その娘を目にした瞬間、まるで引力でも働いているのかと錯覚するほど視線を引き付けられてしまう。
艶やかな濃紺の髪に愛らしい三角のネコミミがちょこんと乗っており、その内側にはフサフサの白い毛が見えた。
均整の取れたスリムな体型なのに胸は大きく張り出して、その存在を主張している。
濃紺の毛で覆われた細長い尻尾は上向きにクルンと巻いており、めちゃくちゃキュートだ。
顔は丸みを帯び、それぞれのパーツが絶妙な位置に配置されていて、可愛さと美しさが同居している。
つぶらな瞳で快活そうな顔立ちなのに、今は不安の色に染まっていた。
これから奴隷として売られるのだろう。彼女がこんな表情になるのも無理はない。
予想外のことが起きたため忘れていた鑑定を使用する。
ミリア ♀ 15歳
海女Lv2
やっぱりミリアだ! 間違いない!
ロクサーヌやセリーのときと同じように、一瞬のうちに心を鷲掴みにされてしまった。
ジッと見つめていたため視線を感じたのか、彼女はこちらへ顔を向ける。
不思議そうな表情を浮かべていたものの、やがて俺たちの脇を通り抜け商館へ向かっていく。
あっ。裸足だ。売られる前なのに履物を取り上げられたのか?
「あの娘がそうなのですか?」
振り返り彼女の方を眺めているとロクサーヌが小声で問いかけてきた。
「うむ。ミリアで間違いない。声をかけてこよう」
「そうですね。商館にいた奴隷の中に彼女ほど美しい者はいませんでした。すぐに売れてしまう恐れがあるので、その方がいいと思います」
ロクサーヌさんや。意図的にあのエルフを省いたね?
いや。俺もミリアの方が美しいと思うからその意見には賛成だけどさ。
屋敷へ戻るとミリアを連れた男性が、俺たちを見送るために屋敷の外にいた奴隷商人に声をかけている。
「奴隷の買取をお願いいたします」
「そちらの娘ですか?」
「はい。村にある神殿の禁漁区で漁をしたため海賊のジョブに変わっておりました。住民一同で相談した上で奴隷に落とし、海女へジョブ変更しています。そのため十年間は海女でい続けなくてはなりません」
「なるほど。神域を侵したのですか。それに十年間もジョブの制限が……」
話を聞いた奴隷商人が難しい顔をすると、猫人族の男は慌てて付け加える。
「いえ! ミリアは禁漁区のことを知らなかったのです! 決して手癖が悪い女性というわけではありませんし、海女もそう悪いジョブではないはずです! それに彼女はまだ男を知りません!」
ここだ!
「すまない。少しいいだろうか」
話の途中で割り込むと奴隷商人と猫人族の男性、そしてミリアがこちらに顔を向けた。
「先ほどこちらへ奴隷を購入に来たのだが、決め手に欠けたため一旦出直すことにしてな」
「はい。そうでした」
奴隷商人は頷きながら答える。
「しかし、彼女を見て考えが変わった。見たところ美しいだけでなく、迷宮探索にも真面目に取り組んでもらえそうだ。どうだろう? 俺に売ってもらえないか? もちろん、そちらから直接買い取るわけではなく、商館から買い取るという形でかまわない」
その言葉を聞いて男性二人は驚いたような表情を浮かべた。
しかし、ブラヒム語が理解できないミリアはキョトンとした様子だ。
「ロクサーヌ、通訳を頼む。うちでは三日に一度くらいの頻度で魚料理を食べる。猫人族にとってはこれ以上ない程の待遇だろう。それに、彼女たちを見てもらえれば分かると思うが、新品の服を与えて清潔な暮らしを心掛け、奴隷を大切に扱っているつもりだ。どうだ? うちへこないか?」
ロクサーヌがそれを伝えると彼女の表情が輝き、大声を上げる。
そして、めっちゃ早口で何かを喋り始めた。
……ロクサーヌやセリーもそうだが、この娘の声もめちゃくちゃ綺麗で可愛いわぁ。
「ご主人様。是非うちでお世話になりたいそうです」
ロクサーヌがそう伝えると、彼女は再び何かを伝えている。
「あの、迷宮で魚系の食材を手に入れることもあるのかと聞いているのですが……」
まだ決まったわけでもないのに、すげーグイグイくるなぁ。
「白身と赤身、それから尾頭付きはアイテムボックスに常備してあり、近々トロも入手する予定だと伝えてくれ」
それを聞くと満面の笑みでロクサーヌに何かを告げていた。
そして、彼女は戸惑ったようにミリアの言葉を伝える。
「えっと、素晴らしいご主人様の下で働ける自分は幸せ者だと言っています……」
落ち着け。まだ君のご主人様になっていない。
すると、奴隷商人が声を上げた。
「お待ちください。話の続きは屋敷の中で行いましょう」
まあ、そうだわな。こんなところで商談をするわけにはいかないだろう。
案内され屋敷の中へ入ると奴隷商人は使用人であろう年配の女性を呼び出した。
そして、その女性はミリアを促し離れていく。
どういうことだ? どこにいったんだ?
突然の行動に戸惑いながら周りを確認すると、奴隷商人やミリアと共に来た男だけではなく、ロクサーヌやセリーも彼女が連れていかれた意味を理解しているようだった。
うーん……。奴隷に関する決まりのようなものなのか?
考えていると奴隷商人に案内され先ほどの部屋に戻る。
彼の向かいのソファーに俺と猫人族の男が腰を下ろした。
再びハーブティーが運ばれてきたところで彼らは雑談を始める。
いや。なんなん? なんでミリアが連れていかれて、彼らは雑談をしてるのよ。わけが分からないんだけど。
彼らのやり取りを眺めていたところ、しばらくして部屋にノックの音が響く。
店主が入室の許可を出すと先ほどの年配の女性とミリアが入ってくる。
だが、ミリアの顔は赤く染まっており、恥ずかしそうな表情が浮かんでいた。
どういうことだ? この娘に何かしたのか?
訳の分からない展開に戸惑っていると奴隷商人が問いかける。
「どうだった?」
それに対して女性ははっきりとした口調で答えた。
「はい。問題ありませんでした。間違いなく生娘です」
えっ!?
「そうか……。分かった。下がれ」
彼女はそれを聞くと扉の前で一度お辞儀をしてから退出していった。
あー。なるほど。そういうことだったのか。
おそらくミリアは大切なところをあの女性に調べられたのだろう。だから恥ずかしがっていたんだな。
しかし、それの有無で処女か否かを判別するのか?
聞くところによると性交経験がなくても、激しい運動などによりない人もいるんだろ?
その場合はどうなるんだ? 扱いが変わるんだろうか?
悩んでいると彼らは商談を開始する。
「まずはそちらからうかがいます。彼女を売却したいとのことですが」
「はい。その通りです」
「ふむ。処女であることも確認できましたし、通常なら健康状態によって十五万ナールから十八万ナールほどとなりますが、神域を侵したとなると……」
いや。安すぎん?
ロクサーヌとセリーのコハクのネックレスが合わせて十四万。
これだけの美少女の買取価格がそれと変わらないなんておかしいよなぁ。
考え事をしながらぼーっと眺めていると、男は故意じゃなかっただの、弟の面倒をよく見る良い娘だのと奴隷商人に対して説明を行っている。
そして、俺の方をチラリとうかがい続けた。
「それから、売り先はこちらの方にお願いできませんか? ミリアは本当に良い娘で村の住民も酷い主人の下に行くことになるのではないかと心配していました。しかし、先ほど聞いた話によればとても大切にしてもらえるとのこと。是非お願いいたします」
そう言って頭を下げた男に目を遣り奴隷商人は腕を組み考え込んでいる。
しばらくして考えがまとまったのか、一つ頷き口を開く。
「分かりました。それでは、売り先はこちらのお客様をご指名で、買取額は十五万ナールでいかがでしょうか?」
それを聞いた男は納得したように答えた。
「はい。よろしくお願いいたします」
奴隷商人が支払いを行い、手続きを始める。
それにしても、十五万ナールか……。
命の価値が安い世界だわ……。
ミリアのインテリジェンスカードの書き換えが終わり、奴隷商人の所有となると男はブラヒム語ではない言葉で話しかける。
彼女はそれを聞いて笑顔で頷いていた。
それから、彼はこちらへ頭を下げる。
「ミリアは天真爛漫で村の住民一同に愛されていました。どうか、大切にしてやってください」
そうなのか……。原作ではわからなかったが、ミリアは地元の人に好かれていたのか……。
「もちろんだ。彼女には何不自由ない生活をさせると約束する」
彼は安心したような表情を浮かべ手を差し出す。
握手を交わすと、彼は村に戻ると言って部屋を出ていく。
扉が閉まると足音が遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。
最後まで見届けるわけじゃないのか……。
まあ、この後は彼が出来ることもないだろうしな。
そして、奴隷商人がこちらとの商談を開始する。
「それではよろしいでしょうか」
「うむ。頼む」
「本来、彼女なら教育を施せば六十万ナールほど。オークションに出した場合は七十万ナール以上となるのは確実でしょう」
うーん……。六十万や七十万だとしても安すぎだ。
ロクサーヌの六十万やセリーの二十五万。それからベスタの六十四万もそうだが、信じられん。
良い装備品やコハクのネックレス、それにドレスの値段と比べたらその価格に疑問を覚えてしまうぞ。
……本当に人の命が安い世界なんだな。
でもまあ、それはそれとして、本当に確実なんですかねぇ?
だって、希少種族である竜人族のベスタがオークションで六十四万だよ?
絶対に七十万はいかんやろ。
「しかし、お客様に売却するようにとの指定を受けている上に、先ほどは不手際もございました。特別に三十万ナールではいかがでしょう?」
インテリジェンスカード操作の手続きを行うとはいえ、右から左に流すだけで倍になるのか……。
同じインテリジェンスカード操作のスキルでも、奴隷の所有権を変更できるのは奴隷商人が持つスキルだけだったはず。
しかし、そうだとしてもこれはぼったくり価格だよなぁ。
ミリアに関しては仕入以外全くコストがかかっていないのだ。ここは遠慮なく三割引を使わせてもらおう。
「問題ない。それから、遺言を頼む。このセリーを俺の死後解放することとしたい」
「死後解放ですか……。遺言は三百ナールとなりますが?」
「うむ。よろしく頼む」
返事をすると彼は一つ頷き口を開く。
「それでは、確認いたします。彼女の代金が三十万ナールで、遺言が三百ナール。合計三十万三百ナールとなりますが、お客様にはご不快な思いをさせてしまった上に、彼女には一切の教育を施していません。なので、今回は二十一万二百十ナールといたします」
「それは助かる。では、支払いを行おう」
右から左に流すだけなのにこの男が金貨六枚の儲けを得ることに対して思うところがないわけでもないが、めちゃくちゃタイミングが良かったおかげで原作より安く購入できている。
うん。まあ、よしとしておこう。
その後、奴隷商人が俺とミリア、それからセリーのインテリジェンスカードの書き換えを行う。
「これにて契約は完了となります。インテリジェンスカードをご確認ください」
田川歩 男 18歳 探索者 自由民
所有奴隷 ロクサーヌ セリー(死後解放) ミリア
よし。無事ミリアを迎えることが出来たな。
他の者に購入されなくて本当に良かった。
ミリア。君を幸せにするための努力を惜しむつもりはないから、今後ともよろしく。
確認を終え、インテリジェンスカードをセリーへ向けると彼女も左手を差し出してくる。
セリー ♀ 16歳 鍛冶師 初年度奴隷(死後解放)
所有者 田川歩
うん。オッケーだ。
セリーと頷き合い、今度はミリアに左手を差し出す。
彼女は戸惑った様子だったが同じようにしてくれた。
ミリア ♀ 15歳 海女 初年度奴隷
所有者 田川歩
よし。問題ナッシング。
彼女に向けて頷くと、ニコッと笑みを浮かべ頷き返してくれる。
うわー。めちゃくちゃ可愛いわぁ。
やはり俺にとってこの娘たちは特別な存在なのだと改めて思い知らされる。
それぞれインテリジェンスカードを体に収めると奴隷商人が奴隷の扱いについての説明を始めた。
アランとほぼ同じことを言っており、何らかの雛形があることがうかがえる。
聞き終わったところでアイテムボックスから入れっぱなしだった竜革の靴を取り出す。
「ロクサーヌ、これを履くように伝えてくれ」
「ご主人様、お待ちください」
ロクサーヌはそれを制止すると、リュックからタオルを取り出しミリアに何かを伝えている。
ああ。なるほど。外を歩いてきたんだ、そりゃ当然汚れている。汚れを拭ってから履いた方がいいわな。
しかし、彼女は首を横に振ってロクサーヌに話しかけた。
一頻り会話をすると困惑した表情でミリアの言葉を伝える。
「魚を食べさせてもらう上に靴まで履かせてもらうのは申し訳ないそうです」
おー! 原作のセリフだ!
あ。いやいや。感心してる場合じゃない。
「裸足で歩いて怪我でもしたら大変だ。遠慮することなく履いてくれ」
ロクサーヌがそれを伝えると彼女は嬉しそうに頷き、再び言葉を交わし始めた。
そして、ほどなくして笑顔でこちらを見つめ口を開く。
「あり、がとう」
うわー! めちゃくちゃ可愛い! 心臓がキュッとなったぞ!
返事をしようとしたところでロクサーヌが再度彼女に話しかけた。
それを聞いたミリアはコクコク頷き、もう一度俺の方を向く。
「ありがとう、です」
おお! 『ありがとう、です』だ!
すると、ロクサーヌが再度訂正しようとしているのが見えた。
駄目だ! これを変えてはいかん!
「ロクサーヌ。大丈夫だ。ミリアの精いっぱいの言葉を受け取った。彼女にどういたしましてと伝えてくれ」
「え? は、はい。分かりました」
俺の勢いに押されそれを伝えている。
そして、ミリアはタオルを受け取って足を拭き、竜革の靴を装備した。
うん。オッケーだ。
それが済むとこちらの様子を見守っていた奴隷商人と握手を交わし外へ出る。
先ほどと同じポーズで見送られ敷地を抜けた。
よし。まずはミリアのジョブを確認してみよう。
詠唱省略を解除して呪文を唱えてパーティー編成を使用する。
彼女が承諾したところで再び詠唱省略を付け、さらにパーティージョブ設定にもポイントを振っておく。
さて、どんなもんかな。
海女Lv2 村人Lv5 探索者Lv1 海賊Lv1 戦士Lv1 商人Lv1
原作通りか……。
ミリアは村人のレベルが5になっているので初級ジョブは解放されている。
物の売買をしたことがあるため商人を、迷宮に入った経験があるため探索者を、魔物を倒した経験があるため戦士を獲得したのだろう。
しかし、剣士を持っていないということは剣で魔物を倒したことはないということだ。
まあ、今後は戦士を育てて暗殺者を取得してもらうので全く問題ない。
しかし、もったいないよなぁ……。
さっきの奴隷商人から彼女の情報がアランに伝わる可能性があるため、ベイルの商館にいるうちはジョブを海女から変更するわけにはいかない。
つまり、数十日分の経験値をドブに捨てるということになる。
こんなん、もったいないお化けが出ちまうぞ。
だが、変更できないはずのジョブを変更したことがバレれば、権力者から盗賊までありとあらゆる者に狙われるだろう。
経験値惜しさにそんなリスクを負うわけにはいかない。
諦めるしかないか……。
んじゃ、ジョブの確認も終わったしこの後は買い物かな。
「それではミリアの服や小物を揃えよう。まずはリュックだな」
「そうですね。雑貨屋から回ることにしましょう」
そう言うとロクサーヌは彼女に身振り手振りを交えながら伝えている。
一頻り話を聞いたミリアは俺の左側に寄ってきた。
「セリー、ミリアがいる場合はご主人様の右側をお願いします」
「はい。分かりました」
セリーが右へ移動するとロクサーヌは前方へ移る。
なるほど。四人パーティーとなったためフォーメーションを変更したってことか。
ベスタが加入したらインペリアルクロスになるのかね?
どうでもいいことを考えていたところ、準備が整った彼女たちに促され歩き出す。
ロクサーヌの先導で雑貨屋へ入ると振り向いて問いかけてきた。
「ご主人様、用意するのはリュックサック、コップ、タオルでよろしいでしょうか?」
「うむ。一緒に選んでやってくれ」
「かしこまりました」
彼女は嬉しそうな笑みを浮かべるとセリーとミリアを引き連れ商品棚に突撃していく。
三人はきゃいきゃいとはしゃぎながら商品を選びだした。
それぞれ気に入ったリュックを持ち寄って品評を行い、それを潜り抜けたものをロクサーヌが裏返して縫製を確認している。
そして、彼女たちはそのチェックを通り抜けた選りすぐりの品を見せ、話し合いを行う。
楽しそうに選んでんなぁ。
めちゃくちゃ尊い光景で、見ているだけで心が満たされていくぞ。
まさに『いせはれ!』だ。
彼女たちの様子をボーっと眺めていると、購入する物を選び終わったのかこちらへやってきた。
「もういいのか?」
「はい。こちらをお願いします」
問いかけたところロクサーヌが頷きながら答え、ミリアもセリーも満足そうな表情を浮かべていた。
うん。オッケーだな。
「では、支払をしよう」
商品を受け取り店員のいるカウンターで支払いを行おうとしたところ、ロクサーヌとセリーが一言断って離れていく。
そして、商品棚を確認している。
なるほどな。本当に優しい娘たちだ。
支払いを終え、購入した物をリュックに入れて背負うようにジェスチャーで示すと、笑みを浮かべながら頷き、ウキウキした様子でそれを実行している。
ミリアもとんでもなく可愛いわぁ。
本当に俺は幸せ者だ。
彼女の様子を見守っていると、リュックを背負ったところでこちらを見て口を開く。
「ごしゅ、じん、さま。ありがとう、です」
やばっ! 心臓を射抜かれた! 可愛すぎるー!
「どういたしまして」
聞取りやすいように喋ることを心掛けながらそう告げると、ミリアはニコッと笑い頷いた。
自分の口角が上がっていることがわかる。
きっとニチャアとした笑みが浮かんでいることだろう。引かれてないといいんだが。
「お待たせしました」
すると、ロクサーヌとセリーもブラシを持って戻ってくる。
そして、支払いを済ませそれをミリアに差し出した。
バーナ語でやり取りをするうちに彼女の表情が輝いていく。
「ロクサーヌ、さん。セリー、さん。ありがとう、です」
ブラシを受け取ると満面の笑みでそう告げた。
新メンバーに贈り物をした二人に、それを受け取ってこんなに喜んでいるミリア。
大丈夫。きっと彼女たちは仲良くやっていける。
俺もみんなが幸せに暮らしていけるように全力で取り組んでいこう。
気が多いクズ野郎だが、彼女たちを幸せにしたいという思いは本物だ。それだけは絶対に違えるわけにはいかない。
……でもまあ、それはそれとして。
「ロクサーヌ。通訳を頼む」
「はい?」
こちらを見つめる彼女たちに告げる。
「今後、ミリアは様々なことをロクサーヌに教えてもらうことだろう。敬慕の念を抱き姉妹のように接するのだ」
「あの……。ご主人様?」
戸惑った表情で向けているロクサーヌに同じ言葉を繰り返す。
「通訳を頼む」
「え? あ、はい」
それを伝えられたミリアも顔に困惑の表情を貼り付けこちらを見ていた。
目を合わせて頷き声を出す。
「お姉ちゃんだ。お姉ちゃん」
彼女は困惑した様子のまま、おずおずと口を開く。
「……お姉ちゃん」
グッド! 超可愛い! やっぱいいわー。
原作でミリアがロクサーヌのことをお姉ちゃんと呼んでいたのは本当に愛らしかった。
彼女たちと原作のキャラクターを重ね合わせるつもりはまったくないが、これは譲れんのです。
「はぁ……」
ん?
大きなため息が聞こえてきたのでそちらに顔を遣ると、セリーがどうしようもない男を見る眼差しを向けていた……。
なんちゅう目で見るんだ。この娘は。
傷つくじゃないか。
すると、優しい微笑みを浮かべながらロクサーヌが告げる。
「ご主人様は不思議なことをなさるお方ですから」
ロ、ロクサーヌ? それはフォローなの?
田川 歩 男 18歳
探索者Lv47 英雄Lv41 遊び人Lv35 魔法使いLv46
装備 竜燐の靴 身代わりのミサンガ
ロクサーヌ ♀ 16歳
戦士Lv23
装備 強権のエストック 駿馬の竜革靴 身代わりのミサンガ
セリー ♀ 16歳
鍛冶師Lv20
装備 皮の靴 身代わりのミサンガ
ミリア ♀ 15歳
海女Lv2
装備 竜革の靴
BP振分 残BP:0
キャラクター再設定:1
フォースジョブ:7
必要経験値二十分の一:63
鑑定:1
ワープ:1
パーティージョブ設定:3
結晶化促進四倍:3
三十パーセント値引:63
詠唱省略:3
所持金:2,476,086ナール
春の50日目
いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。
前回の更新で150話を突破しました。
これも全て素晴らしい原作とお読みいただいている皆様のおかげです。
また、UA、お気に入り、感想、評価、ここすきといった反応がモチベーションになっています。本当にありがとうございます。
今回の連続更新はここまでとなりますが、今後もマイペースに更新していきますのでお楽しみいただければ幸いです。