カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする 作:Kicks
「で、話って?」
廊下中に人がいないことを確認した明久は雄二に話を始める。
「Fクラスの教室についてどう思う?」
明久に問われた、雄二と神野は素直に返した。
「Fクラスか。想像以上に酷いものだな。」
「あんなクラス設備じゃ、勉強にモチベーションを上げるのは厳しいと思う。」
「雄二や神野君でも思うよね。」
「もちろんだ。」
「当たり前だ。」
「それに対して、Aクラスの設備はすごいよね?」
「すごかったな。あんな教室は他に見たことがない。」
「俺もそう思う。」
明久が二人のリアクションを見て、提案する。
「僕からの提案なんだけど、二年生になったんだし、試召戦争をやってみない?」
「戦争?どこのクラスに?」
「Aクラスに。」
明久の提案に、神野は眉をひそめた。
「いくら姫路さんがいてもAクラス相手に勝ち目はないよ。やるならBクラスだよ。坂本君、Bクラスを狙うべきだよ。」
「神野、嘘をつくなよ。お前がBクラスを狙う理由は振り分け試験で嵌められた根本に復讐したいからだろ。」
「俺の言う事を信じてるのか?」
呆れ気味に返す雄二に、神野は訝しんだ。
「雄二、どうして神野君が根本君にはめられたって信じたの?」
「うん?まあ神野の不正行為について異様に根本が言いふらしまくっていたことから、想像はついた。」
それに、根本の入ったクラスについて神野が聞いてきたしな、と雄二は返した。
「え、神野君は濡れ衣を着せられてFクラス行きになったって本当?」
「そうだよ、そんなことしなくても、Aクラスに入れるしね。」
「じゃあ、根本君がそんなことをした理由は?」
「自分がAクラスに入りたかったからだろうな。Aクラス行きの奴が一人抜ければその枠が空く。」
そのことを聞いた明久は憤りを露わにして、提案する。
「雄二、神野君のいう通り、AクラスじゃなくてBクラスを狙おう!姫路さんと神野君がいれば、勝てるだろうし!」
「吉井君…。」
明久の義憤を見て、神野は感激した。自分に同情してくれた生徒は誰もいなかったからだ。
「お前らはそれでいいのか?」
雄二はそんな空気に水を差した。
「何だよ、雄二。何がダメなのさ?」
「確かに、姫路と神野がいれば作戦次第でBクラスには勝てるだろう。しかし、それでは姫路がいたから勝てたで終わりになり、神野の汚名は返上できない。」
「何が言いたいの?」
雄二の真意がつかめなかった神野は聞いた。
「狙いがBクラスの設備は甘い、いっそAクラスの設備を狙おうと言っているんだ。」
「どうしてそんなに雄二はAクラス打倒に燃えているの?」
明久の疑問に雄二は遠くを見て答える。
「世の中学力が全てではないって、そんな証明をしたかったからさ。」
「???」
「それにAクラスに勝つ作戦も思い付いたからな。おお、先生が戻ってきた。教室に戻るぞ。」
「わかったよ。」
雄二に促されたので、明久と神野は教室に戻った。
壊れた教卓を変えて、福原先生はHRを再開させる。
「須川亮です。趣味は―」
特に何も起こらずに、自己紹介の時間が始まった。
「坂本君、自己紹介の最後ですよ。」
「了解」
福原先生に呼ばれて、雄二は席に立ってゆっくりと教壇に歩み寄った。
自信に満ちた表情で教壇に上がり、クラスメイト達に向き直った。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺のことは好きなように呼んでくれ。」
雄二は、間を取って聞いてきた。
「このFクラスの設備を見て、不満はないか?」
「大ありじゃあ!!」
Fクラスのメンバーが心の底から叫んだ。
「だろうな。俺だってこの現状に不満だ。代表として問題に思っている。」
「そうだそうだ!」
「いくら成績が悪くても、この扱いはない!」
「学費が同じなのに、Aクラスとの扱いの差が大きすぎる!」
Fクラスは堰を切ったかのように不満の声が上がった。
「みんなの意見はもっともだ。そこで」
雄二はFクラスの仲間たちに不敵な笑みを浮かべて提案した。
「Fクラスは、Aクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う。」