異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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136 邪心

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 帝都での買い物を終えるといい時間になっていたため、クーラタルへ戻り昼食の材料を購入することにした。

 その際、忘れずに卵とビネガーを購入しておく。

 自宅に戻り、キッチンに入ったところで彼女たちに声を掛ける。

 

「今日は少し試してみたいことがあるから昼食は二人に任せてもいい?」

「はい。私たちにお任せください」

 

 ロクサーヌは笑顔で頷き快く引き受けてくれた。

 セリーの方はと言うと好奇心を刺激されたのかキラキラ輝く瞳で問いかけてくる。

 

「先ほどご主人様が購入していた食材に関係することですか!?」

 

 強い強い。圧が強いわ。

 

「白身と赤身がたくさんあるからね。それを使った料理を作ろうと思ったんだ。今回はその下準備をするつもり」

「魚を使った料理ですか。ご主人様の作る料理はどれも美味しいですからね。今回も本当に楽しみです」

 

 ロクサーヌくん。これは日本でも大人気のメニュー。期待してくれていいですぞ。

 そして、再びセリーが問いかける。

 

「下準備ということは時間が掛かるのですか?」

「そうなんだよ。作った後は丸一日くらい置いておく必要があってさ」

「どんな料理なのでしょう。今から楽しみです」

 

 質問に答えると彼女は好奇心に目を輝かせていた。

 

「料理というか今回作るのは調味料だね。めちゃくちゃ美味しいと思うから期待してて」

「ふふ。とても楽しみです」

 

 ロクサーヌが楽しそうにそう言うとセリーもそれに続く。

 

「そうですね。ご主人様が作る物なのですから、きっとすごいのでしょうね」

 

 マヨネーズはきっとこのハードルを越えてくれるだろう。

 

 それじゃあ取り掛かるとしますかね。

 

 

 

 ミチオはこれを作るのにめちゃくちゃ苦労をしていたが俺には強い味方がいる。

 

 今までもメレンゲなどで役に立ってくれたが今回こそがこいつの本気モード。

 遂にフープロの撹拌モードが活躍する時だ。

 

 フープロに卵黄とビネガー、それから塩を入れる。サルモネラ菌が怖いので地球で作っていた自家製マヨネーズよりビネガーの量を多めにしておく。

 あとは少量ずつオリーブオイルを加えひたすらハンドルを回し乳化を待つ。

 

 ロクサーヌとセリーは何かにとりつかれたかのようにハンドルを回し続ける俺を戸惑ったような表情で見つめていた。

 

 

 

 よし。オッケーかな。あとは一日寝かせておこう。

 夜には別の仕込みもしておかないとな。

 

 

 

 ダイニングに移動して昼食をとる。

 うん。ロクサーヌとセリーが作ってくれた肉野菜炒めもサラダも実に美味い。

 卵白が余ったため、アイテムボックスに白身がうなるほどあるのでそれを使ってかまぼこでもと思ったのだが時間が足りなかったため、卵白を多めに使ったチーズオムレツを作ったのだが、彼女たちはとても喜んでくれた。

 そのうち、ちゃんとかまぼこも食べてもらおう。喜んでもらえるといいんだが。

 

 

 

 食事を終えて食休みをとっていると、寝そべりながら抱き着いていたロクサーヌがこちらをじっと見つめて口を開く。

 

「この数日でご主人様のレベルは驚くほど上がっています。おそらく魔法の威力も大きく向上しているでしょう」

 

 あっ。何を言いたいのか分っちゃったんですけど……。

 

「今なら十八階層に挑んでも問題ないのではないでしょうか?」

 

 やっぱりそれかぁ。

 

 いや、でも、彼女の言っていることにも一理あるんだよなぁ。

 探索者のレベルが上がったことでボーナスポイントに余裕が生まれたし、英雄、遊び人、魔法使いのレベルアップで魔法の威力が引き上げられているはず。

 しかも、それが魔法攻撃力二倍のスキルにより、倍率ドン! さらに倍!

 与ダメ増加に期待が持てるだろう。

 

 よし。やってみるか。

 

「分かった。午後からは十八階層で戦ってみよう」

 

 それを聞いた途端にロクサーヌとセリーの顔に花のような笑みが咲き誇る。

 

「ありがとうございます! ご主人様なら絶対に大丈夫です!」

「はい! 私も足を引っ張らないように頑張ります!」

 

 二人ともヤバいくらいにテンションが上がっているぞ。

 ワンターンキルができなくて撤退するとなったら、その指示に従ってくれるんだろうか? 不安になるわぁ。

 

 

 

 のんびりとした時間を過ごして心身のリフレッシュを済ませ、午後の探索へ出発だ。

 

 玄関で二人を待っている間にボーナスポイントの振り分けを行う。

 キャラクター再設定とフォースジョブ、それから必要経験値二十分の一はマストだ。これは変更するわけにはいかない。

 ジョブも探索者、英雄、遊び人、魔法使いという信頼と実績の布陣。遊び人のスキルは現在設定している初級火魔法から動かさないでおこう。

 それから、獲得経験値二十倍も重要となるため、デュランダルとスイッチするとき以外は動かすべきではないだろう。

 これらに詠唱省略と結晶化促進四倍で合計140ポイント。うん。ぴったしカンカン。

 まるでテトリスの棒が落ちてきて全消しを達成したかのようで、全くいじりようがない。

 まあ、今は迷宮へ移動するためにワープにポイントを振っておこう。

 

 今後の予定としては探索者のレベルがあと2つ上がったら詠唱短縮に落として結晶化促進八倍にするくらいか。

 そして、3つ上がったときにはフィフスジョブの出番だな。

 賞金稼ぎのレベルを上げて生死不問を成功させよう。

 それが済んだら盗賊のレベルを上げて博徒を取得する。

 その後は上位ジョブへの入れ替えが起こるまでは探索者、英雄、遊び人、魔法使い、博徒で固定だろう。

 ただ、ある程度余裕が出来たら控えに回っているジョブのレベルを一気に上げたいところだ。特に色魔を……。

 

 

 

 あれこれ考えを巡らせていると彼女たちが玄関に来たため、それを打ち切ってワープゲートを展開する。

 

 

 

 

 

クーラタルの迷宮

十八階層

 

 

 

 

 

 前回、十八階層へ挑んだときに撤退した小部屋へ移動し、ポイントの振り分けを済ませた。

 

 ひとまず待機部屋を目指してみるか。

 その間に発生する戦闘で問題ないようならそのまま進み、厳しいようなら十七階層に戻るってことで。

 

「とりあえず待機部屋を目指して進み、この階層で戦えるのかを確かめてみよう。ロクサーヌ、地図の確認を頼む」

「以前、見たときに頭に入れたので問題ありません。すぐにご案内いたします」

 

 一度パッと見ただけの地図をよく覚えていられるよなぁ。

 本当にとんでもない能力だわ。

 

 

 

 少しでも早く上の階層へ行きたいのだろう。彼女は的確に魔物を避け続けているようで、なかなか戦闘が発生しない。

 

 あのぉ……。十八階層で戦えるのかを確認しておきたいんですが……。

 

 

 

 かなりの時間歩き続けたところで通路にロクサーヌの鋭い声が響く。

 

「ご主人様、魔物です!」

 

 腰からスタッフを引き抜き前方へ向けながらそちらを見つめていたところ、豚三匹に魚二匹が姿を現した。

 それを確認し即座に念じる。

 

ファイヤーストーム

ファイヤーストーム

 

 とんでもない大きさの火柱が上がり奴らの体を飲み込んだ。

 スタッフを握りしめながらロクサーヌとセリーが攻撃を入れている様子をうかがっていると、程なくして炎が収まりそれと共に魔物の体が風に流れるように消えていく。

 

「よっしゃ!」

 

 思わず左手を握りしめてしまった。

 

 弱点属性じゃないのに十八階層の魔物をワンターンキルができている!

 我ながらとんでもない速度で成長しているぞ。

 チート頼りで完全にパラメーターと装備品によるゴリ押しだが、これこそが俺の戦い方だ!

 

 ……あんまりかっこよくないなぁ。

 

 

 

 ドロップアイテムを差し出しながらロクサーヌが話し掛けてきた。

 

「やはり十八階層の魔物も相手にはなりませんでしたね。さすがご主人様です」

「そうだな。今後はこの階層を狩場にするか」

 

 アイテムボックスに豚バラ肉と白身をしまいながら答えると笑みを浮かべたセリーが提案を口にする。

 

「弱点属性の魔法ではないにもかかわらず二発の魔法で十八階層の魔物が倒れたのです。それなら、二十階層まで上がった方がいいのではないでしょうか」

 

 十九階層ではなく二十階層!? なんちゅうことを言うんだ!

 

「いや。一足飛びに上がるのは危険だ。まずはこの階層に慣れるべきだろう」

 

 俺のもっともな言葉を聞いてあきれたような表情を浮かべ反論の言葉を口にする。

 

「ご主人様。クーラタルの迷宮は十九階層がロートルトロールで二十階層がラブシュラブ。両方火属性が弱点となっています。十八階層の魔物が弱点属性ではない魔法二発で倒れるのですよ? それなら、弱点を突けば二十階層でも問題ないでしょう」

 

 その聞き分けのない子供を諭すような口調はやめなさい。傷つくじゃないか。

 

「セリーの言う通りです! ご主人様なら二十階層でも何の問題もありません!」

 

 ほら見ろ。寝た子を起こしてしまった。

 

 彼女の表情は期待に輝いており、ちょっとやそっとでは納得してくれないことがうかがえる。

 

「しかし、二十階層だとピッグホッグもまだまだ出現するので火魔法だと討ち損じる可能性が高いはずだ。それに、MP回復時のリスクが高すぎる」

「その場合は私が引きつけます」

「はい。私も護衛としてご主人様をお守りします」

 

 そんなこと言われてもなぁ。

 原作で十九階層に上がるのはベスタ加入後だぞ? 二人も少ない状態で挑むなんて自殺行為じゃないか?

 それにロートルトロールの攻撃を受けると麻痺する可能性があったはず。

 もし誰かが麻痺を受けた場合、三人だとその回復が間に合わず全滅しかねない。

 

 

 

「はぁ」

 

 思い悩んでいると大きなため息が聞こえてくる。

 そちらに顔を向けるとジトっとした目でこちらを見ているセリーが……。

 

 こら。そんな態度をとってメンタルが弱いご主人様が泣いたらどうするつもりだ?

 泣くぞ? すぐ泣くぞ? 絶対泣くぞ? ほら泣くぞ?

 

 

 

 いや、でも、うーん……。どうしたもんかねぇ……。

 

「それでは一度、十九階層で試してみるのはいかがでしょう。魔法戦闘とデュランダルによる接近戦を行い、問題なかった場合は二十階層に挑むということにしませんか?」

「セリー、とても良い考えですね。それならご主人様が常日頃から仰っている安全性にも配慮しているので問題ないでしょう」

 

 そう言ってロクサーヌは期待いっぱいの顔で俺の返事を待っていた。

 

 この娘たち、隙あらばすぐに上へ上へと駆け上がろうとしてくるなぁ。

 必死でブレーキをかけても全然止まろうとしない。

 本当に困ったお嬢様たちだ。

 

 だが、一応妥協案を提示してくれてはいる。

 二十階層で戦うというセリーの案には頷けるところがあるし、何より経験値効率を考えた場合、そちらの方が優れているのは間違いない。

 まずは彼女の言う通り十九階層で試してみよう。

 

「分かった。それでは十九階層で戦えるかを試してみよう」

 

 その言葉に二人から歓声が上がった。

 

 遊園地に連れて行ってもらえると伝えられた子供のようにはしゃいでいるぞ……。

 君らまさか、アトラクション気分じゃないだろうね?

 

 

 

 

 

クーラタルの迷宮十八階層

ボス待機部屋

 

 

 

 

 

 無人の待機部屋へ入り、まずはセリーのブリーフィングを受ける。

 

「ピッグホッグのボスはピックホッグで、主な攻撃手段は鋭く尖った前脚の蹄による振り下ろし、そして牙を用いた突進攻撃となります。どちらも威力が高いためなるべく食らわないよう注意してください。また、スキル攻撃として土魔法を使用してくるので適宜攻撃を入れて詠唱を潰すようにしましょう。それから、弱点属性は水で土に耐性を持っています」

 

 鋭く尖った前脚と牙による攻撃か。

 俺とロクサーヌはレベル補正のおかげで、たとえ食らったとしてもなんとかなるだろう。しかし、セリーはそうはいかない。

 オーバーホエルミングとダブルアタックを駆使して完封勝利を目指そう。

 

「そして、ピックホッグの残すアイテムは豚の毛でレアアイテムは豚肩ロース肉です。これはレアドロップとしては残る確率が高いようです」

 

 へー。そうなのか。食材集めが捗りそうだな。

 

 ボーナスポイントの振り分けを済ませボス部屋へと続く扉の前に立つ。

 

 

 

 

 

クーラタルの迷宮十八階層

ボス部屋

 

 

 

 

 

 ボス部屋へ入りすぐに戦闘を開始だ。

 いつものように背後を取るため必死にフロアを駆ける。

 

 中央に集まっていた煙が晴れるとイノシシと子豚が姿を現した。

 

オーバーホエルミング

 

 自分以外の動きがスローモーションになったところでピッグホッグとの距離を詰め、必殺のダブルアタックで薙ぎ払う。

 その一撃でHPが全損したのか、子豚の体が霧状に変わる。

 

 続けてロクサーヌに攻撃を加えようとしているピックホッグに近づき、ラッシュとスラッシュを乗せた攻撃を繰り返す。

 

 しかし、一度の効果時間では倒しきることができず、効果が切れた瞬間に奴は前脚を持ち上げロクサーヌ目掛けて振り下ろした。

 彼女はそれをあっさり回避するとイノシシの顔面目掛けエストックを叩き込む。

 

オーバーホエルミング

 

 その間にスキル名を念じ、再びボーナスタイムを作り出した。

 

 

 

 よし。完封勝利。三度目のオーバーホエルミングを使わずに済んでよかった。

 ボス戦については十八階層でも問題ないな。

 

 彼女たちは当然の結果だと思っているのか、それとも気持ちが十九階層に行ってしまっているためか、いつものさすごしゅをいただけなかった。

 この寂寥感はなんだろう……。

 

 豚の毛と豚バラ肉をアイテムボックスへ放り込み、ボーナスポイントと装備品を整えて次の階層へと続くゲートに飛び込む。

 

 

 

 

 

クーラタルの迷宮

十九階層

 

 

 

 

 

 十九階層に到着したところでセリーに魔物の情報を尋ねる。

 

「十九階層から出現するようになる魔物はロートルトロールで、攻撃を受けると麻痺してしまうことがある上に時折強力な一撃を放つこともあります。なるべく攻撃を受けないように気を付けてください」

 

 なにっ!? ロールトロールだけじゃなく、ロートルトロールもクリティカル持ちなのか!?

 クソヤバいだろ。十八階層に戻りたくなるんだが……。

 

 それにしても原作ではそんな設定なかったよな? この世界だけの設定なのかな?

 

 

 

 突然ぶっこまれた話に思い悩んでいたが、セリーが説明を続けたためそちらに耳を傾ける。

 

「先ほど申し上げた通り火属性が弱点で風属性に耐性を持っています。また、残すアイテムはメノウです」

 

 メノウ? メノウってあの? 鉱物の?

 

「それは何に使うのだ?」

 

 疑問を覚え尋ねてみると彼女は一つ咳払いをして答えた。

 

「装備品の製造に用いる素材となります。メノウで製造できるのはアクセサリーの指輪ですね」

 

 指輪! マジか!

 ということはスロットが二つ付く可能性もあるんだよな? 製造してもらうのが楽しみだ。

 

「あとは、それほど高価ではないため加工して庶民用の装飾品にすることもあります」

 

 へー。雑貨屋で売っていた装飾品はこれを使ったものなのかもしれないな。

 

 

 

 ……その話を聞いて少しだけ邪な心が顔を出す。

 指輪にサイクロプスのスキル結晶を融合し、攻撃力上昇のスキルがついた決意の指輪を製造したとする。

 これと固定で出した攻撃力上昇と対人強化の二つが付いた決意の指輪を見分けることができる人はいるのだろうか?

 

 おそらく、鑑定を持たない者には不可能だろう。

 

 まさか対人強化を確かめるために人を切るわけにはいかないだろうし、そもそも二つのスキルが付いていると気付いていなければ、そんなことを試してみようとは思わない。

 つまり、セルマー伯のところからハインツ一味が盗み出した決意の指輪を、ハルツ公に渡す前にすり替えることも可能だということになる。

 

 いや。もちろんしないよ?

 そんなことをして、もしハルツ公にそれが露見してしまえばとんでもないことになってしまう。ルティナを得るどころの話じゃない。

 あくまでも学術的興味だ。もったいないとか思っていない。少ししか……。

 

 

 

 心の中の悪魔を追い出しロクサーヌに地図を手渡す。

 

「ボス部屋へ向かいながら魔法戦闘とデュランダルによる回復を行なってみよう。問題ないようならそのままボス部屋へ行き、まだ早いようなら十八階層へ戻る」

「ご主人様なら問題ありません。あっさり魔物を仕留めることでしょう」

 

 そう上手くいくとは思えないんだけどなぁ。

 まあ、やるだけやってみるさ。

 

 

 

 短い時間で地図を頭に叩き込んだ彼女の案内で通路を進む。

 そして、ほどなくして魔物と出会った。

 

 灰色で毛むくじゃら、背中を丸めているため低く見えるが、背筋を伸ばせば二メートルほどありそうな魔物が二匹。そして、おさかなさんが二匹。

 毛に隠れた向こう側からこちらをギラギラと睨みつけている様子がうかがえ、それが不気味極まりない。

 

 怯むことなくそいつらへ向かって駆け出したロクサーヌが見えた。

 彼女の勇敢さに後押しを受け魔法を放つ。

 

ファイヤーストーム

サンドストーム

 

 ピッグホッグとマーブリームのように弱点と耐性が真逆になっているわけではないため、それぞれの弱点を突いた属性で攻撃を行う。

 業火とその間で踊る砂という尋常ではない光景をみながら、ひたすら奴らの様子を観察し続ける。

 その間もロクサーヌとセリーは容赦なく攻撃を入れていた。

 

 

 

 発動時間が過ぎ去り魔法のエフェクトが消えると、それと同じく全ての魔物の体が実体を失い空気に溶けていく。

 

 ひとまずこの組み合わせなら大丈夫か。

 問題はこれにピッグホッグが加わったときだな。

 

 二人のさすごしゅをありがたくいただき、ドロップアイテムをアイテムボックスに入れて先を急ぐ。

 

 

 

 続いて遭遇したのはロートルトロール三匹にピッグホッグ二匹、それからマーブリーム一匹の混成部隊。

 今度はファイヤーストームとウォーターストームを放つ。

 魔物の体を包み込む水の中で火が燃えているという訳の分からない現象を目の当たりにして驚いてしまうが、攻撃を繰り返している彼女たちを見て平静を取り戻す。

 

 そして、その炎と水が消えてもマーブリームは元気に動き続けている。

 

 くそっ。やっぱりダメか。

 

 ロクサーヌが引き付けている魚に向かいサンドボールを叩き込むと、その一発で倒れていった。

 

 

 

 この組み合わせだとワンターンキルとはいかないようだ。

 もう少しレベルを上げて出直した方がいいか?

 

 考え込んでいるとセリーが話し掛けてくる。

 

「組み合わせが悪く魔物が残ってしまいましたが、二十階層に上がればマーブリームはほとんど出なくなります。ラブシュラブとロートルトロール、それからピッグホッグの組み合わせなら連続魔法で倒れるのではないでしょうか。もし倒れなかった場合でもファイヤーストームを二発にして、残ったピッグホッグへウォーターボールを使えば倒せる可能性が高いです」

 

 それもそうだな。

 とりあえずデュランダルによるMP回復に問題がなければ二十階層を目指してみよう。

 

 

 

 その後、魔法による戦闘を繰り返す。

 魔物が二種類以下の場合は問題なくダブルスペルで片が付き、三種類だった場合はダブルスペルとボール系一発で倒すことができた。

 幸いなことに四種類以上の魔物が同時に出現することはなかったため、問題はないといえるだろう。

 

 そして、MPが心許なくなり回復を行うことになったが、魔物の攻撃絶対かわすお嬢さんであるところのロクサーヌが常に三匹を引き付けてくれるため、セリーと協力して一匹ずつ確実に仕留めることが可能だ。

 

 やっぱ天然物のバグキャラはすげーわ。

 

 MP回復後は上に進むため魔物を避けながらひたすら歩くことになる。

 よほど嬉しいのかロクサーヌの尻尾が可愛らしく揺れていた。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

探索者Lv42 英雄Lv37 遊び人Lv27 魔法使いLv41

装備 ひもろぎのスタッフ ダマスカス鋼の盾 身代わりの硬革帽子 頑強の竜革鎧 倹約の硬革グローブ 竜革の靴 よりしろのイアリング

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

フォースジョブ:7

必要経験値二十分の一:63

詠唱省略:3

獲得経験値二十倍:63

結晶化促進四倍:3

 

所持金:1,168,904ナール

 

春の42日目

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