。」
「……わかりました。」
「ああ。」
雄二と霧島は視聴覚室に向かう。
「皆さんはここでモニターを見てください。」
高橋先生が機会を操作すると、壁のディスプレイには視聴覚室の様子が映し出された。
先に霧島が席に着き、続いて雄二がやって来る。
『では、問題用紙を配ります。制限時間は50分。満点は100点です。』
画面の向こうで日本史担当の飯田先生が問題用紙を裏返しのまま2人の机に置いた。
『不正行為等は即失格になります。いいですか?』
『……はい。』
『わかっているさ。』
『では、始めてください。』
2人の手によって問題用紙が表にされる。
Aクラスのディスプレイには、問題ではなく二人が解いているのが映されている。
その光景を見て、明久が気になることができたので、聞いてみた。
「高橋先生、質問いいですか?」
「何でしょうか?」
「ディスプレイに問題を映し出すことは可能でしょうか?」
明久は問題に大化の改新が入っているか確認したかったので、聞いてみた。
勝負がどうなるか一刻も早く知りたかったのだ。
「できないですね。映しているのが教室全体にしている理由は、不正行為をしていない証明のためですから。」
高橋先生は冷静に返す。
振り分け試験で不正行為の濡れ衣を着せてFクラス行きになった神野の処遇に、高橋先生は思う所はあったのだろう。
また、試召戦争で結果がどうあれ、いちゃもんを付けられるのを避けたいという思惑を神野は感じ取った。
「そうですか、祈るしかないですね。」
明久は大化の改新が問題に出ること、そして雄二の結果と霧島のミスをひたすら祈る。
緊迫した空気の中、50分が経過する。
『解答止め。筆記用具を置いてください。』
霧島と雄二がお互いの筆記用具を置く。
『解答用紙を回収します。そのままお待ちください。』
飯田先生が2人の解答用紙を回収し、採点を行う。
『採点が終わりましたため、結果がディスプレイに映しされます。少々お待ち下さい。』
固唾を呑んで、皆が結果が書いてあるディスプレイを見る。
『日本史勝負 限定テスト
Aクラス 霧島翔子 100点
Fクラス 坂本雄二 100点』
試験の問題に大化の改新に関する問題が書いていなかったので、両者満点になってしまった。
「高橋先生、両者同点になりましたけど、この場合どうなります?」
神野は恐る恐る聞く。引き分けで終わることを祈りながら、聞いているのだろう。
たとえ、先ほど却下されてしまったとしても、引き分けになるという一分の望みを神野は捨てきれなかった。
「そうですね…。同点になってしまった以上、延長戦として、日本史で召喚獣勝負ということにしましょうか?勿論高校の試験で」
ある意味、当然の結果になってしまった。
ここで、100点満点の限定テストで召喚獣勝負にしてしまったら、本来の目的である学力向上からずれてしまう。
「では、延長戦としてどうぞ。」
「……
「
霧島の召喚獣が雄二の召喚獣を瞬殺してしまったことは言うまでもない。
これにて、Aクラス戦での試召戦争が終結し、Fクラスの敗北が決まった。