呪具人間と呪霊   作:マーライオン

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四話目です


料理

 

戦闘が終了し、伊地知が帳を消すと四人は軽く身だしなみを整えて近くのスーパーへと向かった。

それを何処か嬉しそうに見ている伊地知と五条。

 

「仲良く出来そうですね」

 

「いやぁ良かった良かった、ところでアレは?」

 

「コレです」

 

そう言われ手渡されるホチキス止めの書類複数枚を受け取り、五条は車内に戻ってペラペラと捲っていく。

 

「芦屋導理 推定十四歳

両親は不明、幼い時に死亡したと思われる

精神的苦痛により過去の記憶が曖昧であり唯一覚えてるのはかつて助けてくれた人の事のみ

学校には市からの支援により通って『いた』?」

 

「はい、調べるとどうしてもそこだけが曖昧にされてまして……」

 

「何か臭うね……ところでこの助けてくれた人って言うのは?」

 

「えっと……確か黒髪の大男でかなりの筋肉質

口元に傷がある、そうです」

 

「はぁ……あのクソ野郎とまた関わるなんて嫌だな〜オェー」

 

「五条さん、素が出てますよ」

 

そう言われると溜め息を吐き、不機嫌そうに足を組む。

 

「確か天与の暴君……でしたよね」

 

「まぁね……」

 

五条の脳内にはかつて戦った天与の暴君なる男との記憶が思い出される。

一度は敗北し殺され、そして親友も敗北し守るべき女の子さえ殺されてしまった。

その後に蘇った五条に殺されはしたが、結局奴の呪いのせいで親友とは袂を分かち五条達はそれぞれ壁が出来てしまった。

 

まったく……

 

「神様ってのは僕が嫌いなの?」

 

「ははは……」

 

寧ろ神様だけじゃなくて五条さんは皆から嫌われてますよ、そうは思うが口にはしない伊知地を見て「後でマジビンタな」と告げる。

 

「ただいま〜」

 

「凄い量だね」

 

「皆のリクエスト聞いてたらいつの間にか……後、明日の朝食とかも含めてです」

 

それを聞き、上機嫌な五条と心なしか嬉しそうな恵。

「都会の男スゲー」なんて言って感心してる野薔薇と、大量の買い物袋(マイバッグ)を苦も無く持ってる姿に感心してる悠仁と、全員反応が違って伊知地は微笑ましく見ていた。

そこから車で少し、何もなさそうな山に到着し四人が迷い無く歩く姿に疑問を持っている導理。

それを見て、少し嬉しそうな伊知地。

 

「東京都立呪術高等専門学校、通称高専は普段は見えなくする結界の中に存在して表向きは仏教系のミッション高校とされてます

安心して進んでください」

 

「いや、そっちは音と匂いであるのは解るんですけど……伊知地さんは来ないのかなって思って」

 

「…………え?」

 

「来ないんですか?」

 

あまりにも意外すぎて驚いてしまう。

伊知地を筆頭に彼等補助監督はあくまでもサポートだけであり、冷たい言い方だがそれだけの関係なのだ。

それなのに導理はそれをやすやすと越えて一緒に食事をしようと言ってくれた。

呪術師として例外、更にその心につい嬉しくなり涙が出そうになるがそこだけは堪えた。

 

「ごめんなさい芦屋君、まだ仕事があるので参加は出来ないのです」

 

「なら弁当にしておきますね」

 

その言葉に涙を無理矢理止め、微笑みで返す。

神様、何故あなたはこんな優しい子を巻き込むのですかと皮肉をこめてだ。

 

「は〜い、グッドルッキングガイ五条先生主導の導理はスパダリ?それとも独身男?会を始めま〜す」

 

「ウザ」

 

寮らしい古く程々な厨房に案内されると何故かイベント扱いで周りを巻き込むクソ野郎。

付き合ってるのは白衣と長髪のダウナーな美人だ。

 

「えっと……ごめんなさい」

 

「気にしないで、あのクズは昔からだ」

 

「そうなんですか?」

 

「まぁね……てかそれ何?」  

 

導理の手のマグカップに疑問を懐く女性。

こう、面と向かって聞かれるのは恥ずかしいのか少し照れてしまう。  

 

「はちみつ生姜湯です

その……隈が凄いのでお医者さんって忙しいのかなって……せめて少し休んでほしくて」

 

「家入硝子よ、お医者さんなんて他人行儀はいらないよ」

 

美人相手だからかドギマギとしながらドリンクを渡し、気合を入れて先輩のリクエストを作る。

 

まずは調味液だ。

ベースは醤油だが今回は白と濃い口のブレンド。

ニンニクは少な目でしょうがは多めのさっぱりとした味わいをイメージ。

そして隠し味として少しの辛味のためにコチュジャンを入れて溶けるまで混ぜる。 

それが完成したら豚肉をほぐしながらジップロックに入れて調味液は最後に。

そして数分寝かせてる間に他の調理を。

 

流れる様な動きに目を奪われ、いつの間にか出来ていた料理に喉を鳴らす男衆と感心してる女性陣。 

ちなみにリクエストは恵は生姜の効いた物で悠仁はガッツリと。

そして野薔薇はお洒落にとそれなりに難題だった。

なのでメインは豚の生姜焼きだが盛り付けは千切りのキャベツに巻くようにし、天辺にプチトマトを置いて芸術作品をイメージした作りにしてみた。

そして悠仁の皿だけにマヨネーズを円を描くように描け、まさに男子学生のメシにした。

 

「良い匂いだ」

 

「美味そう!」

 

メニューは生姜焼きをメインに、味噌汁と小鉢の定食だ。

シンプルではあるが匂いが良く、食欲を唆る。

 

「リクエスト聞いて生姜焼きって言われた時は心配だったけど……やるじゃん」

 

「へぇ……良いね」

 

皆からまずは高評価。

一口齧ると生姜と醤油の強い香り、そして隠し味の辛味が米を誘う

特に悠仁のはマヨネーズもかけているので米に合う濃い口なので、男子学生らしいガッツキ方に嬉しくなってしまう。

 

そして副菜のひじきとごぼうと人参の細切りの和物は薄い味付けが口休めにピッタリだ。

 

味噌汁も強い味わいでなく出汁がほのかに香る薄味なので悪く無い。

 

「うめー!」

 

「旨いな」

 

「うん、コレ良いじゃん」

 

「導理の料理美味しいね~♪」

 

皆から高評価なのを確認すると最後の仕込みの確認をし、大丈夫と判断すると自分も食べ始める。

 

「うん普通!」

 

「普通なの!?」

 

「何でか知らないんですけど……俺、自分の作った飯を旨いとは感じないんですよね」

 

「何でかな?」と悠仁の質問に軽く返すと、それに答えてくれたのは意外にも五条だった。

 

「多分だけど自分で作ったから味の予想がつくからじゃない?

ほら、感動とか驚きとか無いじゃん」

 

「成る程〜」

 

その姿に驚愕してる三人。

野薔薇、恵、家入だ。

 

「マトモに教師出来たのね」

 

「普段からマトモにしろよ」 

 

「意外……」

 

「皆、僕のことどう思ってるの!?」

 

「「「クズ」」」

 

「うわ……」

 

三人の評価に傷付いたフリをするがバレバレなので更に厳しい言葉を吐かれる。

そんな賑やかな食卓を背に、デザートを切り分け配るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに余談だが、ちゃんと伊知地用の弁当も作り渡したのだが何故居場所がわかったのかを訪ねたところ「匂いです」と言われ、フィジカルギフテッドの凄さを学ぶのだった。




芦屋導理
五条曰く「縛りで捨てた呪力量が多いからあのゴリラより身体能力は高いかもね~ただ戦術とかその他諸々はかなり劣るから奴よりは弱いね」との事

義眼盤
カラーコンタクト状の呪具
呪霊を見えるようにする程度の能力
等級は三級
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