カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする   作:Kicks

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第4問

文月学園では、特殊な試験方法と『試験召喚システム』と『試験召喚戦争』が導入されている。

 

特殊な試験方法とは、無制限の問題数を用意し、一時間の制限時間でテストの点数の上限がないルールを設けている。

その為、実力次第でどこまでも成績を伸ばすことができる。

 

『試験召喚システム』は、教師の立ち合いの下で行使が可能になるテストの点数に応じた強さを持つ『召喚獣』を召喚するシステムだ。

 

『試験召喚戦争』は、学力低下が問題になっている中、生徒の勉強に対するモチベーションを高めるために提案された召喚獣を用いたクラス単位の戦争である。

 

「無理だ」

 

「勝てるわけがない」

 

Fクラスでは、嘆きの声が流れる。それは仕方のない反応だ。

 

その戦争では、テストの点数が重要になっているが、AクラスとFクラスの点数では文字通り次元が違う。

 

「そんなことはない。俺が必ず勝たせて見せる。」

 

雄二はそれでも自信満々に宣言する。

 

「どこにそんな根拠が?」

 

「気が狂っているのか?」

 

懐疑的な言葉が教室中に飛び交う。

 

確かに、姫路の存在を知っていても勝てる勝負だとは誰も思えないだろう。

 

神野も、個人的な感情が入っているとはいえ、そう思っていたからこそBクラス狙いを提案したのだ。

 

「このクラスには試験召喚戦争で勝つことのできる要素が揃っているからだ。それを今から説明してやる」

 

雄二の発言にクラスの皆がざわめいた。

 

「おい、康太。姫路のスカートを覗いていないでこっちに来い」

  

「…………!!(ブンブン)」

 

「は、はわっ」

 

必死になって否定しながら、土屋は顔についた畳の跡を隠しながら壇上へと歩き出した。

 

あまりのスケベな行動に神野は思わず戦慄した。自分ならバレた時のことを考えて、そんなことはやれないからだ。

 

雄二が壇上に立った土屋の自己紹介を始めた。

 

「土屋康太。こいつがあの有名なムッツリーニだ。」

 

「…………!!(ブンブン)」

 

土屋もといムッツリーニの紹介を聞いて、神野はさっきの覗き行為にも合点がいった。

 

ムッツリーニは並外れたスケベ心の持ち主で、盗撮・盗聴に秀でていることに名を馳せている。

 

犯罪行為を見逃す必要はあるが、情報戦でかなり貢献できるだろう。

 

「姫路は説明する必要もないだろう。皆もその力はわかっているはずだ。」

 

「え?私ですか?」

 

「ああ、ウチの切り札だ。期待している。」

 

確かに、試召戦争で彼女ほど頼れる戦力はいないだろう。機会があれば、勉強を教えてもらおうと神野は思った。

 

「そうだった、俺達には姫路さんがいるんだった。」

 

「彼女ならAクラスにも負けない。」

 

「姫路さんにデートの申し込みをしよう。」

 

…せめてデート申し込みは彼女に勉強を教えてもらって仲を深めてからにしないかと神野は思った。

 

「木下秀吉だっている。」

 

「おお、演劇部の…」

 

「確か、木下優子の弟か…」

 

双子の姉である木下優子のことや演劇部のホープで確かに秀吉は有名である。

 

しかし、勉強のことでは話は聞かないから、なぜ勝てる要素になるのか神野は首を傾げていた。

 

「神野大輝もいる。」

 

「ああ、あの…」

 

「姫路さん程じゃないが、これは頼もしい…」

 

「でも、実際どうなんだ?あの一件があるし…」

 

賛否両論の考えを聞いて、神野は内心複雑に感じた。

 

「当然俺も全力を尽くす。」

 

「確かに何かやってくれそうな奴だ。」

 

「坂本は、神童とか呼ばれてなかったか?」

 

「実力がいる奴は何人かいるってことだよな!」

 

クラスの上がっている士気を神野は感じ取った。

 

「橘、お前は勉強のできる男は好きか?」

 

急に雄二から話題を振られた橘は驚きながらも、答えた。

 

「うん。ウチ、勉強できる方じゃないから、勉強できる人は尊敬しちゃう。」

 

これを聞いた男子生徒はモチベーションが上がった。

 

「おい、ここで勉強できる所を見せれば、橘と付き合えるじゃないか?」

 

「だが、Fクラスには成績のいい神野がいる。難しいのではないか?」

 

「いや、試召戦争のどさくさに紛れて神野を始末すれば…」

 

おい、そこは自分が活躍することを考えろよ、と神野は心の中でツッコミを入れた。

 

「皆、この設備は最低だろう?」

 

『そうだ!!』

 

「だが、裏を返せばもう俺たちに失うものはないだろう?」

 

『おう!』

 

「ならば、全員ペンを取れ!出陣の準備だ!」

 

『うおおー!』

 

クラスの雰囲気に圧倒され、女性陣も拳を作り挙げていた。 

 

「これより、明久にはDクラスへの宣戦布告の使者を任せることにする。無事に役目を果たせ!」

 

雄二からの代表としての指示が出た。

 

「下位勢力の宣戦布告の使者って大抵酷い目に遭うよね?」

 

明久は宣戦布告の使者に関する噂を指摘した。

 

「大丈夫だ。お前に危害を加えることは万に一つもない。騙されたと思って言ってみろ。」

 

「…わかったよ。それなら使者は僕がやるよ。」

 

「ああ、頼んだぞ。」

 

クラスメイトの拍手に送りだされ、明久はDクラスに向かって歩き始めた。

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