カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする   作:Kicks

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第14問

「2回戦は突破した?」

 

「うん。雄二の作戦が上手くいってね」

 

 場所は空き教室。Fクラスのメンバーは交代してそこで昼ご飯を食べている。

 神野は橘と明久と一緒に昼ご飯を取りつつ、召喚大会の2回戦の結果を確認していた。

 喫茶店の会計で忙しくて、結果を把握できなかったのだ。

 

「じゃあ、大輝。約束通り飲茶を貰うね」

 

「ああ。前に話したけど、夕食が食べたかったら……」

 

「うん。決勝戦に進出することが条件だよね。そこは覚えているよ」

 

 清涼祭で得た利益で設備を購入するためには、Fクラスが召喚大会で優勝・準優勝を独占することが条件になっている。

 そのためには、神野・姫路ペアだけでなく明久・雄二ペアも勝ち上がらないといけない。

 そこで、神野は明久のやる気を上げるために事前に約束していたのだ。

 もし、2回戦突破したら昼食を、準決勝突破したら夕食を奢る、と。

 ただし、昼食と夕食はFクラスの中華喫茶のテイクアウトした物という条件付きで。

 Fクラスの中華喫茶は更なる売上の為、テイクアウトもできるようにしているのだ。

 

「じゃあ、いただきます」

 

 明久は小籠包を貰い、一口頬張る。

 皮がモチモチで柔らかく、肉汁がたくさん入っていて美味しい。

 

「神野君、どうして吉井君によくお菓子とか昼ご飯を奢っているの……?傍から見ているとデキているようにしか見えないんだけど……」

 

 橘の言う通り、ご飯やお菓子をプレゼントするのはいくら友達でもおかしい。

 友達とは違う特別な関係だと考えてしまうのは仕方のない考えだろう。

 

「……確かに普通だったらここまではしないね。優勝・準優勝しないと売り上げで設備を購入できないって雄二から聞いた。そのためには、明久達が勝ち上がらなければ困る。勝てる可能性を1%でも上げないと」

 

「……じゃあ、土日の図書館でお菓子を渡しているのは……」

 

「明久を勉強させる為だよ。明久の点数を少しでも上げて欲しいんだ。次の試召戦争に勝つ為に」

 

 ちなみに、明久だけでなく雄二にも勉強を教えており、雄二は俺だけでなく霧島さんにも勉強を教えて貰っているらしいと神野は付け加えた。

 

「憎い!雄二のヤツが心から憎い……!」

 

 明久は雄二が霧島と2人きりで勉強を教えてもらっているという事実に妬みを露わにした。

 

「明久、雄二は次の試召戦争に勝つ為に本気で勉強しているんだ。憎い気持ちは分からんでもないけど、雄二の勉強の邪魔はしないでね」

 

「わかっているよ」

 

 明久は渋々雄二への嫌がらせを我慢した。

 

「吉井君、そんなに羨ましいなら瑞希に勉強を教えてもらったら?きっと快くOK貰えると思うよ」

 

 姫路の明久への想いを知っている橘は明久に提案する。

 

「でも、姫路さんに悪いし……勉強の邪魔になるし……」

 

「大丈夫。姫路さんはきっと迷惑に思わないよ」

 

「うん、喜ぶことはあっても絶対迷惑に思わないよ」

 

 姫路に気を遣っている明久の背中を2人は押した。

 

「後、姫路さんの手料理を食べることになるし」

 

「……………それはきつい」

 

 確かに姫路と2人きりで勉強したら、姫路の手料理を食べることになる可能性が高い。

 明久が躊躇するのは当然だろう。

 

「じゃあ、ウチと神野君の4人で勉強しよう!ウチが瑞希に料理を教えるし!」

 

「それは助かるよ」

 

 かくして、毎週の土日の勉強会に姫路が参加するようになった。

 ただ、他のFクラスメンバーも参加するようになり、大所帯になったので、デートのような甘い空気にはならず姫路と橘は複雑な表情をするようになった。

 

 

「召喚大会の3回戦に出場しますので、雄二よろしく」

 

「おう、行ってこい」

 

 昼休憩が終わり、会計の手伝いをした30分後に3回戦がそろそろ始まるので、神野は姫路と一緒に宣伝のプラカードを持って向かう。

 

「おい」

 

「はい?」

 

 召喚大会の特設ステージに向かう途中で、後ろから声がかかった。声の主は同年代位の男2人組だった。

 

「お前が神野大輝か?」

 

「そうですが、何か?」

 

「ちょっとそこまで来てくれねぇか?」

 

 そう言って、男の1人が空き教室を指さす。

 

「俺は召喚大会があるから急いでいるのですが……」

 

 神野は断って特設ステージに行こうとするが、男2人は行く手を阻んでいた。

 

「姫路さん。先に召喚大会に行ってくれない?用があるのは俺だけみたいなんだし」

 

「……神野君」

 

 姫路が心配な顔をして、神野を見つめた。

 絡まれた男2人は髪を染めてて明らかに素行が悪そうだった。

 どう考えても神野は碌な目に遭わない。

 

「姫路さん、両方不参加で召喚大会不戦敗になるのはまずい」

 

「……でも」

 

「すぐに追いつくから」

 

「……わかりました。危なくなったら逃げてくださいね」

 

「ああ」

 

 神野は姫路と別れて、男2人組と一緒に空き教室に入る。

 

「俺に何か用ですか?」

 

「おめぇに何の恨みはねぇけど、ちょっとおとなしくしててくれや!」

 

 すぐに、男の1人は拳を固めて殴りかかってきた。

 神野は屈んで拳を躱して立ち位置を入れ替えつつ、空き教室から出ようとしたが、もう1人は後ろ手で扉を閉めていて、空き教室から出ることはできなかった。

 神野は自衛の為に木製のプラカードで脳天に打ち込もうとする素振りを見せると、男は両腕をクロスして守ろうとした。

 神野は斜め前方向へと足さばきを行って、面打ちで前方へと向かった勢いを移行させて、相手の胴に打ち込んだ。

 

「ほぐぅ!」

 

 相手は悶絶して沈み込んだ。

 

「てっ、てめぇ!」

 

 もう一人の男が神野に殴りかかろうとしてきたので、小手打ちで手首を打ち込んだ。

 相手はうずくまって隙ができたので、神野は骨折しない程度に加減して木製のプラカードを脳天に叩きこんだ。

 相手は脳震盪で白目をむいて気絶した。

 神野は暴力沙汰で召喚大会の出場停止になったらマズイので、急いで木製のプラカードを持って召喚大会の会場に向かった。

 

 

「これから、試験召喚大会3回戦を始めます。召喚獣を召喚してください」

 

「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

 神野は急いで姫路と合流できたので、皆と一緒に召喚獣を出現させる。

 

『古典

 Aクラス 守屋香奈  242点 &

 Aクラス 多田奈々華 223点』

 

『古典

 Fクラス 姫路瑞希 421点 &

 Fクラス 神野大輝 193点』

 

「2人とも、本当にFクラス?Aクラスの間違いでしょ……」

 

「この点数で、Fクラスなんて詐欺だわ……」

 

 2人の古典の点数を見て、対戦相手である3年先輩は慄く。

 Aクラス戦で負けて始まった鉄人の補習の成果もあり、神野の古典の成績がBクラスからAクラス下位の点数に上がったのだ。

 

「では、よろしくお願い致します。先輩」

 

 3回戦はすぐに決着した。

 神野の召喚獣が1人を抑えているうちに、姫路の召喚獣がもう1人の対戦相手を武器ごと一刀両断した。

 姫路の召喚獣が加勢している時、残り1人の召喚獣は神野の召喚獣と鍔迫り合いをしていて隙だらけだったので、首を刎ねた。

 

『姫路、神野ペアの勝利です!』

 

「じゃあ、戻ろう。姫路さん」

 

「はい!中華喫茶を頑張りましょう!」

 

 神野と姫路は、決着が着いたので中華喫茶に戻ることにした。

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