カンニングの濡れ衣を着せられた秀才が試召戦争で大暴れする   作:Kicks

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第8問

「明久、よくやった。」

 

明久は教室に戻り、大きく消耗した化学のテストの補充試験を終えたら、雄二が晴れやかな笑顔で褒めてきた。

 

「校内放送、聞こえてきた?」

 

「ああ、ばっちりな?」

 

雄二の態度に苛立ち窓から突き落としてやりたい衝動に駆られながらも、明久はぐっとこらえた。

 

「雄二、須川君がどこにいるか知らない?」

 

真っ先に粛清を加えたい須川の所在を明久は確認してきた。

 

「もうすぐ戻ってくるんじゃないか?」

 

雄二の返答に、明久は胸が高鳴り、処刑用具の包丁と砂に詰めた靴下を握りしめていた。

 

「殺せる、今の僕なら殺れる(やれる)…!」

 

「殺るなっての。ちなみにだが、あの放送を指示したのは俺で、内容を編集したのは神野だ。」

 

明久はまずは雄二よりも楽に殺せそうな神野に標的を変えて、鋭く踏み込んでコンパクトに包丁を突き出した。

 

しかし、神野は事前に用意していた竹刀を構えて、明久の肘に打ち込んだ。剣道で培った小手打ちだ。

 

明久はあまりの痛さに包丁を取り落とし、うずくまる。

 

「…一応言っておくけど、これでも大分マイルドに編集した方だよ。」

 

「どこが!?」

 

危険教師である船越先生にデートの申し込みよりも酷い内容はあるはずないと明久は思った。

 

「じゃあ、編集前はどんな内容だったのさ!」

 

「…『生徒と教師の垣根を超えた、男と女の大事な話がある』だったよ。」

 

「雄二、貴様ぁぁああああ!」

 

明久は怒りの矛先を雄二に変わった。

 

「船越先生のアフターケアはちゃんと考えてあるから、今はDクラス戦に集中してほしい。そんな酷いことにはならないから」

 

「わかったよ。」

 

明久は渋々包丁と砂に詰めた靴下を下げた。

 

「馬鹿は放っておいて、Dクラス代表の平賀の首を取りに行くぞ!」

 

『おう!』

 

明久と神野は他のFクラスメンバーと一緒にDクラスに総攻撃を仕掛けようとしたら、下校中の他クラスの生徒たちを確認した。

 

雄二はそこで指示を出した。

 

「下校している連中にうまく溶け込め!取り囲んで多対一の状況を作るんだ!」

 

散々後方で待機していた神野は他のFクラスメンバーと一緒に参戦しようとすると、雄二に追加の指示が来た。

 

「神野はできればDクラスと戦う時は、数学と化学以外にしてくれ。」

 

「え?何で?」

 

神野は得意科目である数学と化学の教師を捕まえて、代表を打ち取ろうと考えていたからだ。

 

「次戦う予定のBクラス戦に支障があるんでな。」

 

「よくわからないけど、そういう理由なら従うよ。」

 

Bクラスの根本と因縁がある神野は下がる。根本への復讐はAクラスの設備入手と同じくらい渇望していたことだからだ。

 

「そっちから回り込め!俺はコイツに数学勝負を申し込む!」

 

「なら、俺は古典勝負で!」

 

Fクラスの皆はDクラスの連中を取り囲んでいた。下校中のどさくさに紛れて敵に近づき、取り囲んで討ち取るという作戦だ。。

 

「Dクラスの塚本を討ち取ったぞ!」

 

Fクラスの皆は大きな歓声が上がった。

 

「援護に来たぞ!もう大丈夫だ!皆、落ち着いて取り囲まないように周囲を見て動け!」

 

Dクラスの代表である平賀が本隊を連れて来たのだ。

 

「本隊の半分はFクラス代表坂本雄二を獲りに行け!他のメンバーは囲まれている奴を助けるんだ!」

 

『おおー!』

 

平賀の号令の下で、雄二の周りがDクラスメンバーで囲まれた。

 

雄二は自分の周りに本隊がいるからやられるのに時間がかかるが、長くは持たないだろう。

 

しかし、雄二は焦らずに指示を出す。

 

「Fクラスは全員一度撤退しろ!人ごみに紛れて攪乱するんだ!」

 

「逃がすな!追い詰めて討ち取るんだ!個人同士の戦いになれば負けない!」

 

Dクラスの本隊の人達も分散し、追討にかかった。その結果、平賀の防備が薄くなっている。

 

それを利用して、神野は近くにいる現国の竹内先生がいることを確認し、平賀に現国の勝負を申し込もうと動いた。

 

「竹内先生!Fクラスの神野が―」

 

「Dクラスの玉野美紀が受け持ちます、試獣召喚(サモン)

 

しかし、近衛部隊がやって来て、神野の奇襲を阻止した。

 

『Dクラス 玉野美紀 103点 VS

 Fクラス 神野大輝 182点』

 

「危なかった、もう少しで負ける所だったな。玉野さん、後は足止めに徹底して応援を待つんだ。」

 

「わかりました。」

 

玉野が神野を抑えている間に、他のDクラスの近衛部隊がワラワラとやってきた。

 

得点が高くない現国では、神野は逃げられないだろう。

 

「Fクラスが初日でEクラスではなくDクラスに宣戦布告した理由は、神野がいるからだろう。」

 

平賀はペラペラしゃべっていた。平賀は神野が一年の時に同じクラスだったので、振り分け試験の神野の状況も知っていたのだ。

 

「まあ、確かにそれはあるだろうね。」

 

神野はアッサリと肯定した。

 

「今回の登下校の生徒達に紛れての作戦は、神野の奇襲に懸けていたのだろう。残念だったな。この勝負、Dクラス(俺たち)の勝ちだ」

 

平賀は安心しきって、勝利宣言をした。

 

しかし、神野は悔しがらずに淡々と返した。

 

「姫路さん、後はよろしく。」

 

「は?」

 

平賀は何言っているんだ?と呆れた顔をしていた。

 

「あ、あの…」

 

姫路が申し訳ない顔をして、左手に鞄を持ち、右手で平賀の肩を叩いた。

 

「え?姫路さん。どうしたの?」

 

姫路は念のため雄二の指示で、旧校舎側の階段を降りて、2階の1年生教室を通り、渡り廊下の階段を登ってきた。

 

しかも、登下校中の人だとDクラスメンバーが勘違いするように自分の鞄を持って姫路はやって来たのだ。

 

平賀が騙されても仕方がない。

 

「Fクラスの姫路瑞樹です。Dクラスの平賀君に現代国語勝負を申し込みます。」

 

「…はあ、どうも。」

 

試獣召喚(サモン)です」

 

『Dクラス 平賀源二 129点 VS

 Fクラス 姫路瑞樹 339点』

 

「ご、ごめんなさい。」

 

姫路の召喚獣は背丈の倍はある大きな剣を持って、一撃でDクラス代表を下した。

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