カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする   作:Kicks

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間空きました。すみません。


第15問

「へー、大輝もチンピラに襲われたんだ」

 

「大輝"も"?」

 

 場所はFクラスの中華喫茶。召喚大会に向かう途中で襲われたことを話していたら、明久も不穏な発言をしていたので、神野は思わず反応した。

 

「明久も襲われたの?」

 

「うん。茶葉が無くなったから、空き教室に向かったら襲われてね」

 

「…………よく無事だったね」

 

「雄二がぶちのめしてくれたからね」

 

「大輝、突然話題を変えて悪いが、召喚大会で戦った相手はどのクラスだったんだ?」

 

「3年Aクラスだったよ。1回戦でも3年Aクラスと戦ったからくじ運ないよね」

 

「……そうだな」

 

 大輝の答えを聞いた雄二は鋭い目つきをする。

 まるで、自分の考えが当たったような表情だった。

 

『お兄ちゃん、遊びに来たよ』

 

『莉緒!?遊びに来てくれてありがとう』

 

 話をしている最中に、同い年くらいの女の子が中華喫茶に来て、神野の姿を見つけて駆け寄ってきた。

 

『総員、構え』

 

『『『はっ!』』』

 

「違う。皆が羨む関係じゃない」

 

 中華喫茶にあるまじき殺伐とした空気が流れた。

 入っている客達も興味深い顔をして神野達を見ていた。

 

『神野。こんなにも可愛らしい女子との交流を持っていたとはな。残念だよ』

 

『異端審問会の血の掟。その身を以って味わうが良い』

 

「莉緒は俺の妹!」

 

『『『それがどうしたぁっ!』』』

 

 いくらかわいくても実妹では恋人にはなれない。

 そんな事実に気付かない程、Fクラスは女子に飢えていた。

 

「後、莉緒は彼氏いるし」

 

『彼氏はお前か?』

 

「話聞いてた?妹!」

 

「お兄ちゃん!余計な事を言わないで!」

 

 莉緒は顔を真っ赤にして、自分の兄に文句を言う。

 自分の恋愛事情を話されて、嫌だったのだ。

 

「それに、お兄ちゃんと恋人になりたいという物好きな女の子なんていないと思う。もっと背が高くてイケメンでしっかりしていて頼りがいのある男じゃないと無理かと」

 

『『『…………』』』

 

 莉緒のあんまりな発言に、立ち上っていた殺意はしぼんでいった。

 

(フォローありがとう。莉緒)

 

(後で中華喫茶のオススメを教えてね)

 

 神野はアイコンタクトで妹に感謝をした。

 

『……だが、神野の兄は週末クラスメイトの女子に勉強を教えているが』

 

 それでも、異端審問会会長の須川は食い下がる。

 

「使い勝手のいい便利な家庭教師としか見ていないと思う」

 

 莉緒のバッサリとした発言に、神野への殺意は完全に消失した。

 

『…………悪い神野。俺が悪かった』

 

「分かってくれて嬉しいよ」

 

『では、妹さんの彼氏が誰なのか知っているのか?』

 

「同じ霜月大付属の高等部という所しか知らない」

 

 須川は莉緒の彼氏に粛清するために聞いたが、神野は素直に返した。

 妹の彼氏事情なんて、自分には関係ないのでスルーしていたのだ。

 

「後、莉緒は理想が高いから、彼氏を粛清しても相手にされないと思う。俺達の同級生でお眼鏡に適うのは久保君くらいだと」

 

『『『…………』』』

 

 久保の恋愛事情を知っている皆は色んな意味で沈黙した。

 

「そんな事よりも、仕事が滞って回転数が落ち始めているから、今は喫茶店に専念してくれ」

 

 雄二の発言に皆は持ち場に戻った。

 

 

「大輝、喫茶店は任せたよ」

 

「ああ、がんばるよ」

 

 明久と雄二は召喚大会3回戦の為に、抜けることになったのだ。

 

「雄二、次の対戦相手は誰なの?」

 

 明久は歩きながら、雄二に確認を取る。相変わらずの雄二任せである。

 

「対戦相手はAクラスの久保とDクラスの清水ペアだな」

 

 雄二はトーナメント表を明久に見せる。

 それを見た明久はみるみるうちに青ざめる。

 

「久保君じゃあ、勝ち目が無いよ!」

 

 流石に学年次席相手であることを知って弱気な発言をした。

 だが、それは仕方がない。

 先月のAクラス戦の一騎討ちで、明久は久保と一騎討ちをして完敗したのだから。

 

「安心しろ。作戦は考えてある。作戦は───」

 

 特設ステージまでの移動時間は、雄二の作戦内容を聞く時間で終わってしまった。

 

 

「それでは、3回戦を始めたいと思います。召喚してください」

 

「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

 4人の生徒の召喚獣が出現する。

 

『古典

 Aクラス 久保利光 386点 &

 Dクラス 清水美晴 126点』

 

 2人は典型的な文系であるので、かなりの点数だった。

 

『古典

 Fクラス 坂本雄二 228点 &

 Fクラス 吉井明久 67点』

 

 個々の点数では、明久・雄二ペアは久保・清水ペアに負けている。

 まともに戦えば勝ち目はないので、雄二は戦う前に揺さぶりをかける。

 

「清水、久保の参加目的は如月ハイランドのチケットか?」

 

「その通りですわ!チケットを手に入れて、お姉様と一緒に行って幸せになるためですわ!」

 

「うん。幸せになって欲しい人が僕にはいるんだ」

 

 雄二の質問に大体予想通りの回答を清水は力強く肯定し、久保は明久を一瞬だけ見て静かに答える。

 明久はぞくっと寒気がした。

 

「知っているか?あのチケットは未婚のカップルしか使えないってことを」

 

「そ、そんな……!じゃあ、僕たちが手に入れても無用の長物に……!」

 

 久保がそれを聞いて、ショックを覚えて戦意が目に見えて低下した。

 

「いえ!まだですわ!」

 

 しかし、それでも清水は挫けない。

 

「お姉様のあの控えめな胸でしたら、性別程度いくらでも誤魔化せますわ!」

 

「………そのひたむきな姿勢に敬意を表して、僕も頑張るよ」

 

 清水の檄に、久保は戦意を取り戻す。

 

「雄二!どうするのさ!戦意が下がらないじゃないか!」

 

「すまん、明久……。戦意が低下しなかったのは計算外だ」

 

 雄二は、思わず明久に謝罪する。

 異性のカップルしか使えないと知っても清水が諦めないのは流石の雄二も想定外だったのだ。

 

「───だから、違う作戦で行く。清水、明久がペアチケットで一緒に行こうとしている相手が誰だが知っているか?」

 

「お前じゃないですの?豚野郎」

 

「違う。明久が誘おうとしているのは、島田だ」

 

「ぶち殺しますわ」

 

 清水の凄く黒っぽいオーラに、明久は恐怖を覚えた。

 

「待つんだ清水さん!あれは雄二の嘘なんだ!」

 

「やはり、ここでお姉様をたぶらかす豚野郎を消す必要がありますね……」

 

「落ち着いて!仮に美波を誘っても断られるのがオチだよ!」

 

「ディア・マイ・ハニィィイイ──ッ!」

 

 清水は明久の呼びかけに応じることなく、召喚獣を操作して明久の召喚獣を襲わせる。

 

「久保君!相方が暴走しているよ!止めないと!」

 

 明久は清水を大人しくさせるため、久保に声をかける。

 

「ここで僕達が勝ったら、吉井君の幸せの邪魔をしてしまうことになる……。吉井君が勝ったら、僕は吉井君と島田さんが幸せになることを見ることになる……。僕はどうしたらいいんだ」

 

 久保は、雄二の嘘で完全にショートしていた。

 

「久保くーん。何とかしてって、ひぃぃぃい───」

 

 清水の召喚獣が一瞬で間合いに迫ったので、明久は召喚獣を操作させて回避に専念する。

 思わず助けを求めて、雄二を見る。

 すると、雄二の目が語り掛ける。

 

『キツイだろうが、清水を足止めしろ。俺は久保の方をやる』

 

 明久は雄二の作戦が読めた。清水の召喚獣が暴れまわっているが、それでも脅威なのは久保の方だ。

 だから、放心状態になっている内に、久保を仕留めるという方針なのだ。

 

「清水さん!美波とのデートを阻止したかったら、僕を倒すしかないよ!」

 

「ディア・マイ・ハニィィイイ───ッ!」

 

 明久の召喚獣は清水の執拗な攻撃から逃げて回っている間に、雄二の召喚獣は心あらずな久保の召喚獣を仕留めた。

 最後、2対1になった数の利を活かして、清水の召喚獣を撃破し、明久・雄二ペアは勝利した。  

 

 

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