防具屋にたどり着くとロクサーヌは真剣な表情で木の盾を確認し始めた。
スキルスロットの存在は本当に重要だ。
それを見分けられるのは大きなアドバンテージだろう。
ミチオと同じように最初にスロット付きをいくつか指定してその中から選んでもらうことにしよう。
木の盾にスキルをつけることはおそらくないだろうがそれでもないよりはあったほうが絶対にいいはずだ。
木の盾の中からスキルスロットがついている物を取りロクサーヌに差し出した。
「ロクサーヌ。この三つが良い物のようだ。この中から選んでくれるか?」
「そうなのですか?」
そうなのです。
ロクサーヌが受け取り真剣な表情で確認を始めたのでこの隙にほかの装備品を選ぶことにする。
全てをロクサーヌに任せてしまうと閉店の時間になっても決まりそうにないしな。
必要なものはロクサーヌの皮のジャケット。それから二人分要るのが皮の帽子と皮のグローブか。
まあ、しばらくは皮シリーズで問題ないだろう。
セリーが加入してお金に余裕ができれば良い装備にスキルをつけていけばいい。
探索者のレベルが30を超えれば結晶化促進六十四倍を用いたボスマラソンが可能になる。
捕らぬ狸の皮算用だが一応計算してみるか。
おそらく商人のジョブを取得しているはず。
ジョブ設定を開きファーストジョブの戦士を変更しようとすると予想通りにそれが現れた。
商人Lv1
効果 知力小上昇 精神微上昇
スキル カルク
よしよし。順調順調。
計算機代わりにカルクを持つ商人をそのまま戦士と入れ替える。
待機部屋の扉が開いて中に入りデュランダルを使ってボスを倒す。そして、ドロップアイテムを拾いワープで待機部屋に戻るまでをワンセットとして考える。
このワンセットにかかる時間を仮に一分だとして一日八時間続ければ四百八十セット。
ボスを倒して得られる魔力を三とした場合、日給九万二千百六十ナール。
魔力が四だとすると十二万二千八百八十ナール。五だと十五万三千六百ナール。
うっわ。カルクすげー。
今だとフラッシュ暗算とかもできるんだろうな。
まあ、八時間ぶっ続けでこれができるかといわれるとおそらく無理だろうが、仮に続けられたら一日で少なく見積もっても九万ナール近く稼げるのはでかい。
十一日で白金貨に届くことになる。
まずは当面の目標としてレベル上げ。そして、探索者のレベルが30に到達次第、白金貨の確保だな。
セリー、ミリア、ベスタの購入に万全を期しておこう。
「ご主人様、こちらをお願いします」
俺が長々と考えている間にロクサーヌも選び終わったようだ。
彼女から木の盾を受け取り防具商人に声をかける。
「すまない。これらの会計を頼めるか」
「ありがとうございます。木の盾が一個、皮のジャケットが一個、皮のグローブが二個、皮の帽子が二個ですね。これほど大量に購入していただいたのです、今回は千二十二ナールといたします」
支払いを済ませるとその場で装備品を身につけ外へ出る。
「ロクサーヌ。俺の分の武器を買うので武器屋ものぞいていこう」
「はい。ご主人様」
今日三回目の来店に武器商人も一瞬怪訝そうな表情を浮かべたが、ロクサーヌを見て納得したような表情を浮かべる。
まあ、実際にはロクサーヌの武器を買いに来たわけではないがな。シミターも渡してあるし。
さて、今の残金は三万五千ナール以上とそれなりに余裕がある。早いところ探索者のレベルを30以上にしたいので経験値効率を高めるため思い切ってロッドを購入しておくことにする。
あとは三割引きのために安い槍を買っておくか。
余裕があれば槍を使って魔物を倒し騎士の取得条件をクリアしておこう。
ロッド 杖
スキル 空き 空き
なかなかの出物があるな。これを確保しておくか。
まあ、ミチオは空きスロット三つのやつを手に入れてたがどうせそのうちスタッフに買い換えるんだ。スロットが二つでも全然問題ない。
それからスロット付きの銅の槍を選び会計を行う。
「お客様には本日何かとお世話になっておりますので、今回は二つ合わせて一万四千四百二十ナールで結構です」
「すまないな。こちらこそ世話になった」
槍を持ちロッドをベルトに差して店を出るとロクサーヌがもの問いたげな表情を浮かべ俺のことを見つめていた。
二人パーティーでどちらも魔法使いじゃないのに杖を買っているんだ。そりゃ不審にもなるわな。
彼女の耳に口を近づけ小声で囁く。
「ロクサーヌ。気になるだろうが詳しいことは後でな。ここで説明するのは問題がある」
「ご主人様、申し訳ありません。それから、信頼していただきありがとうございます」
俺が囁いた後にロクサーヌも俺の耳に口を寄せ囁いてくれた。
あー。囁き声でゾワゾワするー。気持ちいいんじゃー。
美人で可愛くスタイル抜群で性格まで良いのにさらに声まで最高とかすごすぎるわ。
「よし。次はギルドでの買い物だな。ここからだと探索者ギルドと冒険者ギルドはどちらのほうが近いんだ?」
「ここからですと探索者ギルドのほうが近いですね。この大通りを出てすぐの建物になります。それから、冒険者ギルドは町の西側にあるので新しくできた迷宮やベイル亭からはそちらのほうが近いです」
なるほどな。今日は探索者ギルドで購入して本格的な迷宮探索の場合は冒険者ギルドでドロップアイテムの売却をしたほうが楽か。
「ロクサーヌ、ありがとう。では、探索者ギルドのほうに案内してもらえるか」
「はい。ご主人様こちらです」
再び彼女の案内で歩き出す。
探索者ギルドに入ると中には数名しかおらず閑散とした様子だ。
原作だとベイルでは冒険者ギルドの方が規模が大きく、探索者ギルドは小規模とのことだった。
しかし、新しい迷宮が見つかった今、その迷宮の規模によってはギルドの勢力図が変わったりするのだろうか?
というか迷宮ができる前はどういう運営体制になっていたんだ?
ベイルに滞在しているパーティーが冒険者のフィールドウォークでこの場所から別の場所にある迷宮の近くに飛んで、そこである程度探索したら探索者のダンジョンウォークで脱出してまたここに戻ってきてドロップ品を売却するって感じか?
でも、それじゃあぶっちゃけ冒険者ギルドで事足りるよな?
ああ。だから寂れているのか。
それとも、国の政策として運営されているのだろうか?
この世界では迷宮は災害のようなものだと考えられているだろうしいつどこに発生するか予想がつかない。
今その町にないからといって探索者ギルドを置かないというわけにはいかないのかもしれないな。
受付に近寄り声をかける。
「すまない。黒魔結晶を六個と強壮丸を十個頼む」
「はい。ありがとうございます」
今日は一階層を覗くだけだ。おそらく状態異常回復の薬はいらないはずだ。
受付嬢は立ち上がると奥のほうへ入っていき、トレーに商品を載せて戻ってきた。
「全部で、えーと……」
「悪い。一つずつ精算しよう」
そうだったわ。このギルドではないはずだが原作ではどこかのギルドの受付嬢は計算ができなくて一つずつ精算している描写があった。ミチオが銀貨で支払おうとすると銅貨で払うように求められていたわ。
黒魔結晶を一つずつ銅貨十枚と交換していき強壮丸については銅貨が足りなくなるたびに銀貨と銅貨百枚を交換してもらい購入を済ませる。
……いや、これマジか。いくらなんでも不便すぎるだろ。
受付は商人にしておくべきじゃないのか?
それとも購入する側も計算ができない人が多く、これじゃない方が問題になるってことなんだろうか?
購入した黒魔結晶を一つロクサーヌに渡し残りは全て俺のほうのリュックに入れておく。
「さて、迷宮へ行ってみるか」
「はい! ではご案内します」
うわー。めちゃくちゃうれしそうな顔をして歩き出したよ。
入るだけですぐに帰るとは言えない雰囲気だ。
でも、まあいいか。俺のほうもロッドの威力を確認しておきたい。
それに夜の盗賊探索に向けて探索者のレベルを上げてアイテムボックスを拡張しておくのも悪くない。
夕方までは迷宮に籠るってことで。
となるとジョブとボーナスポイントの振り分けを見直しておかないとな。
歩きながら設定しておこう。
キャラクター再設定とサードジョブ、それからジョブ設定を除きそれ以外は一旦全て解除だ。
ボーナスポイント94
迷宮に入って探索者のジョブを得たらすぐにパーティー編成をしてロクサーヌのジョブを確認しておきたいので、パーティー項目解除とパーティージョブ設定にチェックを入れておく。
ボーナスポイント:91
魔法攻撃を行う以上詠唱省略は必須だろう。それから鑑定も入れておくべきか。二度手間だったがその二つを再度設定する。
ボーナスポイント87
それから、必要経験値十分の一と獲得経験値二十倍を付けたいところだがポイントが足りないな。
しばらくインテリジェンスカードの確認はないだろうから一旦ファーストジョブを魔法使いに変えておこう。
迷宮に入って探索者をファーストジョブにした後はそのまま変更せずにいるつもりだったがこれを併用できるようになるまでは一旦保留だな。
ボーナスポイント90
それでも4ポイント足りない……。
とりあえず必要経験値十分の一だけをつけておいて迷宮で俺とロクサーヌのジョブ設定が済んだら、パーティージョブ設定とパーティー項目解除を外して4ポイントを捻出しよう。
ボーナスポイント59
残りは体力上昇にブチ込んでおくか。
今日は重い荷物を持って歩き回っているのに疲れを全然感じていないからな。
体力上昇の効果があったと思いたい。プラセボ効果だとしても問題ないさ。鰯の頭も信心からだ。
「ご主人様、こちらから人のにおいがします」
うわー。鼻をスンスンしてる!
可愛いー!
ロクサーヌの案内でたどり着いた場所は大きな岩に複数の木の根が絡み合っており、その絡まり合った根の間に黒い長方形の靄があった。
そして、その横には探索者の男が立っている。
おー。迷宮の入り口だ。
漫画やアニメで見ていたが実物を見ると感動するな。
あの男にお願いすると現在探索されている各階層までダンジョンウォークで案内してくれるのだろう。
まあ、今は一階層からで問題ない。しばらく利用することはないな。
「よし。ロクサーヌ。入ってみるか」
「はい。ご主人様」
問いかけると彼女はすごく嬉しそうに返事をした。
オラワクワクすっぞとか言いだしそうな顔をしている。
今後、迷宮探索をして生きていく上でとても頼りになる性格だ。
本当にロクサーヌを手に入れることができてよかった。
無事に迷宮に入ることができたためこれで探索者を取得しているはずだ。
ジョブ設定を開きサードジョブの戦士を変更するため選択する。
探索者Lv1
効果 体力小上昇
スキル アイテムボックス操作 パーティー編成 ダンジョンウォーク
よし! 探索者だ!
戦士から探索者に変更してさっそくアイテムボックスと念じると目の前に箱の入り口のようなものが現れた。
「え!」
ロクサーヌの驚いた声が上がるがとりあえず説明は後にして邪魔だった銅の槍を入れてみる。
うん。問題なく入ったな。
まだ1スタック一個で使い勝手はよくないが、探索者のアイテムボックスはレベル2で2スタックにそれぞれ二個、レベル3で3スタックにそれぞれ三個とレベルが上がっていくに従いとんでもなく便利になっていく仕様だ。今後に期待だな。
そして、ロクサーヌに向けてパーティー編成と念じる。
「えー! は、はい。入ります」
よっしゃ! これで彼女とパーティーが組めた!
「ロクサーヌ。驚いただろうがこれについては絶対に人に聞かれるわけにはいかない。迷宮探索が終わって宿に戻り人に聞かれる心配がない状態で落ち着いて話をしよう」
「説明をしていただけるのですか? ありがとうございますご主人様」
「言っただろう? ロクサーヌのことは信頼している。いずれ俺のことについては全て説明させてもらう」
「ご主人様……。はい。その信頼に応えられるよう全力を尽くします!」
家を借りて二人きりになったときにゆっくり時間を取って俺のことや日本のこと、それから原作のことを何もかも打ち明けよう。
俺はロクサーヌに隠し事なんかできそうにないし隠そうとしても絶対ボロが出る。それに、そもそも特に隠す理由もない。
というか俺はこの世界の常識が全然ないんだ。全てわかったうえでフォローしてくれる人がいなければ取り返しのつかないミスを起こしかねない。
彼女には俺のことを知ってもらいたいしこのあと原作で起きる出来事についても全て打ち明けたうえで一緒に対策を考えていきたい。
セリー以降のパーティーメンバーに打ち明けるかどうかも含めて色々相談してみよう。
まあ、全ては盗賊を狩って家を借りることが出来てからの話だな。
よし。続きだ続き。
ロクサーヌを見つめパーティージョブ設定と念じる。
獣戦士Lv6 村人Lv8 農夫Lv1 探索者Lv1 戦士Lv1 剣士Lv1
今後ロクサーヌには巫女のジョブについてもらい回避タンク兼ヒーラーとしての役割を担ってもらう予定だ。
滝行をするまでは俺が村長のジョブを取るためにとりあえず戦士にしておいて騎士を目指してもらうか。
ロクサーヌの耳に口を近づけ小声で囁く。
「すまない。ロクサーヌのジョブを獣戦士から戦士に変更してもいいか?」
「そんなことまでできるのですか? 大丈夫です。私なら構いません。ご主人様にお任せします」
ロクサーヌも小声で返してくれた。
嬉しい! まだ出会ってから数時間なのにジョブ変更にも応じてくれるなんて!
こんないい娘見たことないよ! これからも彼女のことを大切にしていこう。
「ありがとう。それじゃあ変更させてもらうな」
ロクサーヌ ♀ 16歳
戦士Lv1
装備 シミター 木の盾 皮の帽子 皮のジャケット 皮のグローブ 皮の靴
よし。ちゃんと変わっている。ロクサーヌのジョブ変更も済んだし体力上昇とパーティージョブ設定、パーティー項目解除を外して獲得経験値二十倍に付け替えよう。
ボーナスポイントの振り分けが終わりベルトに差していたロッドを抜くと彼女に声をかける。
「ロクサーヌ。俺の戦い方は誰にも見られるわけにはいかない。近くに人がいない魔物のところへ案内してくれるか」
「はい。お任せください、ご主人様」
ロクサーヌの案内で歩き出すとほどなくして魔物に遭遇した。
ニードルウッドLv1
「行きます!」
「待ってくれ」
ニードルウッドへ向かい飛び出そうとする彼女を制して念じる。
ファイヤーボール
頭の上に発生した火球がニードルウッドに向かって撃ち出され、魔物に着弾すると火と一緒にその体も靄となって消えていった。
一撃! さすがロッド! 二万ナールは伊達じゃない!
「えー! ご主人様! 今のは魔法ですか!?」
「そうだ。俺の特別な能力の一端だな。これも夜に説明しよう」
「はい! ご主人様すごすぎます!」
すっごいキラキラした目で見られている。
貰い物の力が尊敬されているだけなのだがそれでも自尊心がくすぐられ喜んでしまう。我ながら小さい人間だ。
ブランチ
確認すると俺の探索者とロクサーヌの戦士のレベルが2になっている。
経験値効率二百倍と二十倍で上がったレベルに差がない。
確かスローラビットを経験値効率百倍で二匹狩ったときにはそれぞれで1ずつ上がって村人と盗賊のレベルは3になっていた。
ニードルウッドとスローラビットどちらの経験値が多いのかはわからないがそれほど差はないはずだ。それに、盗賊戦の経験値もそうたいした数値ではないだろう。
だとすればこれはレベルアップ時に獲得経験値の繰り越しはないということか。
おそらくこの仕様を損だと感じるのは獲得経験値上昇と必要経験値減少のスキルを持っている者だけだろう。
そうでない者はたとえ繰り越さないとしてもたいした違いはない。
それにスキルを持っていたとしても損と感じるのは最初だけですぐにほとんど変わらなくなる。
なるほどな。
ゲームでよくある一度の戦闘で大量の経験値を獲得して一気にレベルアップという描写が原作になかったわけだ。
ドロップアイテムを拾いアイテムボックスに放り込んで声を掛ける。
「ロクサーヌ、この調子で案内を頼む」
「はい。お任せください!」
その後、立て続けに五匹倒したところで多少テンションが落ちたような気がした。
まだいけそうな気もするが無茶をするべきではないだろうな。
ロッドをアイテムボックスにしまい獲得経験値二十倍をデュランダルに変える。
ついでにレベルを見てみると魔法使いがレベル6、英雄がレベル5、探索者はレベル4に上がっていた。
さすが経験値効率二百倍だ。とんでもない成果が出ている。
獲得していたボーナスポイントをとりあえず知力上昇へ振っておいた。
「次はこの武器で戦うので案内を頼む。今回はロクサーヌも戦ってもらえるか?」
「はい。わかりました。お任せください」
ロクサーヌはニードルウッドを発見すると一気に駆け寄り攻撃を避けつつ正面を取り続けている。
俺もリュックを下ろして駆け出し奴のサイドからデュランダルを叩き込む。
剣身が体を通過するとニードルウッドは風に流されるように消えていった。
たぶんまだMP全回復とはいかないだろうからもう一匹倒しておくか。
「ご主人様! すごすぎます! グミスライムを一撃で倒したと聞いてはいたのですが目の前で見るとそのすごさに驚きました!」
「いやまあ、この武器のおかげなんだけどな。これについても夜にな」
「はい!」
「それじゃあ、次を頼む」
「お任せください」
同じようにニードルウッドを倒しMPを回復したところで獲得経験値二十倍に付け替えアイテムボックスからロッドを取り出す。
「それでは、もう一度魔法攻撃を行うので案内を頼む」
「はい。こちらです」
同じように魔法一発で倒していくと今度は十匹倒したときに少し気分が下向いた気がした。
先ほどよりだいぶ魔法を打てる回数が増えている。レベルアップの効果は確実に出ているようだ。
確認してみると魔法使いのレベルが8、英雄のレベルが6、探索者のレベルが6。そしてロクサーヌの戦士が4に上がっていた。
ヤベー。ロクサーヌのおかげで時間当たりの経験値効率がとんでもないことになっている。
これはめちゃくちゃ楽しいぞ。レベル上げジャンキーになりそうだ。
よし。それじゃあデュランダルに切り替えよう。
ん? これフォースジョブまで行けるか?
レベルアップで増えたボーナスポイントを見て試してみることにした。
獲得経験値二十倍と知力上昇を解除してジョブ設定にチェックを入れフォースジョブを設定する。
フォースジョブは何にするべきだろうか?
いざという時のための僧侶。
派生ジョブが多くしかも今後必須になる博徒を獲得するためには取っておかなくてはならない賞金稼ぎが取れる戦士。
同じく博徒を獲得するために必須の盗賊。盗賊を使うなら盗賊のバンダナも使用できるな。
……戦士にしておくか。
一階層ではまだそれほど被弾を気にする必要はないはず。
敵が増える二階層や特殊攻撃を行う敵が出てからが僧侶の出番だろう。それに、そのころにはフィフスジョブがつけられるようになっているかもしれない。
そして、盗賊は別に急ぐ必要はない。賞金稼ぎの生死不問を成功させてからもっと上の階層で一気に上げてしまおう。
それに、派生ジョブが多いとそれだけ遊び人のジョブ獲得に近づく。
フォースジョブに戦士を設定しジョブ設定を外してデュランダルを取り出す。そしてロッドをアイテムボックスにしまった。
「では、またこの剣で戦うので案内を頼む」
「はい。お任せください」
「あっ。そうだ。ロクサーヌ、今どのくらいの時間だろうか? 夕方には迷宮を出て宿に向かっておきたい」
「そうですね、まだだいぶ時間があると思いますが夕方になったあたりでお知らせしましょうか?」
「ありがとう。本当にロクサーヌは頼りになるな」
「こちらこそありがとうございます。ご主人様のお役に立ててうれしいです」
そう言うとロクサーヌは柔らかく微笑んだ。
彼女が向けてくれる笑みで疲れが吹っ飛ぶわ。
出会ってからまだ数時間だがお互いに少しずつ信頼が構築されている気がするのは俺の勘違いではないだろう。
デュランダルで回復しつつ魔法で狩ることを繰り返し三セット目の途中でロクサーヌから声がかかった。
「ご主人様、そろそろ夕方になります」
「分かった。では、剣で二回戦ってから迷宮を出よう」
「はい。ご案内します」
デュランダルでニードルウッドを二体倒しMP回復をしてから今のレベルを確認する。
田川 歩 男 18歳
魔法使いLv18 英雄Lv16 探索者Lv17 戦士Lv11
装備 聖剣デュランダル 皮の帽子 皮の鎧 皮のグローブ 皮の靴
ロクサーヌ ♀ 16歳
戦士Lv8
装備 シミター 木の盾 皮の帽子 皮のジャケット 皮のグローブ 皮の靴
やばい。これはやばい。
二百倍の経験値効率。しかもワンパンで次から次に敵を倒しているんだ。おそらく現地の人の一年分以上の効率だろう。しかも、彼女の索敵があるおかげでさらに時間効率が増している。そう考えるとこの結果も当然か。
改めて考えると経験値効率二百倍と魔法、それからデュランダルのMP回復にロクサーヌの鼻を使った索敵の組み合わせは凶悪すぎる!
これでもまだ先があるのが恐ろしい。経験値効率四百倍で早朝から夕方まで迷宮に籠るとどれほどの効率をたたき出すのだろうか。
キャラクター再設定は宿でゆっくり行うとしてとりあえずデュランダルを解除しておく。
ついでに巾着袋に入れリュックにしまい込んでいた金貨をアイテムボックスへ移しておこう。
これで高額貨幣を持ち歩くことによる盗難の心配から解放された。
今後、金貨銀貨は全てアイテムボックスでの管理にしよう。
「それじゃあ、戻るか」
目の前の壁に向かい先ほどの迷宮の入り口を思い浮かべながらダンジョンウォークと念じると黒いゲートが出現する。
そして、そのゲートへ向かって歩きだした。
田川 歩 男 18歳
魔法使いLv18 英雄Lv16 探索者Lv17 戦士Lv11
装備 皮の帽子 皮の鎧 皮のグローブ 皮の靴
BP振分 残BP:73
キャラクター再設定:1
フォースジョブ:7
詠唱省略:3
鑑定:1
必要経験値十分の一:31
所持金:20,019ナール
春の2日目