リコリス・リコイル Brilliant Memories 作:ヤニカス
「まあー、後はたきなの知っている通り。真島が電波塔をどかーんってやって、私はリコリコに左遷されましたとさ」
千束の話を聞き終える。
すでに外には街灯が灯り、ビルの灯りが星々のように煌めいていた。
「なるほど……そんなことがあったのですね」
「うん。この季節になるとちょっと思い出すのよねえ……」
そういいながら、千束がセンチメンタルなため息をついた。
それを見たたきなは思わず抱きしめる。
「ちょっ!なんで?!」
「いえ……こうすると少し気分が変わるかなと思って……」
「そういうのいらないから! 恥ずかしいって! 皆んなも見てるって」
バタバタ暴れる千束にミズキは舌打ち混じりに言う。
「こらそこ、車の中でいちゃつくなっ」
千束は「はーい」と返事をしてしばらく抱きしめられていた。
しばらくして
「もう着くんじゃねーか?」
クルミの言葉にミカが答える。
「そろそろ見えてくるはずだよ」
窓から見える建物は確かにどこか見覚えがある風景だった。しかしたきなの記憶にある建物よりもだいぶ小さく見えた。
「どうしたの? たきな」
「いえ別に……ここは、お寺ですか?」
「そうそう。ここは彼岸花が有名なお寺でね、歴代のリコリス達が眠ってるの」
ミカたちは車を停めると、裏口に回りDAの関係者のみ入れる墓地へ向かった。
「綺麗、ですね」
思わずたきなは言葉をもらす。
そこにはライトアップされた小さな墓石。それを囲むように白、黄色、赤の彼岸花が一面に咲き誇っていた。
「そうだねえ……いつ来てもすっごく綺麗」
千束は何度も来たことがあるように言ってたきなの手を取る。
二人は一本一本の彼岸花を確認するように眺めていた。
「あっれ〜、誰か先に来てたのかな?」
線香台には、まだほのかに煙を上げる線香と新しい花束。それと気持ち程度のお菓子。
千束が「むむむー?」と首を傾げていると
「きっと楠木だろう」
横からミカが「あいつらしい」と呟く。
「あー、楠木さんか。てっきり私たちが一番乗りだと思ったけどね」
ミカが新しい線香を立て、千束は買ってきていたお菓子をお供えして手を合わせる。
「どうか歴代リコリス様なにとぞ結婚できますよにーっ!」
「おいミズキ。墓前でそんな恥ずかしいお願いするんじゃねーよ」
そう冷静に突っ込んだクルミも静かに手を合わせた。
それに倣ってたきなも手を合わせ、目を閉じる。
(どうか安らかに)
しばらくして目を開け、手を下ろす。
不思議と心が軽くなったような気がした。
「では……そろそろリコリコに帰ろうか」
「あ、先生。もうお供え物は持って帰ってもいいよね? 残しとくと勿体ないし」
「ああ、構わないだろう」
ミカたちが車に乗り込もうとする中、たきなが振り返り墓標に向かって言った。
「また来たいですね。今度は他のリコリスのみんなを連れてきしょう」
「いいねーそれ! フキとかサクラちゃんとか!」
二人は顔を見合わせて微笑み合う。
一瞬、風が吹いて彼岸花を揺らした。
『ありがとう』
「え? たきなさん、何か言いましたか?」
「はい?」
どこからか聞こえてきたような気がしたが、それは幻聴かもしれないし気のせいでもあったのかもしれない。
「おーい、置いてくぞ二人ともー」
「はい!」
「はーい!」
そして車は走り出す。
喫茶リコリコの物語はまだまだ続く。
という訳で終了です。
今回の物語はここまでですが、もし希望があれば新たなリコリス・リコイルの物語を描くかもです。(一応執筆中)
全13話、ご覧いただきありがとうございました。
皆様のリコリコ成分を少しでも補充出来ていたら幸いです。