異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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135 散財

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 早朝の探索とスキル結晶の受け取りを済ませて自宅へ戻り、二人が作ってくれた朝食をとる。

 そして、歯磨きと洗い物を終え、リビングに移動して給金を渡した。

 

「いつもありがとうございます。これからもご主人様のお役に立てるよう励んでまいります」

「私も鍛冶師として精進していきます」

 

 重い重い。正当な報酬なんだから気楽にいこうぜ。気楽に。

 

 

 

 セリーを抱きしめながらソファーに横たわり、しばらくゆったりとした時間を過ごす。

 毎日、信じられないくらい幸せだ。

 

 

 

 

 

ボーデ

コハク商の店

 

 

 

 

 

「いらっしゃいま――、あっ!」

 

 店に入ると挨拶の声が聞こえてきたが、ネコミミ店員は俺たちの顔を確認すると驚いたような声を上げる。

 

「先日は世話になったな。相談したいことがあるのだが店主はいるだろうか?」

「こちらこそありがとうございました。ただいま、おじいちゃんを呼んでまいりますので少々お待ちください」

 

 彼女はそう言い残し店の奥に入っていった。

 

 おじいちゃん? あの店員はオーナーの孫だったのか。

 

 

 

 程なくして先ほどの店員が店主を伴い戻ってくる。

 彼女はトレーを持っており、その上には三つの箱が乗っていた。

 

 おお! ジュエリーボックスができたのか!

 

 俺たちの近くまで来ると彼は話し始める。

 

「先日は大変お世話になりました。それに、とても良いアイデアを授けていただき、本当にありがとうございます。こちらがそのタルエムの小箱になります」

 

 店主は相当自信があるのだろう。俺たちへ手に取って確認するよう促す。

 差し出されたトレーからジュエリーボックスを手に取ると、白くて美しい木目が実に印象的だ。そして、その滑らかな触り心地に驚かされる。

 細長い箱の片側にはオーダー通り蝶番が取り付けられており、もう片方には勝手に開かないよう留め具が付いていた。

 それを外して開いたところ、本体側にも蓋側にも手触りの良い布が張られている。

 

 あれ? これマイナスネジか?

 

 蝶番と留め具を箱に取り付けるために使用してある小さな部品に目が留まった。

 てっきり釘だと思っていたのだが、頭の部分に一本の溝が確認できる。

 

 へー。この世界には既にネジが存在しているんだな。

 クーラタルの金物屋にもあるかもしれない。ちゃんと確認してみなければ。

 

 ジュエリーボックスとは関係ないことに驚いている俺を見て勘違いしたのだろう。店主は嬉しそうに説明を行う。

 

「ご覧ください。クッションの素材はスローラビットの毛皮を、布は絹のベルベットを使用していますのでコハクを傷つける心配はありません」

 

 すげーな。想像以上の仕事をしてくれている。

 

「一つ四百ナールで販売する予定ですが、お客様には先日申し上げた通りアクセサリーをご購入いただいた際に無償で提供させていただきます」

「うむ。それは助かる」

 

 四百ナール? そんな額だったか? 原作ではもっと安かった気がするんだが……。

 

 考え込んでいると彼女たちの方からも声が聞こえてきた。

 

「わあ。とても素敵ですね」

「はい。この箱自体がまるで一つの芸術品のようです」

 

 ロクサーヌとセリーも箱を手に取り満面の笑みで見つめている。

 

 うんうん。気に入ってくれたようで何よりだ。

 

 

 

 一頻り確認が終わったところで店主に声を掛ける。

 

「素晴らしい出来栄えに驚いた。これは早速、明日にでも公爵閣下にご確認いただかなければな」

「何卒よろしくお願い申し上げます」

 

 俺の言葉を聞くなり彼は頭を下げてきた。

 

「うむ。ただ、箱だけというわけにもいくまい。なので、それに入れて献上するにふさわしいネックレスも併せて購入させてもらいたい」

 

 その言葉に彼の顔が一気に引き締まる。

 

「ありがとうございます。公爵様への献上品ともなりますと、それ相応の格というものがございます。私どももコハク商人の沽券にかけてとっておきの品をご用意させていただきます」

 

 え゛っ!? ちょいちょいちょい! とっておきの品っていくらなのさ!

 そこまでじゃないくていいんだぞ? 加減してくれよ? な? な?

 

「う、うむ。まずは見せてもらえるか」

「はい。少々お待ちください」

 

 ネコミミ店主はキリッとした顔で頷くと奥の方へ入っていった。

 

 ……五万ナールくらいでハルツ公に恩を売るつもりだったのに大丈夫かこれ?

 とんでもないものを売りつけられたりしないだろうな?

 

 

 

 心臓をバクバクさせながら待っていると、ロクサーヌとセリーが受け取ったジュエリーボックスを嬉しそうに俺へ見せ、いそいそとリュックにしまい込む。

 

 あー。可愛いなー、もう。

 

 その様子を見たおかげで落ち着きを取り戻す。

 

 うん。無理な金額なら断ればいいだけさ。慌てない慌てない。一休み一休み。

 

 

 

「お待たせいたしました」

 

 女性店員と話している二人を見ていると店主が戻ってきた。

 彼はカウンターの上に箱を置きその蓋をゆっくり開いていく。

 

「こちらが当店で一番の品となります」

 

 こちらに向かってドヤ顔で告げる男に、どうだと言わんばかりの表情のネコミミ店員。

 そして、驚いたようにそれを見つめているうちの娘たち。

 

 ……ヤバい。全然差が分からない。

 これとロクサーヌやセリーのネックレスにどれほどの差があるんだろう?

 あ、いや、分かっている。違いがあるのは分かっているのだ。

 ただ、どちらがどう優れているのかが全く理解できない。

 

「すごい……、品ですね……」

 

 セリーの呟きに反応して店主が説明を始める。

 

「はい。大粒で透明度が高く色までも均一。さらに全てのコハクに花弁が入っています」

 

 おいおい。なんかすごそうだぞ。一体いくらするんだよ。

 

「それだと高いのではないか?」

「やはりそれ相応の価格となりますが、お客様には大変お世話になっている上に公爵様への献上品。通常ですと六十万ナールとなりますが今回は五十万ナールでいかがでしょう」

 

 馬鹿かお前! これがロクサーヌと同じ値段!? 嘘だろ、おい!

 

 

 

 ……おちつけ。おちつけ、俺。

 

 六十万ではなく五十万ナールだ。そして、三割引が利けば三十五万ナール。

 これでハルツ公の関心を買い、ルティナへの道筋をつけると考えればいいんだ。

 そう考えたら三十五万はそんなに高く感じないだろう?

 

 ……んなわけあるか! 三十五万はクソ高いわ!

 

 

 

 ……いや、でもなぁ。ミチオに比べると俺は取るに足らない男だ。

 同じことをしていたのではルティナへたどり着けないかもしれない。

 万全の態勢を敷いておく必要があるだろう。

 

 これがルティナに繋がっていると信じ込むんだ。

 

「それではこれをもらおう。他にもネックレスを購入したいのだが頼めるか? あと、原石もあれば併せて購入したい」

 

 三十五万も出すのだ。転売ヤーになることで少しでも元を取っておかなければ。

 

「ありがとうございます。原石の方は十個なら融通できますが、こちらも在庫が厳しいため一旦これで終了とさせていただきたく。嵐でコハクの原石が打ち上げられ在庫が確保できましたら、再びお譲りすることも可能かと存じます」

 

 うーん……。まあ、原作よりたくさん買うことができたしな。

 

「うむ。問題ない」

 

 返事をすると彼は頷いて続きを口にする。

 

「ネックレスの方は先日のようにいくつかの中からお選びいただく形でよろしいでしょうか?」

「それで頼む。三つ購入するつもりなのだが箱も付けてもらいたい」

「はい。予備もございますので問題ありません」

 

 よかったー。それにしてもこの短期間でそんなに作ったんかい。

 

 

 

 店主と店員がネックレスの準備で奥へ下がった間に小声で彼女たちへ伝える。

 

「ロクサーヌ、セリー。五万ナールほどの品で鏡職人の奥さんの分を一つ。それ以外に同じ価格帯のものを二つ。合計三つ選んでくれ」

 

 原作では奥さんの知り合いにもいくつか売りつけていたからな。その分も今のうちに購入しておこう。

 

「はい。私たちにお任せください!」

「なるべく良い物を選びます!」

 

 そう言って彼女たちはグッと力こぶを作るポーズをとる。

 

 あざと可愛くていいわー。

 そんじゃ、しくよろー。

 

 

 

 そこからはもう大変だった。

 二人は店中のネックレスを見せるよう要求し、片っ端から確認していく。

 

 五万ナール未満の物は確認しなくてもいいんじゃないかなぁ……。

 

 店側も俺たちを太客だと認識しているのか、鏡職人の奥さんの肌、目、髪の色を確認し、あれやこれやとアドバイスを行っている。

 

 店内の隅にある椅子へ腰かけてその様子をじっと眺めながら、ふと考えてしまう。

 

 俺、完全に要らん子だなぁ。

 

 まあいいさ。彼女たちを眺めつつ、キャラクター再設定の確認でもしておこう。

 

 

 

 二人はかなりの時間をかけて六万ナールのものが一つと五万五千ナールのものを二つ選んだ。

 ロクサーヌさん。セリーさん。予算をオーバーしているんですが……。

 

 不安になりながら様子をうかがっていたところ、そこからセリーは店主とバチバチにやり合い始める。

 ハルツ公から委任状をもらっていることや、彼への献上品として五十万ナールのネックレスを購入すること。さらにこの店で世話になったと伝えるつもりだということ。それから、一度に四つのネックレスを購入することと前回は二つ購入していること。

 それらの話を巧みに織り交ぜながら交渉を重ね、最終的には三つまとめて十五万ナールにまでまけさせていた。

 

 すげー。やさぐれ要素がなくても鬼のようなネゴシエーターだわ。

 さすがセリー。さすセリだ。

 

 

 

 話がまとまると得意げな表情を浮かべた二人が近づいてくる。

 

「ご主人様、良い物を選ぶことができました。それに、セリーのおかげでかなり値引をしていただいています」

 

 うん。一から十まで見てたよ。その娘の大立ち回りを。

 

「ありがとう。さすがロクサーヌとセリーだ。よくやった」

 

 感謝を伝えると彼女たちは嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

 

 

 その様子をカウンターで見守っていた店主に近づき声を掛ける。

 

「それでは支払いを行おう」

「ありがとうございます。それでは確認いたします。献上品のネックレスが五十万ナール。そして、こちらの三つが右から六万ナール、五万五千ナール、同じく五万五千ナールのところ、まとめて十五万ナール。それからコハクの原石が十個で八千ナール。箱を四つ無料でお付けしまして合計六十五万八千ナールとなりますが、一度にこれだけの品をご購入いただいた上に、公爵様へ当商会のことをお伝えいただけるとのこと。今回は四十六万六百ナールといたします」

 

 えっぐ! 改めて金額を聞くとヤバいわ!

 一度の会計で四十六万ナール。ロクサーヌを購入したときですら四十二万だぞ? 俺は馬鹿じゃなかろうか……。

 日本円じゃないせいでお金だという感覚が薄く、どうにも歯止めがかからない。

 こんなことじゃいつか大変なことになる。節制に努めなければ。

 

 内心の動揺を抑え込み、手が震えないように気をつけながらなんとか支払いを行う。

 よかった。白金貨を崩さずに済んで本当によかった。

 

 ネコミミ二人に見送られながら店を出て、今購入したものを置くために一旦自宅へ戻る。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 ワープゲートを抜け出すと二人は笑顔で告げた。

 

「ご主人様、それではこの箱を置いてきます」

 

 セリーの言葉に頷きロクサーヌもそれに続く。

 

「早くネックレスを箱にしまってみましょう。ご主人様、行ってきますね」

 

 すげーウキウキしてんなぁ。痛快ウキウキ通りだわぁ。

 

 彼女たちを見送った後で俺も自室へ移動して、鍵の掛かるチェストに購入したネックレスを四つとコハクの原石をしまい込む。

 そして、玄関へ戻ると既に二人が待っていた。

 

 それじゃあ武器屋と防具屋を回りますかね。

 

 

 

 

 

帝都

 

 

 

 

 

 クーラタル、ベイル、帝都の武器屋と防具屋を回るが全て空振りに終わり、セリーが作った装備品の売却だけを済ませた。

 

 それなりの性能でスロット付きを狙うとなるとなかなか難しいもんだ。

 まあ、気長に探すしかない。

 

 気を取り直して二人に声を掛ける。

 

「それでは、注文したものを受け取りに行こう」

 

 今日は高級服屋でドレスの注文があるため、もう一つの店の方から回ることにしよう。

 

 

 

 

 

帝都

服屋

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」

 

 店へ入ると俺たちに気が付いたのだろう。注文時に対応してくれた店員が近づいてきた。

 

「注文した肌着は出来ていますか?」

 

 ロクサーヌの問いかけに彼女は笑みを浮かべて答える。

 

「はい。ご注文の品は全て出来上がっております。早速ですが奥の部屋で着け心地をご確認ください」

 

 その言葉を聞いて二人は同時に俺のことを見つめた。

 今にも奥の部屋へ突撃しそうなほどウズウズとした様子で顔には待ちきれないと書かれてある。

 

「うむ。行ってくるといい」

「ありがとうございます! セリー、行きましょう!」

「はい! ご主人様、ありがとうございます!」

 

 そう言い残して店員と共に奥の部屋へ入っていく。

 

 めちゃくちゃ嬉しそうだったな。

 女性がどのくらいの頻度で下着を購入するかは分からないが定期的に購入することにしよう。

 

 

 

 店の隅にある椅子に腰かけて待っているとしばらくして満面の笑みを浮かべた女神と妖精さんが戻ってくる。

 

「ご主人様! この肌着はすごいです! 動き回っても全然苦しくありません!」

 

 妖精さんは俺の前へ来るなり、くるっと回って興奮したように告げた。

 めちゃくちゃ可愛いけど声がでかい。少し落ち着きたまえ。

 

「着け心地は問題ないか?」

「はい。まったく問題ありません。このような素晴らしい肌着を注文していただきありがとうございます」

 

 ロクサーヌは興奮しているセリーの様子を微笑ましそうに見守っていた。

 

 

 

「では、そろそろ次へ行こう」

 

 二人に声を掛けて店を出ようとしたところで店員から声が上がる。

 

「お客様、お待ちください」

 

 ん? なんだ?

 

 立ち止まり彼女の方を見ると緊張した様子で話し始めた。

 

「あの……、お客様が考案された肌着についてなのですが当店で扱わせてはいただけないでしょうか? これは世の女性たちを救う本当に素晴らしい品です。これを広めることこそが私の使命であり、生まれてきた意味なのでしょう」

 

 おいおい。とんでもないことを言いだしたぞ。

 

「もちろんアイデア料はお支払いいたします。利益の一割でいかがでしょうか?」

 

 あー。これ完全に金物屋のフープロと同じような流れだわ。

 

 でも、高級服屋の方でも同じものを注文しているため独占販売とはいかないかもしれない。

 あとで揉め事になっても困る。他の店でも注文していることを伝えて権利も主張しないでおこう。

 しかし、売上の一割ではなく利益の一割なんだな。

 まあ、受け取らないからどっちでもいいんだが。

 

「好きに取り扱って構わないし利益も必要ない」

「本当ですか!?」

 

 俺の言葉を聞いた彼女から大きな声が上がる。

 

「だが、他所の店にも同じ下着の注文を行っているため、そちらの店からも販売されることが考えられる。申し訳ないがそうなった場合、独占というわけにはいかないだろう」

「そう、ですか……」

 

 女性店員はその話を聞いて一気にトーンが落ち、何やら考え始めた。

 程なくして再び顔をキリッと引き締め口を開く。

 

「重要なのは利益を得ることではなく、この肌着の素晴らしさを広げること。私どもは良い製品を作り続けるだけです」

 

 おいおい。本当にとんでもないことを言いだしたぞ。利益を得るのは大事だろうに。

 

 

 

 絶対に良いものを作ってみせますという彼女に対し、ロクサーヌとセリーは店に来た時にいつでも購入できることを期待していると伝え意気投合していた。

 

 いやまあ、いいけどね。

 

 

 

 

 

帝都

 

 

 

 

 

 店を出て歩いているとロクサーヌが嬉しそうに話し出す。

 

「熱意を持った良い店員でしたね。彼女ならきっと良いものを作り出すことでしょう」

 

 セリーも一つ頷いて口を開いた。

 

「はい。これほど着け心地の良い素晴らしい肌着ですからね。技術が上がっていけばさらに洗練されていくはずです」

 

 帝都の街並みを楽しそうに話しながら歩いている彼女たちを見て、俺の心も弾んでいくようだ。

 

「それじゃあ、必要になったらここへ来て購入することにしよう」

 

 その言葉を聞いて二人の笑みが幸せそうなものに変わる。

 

「ありがとうございます、ご主人様」

「はい。とても楽しみです」

 

 ……本当に幸せだなぁ。

 

 

 

 

 

帝都

高級服屋

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 店内に入ると紳士風の店員と注文時に対応した女性店員が慇懃な挨拶で迎えてくれた。

 そして、彼女は注文している物が出来上がっていることを告げ、ロクサーヌとセリーと共に奥の部屋へ移動していく。

 

 セリーのセクシーランジェリーか……。

 今夜は俺のオイルが沸騰するぜ!

 

 

 

 またもや一人で残されてしまったがちょうどいい機会だ。ドレスについて確認してみよう。

 

「すまない。少し尋ねてもいいだろうか?」

「はい。いかがなさいましたか」

 

 声を掛けると紳士風の店員がこちらへ体を向けた。

 

「まだ先の話なのだが、実は然るお方より夕食にお招きいただく機会に恵まれてな」

「然るお方でございますか……」

 

 今後上手く立ち回ることが出来ればハルツ公から夕食に誘われるだろう。嘘は吐いていないぞ。

 

「うむ。それで、そういった場に相応しい彼女たちのドレスを仕立てようと思うのだ。しかし、なにぶんこういったことは初めてで見当がつかない」

「さようでございますか……」

 

 彼は少し考え口を開く。

 

「参加なさる食事会の規模。それから身分によって身に着けることのできるドレスの等級が異なるため一概には言えないのですが、最低でも二十万ナールからになるかと存じます」

 

 クソたけー! 二人で四十万ナール以上かよ!

 シルクのキャミソールが八百ナールなのにおかしいだろ!

 

 コハク商のところで大金を使ったばかりだし、注文したら白金貨を崩すことになる。

 これは無理だ。さすがに今回は見送ろう。

 ネックレスや原石、それに鏡の売却でお金を貯めて出直しだ。

 

 二人はドレスを購入するつもりだったことを知らないというのにどうにも罪悪感が湧いてくる。

 

 ロクサーヌ、セリー。金が貯まったら絶対に購入するから勘弁してくれ。

 

 

 

 資金稼ぎについてあれこれ考えていると程なくして二人が戻ってくる。

 まあ、ここで注文したのはセクシーランジェリー二セットと普段使い用二セット、それからエプロンだけだもんな。さっきの店に比べれば時間もかからないだろう。

 

 んじゃクーラタルに戻りますかね。

 

 店を出ようとしたところで女性店員から声を掛けられた。

 

「あの……、お客様が考案された肌着についてなのですが当店で扱わせてはいただけないでしょうか? これは世の女性たちを救う本当に素晴らしい品です。これを広めることこそが私の使命であり、生まれてきた意味なのでしょう」

 

 え、何? 流行ってんの? その言い回し。

 

 

 

 その後の流れは全く同じだ。

 注文した下着を扱いたいこととアイデア料を支払うことを告げられる。

 それに対し他の店でも注文を行っているため独占は出来ない旨を伝えて権利を放棄した。

 先ほどの店と同じく彼女の方もそれでいいから扱いたいと言い、その上で良い物を作るとのことだ。

 

 まあ、切磋琢磨して良い物を作ってくださいな。

 私たちはそれを購入させてもらいますんでね。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

探索者Lv42 英雄Lv37 遊び人Lv27 魔法使いLv41

装備 竜革の靴 身代わりのミサンガ

 

ロクサーヌ ♀ 16歳

戦士Lv21

装備 強権のエストック 駿馬の竜革靴 身代わりのミサンガ

 

セリー ♀ 16歳

鍛冶師Lv16

装備 皮の靴 身代わりのミサンガ

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

フォースジョブ:7

必要経験値二十分の一:63

詠唱省略:3

ワープ:1

鑑定:1

ジョブ設定:1

三十パーセント値引:63

 

所持金:1,169,070ナール

 

春の42日目

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