アルフォンス・ポッター、マナ・シャーロックの二人はどうにかホグワーツに
来ることが出来た。下手したら不法侵入と勘違いされているはずだが、そうは
ならなかった理由がある。禁じられた森の出入り口付近にいる二人。
彼らに気付いた教師の一人が声を掛けて来た。
「やっぱり、貴方だったのですねポッター君」
おっとりした女性教師、占い術の教師であるダフネ・マティス。他にも幾人かの
教師が動いているらしい。
「そんな入り方をしたのなら、こちらが動くのも当然よ。さぁ、来て。
貴方たち二人の紹介をしないといけないからね」
学校側へ魔法省より連絡が来ていた。電話を掛けた相手はジークだった。
彼はすぐに異変を感じて、マナが遅れるであろうことを伝えていた。
ちなみに駅員に扮して彼女たちを嵌めた敵についていはジークと後から
駆け付けた闇祓いヒューゴ・マルフォイの活躍によって全員逮捕された。
「それはそれとして、ポッター君は後でも大丈夫だけどマナちゃんは
急がないと。校長にはどうにか組み分けを長引かせて貰えるようにお願い
しているけど、限界があるもの」
ある程度敷地を熟知しているダフネの後に続いて歩き続け、校内にやって来た。
広大な学校の内部に驚いてばかりだ。確かに全貌を知っている者がいないとまで
言われても不思議ではない。
「さぁ、二人共来てください。皆さん、今年から新しい学友と教授が増えます。
四年生、マナ・シャーロックさんと闇の魔術に対する防衛術の教授、
アルフォンス・ポッター先生です」
「ポッター!?」「じゃあ、ホントにあの人が…!?」
生徒たちが騒めき始めた。壮年の女性こそが今のホグワーツの学校長、
マグノリア・アーシェンバッハ。彼女は騒ぎ立てる生徒たちにただ一言
「静粛に」と告げて、鎮める。
「では、マナ。貴方の組み分けを始めます」
椅子に座らされるとマナに帽子を被せた。組み分け帽子だ。帽子は唸って
己が見出した彼女の思考や性質を話し出した。
「君はとても義理堅い。した約束を違えることは滅多にないだろう」
ホグワーツ創設者たちの考えが組み込まれた魔法の帽子。
「きっと周囲の人間の為ならば危険の伴うこともしてしまうだろう。
君には誠実なハッフルパフにも勇敢なグリフィンドールにも入る資格があるのだ。
ふむ…悩ましいな…だが決めた。―グリフィンドール!」
あたたかい拍手に包まれてグリフィンドールに迎え入れられた。寮だけでなく
闇が水面下を蝕みつつ子どもたちが魔法を学ぶこの学校にも。新任教師と
突然の転校生の存在はすぐに校外へ広まった。この話は現代の闇にも伝わる。
「校長先生?」
アルフォンスは小首を傾げた。マグノリアは平然とした様子を見せる。
一瞬の違和感を見抜けるのは彼ぐらいかもしれない。この短いやり取りは全ての
生徒が二人に背を向けている間に起こった。それを忘れてはいけない。
「やぁ、マナ。私は監督生ルイーザ・ロングボトムだ」
何処か宝塚を思わせる空気を纏っている女子生徒ルイーザはロングボトムと
名乗った。
「私の曽祖父もポッター先生の曽祖父と共に戦った魔法使いさ。私は末っ子だよ。
何かの縁かもしれないね」
他にも家系にハリー・ポッターと共に戦った魔法使いや魔女がいるという
現代人はいるようだ。闇祓いにはなんとマルフォイと言う名前の男がいるらしい。
ドラコ・マルフォイと彼の父ルシウスは闇と深く関わっていた。特に後者は
死喰い人として活動していた経歴がある。そんな一族の末裔が真逆の思想を持つ
仕事をしているとは。時代は流れ、人々の考えが変化したという証拠かもしれない。
マナは部屋に案内された。
「寂しいかもしれないが、申し訳ない」
「いいえ、ありがたく使わせていただきます」
「他の生徒の部屋にも誰かいるだろう。困ったら頼ると良い。勿論、私でも
構わないがね。もう夜だ。おやすみ、マナ」
「おやすみなさい、ルイーザさん」
今日はハプニングと出会いの連続だった。初めての事ばかりが起こっていた。
英雄とその仲間、両方の曾孫と出会った。ハリー・ポッターの曾孫は
闇祓いとして働き、そして今はホグワーツの教授になった。ネビル・ロングボトムの
曾孫は現在グリフィンドール生であり寮の監督生になった。他にもマナは
噂程度で知っているだけだがドラコ・マルフォイの曾孫は現在闇祓いとして
活躍している。他にもいるかもしれない。名前を上げるとすれば
ロン・ウィーズリーやハーマイオニー・グレンジャーなど。彼らより上の世代では
ニンファドーラ・トンクスやリーマス・ルーピンなどなど…。
いるかもしれない。姓は違えど片方の家系が…ということも。
ファッションではよく聞く話。流行は繰り返す。歴史も同じことを繰り返すだろう。
不吉な予言が保存されている。
黒髪の魔女と稲妻の傷の男、再び現れる闇を打ち破るだろう。
二人あるところに闇在り、闇あるところに二人在り。そんな運命をまだ知らない
当事者たち。否。片方は薄々この運命に気付いている。しかし片方は何も知らず
平和な学校生活が始まると思っている。
ここまで言えば分かるだろう。決して彼女は何事も無く学校を卒業することは
出来ないのだ、と。