怪物を刈る犯罪者。三途宮 刀牙。
殺人鬼として指名手配されている。
しかしそんな彼はどうも記憶喪失のようで...?

失敗の中の正解、ぼくの光合成に続く三作目。楽しんで。

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一人ぼっちの双子

「そろそろ移動するか...」

ボロボロの天井を見上げつぶやく。

俺は三途宮 刀牙。犯罪者...ってことになってるらしい。

あぁ..実はらしいっていうのには理由がある。俺は記憶喪失だ。

覚えているのは、名前、兄がいたということ、そして...怪物がいるということ。それを殺すのが使命ってことだ。

でも当然真っ昼間に動くとサツに捕まる。だから夜中に行動する。そろそろココもバレるだろう。次に行くのは...

そんな事を考えていると裏の情報網から情報が回ってきた。使えるものは使う、それが俺の信条だ。

それを読んでいると、ある一つの文言が目にとまった。

「獣みたいな服装の女警官と植物を操るガキ...?」

...なるほどな。次の移動先はコイツラがいるとこにしよう。

そう言いながら荷物をまとめた。

夜中、俺は動き出した。

右手にはフックショットを左手にはスモーク弾の入ったリボルバーを握って走り出した。

「いたぞ!刀牙だ!」

「げっ...もうこのあたりって絞られてたか...俺の感も鈍ったなぁっ!」

そう言ってスモーク弾の入った銃を向けて打った。

「煙!?どこに行った!」

サツ共が混乱してる間に私はフックショットで隣のビルの屋上へと登った。

「じゃぁなァァ!決めつけ野郎どもォ!」

俺はビルの上を駆けた。

道中で怪物を見つけた。近くには人がいるように見えた。そいつは見る限り身重の女に見えた。

「あのままだと...くそっ!」

屋上にいたほうがサツにもバレないで安心なのはわかっていた。でも俺はとっさにフックショットで下に降りてしまった。

「逃げろ!」

「刀牙...犯罪者の...」

「逃げろっつってんだよ!」

そこまで言うと女は逃げていった。そうだ。それでいい。

「さぁ...怪物さんよ。俺と仲良くしようぜ?」

返答なんて帰ってこない。当然そうだった。俺は少し怪物から距離を取ってリボルバーのシリンダーをベルトポーチに予め詰めていたシリンダーに入れ替えた。軽く撫でて回るのを確認し俺は怪物に銃を向けた。

「あばよ。」

銃の引き金を引く。弾丸は怪物の体を貫き、怪物は倒れた。また上に戻ろうとフックショットに玉を込めようとしたその時、俺の横の壁から蔦が伸びてきた。とっさに避けて後ろをむくと、幸か不幸か、探していたやつの片方がいた。

「おいおい...まじでいってんのか...」

「えぇ。まじです。」

 

そこにはサツの帽子を被り、蔦が出てきた方の壁に手を当てたガキが立っていた。

「陽香さんが到着するまで、動けないようにしますね。」

そうガキが言った頃には後ろに茎が伸びていて、上にはやけに頑丈そうなひまわりが咲き、下には根が生えていた。

「あなたが誰かわかりませんが、一緒にお話しませんか?」

ガキはそう言いながら近づいてきた。

「てめぇは俺が怖くないのかよ。」

「怖くないですね。ぼくにはお姉ちゃんがいますから。」

「それが理由か?見上げた姉弟愛だな。」

「ありがとうございます!」

「褒めてねぇよ。」

そう話しつつも、ガキは警戒を怠っていなかった。たとえ俺がここで怪しい動きを見せればあいつは即座に対応するだろう。

別に俺は人を殺したいわけじゃねぇ。だから銃を向けるわけにいかなかった。

ガキと話すこと数十分。ある程度情報が揃ってきた。

ここは俺が探してた街の隣町で、怪物っぽい目撃情報が届いたから移動していたようだ。

そしてこのガキは栗栖 創也とかいう小6のガキらしい。にしては決意が決まっている。どんな人生歩んでんだ。

んで、このガキは例外的に異能対策課に所属してるらしい、コイツラもまた怪物を殺すためにいろいろやってるみたいだ。

こいつはプラントの異能力者らしく、姉を守るために神無月 陽香ってやつと二人で怪物討伐に出向くこともある度胸決まりすぎてるやつらしい。どうなってんだ最近のガキは。

そんな情報の整理をしていると銀色の毛皮のコートに身を包んだ。左手には爪みたいなのがついた手袋をしている女が出てきた。こいつが陽香ってやつだろう。

「お、創也君お手柄だね。こいつ刀牙っていう犯罪者よ。」

「悪い人には見えないですけど。」

「まぁ俺は記憶喪失だからな。」

「...おやぁ...新情報に私頭が痛いんだけど、署で言ってほしかったな。」

「てめぇらの事情なんざ知るかよ。」

「とりあえずこいつ運ぶために車呼んだけどこの檻解いた瞬間逃げられちゃわない?」

「大丈夫です。そんな事は起きませんよ。」

そう言うとガキの後ろに真上を向いた2本のひまわりが咲く。その上には俺の持っていたフックショットと銃が乗っていた。

「おいおい...抜け目がねぇな...」

「なんというか...君が敵じゃなくてほんと良かったよ...」

「褒め言葉と受け取りますね。」

ガキは花を傾けて自身の手の上に乗せると、俺の持っていたものを女のサツにわたした。

「さぁて、ちょっと車来るまでお話しようか。君に聞きたい話何個かできたんだわ。」

「俺は逃げれねぇからな。聞いてやるよ。」

「まず記憶喪失ってところから...」

そんなこんなで俺はガキと女のサツに自分の残っている記憶のすべてを話した。それを聞いて、女のサツの方は俺に聞いてきやがった。

「そういえば、兄の名前ってわかるの?」

「そりゃぁ...」

そうやって言おうとすると、頭痛が走った。

今までに感じたことのない痛みだった。苦しい、辛い、痛い。ただそれだけに脳が支配された。

それからなんとか立ち直ると、女のサツが言った。

「どうやら...何かされてるっぽいね。」

「そうらしいな...」

「これって特級の面倒な案件なんじゃないですか?」

「そうだねぇ...全部の前提が崩れたからね。」

そんな話をしてるとサツの車が来た。

「来たみたいだね。」

車の扉が開く。するとまだ髪を整えきれてない嬢ちゃんがでてきた。たぶん起きてすぐなんだろう。

「陽香さん!また創也を連れ出したんですか!」

「姫乃ちゃん!今日は逆逆!」

「...創也ぁ?」

「ごめんなさい...お姉ちゃん...」

「...少なくとも大人何十人も使って捕まえれなかった俺を捕まえたんだからこのガキを少しは褒めてやりな。」

「それもそうですね...刀牙さんでしたっけ?ありがとうございます。」

そんな話をしていると後ろからもう一人出てきた。俺はそいつが出てきたとき少し身構えた。

「おっやぁ署長。珍しいですね。」

「そうだね...私が出るのはたしかに珍しいかもね...でも、私は呼ばれた気がしたから来たんだ。無理言って一緒に乗せてもらってね。」

「まぁこんだけ面倒な案件なんで署長は正直呼びたかったですね...実は...」

そんな感じで俺の情報が署長ってやつにも共有された。なんて面倒な。この署長とかいうやつはおそらくこの中で一番強い。この場の全員を一秒足らずで殺せるほどに。そんなやつに情報が回ったってだけで俺も頭が痛くなった。

「なるほどね...たしかに面倒だ。君は面倒な案件しか運んでこないねぇ。」

「いやぁ...ははは...」

「まぁいいよ。署に来てもらおうか。三途宮君。」

「どうせ拒否権はねぇからな...」

そう言ったらガキが檻を解いた。すると署長ってやつが近づいてきて俺に手錠をした。

そして俺らは車に乗って署に向かった。

 

そんなこんなでサツ共の巣窟の警察署についた。

どうせ俺は房に突っ込まれる...と、おもったんだがどうやら頭を抱えている。

「どうしたんだ?刑務所まで連行するんじゃねぇの?」

「ちぃと問題があってね...」

「君が記憶喪失ってことがわかったから...例外的にこっちに処置を求められたわけだ。君が怪物を狩っていたっていう事実も面倒でね。」

「なるほど、怪物の危険性はムショの奴らもわかってるわけか。」

「そういうこと。でも正確にわかってるわけじゃないから、どういう処置が良いかの判断を異能対策課に求められたってわけだ。」

そう言ってサツ共が悩んでいると。ガキが口を開いた。

「こういうのはどうですか?便宜上捕まえたことにして、実際は夜だけ行動する異能対策課の警官という扱いにするというのは。」

「ガキらしい発想だな。それは無...」

「んやぁ?ありかもしれないね。異能対策課のいるマンションはマスコミにすらバレてない。」

「は?どうやったらあのマスコミ共にバレねぇんだよ。俺ですらバレてんだぞ。」

「私もわかんないよ。でも署長がなにかしてるんじゃない?あの辺りいろいろ異能対策課関連の重要な建物だらけだし。」

「あそこは行った人全員に箝口令引いてるだけだけどまさかみんな守ってるなんてね。ちょっと待っていてね。私から市長に話してくるよ。」

そんなのでいいのかと思ったがまぁムショにぶち込まれるよりはマシだと思ってなにも考えないことにした。

少したって、陽香ってやつが署長に呼ばれて行った。帰ってきて、そいつは言った。

「署長が無理やり許可取ってきたよー。」

「署長さんもだいぶ強引ですよね...」

「そうだねお姉ちゃん...僕もそう思うよ...」

「...俺は頭の処理が追いついてない。」

あいつ...市長に直談判して許可取ってきた...?ありえねぇだろ...この短時間で...?

「とゆうわけで今日から君はここの異能対策課の警官だ!私がマンションに案内してあげよう!」

「お前...転換早くねぇか...?」

そんなわけで俺はなにがなんだかわからぬまま異能対策課の奴らのマンションに連行された。

 

そんな感じで連行されて一週間が経った。気づいたら俺はここでの生活にも慣れていた。マスコミ共に追われず、サツを恐れなくて良い。何より部屋は悪い環境ではなかった。

暮らしているうちになんでかしらんが仲のいいサツもできた。斎藤 和樹っていう男だ。陽香の上司らしい。今日も夜になったからやってきた。

「刀牙。酒持ってきたぞ」

「おう、ありがとな。今日はまだ酒盛りには少し早いし置いといてくれ。」

「そうだな。刀牙、ここには慣れたか?」

「まぁ流石に慣れたな...最初はサツに囲まれて生活なんかできるかって感じだったけどな。まぁ...一週間も経てばなれるわ。」

「最初は俺と話すのも身構えてたのにな。異能対策課の仕事も悪かないだろ?」

「まぁほとんど雑務だけどな。」

「言うなって!その雑務に意味があるんだから。」

「仕事してるときは一人称違うよな。」

「まぁね。流石にある程度は考えるさ。」

「俺と話すときはこんななのにな。」

「はっはっはっ!いうねぇ。」

そんな事を話しながら俺はある一つの疑問が湧いていた。

「そういえば、お前どうしてこんなに俺に絡むんだ?お前が絡み始めてからいろんなやつに絡まれるようになったんだ。」

「あーその話?それはね。俺とお前は同じ記憶喪失仲間ってことさ。」

「ん?てめぇも記憶喪失なのか?」

「あぁそうだね。実は俺は家族すらも覚えちゃいない。この名前ですら貰い物さ。」

「貰い物ってどういうことだ?」

「当時...高校生3年の卒業式終わりの春休みぐらいのときに署の前で名前が塗りつぶされた学生証を持ってたんだってさ。」

「名前が塗りつぶされた...?どういうことだ。」

「うーん。俺もわからん。でも名前がないと困るよなって今の署長がつけたのがこの斎藤 和樹って名前なのさ。」

「...なるほどな。お前も苦労してるんだな。」

「そうなんよ。だからお前も陽香みたいに厄介事しか運んでこないやつにはならないでおくれ。」

「善処しよう。」

そんな話をしていると、緊急事態のアラートが鳴った。

「アラートだ。行くぞ刀牙。お前の初仕事かもな。」

「そうなるかもな...」

そう言いながら走ってミーティングの部屋に向かうと署長と陽香と創也が待っていた。

「ガキ、お前のねぇちゃんどうした。」

「お姉ちゃんは寝てますね。」

「お前は夜ふかしか?」

「違いますよ!陽香さんに起こされたんです。」

そういうとみんなの視線が陽香にむいた。

「いやぁ...ハハハ。」

「...それに関しては後で問い詰めるとして、説明しよう。」

署長は話を続けた。

「怪物が見つかった。しかも同時に2箇所だ。誰が向かうか早めに決めなければならない。神無月君には栗栖君と合同で動いてもらう。その為斎藤君と三途宮君でもう一つの方を倒してもらう。」

「僕は了解しました。場所はどこですか?」

「神無月君たちは市街地の方だ。そして斎藤君たちは港の方に向かってもらう。」

「刀牙。俺が車は出すから安心しろ。」

「三途宮君。君の物はすべて返そう。頼んだぞ。」

「わぁったよ。ここは悪くねぇからな。手伝ってやる。」

そんなやり取りをして港へ向かった。

車の中で俺は斎藤に聞いた。

「そういえば、てめぇはなに使ってるんだ?」

「俺?刀だよ。ちょっと特殊な構造の超音波振動刀さ。これも研究所の産物なんよ。」

「異能対策課って研究所があるのかよ...」

「あ、言ってなかったね。うっかり...さぁ。怪物が見えたぞ。」

俺は車の窓から怪物に銃をうった。

「素晴らしいエイムだ。負けてらんないな。」

そう言いながら斎藤はすでに車から降りて怪物へを向かって走っていた。

「刀牙!くれぐれも俺に当てないでくれよ!」

そう言いながら斎藤は怪物の爪を弾いた。

「こいつは典型的なビースト種だな。ファンタジーだったらやばいと身構えたんだが。」

「そうっぽいな。でも油断は禁物だ。」

怪物を追い詰めると、怪物は距離を取ってきた。

「逃がすか!」

俺が銃を打とうとする。その時斎藤が叫んだ。

「危ない!」

怪物が爪をふる。するとその衝撃波が炎を帯びて飛んできた。このままでは避けれない。その時。

 

それはかき消された。

「こいつのこの機能は使いたくなかったんだがね...」

どうやら超音波振動を斬撃にして飛ばすとかいう信じられん芸当を俺は眼の前で見せられた。

「刀牙!怪物にトドメ刺してくれ!」

俺はその声にハッとして銃を向けて打った。弾丸は怪物を貫き、怪物は倒れた。

「ふぅ...危なかったな。」

「今のは何だ。」

「あぁそれはね。こいつの機能。馬鹿げてるでしょ?音波を衝撃波にして飛ばすとかいうアホよ。でも武器にめちゃ負担かかるからあんま使いたくないのよね。今回は壊れな...」

そう斎藤が言おうとすると、刀がパリンと砕けた。

「...まぁじか...また給料から天引きだ...」

「すまんなそんなもん使わせて。」

「いいよ別に。その代わり自棄酒は手伝ってもらおうか。」

「あぁ好きなだけ手伝ってやる。」

そう言いながら俺たちは砕けた刀の残骸を拾ってから車に戻った。なんだか、この生活も悪くねぇな。

今日もこの言葉で一日がおわった。

「乾杯。」




楽しめましたでしょうか?楽しめたなら幸いです。
ちょっと飽きかけてましたが、なんか帰ってきました。なんででしょうね。
続きが楽しみだったらすこーしの評価をしてくれると喜びます。
感想もよろしく。

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