カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする   作:Kicks

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文月学園におけるクラス設備の奪取・奪還及び試召戦争のルールは原作と同じです。

尚、クラスの代表はクラスメイトの成績をリアルタイムで把握できることになっています。
(どうやって、代表がクラスメイトの成績を把握していたかは作中で触れられていないので)


第6問

「吉井!木下達がDクラスの連中と渡り廊下で交戦状態に入ったわよ!」

 

「吉井君、すぐに前線部隊の掩護に入ろ。個々の戦闘力じゃあ、Dクラスに敵わないし。」

 

明久たちと同じ部隊に配属された美波と橘が駆けてきた。

 

美少女二人並んで走っているのを見てると、美波の女性としての魅力がどこに欠けているのか明久はすぐに把握した。

 

「なるほど、胸か。」

 

「…この戦争が終わったら、背骨を折るわ。」

 

「セクハラ発言はやめてよね…。美波の顔が怖くなるし」

 

美波の顔つきが怖くなっていき、橘さんは美波の視線に怯えながら明久に注意する。

 

「そ、それより、試召戦争に集中しないと。」

 

中堅部隊の部隊長になっている明久は気を引き締めながら、前線部隊の戦場の様子を聞き取った。

 

「0点になった戦死者は補習!」

 

「て、鉄人!嫌だ!補習室は嫌なんだ!」

 

「黙れ!0点になった者は補習室で特別講義だ!試召戦争がいつ終わるかわからんが、その間にたっぷりと指導してやる!」

 

「た、頼む!見逃してくれ!あんなのはもはや拷問だ!」

 

「拷問?そんなことはしない。これは立派な教育だ。補習が終わった頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮金次郎といった理想的な生徒に仕立て上げてやろう。」

 

「お、鬼だ!誰か、助けて—イヤァァァ—(バタン、ガチャ)」

 

試召戦争の雰囲気を感じ取った明久は決断した。

 

「島田さん、橘さん。中堅部隊全員に通達しよう。」

 

「ん、何?作戦?何て伝えんの?」

 

明久は自分が戦死者を出さないように指示を出した。

 

「総員退却、と。」

 

「この意気地なし!」

 

美波は明久をパーではたいた。

 

「目を覚ましなさい、この馬鹿!あんたは部隊長でしょう!臆病風に吹かれてどうするのよ!」

 

美波が明久を叱咤している最中に、報告係がやって来た。

 

「島田、前線部隊が後退を開始したぞ!」

 

「総員退避よ。」

 

「さっきと言っていることが違う!」

 

橘さんが美波の掌返しに悲鳴を上げた。

 

「吉井、怜奈、中堅部隊は総員退避で問題ないわね?」

 

「美波、そんなことをしたら先攻部隊が全滅しちゃう!」

 

必死で中堅部隊隊長の明久と副官の美波を止めようとする橘。更に明久は橘に無茶な提案をしてきた。

 

「そんなに言うなら、橘さんだけ先攻部隊を掩護すれば?」

 

「ウチだけ掩護してもたかが知れてるよっ!」

 

止めようとする橘を見捨てて、明久と美波がFクラスに方向転換しようとすると、本陣のFクラスに配置されているはずのクラスメイトである横田君がいた。

 

「横田じゃない。どうしたの?」

 

「代表より伝令があります。」

 

横田が美波を確認すると、メモを見ながらハキハキとした声で告げる。

 

「逃げたら殺す。」

 

「全員突撃して、先攻部隊を掩護しろぉー!」

 

明久たちは、雄二に殺されないように戦場に向かって全力ダッシュをしていた。

すると、前方からこちらに向かって走ってくる秀吉を発見した。

 

「明久、援護に来てくれたんじゃな!」

 

「秀吉、大丈夫?」

 

「うむ。戦死は免れておるが、総合科目で戦ったので点数はかなり厳しい所まで削られてしまったわい。」

 

「そうなの?召喚獣の様子は?」

 

「かなりヘロヘロじゃな。これ以上の戦闘は無理じゃ。」

 

「そっか、それなら早く戻って補充試験を受けてこないと。」

 

「そうじゃな。全教科は無理じゃが、一・二教科でも受けてくるとしよう。」

 

言うや否や、秀吉達前線部隊がFクラスの教室に向かって走っていった。

 

「吉井、試召戦争のルールは覚えている?その科目の教師がいないと召喚できないからね!」

 

「わかっている!」

 

美波は、明久と一緒に走って戦場を確認した。見ると、二年生化学担当の五十嵐教諭と布施教諭が渡り廊下にいた。

 

「吉井、見て!Dクラスの奴ら、化学教師を引っ張って来たわね!」

 

秀吉が予定よりも早く引き返した理由は、Dクラスの生徒達が立会人を増やして一気に片をつけに来たからだ。

 

「島田さん、橘さん、化学に自信は?」

 

「全くなし。60点台常連よ。」

 

「ウチも、それくらい。」

 

「それなら、五十嵐先生と布施先生に近づかないように注意しながら学年主任の所に移動しよう。」

 

「わかったっ!」

 

明久たちは既に戦闘が行われている渡り廊下で目立たないように隅へ移動した。

 

「あ、そこにいるのはもしやFクラスの美波お姉さま!五十嵐先生、こっちに来て下さい!」

 

「くっ!ぬかったわ!」

 

Dクラスの一人である清水が美波を見つけたので、化学担当の五十嵐教諭を伴ってこちらにやって来た。それを見た明久は美波に指示を出した。

 

「よし、島田さん。ここは君に任せて僕は先を急ぐよ!」

 

「ちょっ…!普通逆じゃない?」

 

「ダメよ、吉井君!分断して動いたら各個撃破されちゃう!ここは3人がかりで倒さないと!」

 

「お姉様!逃がしません!」

 

「くっ!やるしかないってことね…!」

 

五十嵐教諭は10メートル以上離れてからゆっくりと美波の様子を窺っていた。

 

相手のDクラスの清水は既に召喚獣を呼び出していた。

 

逃げられないことを悟った美波と橘と明久は声を出す。

 

試獣召喚(サモン)

 

3人の呼び声に応えて3人の足元に幾何学的な魔方陣が現れる。

 

教師の立会の下にシステムが起動した証だ。そして、召喚獣が姿を見せる。

 

現れたのは、軍服姿で手にサーベルを持っている美波と改造学ランで木刀を持っている明久と西洋甲冑で両手槍を持っている橘の分身が現れた。

 

ただし、身長が80センチ程度でデフォルメされた姿だ。

 

相手の方もデフォルメされた自分の分身を従えている。向こうの獲物はローマ兵風のグラディウス(両手剣)ではあるが。

 

「お姉様に捨てられて以来、美春はこの日を一日千秋の想いで待っていました。」

 

「ちょっと!いい加減ウチのことは諦めてよ!」

 

「嫌です!お姉様はいつまでも美春のお姉様なんです!」

 

「来ないで!ウチは普通に男が好きなの!」

 

「嘘です!お姉様は美春のことを愛してるはずです!」

 

「このわからずや!」

 

試召戦争とは全く別の争いに思わず二人は固唾を飲んで見守った。

 

「行きます!お姉様!」

 

「はあぁぁ!」

 

「やあぁぁ!」

 

二人の気合が廊下に響く。

 

それぞれの召喚獣が武器を構えて、鍔迫り合いを始めた。

 

その頭上には参考として戦闘力である試験の点数が浮かび上がっていた。

 

『Dクラス 清水美春 94点 VS

 Fクラス 島田美波 53点 &

      橘怜奈  64点 &

      吉井明久 42点』  

 

「島田さん!加勢するよ!」

 

明久の召喚獣は鍔迫り合いしている清水の召喚獣の足に向けて、木刀を振る。

 

直撃した清水の召喚獣は体勢を崩して倒れこんだ。

 

その隙を狙って美波の召喚獣は清水の召喚獣にとどめを刺した。

 

「大丈夫?島田さん。」

 

「ええ、助かったわ、吉井。本当にありがとう。補習の西村先生、この危険人物を補習室へお願いします!」

 

「おお、清水か。たっぷりと勉強漬けにしてやるぞ。こっちに来い。」

 

召喚獣が止めを刺されて0点になったので、清水は補習室に連行されるようになった。

 

これが通常『戦死』という状態だ。

 

「お、お姉様!美春は諦めませんから!このまま無事に卒業できるなんて思わないで下さいね!」

 

清水はとても危険な捨て台詞を残して、補習室へと連行されていった。

 

「島田さん、お疲れ。この調子で3対1で敵を倒そう。」

 

「そうね、1対1だと厳しいけどこんな風に戦えばDクラス相手でも戦えるわね。点数の消耗も少ないし。」

 

自分の召喚獣の点数を確認する美波。

 

「ごめんなさい、美波。何もできなくて…。」

 

「いいって、怜奈。3人で一番点数高いから、次は頼りにしているわよ。」

 

申し訳なさそうにする怜奈を見て気にしてないと美波は返す。

 

「じゃあ、次は一人になっているのを狙うよ。二人とも気をつけて。」

 

『了解!』

 

明久たちは気合を入れて試召戦争に臨んだ。

 

 




オリジナル設定
総合科目で勝負して消耗すると、他の科目も均一で消耗してしまう。
また、総合科目で勝負すると単一科目よりも得点が高いため、一戦一戦が長期戦になることが多い。

Dクラス戦でなぜFクラス達が最初に総合科目で戦うようにした理由を考えたら、そういう設定じゃないかなって予想しました。原作では、そういうことは書かれませんでしたし。
(違っていたら教えてください)
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