呪具人間と呪霊 作:マーライオン
アレから数日、色々と手続きを行い転校という名目で呪術中等専門学校の生徒という扱いで此方側に来た導理。
とは言えそんなのは実在しないので基本的には高専一年生扱いだが。
そして早くもクラスに溶け込む姿に、青春だね〜と言っている五条。
ちなみに制服は昨日届いた。
余談だが高専の制服はオンリーワンになりがちだ。
理由としてはそれぞれが自分好みに作ってもらっており、悠仁で言えば学ランの上にパーカーを着けているなどだ。
導理のは短ランと普通のズボンと言うちょっとヤンチャ感の有る作りで、これを見て一瞬動揺したクソ目隠しが居たとかなんとか。
「そんな感じで術式を見極めるのが対呪詛師戦の基本だね♪」
「術式?」
「術式については〜はい悠仁君、説明してご覧なさい」
「お、俺!?
え〜っと術式ってのは基本的に一人一つで色々出来る凄いのなんだよ」
そう言われ何とか使えそうな部分だけを抽出し、理解しようと努力する導理。
ちなみに野薔薇と恵はその変な答えに呆れ、もう少し勉強しろよなんてボヤいていた。
「それじゃダメだね〜仕方無いからグレートティーチャー五条先生が解説しよう
正式名称は生得術式
呪力を流して発動する特殊能力の事で通称、術式と呼ばれてるんだ
呪力は「電気」、術式は電気を流して使用する「家電」
術師は自身の術式に呪いの元である呪力を流し指向性を与え、様々な異能を発揮する
当〜然呪力が枯渇すると術式の発動は不可能になるからね~
術式は一人もしくは呪霊一体につき、一つが原則!
基本的に術式は生まれながらに身体に刻まれているものである為、術式を持たずに生まれた者はいくら呪力を持とうとも限られた能力しか発揮できず、また術式を持って生まれた者でも途中で術式を変える事はできない
その為に呪術師の実力はほぼ生まれながらに持った才能となる、だよ♪」
導理と悠仁は二人して「「おぉ〜」」なんて納得しているが、呪術師としては常識中の常識なので二人は呆れていた。
まぁ、悠仁は今年に入って呪術界に入ったし導理は導理で呪力が無いしほぼ我流で戦ってたのでそこら辺が無いのは仕方ないのだが。
「釘崎さんのはあの丑の刻まいりだとして伏黒先輩のは何なんすか?」
「俺のは十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)、細かいのは追々説明する」
「じゃあ悠仁は?」
「俺は〜無いかな」
先の説明で無い人は無いと理解し、少し申し訳ない気持になってしまうがそもそも悠仁自体がかなり異質なので別に気にはしていない。
ちなみに呼び方が変わってるのは夕食後に悠仁で良いよと言われ今に至る。
「うんうん、じゃあ次は術式の開示と反転術式について〜……導理!」
「えっと……」
指名されしどろもどろしながらも答えていく。
ちなみに前話で出てきた家入は反転術式の名手であり基本的に高専の医療を一手に担っているのだ。
それから聞いた反転術式の基礎、そしてたま〜に真面目な話をする五条の情報を繋ぎ合わせ発言した。
「術式の開示とは、自分の能力を敵に知らすという縛りの元に出力を上げる行為です
俺のような天与呪縛にも効果があり、俺の場合は呪力が無い事、身体能力が高いことを伝えるのが重要です
えっと反転術式は……負の力(マイナスのエネルギー)である呪力同士を合わせて正の力(プラスのエネルギー)にして傷を治す術式です
たしか他人に反転術式を掛けられるのはごく一部だけであり今のところ家入先生、二年の乙骨先輩が使えるそうです」
「うんうん、要点を抑えた良い回答だねチューしてあげる」
「止めてください、セクハラで訴えますよ」
「も〜ノリが悪いな〜」
そんな風に軽い感じで授業をしていると突然ドアが開き、一人の輩が現れた。
刈上げ頭でアゴヒゲを蓄え、サングラスを掛けた強面の男性だ。
ましてやガタイの良さにサングラスと、三百六十度何処をどう見ても輩だ。
それかガッデムと言うヒールレスラーにしか見えない。
「芦屋、悟、仕事だ」
「えー、今授業中なのに〜」
「至急だ、文句を言うな」
ちなみにこの男の名は夜蛾正道。
ここ、東京都立呪術高等専門学校の学長であり見た目とは全く違い非常に人間として出来ているのだ。
ちなみに可愛いを作る可愛い職人であり、曲がかなり強い。
「それと芦屋、ついてこい」
「?はい」
夜蛾に連れられ校内を歩いていると、少し恥ずかしそうに口を開いた。
なんていうのか……息子の様子が気になる不器用な父みたいだ。
「あ〜どうだ芦屋、仲良く出来てるか?」
「?はい、伏黒先輩も悠仁も釘崎さんも良い人ですし
ただ他の先輩方とは会ったこと無いから楽しみ半分おっかなびっくり半分って感じです」
「そうか……三年の二人には気を付けろよ
あと二年のは……そうだな、芦屋と同じ天与呪縛持ちが居るから仲良く出来るかもな
それと俺の子供が居るから仲良くしてくれ」
「へ〜」
「っと着いたな」
案内されたのは古い小屋だった。
夜蛾は導理に呪具を全て出せと言い、全て受け取ると義眼盤のみを手渡して小屋を開いた。
見渡す限り大量の呪具、呪具、呪具。
これには驚きだ。
「夜蛾学長?」
「芦屋……今後厳しい任務が増えるだろう
それを加味して高専保管の呪具の貸し出しを決定したんだ
一応貴重な品だから担保としてお前の呪具を預かるがこの中の呪具は好きに持っていってくれ」
「良いんですか!?」
「あぁ……せめてもの気持ちだと思ってくれ」
そう言われると嬉しそうに呪具の探索を始めるが、とある物に目を奪われた。
ただの鎖に見えるのだが、これも立派な呪具だ。
等級は最上級である特級のそれに呼ばれるように手にすると、そばにおいてあった刀と変わった形の小太刀を手にした。
「っ!?」
「後……コレとコレです」
「そ、そうか……中々に良いチョイスだな
だが扱えるのか?」
「武器の扱いは一通りは我流ですが出来ます
後は感とノリですね」
「……解った、なら呪具の説明をしよう
その鎖は特級呪具『万里ノ鎖』だ
端さえ見せなければ延々と伸び続ける鎖なので補助として使われる物だな
短刀は特級呪具『天逆鉾』、切った相手の術式を無効化出来る便利な物だ
刀の方は特級呪具『釈魂刀』、魂を斬る刀だから魂を見る目が有れば防御無視の業物だな
その棍は一級呪具の『帝釈天』だ
特殊な力は無いが呪力の塊なので殴る為に使うだけでもかなりの力だな
最後のメリケンみたいなそれは一級呪具の『瑠璃華』だ
そいつは殴る度に相手の体力を奪う物だから対人戦向きの呪具だな」
一通り説明を受けるとそれをミニえもんに詰め込み、丸めて飲み込んだ。
吐き気を催す味だが気にする必要はない。
「ありがとうございます夜蛾学長」
「……応、頼むぞ」
「はい」
保管庫から出ると体を軽く解し、全速力で現場へと向かう。
その姿を見て「男のフィジカルギフテッドはああなのか」と少し呆れるのだった。
二人が出動した後、夜蛾は医務室へと足を運んでいた。
中には家入一人なのだが意外な来客に少し驚いていた。
「どうしたの夜蛾セン?」
「懐かしい呼び方だな硝子」
「で、さっさと本題言ってよ
此方は暇じゃ無いんだしさ」
全くもって敬意を払わない姿に呆れるやら安心するやら、夜蛾は苦笑いを一つ浮かべて話しだした。
「悟が連れてきたフィジカルギフテッドが居ただろう」
「芦屋ね」
「あぁ、アイツの為に保管庫の呪具の使用許可を出したんだが……選んだのはアノ呪具だ」
「…………………」
「天逆鉾に万里ノ鎖、釈魂刀だ」
それを聞き溜め息を一つ。
何か思うところが有るようだ。
「憧れで選ぶとは思えない
もしかしたらこれが運命なのかもな」
「ふん……ったく、因果ね」
「全くだ」
二人は暗い雰囲気のまま解散し、各々の仕事へ戻るのだった。
天逆鉾
この作品では五条が回収後に夜蛾へ処理を頼んだ
だが数少ない特級呪具なので上から待ったがかかり、東京校で厳重保管という形に落ち着く