呪具人間と呪霊 作:マーライオン
後日、導理は渋谷の某三桁ビルの前でコンビニのコーヒーを啜っていた。
道行く人はガッシリとしつつも甘いマスクと降ろした癖っ毛の神秘的な髪が似合っており、目を奪われていた。
しかも今日はカラーコンタクトを外しているからか、暗めな茶眼がよく似合っている。
「五条先生……遅いなぁ」
「ねぇ君、モデルに興味無いかな?」
「はぁ……電話してみるか?」
「ほら、そこのちょっと青っぽい髪の君」
「あ、俺すか」
「そうそう俺の君、どうモデルやってみない?」
スマホをいじり悩んでいると女性のスカウトが声を掛けてきた。
まぁ、彼女の体の動きや手荷物の少なさ、そして化粧の薄さから確実にモデルのスカウトではないと確信していた。
「すいません、ちょっと目茶苦茶イケメンさんと待ち合わせしてるんでスカウトするならそっちの方が良いですよ」
「っ!?」
「俺よりスッゲーイケメンなんでお姉さんみたいな企画系にゃピッタリっすよ」
「うっ!?」
「おまた〜♪」
「ほらあの人」
黒のカスタムワゴン車から呑気に出てきた五条を指差し、あっち行ってと暗に伝える導理。
だがその後に彼は頭を抱える羽目になった。
「へ〜この人が五条先生がスカウトした生徒なんだ」
「……凄く強いな」
「お、都会的なイケメンじゃん」
釣られて三人の美男美女が降りてきたのだ。
人の良さげな少年は身長はそこそこだが笑みが可愛らしい人に好かれるタイプ。
黒髪の少年はクールな印象を持つがそこに加えて洞察力が良いので然りげ無くファンクラブとかが出来てそうなタイプ。
最後の一人は女子なのだが、勝ち気な姉御という言葉が非常に似合う力強いタイプだ。
「どーもー、あれうちの子もしかしてナンパー!?
導理ってモテるんだね!」
「しばきますよ五条先生
AVの出演依頼ですよ」
「え?」
「は?」
「おい」
「えー導理何歳なの?」
「十四ッス」
それを聞き、スカウトどころか五条すらも固まってしまった。
いや、一応高校生かなと思いスカウトしたのに中学生だったのが問題なのだ。
四人は車のそばに行きコソコソと話し始めた。
「え?ちょっどうするの五条先生!
流石に中学生を高校に入れるって無理じゃん」
「流石に五条家の力使っても年齢は無理ですよ」
「うそ……アレが歳下とか教育次第でスパダリ行けんじゃん」
「あ、このコソコソ話し導理聞こえてるから」
「「「はぁ!?」」」
取り敢えずどうするかと考え、導理はスカウトを頭を下げて追い返し悩んでる面子を車に押し込んで近くの公園へと行くように運転手に頼むのだった。
「あ、伊知地さんお久しぶりです」
「お久しぶりです芦屋君
その後はどうですか?」
「あ〜……健康ではあるっすけどあのミニえもんが不味いからどうしよっかって感じっす」
「ミニえもんって名前なんですね彼」
「ッス」
運転手とのんびり話し、そして公園に着くと四人は凄い勢いで飛び出て何故かポーズを決めていた。
「俺は虎杖悠仁!
よろしくな導理!」
「あ〜……よろしく?」
悠仁のテンションの高さに戸惑いつつ一応返事はするのだが、これからどうなるかの方に気を取られていた。
「私は釘崎野薔薇よ
何でも質問してね」
「釘崎さんね、これ着てね」
そう言って導理は上着を野薔薇に掛け、伊知地に頼み暖かい飲み物を頼んだ。
「……へ?」
「あ〜……釘崎さんアレでしょ
ほら、あ〜ま〜その〜ね
手伝いほしいなら言ってね」
「何で分かる!?てかスパダリ属性持ち?」
「スパダリってのは解らないけど俺親居ないから家事は一応出来るよ
後、同級生がなんか辛いって言ってる日が有って暖かくしたら少し良くなるとか言ってたから、同じ匂いの釘崎さんにもそうしたら良いかなって……すいません」
「教育不要なスパダリじゃん
呪術界って五条先生とかみたいなクズしか居ないと思ってたのにめっちゃ良い子じゃん!?」
そんな話をしてると「え〜僕ってクズなの〜?」なんてひょうひょうと聞いてくる五条。
最低だ。
そして……
「伏黒恵……一応先輩だな」
「……似てる……」
「は?」
「いや此方の話し
伏黒先輩か、よろしく」
「……今からでも遅くない、あのクズと関わった記憶を消すんだ」
普通に先輩と返され、慌てて五条との記憶を消して生きろとと言うのだがそれに苦笑いの導理。
そんなに嫌われてるのかと思いながらも、やりたいことが有るから忘れませんよ先輩と言い微笑んで答えた。
「自己紹介は済んだね〜じゃあ任務に行こうか!」
「「「「は?」」」」
「うんうん、可愛い後輩との交流とかアオハルじゃん〜
更に先輩の頼もしさを見せてやろうね〜」
「ふ」
「ふざけ」
「ふざけんじゃねー!」
「ま、いっか」
完全オフと聞いていた三人は突然の任務に怒り、導理は大して気にしてない様子と、態度の温度差に風邪を引いてしまいそうな程だ。
車で三十分。
違う区の廃墟に着くと五条は手を叩き楽しそうに四人を降ろした。
「今日は二人一組で行ってもらいまーす」
「クズ野郎〜」
「そりゃ無いっしょ」
「虎杖、釘崎、諦めろ
あの人はこんなクズなんだよ」
「あ〜……釘崎さんには俺か伏黒先輩でお願いしますね
虎杖さんには……念の為先生で」
「あら?導理はもう解ったの?」
そう言われ軽く頷き、カラーコンタクトを入れた目で三人を見た。
実力はこの三人の中では恵が一番高く、不調の野薔薇には自分か恵。
もしくは二人が着いたほうが安全だ。
対して悠仁は不穏な気配がするも実力はまだまだ、確実性を求めて五条との同行を提案したのだ。
「観察力凄いね〜」
「ま、それは良いとして皆さん後ろ向いてて」
四人は頭にクエスチョンマークを浮かべるが言われた通りに後ろを向く。
そして聞こえる辛そうな嘔吐音、息切れしている導理に心配をしてしまう三人。
「ミニえもん、準備は良いな」
「―――」
「よ〜しいい子だ」
「え?」
「一体何を?」
「……昔さ、僕が戦った奴に胃に収納能力を持つ呪霊を入れてた男が居たんだ
導理はそれと同じで胃の中に入れてるんじゃないかな
それを吐くのが辛いから見ないでほしいって言ったんだよ多分」
それを聞き、何とも言えない表情の三人なのだがそれ以上にいつもと違う表情の五条に困惑が隠せない。
導理は刀を一本取り出すと班分けをどうするかと言い、四人の初任務は開始するのだった。
断食工
刀状の三級呪具
呪力の込められた刀で呪霊を祓える力がある程度。
刃渡り八十四センチ、刃の紋様は水面の波紋の様に円が描かれている