異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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113 ギルド神殿

 

 

 

 

 

クーラタル

商人ギルド

 

 

 

 

 

 商人ギルドへ移動し、いつものように受付のギルド職員へルークを呼ぶように告げると、程なくしてイケメン防具商人が現れた。

 

「お忙しいところお呼び立てして申し訳ありません。こんなに早くお越しいただけるとは思いませんでした」

「たまたまこの時間に自宅で過ごしていたのでな」

「そうでしたか。こちらとしてもタイミングがよく本当に助かりました」

 

 彼の顔にはホッとしたような表情が浮かんでおり、ガチで安心している様子がうかがえる。

 ますます用件が気になるぞ。一体何の話だろうか?

 

「アユム様。それでは商談室へご案内いたします」

 

 ルークの後ろについてギルド内を移動する。

 

 

 

 いつもの部屋へ入るとソファーを勧められ腰を下ろした。

 

「これから行う話に関係する者を呼んでまいりますので、少々お待ちください」

 

 そう言い残し、彼は部屋を出て行く。

 

 別の人物が関係するのか……。マジでどんな用件なんだ?

 

 おっと。これからスキル結晶を買い取るんだ。MP回復速度二十倍を三割引に替えておこう。

 

 

 

 振り分けを済ませ、今日購入するスキル結晶の融合について思索に耽っていると、ルークが男を伴い部屋へ戻ってくる。

 

「アユム様、お待たせいたしました」

 

 鑑定を使ってみたところ、レベル8の武器商人だ。

 ヒョロッとしているが、どこか育ちの良さが感じられる。

 もしかしたら金持ちのボンボンなのかもしれない。

 

 

 

 彼らがソファーに腰かけ、一頻り挨拶を交わしたところで話を切り出す。

 

「それで、用件というのはそちらに関係することなのだろうか?」

「はい。まずは私の方から説明させていただきます」

 

 尋ねたところ、ルークが口を開いた。

 

「しばらく前からアユム様のご依頼を受け、ヤギとはさみ式食虫植物、それからコボルトの代理入札を行ってまいりました」

「うむ」

 

 とはいっても、ヤギもはさみ式食虫植物も、十七日近く音沙汰がなかったけどな。

 おうおう。ルークさんよう。どうなってるんだ?

 

「ご依頼の上限額が高かったこともあり、順調に落札できていたのですが、前々回辺りから彼に上をいかれ、落札に失敗しております。また、コボルトについても大幅に落札金額が上がってしまいました」

 

 あれ? これ、原作で起こっていた、公女の嫁入りに伴うスキル結晶の買い占めか?

 こいつは、談合で聖槍を落札した武器商人?

 

「そうだったのか」

「はい。そして、先日ご依頼をお受けした鳥のスキル結晶が本日出品されたのです。滅多に出品されない貴重なスキル結晶がまさかこんなタイミングで出品されるとは。アユム様の豪運に私も驚嘆いたしました」

 

 イェス! イェス! ナイスセリー! グッジョブセリー!

 彼女が鳥のスキル結晶の知識を持っていなければ、この段階で買いを出すことはなかっただろう。

 さすがセリー! かわいい上に超有能だ!

 

「そして、激しく競り掛けられましたが、設定された上限金額がかなりのものだったため、無事に落札することができました」

 

 よかったー! 高めに設定してて本当によかったー! あっぶねー!

 

「ありがとう。さすがルークだ。良い仕事をしてくれた」

「いえいえ。そのようなことは」

 

 感謝を述べると、彼はクールな笑みを浮かべながら言葉を返す。ルークだけに。

 

 くっそー。悔しいがキマってやがる。

 

 

 

「そして、ここからがアユム様をお呼び立てすることになった理由となるのですが、オークション終了後、彼から声を掛けられました」

 

 ルークが目を遣ると、男は続きを話し出した。

 

「少し前から、ヤギとはさみ式食虫植物、そしてコボルトのスキル結晶の入札を巡り、ルークと競り合っておりました。私の方にもそれらのスキル結晶を必要としている理由があるのです」

 

 本家の嫡男が公女を娶るのであろう。このアユムの目はすべてを見通しておる。皆まで申すな。

 

「いずれ広まることですからお話ししますが、実は近々本家の嫡男に魔法使いである公女をお迎えすることとなりました」

 

 やっぱり! やっぱりお前だったのか!

 

「ほう。それはめでたいことだ」

「ありがとうございます。魔法使いを迎えるにあたっては、MP吸収のスキルが付いた武器を用意するしきたりがあります。また、迷宮攻略を目指すためには知力二倍の付いた武器も必要となるでしょう。そのため、本家に命じられそれらの入札を行っていたのです」

 

 ふむ。早い話、俺に引けと言っているわけだな?

 

 すると、ルークがフォローするように口を挟んだ。

 

「実は今回入手できたスキル結晶の内、コボルト二つとヤギ、それからはさみ式食虫植物は彼に譲ってもらった物なのです。そのかわり、彼が成功するまでは入札を控えたいのですがいかがでしょうか?」

 

 こいつ……。許可も得ずに勝手なことをしてんなぁ。

 でも、突っぱねたところで、こちらの上限額を超えて入札されるだろうことは目に見えている。

 なら、余計な恨みを買わないよう、引いておくべきか。

 それに、ヤギとはさみ式食虫植物については今回で十分な数を確保できる。ボチボチ頃合いだろう。

 

「うむ。問題ない。ヤギとはさみ式食虫植物は今回で取り下げよう」

「ありがとうございます。これで落札価格が抑えられます」

 

 俺の言葉を聞いて、武器商人はホッとしたような表情を浮かべ礼を述べた。

 

「鳥のスキル結晶はいいのか?」

「それについては滅多に出品される品ではないですし、高額で依頼を出しているそちらも引くことはないでしょう。私の方はヤギで十分です」

 

 まあ、それでいいなら俺の方に否やはない。

 

「しかし、コボルトについては俺の方でも必要としているのだが。どうしたものか……」

 

 他のスキル結晶と違い、コボルトは常に使用するからなぁ。

 すべて持っていかれるのは厳しいぞ。

 

 すると、再びルークが提案を行う。

 

「そちらについてはオークション前に調整を行います。彼が必要ない場合はこちらで落札いたしますので問題ありません」

 

 男の方を見ると、あらかじめ話は付いていたのだろう。目を合わせて頷いた。

 うん。なら問題ないか。

 

 ……しかし、これで俺も不正入札に手を染めることになっちまったなぁ。

 だが、この世界には警察も公正取引委員会もないし、仲買人が盗賊になっている様子もない。これらは犯罪と見做されないのだろう。気にする必要はなさそうだ。

 

「うむ。では、そのように頼む」

「ありがとうございます。それでは、融合に成功しましたらお知らせいたしますので、それまではどうかよろしくお願いいたします」

 

 一度頭を下げてから手を差し出してきたので、握手を交わす。

 でもあんた、これからとんでもない量のスキル結晶を溶かすことになるぞ?

 忠告するわけにはいかないけどさ。

 

「それでは、私はこれで失礼いたします」

 

 あ、待てよ?

 確かウェブ版では、こいつからハイコボルトのモンスターカードとダマスカスステッキを手に入れていたよな?

 今も持っているんだろうか?

 

「ちょっと待ってくれ。いま調整した三つ以外のスキル結晶は持っていないか? それに、余っている装備品があるのなら、購入させてもらえるとありがたい」

 

 踵を返そうとしていた男は、再びこちらへ体を向けると口を開いた。

 

「スキル結晶と装備品ですか? 現在資金が必要なため、買い取っていただけるのでしたらありがたく存じます。しかし、先ほど申し上げた通りこちらにも事情があるため、お安くするというわけにはまいりませんが?」

「ああ。俺としても出されたものを確実に購入するわけではないからな。物を確認してからとなるため、値引がなかったとしても問題ない」

 

 まあ、君は三割引で売却することになるんだ。気にしないでくれたまえ。

 不正入札を持ちかけてきた奴が相手なら、躊躇なく三割引を使えるわ。

 

「では、ご確認いただけますか?」

 

 そう言って彼はアイテムボックスを開き、次々と品物を取り出していく。

 

 鋼鉄の剣、スロットなし。エストック、スロットなし。

 おお! ミセリコルデ! ああ……。スロットなしだ……。

 くっそー。期待させやがってー。

 

 さらにいくつかの武器を取り出すも、すべてスロットは付いていない。

 

 続いて彼は防具を取り出し始めた。

 

 鋼鉄の盾、スロットなし。竜革の靴、スロットなし。

 ダマスカス鋼のガントレット、スロット三個――。

 三個!? マジか! こいつは買いだ!

 それにしても、以前購入したダマスカス鋼のプレートメイルに続いて、またもやベスタ用の装備だ。

 まだ加入していないのに、彼女の装備だけやたらと高性能なものが見つかるなぁ。

 

 それから、イアリング、スロット三個!

 やっべー! こいつもやべー!

 

 鳥のスキル結晶はこれに付けよう。

 新しいスタッフを手に入れたらヤギもこれに付けるべきだろうな。

 そしたら、今使っているひもろぎのスタッフは売却だ。

 オークションに参加したとき、ルークは二十五万で落札していた。かなりの売却額が期待できるぞ。

 

 ……あ。ダメだわ。

 

 この男と聖槍の交換をするため、吸精のスタッフを用意する必要がある。

 スタッフをさらにもう一本手に入れるか、もっと強力な杖が入手できない限り、ひもろぎのスタッフを手放すわけにはいかない。

 

 ……いや、待てよ? 今使っているひもろぎのスタッフにはもう一つスロットがある。

 MP吸収を付けて、固定で出た家宝を形見分けで貰ったってことにすればどうだ?

 それなら、聖槍と交換できる上に追加で大金をせしめることもできるだろう。

 

 これいけるか? やはり、不自然だろうか?

 

 俺が考え込んでいる間にも彼はローテーブルへ防具を取り出していくが、この二つ以外にスロット付きはなかった。

 そして、今度はスキル結晶を取り出す。

 

 おお! ハイコボルトのスキル結晶!

 書籍版以降には登場していなかったが、この世界にもあったんだな。

 

 男はそれを置くと口を開いた。

 

「杖と他のスキル結晶はお譲りするわけにはいきませんので、以上となります」

 

 そりゃそうか。ダマスカスステッキを持っていても、この段階で出すわけがない。

 まあいいさ。オッケー、オッケー。十分、十分。

 

「では、一つ一つ説明してまいります」

「うむ。頼む」

 

 鑑定で既に分かっているアイテムについて一通り説明を受けたところで、尋ねられる。

 

「お気に召したものはございますか?」

「そうだな……。ダマスカス鋼のガントレットとイアリング。そして、ハイコボルトのスキル結晶を譲ってもらいたい」

「ありがとうございます。それではギルド神殿を用いたスキル結晶の確認と、防具商人による確認を行いましょう」

 

 今回はギルド神殿による確認を拒否するわけにはいかないよなぁ。

 初対面の人物との取引でいつもルークにしているような真似をした場合、あまりにも不自然だ。

 

「ルーク。すまないが、防具鑑定を頼めるか?」

「私でよろしいのですか?」

「心当たりのある防具商人の中で、一番信用できるからな」

 

 というかお前以外の防具商人に当てなんてないし。

 

 それを聞いて意気に感じたのか、表情を引き締め告げた。

 

「かしこまりました。そこまで信用していただいたのです。防具鑑定の手数料は二点で二百ナールとなりますが、今回は百四十ナールでお引き受けします」

 

 おいィィィ! ただ単に三割引が効いただけじゃねえかァァァ!!!

 

「そうか……。ではよろしく頼む」

 

 クールキャラで通っている俺なのに、その言葉で危うく銀魂ツッコミを口に出すところだった。

 

 

 

 支払いを済ませると彼は詠唱を始め、あっという間に二点の鑑定を終える。

 

「アユム様。ダマスカス鋼のガントレットとイアリングで間違いありません」

「問題なさそうだな。ルークもありがとう」

 

 礼を述べると、ルークは笑みを浮かべ頷く。

 

「それでは、ギルド神殿へまいりましょう」

 

 そう言って立ち上がった男に続き、部屋を後にした。

 

 

 

 彼らの後ろを歩き二階へ上がり、以前参加したオークション会場の裏側にある部屋へとたどり着く。

 そして、扉の前でルークが話しかけてくる。

 

「ギルド神殿の使用料は一回百ナールとなります。操作はギルド職員か仲買人登録を行っている者しかできませんが、どういたしますか?」

「うむ。これも頼めるか?」

「かしこまりました。それでは私が操作を行わせていただきます」

 

 使用者の登録がしてあるのか……。一体どういう仕組みなんだ?

 

 ……インテリジェンスカードなんてものがある世界だからな。

 めちゃくちゃ強力な生体認証が存在しているようなものだろう。

 個人情報の登録と認証は、地球より進んでいるのかもしれない。

 

 それにしても、作中では明かされていないが、ギルド神殿ってのはどうやって手に入れるんだろうな?

 

 迷宮を攻略して領地を得たら、騎士団を設立しなくてはならないだろう。

 それに、新しい領地ができたとなると、各種ギルドも設置されるはずだ。

 それらに必要となるギルド神殿はどこから調達するのか……。

 

 製作するための技術がある? もしくはそれの製作に関わるジョブがあるのか?

 いや、魔物のドロップアイテムという可能性もありえるな。

 

 

 

「では、中に入りましょう」

 

 思索に耽っていると、ルークに声を掛けられた。

 そうだな。考えても答えなんか出ない。いつものように棚上げだ。

 

 

 

 部屋に入ると、その中央には白い箱が設置されていた。

 これがギルド神殿か。鑑定っと。

 

ギルド神殿

 

 なるほど。確かにそうみたいだ。

 おそらく、こいつで商人へのジョブ変更を行ったりするのだろう。

 しかし、不思議だよなぁ。各ギルドに置かれているギルド神殿はおそらく同じものを使用しているはず。

 それなのに、転職できるジョブはそのギルドに関わるもの一つに限定されている。

 設置する際に、何らかの設定が行えるようになっているんだろうか?

 

 

 

「ギルド神殿をご利用ですか?」

 

 その箱を見つめて考え込んでいたところ、村人の女性が話し掛けてきた。

 村人か……。商人のジョブを得るまでは、見習いとしての業務を行っているのかもしれない。

 そういえば、探索者ギルドや冒険者ギルドでも、カウンターにいたギルド職員は村人だったか。

 

 

 

 利用する旨を告げ、銀貨一枚を支払う。

 ルークはそれを確認すると、武器商人からハイコボルトのスキル結晶を受け取り、箱の上に載せ、スイッチを押した。

 その途端、スキル結晶にコボルトを数段強そうにして、片手剣と盾を持っている魔物の姿が浮かび上がる。

 

 おー。すげー。こんな風に表示されるのか。

 ウェブ版での文字表示ではなく、書籍版の魔物の姿が表示される形だ。

 

 ウェブ版では最上位の魔物からドロップするモンスターカードは、ハイコボルトのモンスターカードと一緒に融合を行う必要があった。

 モンスターカードとスキル結晶の違いはあれど、おそらくこの世界でもそうなのだろう。

 まだまだ、だいぶ先のことになるが、いずれこいつを乱獲する必要があるかもしれない。

 

 

 

 スキル結晶に浮かび上がっていたハイコボルトの姿が消えたところで告げる。

 

「問題ないな。確かにハイコボルトだ」

 

 いや、あれが本当にハイコボルトだったのかは分からんのだが、鑑定ではハイコボルトになってるし。

 

 その言葉に男は笑みを浮かべ、話し始める。

 

「それでは、取引を行いたく存じます。ダマスカス鋼のガントレットとイアリング、それからハイコボルトのスキル結晶。以上三点で八万九千ナールとなりますが、無理を聞いていただいたのです。今回は六万二千三百ナールでお譲りいたします」

 

 クッソ高けー!

 

 ……いや。大丈夫。狼狽えるな。どれも絶対に必要だ。

 

 ベスタが加入直後からカッチカチになるのは頼もしいし、イアリングに鳥のスキル結晶を融合した上で遊び人のジョブを得たら、どこまで階層を上げられるのか想像もつかない。

 それに、ハイコボルトのスキル結晶は超重要となる。

 他の奴らとは違い俺たちなら百パーセント融合に成功するのだ。買わない手はない。

 

 

 

 大金を使うことへの動揺を抑えこみ、なんとか支払いを済ませて受け取った品をアイテムボックスへしまい込む。

 

「融合に成功しましたら、すぐにお知らせいたします。今回は本当にありがとうございました。それでは、私はこれで失礼いたします」

 

 武器商人はそう言って頭を下げると部屋を出て行った。

 あんたは融合に成功することなく、俺との物々交換でそれを手に入れることになるんですわ。

 まあ、それは言うまい。

 

 ……いや、原作の展開とだいぶ齟齬が生じているしなぁ。ちゃんと聖槍は手に入るんだろうか? 心配になってしまうぞ。

 

 

 

「アユム様。それでは、私の方の取引を行いたく存じます」

 

 今後の出来事について思い悩んでいると、ルークが話しかけてくる。

 

「うむ。頼む」

「はい。では、スキル結晶の確認を行いましょう」

 

 こいつ……。

 どさくさ紛れに、このままギルド神殿での確認をさせるつもりか。

 今回は八点もあるため、手数料は八百ナール。

 高級服屋のキャミソールと同額だぞ?

 確実に判別できるのに、八百ナールは高すぎる。

 

 ……でもなぁ。スキル結晶を確認するためにこの部屋へ訪れているのに、ルークとの取引では確認をしないとなると不自然だよなぁ。

 いつものように商談室なら問題ないだろうが、今日のところは仕方がないか。

 

 彼に促され、村人の女性に銀貨八枚を手渡す。

 

 くっそー。もったいないねー。

 

 

 

 その後、ルークが立て続けに確認を行うも、当たり前だが鑑定結果との間に違いはなく、金を無駄にしたという虚しさだけが残る。

 

「アユム様。ご覧いただいた通りです」

「うむ。問題ない。やはり、ルークは信頼できる。次回からも確認の必要はないな」

 

 その言葉に顔を強張らせているが、スキル結晶が違っていた場合や、その他に何か特別な事情がない限り、もう絶対使わないぞ。

 

 お金がも゛ったいだいっ!!!!

 

 

 

「それでは、お支払いをお願いしたく存じます」

「うむ。精算を頼む」

 

 気を取り直したルークの言葉に返事をする。

 

「今回は、コボルトのスキル結晶が五千四百ナール、五千五百ナール、五千五百ナールの三点。それから、油脂植物のスキル結晶が三千九百ナール、芋虫のスキル結晶が四千四百ナール、ヤギのスキル結晶が五千五百ナール、はさみ式食虫植物のスキル結晶が六千五百ナール。そして、鳥のスキル結晶が一万三千五百ナール。以上八点で合計五万二百ナールとなります。依頼についてはこのまま継続でよろしいでしょうか?」

 

 一度話を区切り、こちらの様子をうかがっている彼に頷きを返すと、さらに続ける。

 

「ありがとうございます。それでは、今回超過した七件分と次回依頼分の一件分を合わせまして、八件分の手数料で四千ナールとなりますが、今回は仲買人のしがらみをアユム様に押し付けてしまった形となりますので、手数料については二千八百ナールで結構です」

「すまないな。助かる」

「それでは、スキル結晶と合わせまして、合計五万三千ナールをお願いいたします」

 

 支払いを済ませ、受け取ったスキル結晶をアイテムボックスへしまい込む。

 そして、継続するものの確認をしてから握手を交わし部屋を出た。

 

 

 

 それにしても、この短時間で十一万ナール以上の金が吹っ飛んだぞ。

 これはメンタルにくるわぁ。

 

 さっさと家に戻り、ロクサーヌとセリーの顔を見て癒されよう。

 なにせ彼女たちは俺のトランキライザーだからな。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

探索者Lv38 英雄Lv34 魔法使いLv37

装備 硬革の靴 身代わりのミサンガ

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

サードジョブ:3

必要経験値二十分の一:63

詠唱省略:3

結晶化促進二倍:1

鑑定:1

ワープ:1

三十パーセント値引:63

 

所持金:1,103,947ナール

 

春の35日目

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