異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

167 / 300
166 狩り

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 目を覚ますと左右の腕に柔らかで温かい感触が。

 休日に二人きりの時間を持てることが嬉しかったのか、彼女たちは様々なテクニックを駆使してくれ、三人で大いに盛り上がってしまった。

 この楽しみがあるからこそ、迷宮探索に対するモチベーションを保ち続けていられる。

 まさに日々の活力そのものといえるだろう。

 

「おはようございます、ご主人様」

 

 俺が起きたことに気が付いたのだろう。いつものように挨拶をしてくれた。

 毎日、朝一番に耳にするのが愛おしい人の可憐な声だなんて、本当に幸せを実感してしまう。

 

「おはよう、ロクサーヌ」

 

 すると、逆サイドからも特徴的で愛らしい声が聞こえてきた。

 

「ご主人様、おはようございます」

「おはよう、セリー」

 

 さあ。今日も一日頑張りまっしょい。

 

 

 

 朝の支度を整えてリビングへ移動し、今日の予定について確認を行う。

 

「いつものようにハルバーの迷宮十二階層を確認してから、クーラタルの迷宮二十二階層に入る」

「はい。二十二階層での狩りは今回で最後なのです。気を抜くことなく取り組みましょう」

 

 ロクサーヌは頷き、キリっとした表情でそう言った。

 

 あのー、最後になるかは分からないんですけどぉ。

 ベイルの二十六階層が無理そうならすぐに引き返すつもりなんですけどぉ。

 

 その旨を伝えると二人の頬が膨らんだ。

 

 毎度のように安全確保の大切さを説き、何とか納得してもらう。

 まったく。好戦的で困った娘さんたちだ。

 

「朝食をとったら商人ギルドへ移動して激情のオリハルコン剣の取引だね。その後は帝都の図書館へ行くから、魔物の情報についてはお願いね」

 

 セリーと目を合わせながら頼むと、彼女は輝くような笑みを浮かべ頷いた。

 

「はい。お任せください。前回と違い、今回は魔物の情報だけを調べるので図書館にある分の情報については書き写すことができると思います」

「図書館にない魔物の情報があるの?」

 

 気になったので尋ねてみる。

 

「六十六階層までなら最上位種の情報も確実にあるでしょう。おそらく七十七階層くらいについてもある可能性が高いと思います。ですが、それ以降で戦うパーティーが少ないため、情報がなくても不思議ではありません。さらに、八十九階層以降については絶望的です」

 

 彼女の言葉にロクサーヌも続く。

 

「八十九階層以降に到達したのは初代皇帝のパーティーだけですからね。入口に移動することはできても、そこの魔物と戦うのは難しいと言われています。もっとも、ご主人様にとっては何の障害にもならないでしょうが」

 

 なんて恐ろしいことを言うんだ、この娘は……。

 今、探索している階層が二十二階層なんだぞ?

 六十七階層飛ばしとか無理に決まっているじゃないですか……。

 

 そのくらいの魔物となればどんな攻撃手段を持っているのか想像もつかない。全員麻痺って全滅とか、全員石化で全滅とか普通にありそうだ。

 情報のない階層へ挑む前には状態異常耐性をガチガチにしておかなければ。

 

 

 

 ロクサーヌの言葉をアルカイックスマイルでやり過ごし、話題を変えるために質問を行う。

 

「その後はロクサーヌとの時間になるけど、何かやりたいことはある?」

 

 すると、その美しいかんばせにはちきれんばかりの笑みを浮かべ、弾むような声色で話し始めた。

 

「あの、午前中はオーバーホエルミングとデュランダル、それからラッシュやスラッシュを用いずに、連続してボスに挑むというのはいかがでしょうか。戦闘勘を養うのに絶対役立つはずです」

 

 なんて恐ろしいことを言うんだ、この娘は……。

 

 俺が難色を示したことに気が付いたのだろう。彼女は慌てて付け加える。

 

「もちろん危なくなればオーバーホエルミングを使用するのはありだと思います! ご安心ください!」

 

 えっ? 何を当たり前なことを言ってるんだ?

 もしかして、俺が渋らなければ絶対に使っちゃ駄目だったの?

 

 ……とんでもないことを考えるなぁ。

 

 しかし、どうしたもんかねぇ……。

 ぶっちゃけ、オーバーホエルミングとデュランダルさえあれば、二人でもそれほど問題はないはずだ。

 しかし、それを縛られた場合、かなり厳しいことになるだろう。

 

 

 

 考えを巡らせながらロクサーヌをうかがうと、期待に満ちた眼差しでこちらを見つめている。

 

 本当に可愛い娘だなぁ。

 

 いやいや。違う違う。そんなことを考える場面じゃない。

 

 うーん……。でも、これだけ期待しているのだ。

 ヤバそうならオーバーホエルミングとダブルアタックを使うってことで、彼女の希望を叶えるとしよう。

 

「分かった。それじゃあ、午前中は連続でボスに挑むことにしよう」

 

 すると、彼女はソファーから立ち上がり、オーバーホエルミングを使ったかのような動きで俺の体に抱きついた。

 

「ありがとうございます! この経験は絶対にご主人様の糧になることでしょう!」

 

 彼女自身の娯楽という面もあるんだろうが、俺の成長を促すための提案だったのか。

 方法について思うところがないわけではないが、その気持ちがとても嬉しい。

 

 しがみついている彼女の背中をゆっくりと撫でる。

 

「俺の方こそありがとう。君の気持ちが本当に嬉しい」

 

 その言葉を聞き、彼女ははにかんだような笑みを浮かべていた。

 

 

 

 ロクサーヌとのイチャイチャタイムを満喫していたところ、正面からプレッシャーを感じる。

 顔を上げるといじけた表情のセリーと目が合った。

 

 あー。しまったなぁ。

 

 すぐに手招きを行い彼女も呼び寄せる。

 そのしぐさを目にした途端、セリーも表情を輝かせて駆け寄り、俺の左腕を抱きしめた。

 

 なにもこの距離をそんなに急がなくてもという気持ちもないわけではないが、それ以上に俺と触れ合えることを喜んでいる彼女の様子が嬉しい。

 ロクサーヌのことも、セリーのことも大切にしていこう。

 もちろん、もうすぐ合流するミリア、それから加入予定のベスタやルティナのこともだ。

 

 

 

 二人に腕を抱きしめられ、その柔らかな感触に幸せを感じながら問いかける。

 

「ロクサーヌ。午前中はボス狩りをするとして、午後は何かしたいことはある?」

 

 すると、頬を朱に染め恥ずかしそうに答えた。

 

「その、ご主人様にたくさん可愛がっていただきたいです……」

 

 好きだ! ロクサーヌ、大好きだ!

 

「そうだね。たくさん愛し合おう」

「はい……」

 

 可愛らしいおねだりに応えたところで、装備を整えるため二階へ移動する。

 

 

 

 装備品を身に着けて玄関へ移動し、ボーナスポイントとジョブの設定を行っていると、程なくして彼女たちも二階から下りてきた。

 

「それじゃあ、行こう」

 

 二人に声を掛け、ワープゲートを展開する。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮

十二階層

 

 

 

 

 

 ハルバーの迷宮へ移動するとロクサーヌの表情が変わった。

 

 これはいるのか?

 

「ロクサーヌ、確認を頼む」

「かしこまりました」

 

 彼女は返事をして匂いの確認を始めると、程なくして目に剣呑な光が灯る。

 

「ご主人様、十人以上がとどまっている場所があります。匂いの様子からすると長時間移動していないため待機部屋ではないでしょう」

 

 マジか……。よりによって休日にしようと思っていた今日なのかよ……。

 

 一つ息を吐きだし二人に告げる。

 

「一旦、自宅へ戻って準備を整えよう。それが済み次第、盗賊共を殲滅だ」

 

 そう告げると彼女たちはらんらんと輝く瞳で頷きを返した。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 自宅へ戻り、そのまま玄関で準備を行う。

 

 さて、まずはジョブの設定だ。

 対人戦においてはラッシュやスラッシュといったスキルはオーバーキルとなるため必要ない。

 なので、今回は信頼性の高い、探索者、英雄、遊び人、魔法使いという鉄板の組み合わせでいこう。

 

 フィフスジョブをフォースジョブに落とし、ジョブ設定を外す。

 

 よし。オッケー。続いてボーナスポイントの振り分けだ。

 

 とりあえず詠唱省略、鑑定、ワープはこのままにしておく。この三つは絶対に必要となる。

 

 次に獲得経験値二十倍を武器六に変え、出現したデュランダルをアイテムボックスへしまいこむ。

 できれば貫通のオリハルコン剣を使いたいところだが、相手には現在の俺よりレベルの高い狂犬のシモンがいる。レベル補正無視は必須となるはずだ。今回はこいつに頼ろう。

 

 あっ。待てよ? フラガラッハにもレベル補正無視が付いているな……。

 魔物に比べて人はHPも防御力もだいぶ低いし、対人強化を持つ決意の指輪を組み合わせればいけるか?

 

 ……いや。やめておこう。

 わざわざ命が懸かった場面で試すことじゃない。安全第一、いのちだいじに。

 

 さらに、パーティー項目解除とパーティライゼイションにチェックを入れた。

 こうしておけば、万が一彼女たちが大怪我を負っても、俺が滋養錠を飲むことで全快させることが可能となる。

 

 そして、今回は必要経験値二十分の一もいじることにしよう。

 本来なら貯まっている経験値を無駄にしそうで手を出したくないが、十人以上の盗賊がいる上に、高レベルの二つ名持ち、それから兇賊なんていうどんなスキルを持っているのか想像もつかない者までいる。

 万全の対策をとった方がいい。

 

 必要経験値二十分の一をポイントに戻して足装備六に振り、出現した歩雲履に履き替えた。

 

 残ったポイントを敏捷に振って準備完了。

 さすがにこの場面で結晶化促進に振るわけにはいかないしな。

 

 

 

 キャラクター再設定の画面を閉じ、こちらを見つめていた二人と打ち合わせを行う。

 

「ロクサーヌ、ハルバーの迷宮へ戻ったらなるべく魔物を避けて盗賊の所へ案内してくれ」

「かしこまりました」

 

 彼女は真剣な表情で頷き答えた。

 

「盗賊に出会ったらオーバーホエルミングですぐに片付けて左腕を切り取る。セリーはそれの回収をお願い」

「分かりました」

 

 ただ、狂犬シモンのインテリジェンスカードだけは分けておく必要があるんだよなぁ。

 そっちについては俺が回収することにしよう。

 

 あっ。腕を入れるためのリュックを別で用意しておいた方がいいか。

 

 以前、盗賊を倒したときに奴らの腕を入れるために奪っている。

 確かそれを洗ってとっておいたはずだ。

 

 ロクサーヌに確認すると、頷きながら答える。

 

「はい。物置にしまってあります。盗賊がリュックを持っているか分からないのでその方がいいですね。持ってまいります」

 

 彼女はそう言って靴を履き替え二階へ上がり、程なくして二つのリュックを持って戻り、セリーへ差し出す。

 セリーは受け取ったそれをリュックにしまい込んだ。

 

 

 

 さて、打ち合わせを続けよう。

 

「俺は装備品をアイテムボックスに入れるから、ロクサーヌは装備品以外の盗賊の持ち物の回収と、他にも隠れている者がいないかの確認をしてくれる?」

「はい。お任せください」

 

 彼女はきりっとした表情で自信ありげに頷いた。

 ほんと、頼もしいお嬢様だこと。

 

「それから、もし怪我を負ったときはすぐに滋養錠を使うようにしてね。その状況になった場合は身代わりのミサンガが切れているだろうから、絶対に躊躇ったら駄目だよ?」

 

 そう伝えたところ、二人の表情がふっと緩む。

 

「はい。お気遣いありがとうございます」

 

 セリーが笑顔で返事をすると、ロクサーヌも嬉しそうに口を開いた。

 

「ふふ。心配性でお優しいご主人様。私たちのご主人様が盗賊ごときに後れを取るはずありません」

 

 めちゃくちゃ信頼が重い。でも、それがすごく嬉しい。

 

「そうだな。君たちが傷つくことがないように立ち回るとしよう」

「はい。それに私たちも毎日ご主人様の薫陶を賜っているのです。何も問題ありません」

 

 あの……。薫陶を受けているのは君じゃなくて俺なんですが……。

 

 

 

 迷宮に戻るにしても盗賊を狩ったことを印象付けるために、入口から入りなおした方がいいのだろうか?

 

 ……いや。インテリジェンスカードをハルツ公爵騎士団に持ち込むのは冒険者のジョブを取得してからだ。

 今日、倒したと思われてしまえば、どうしてすぐに持ち込まなかったのだと疑念を持たれてしまうはず。

 冒険者を取得した後に入口から入り、そのときに盗賊を倒したと思い込ませることにしよう。

 

 さて。それじゃあ、盗賊狩りといきますか。

 

 準備と打ち合わせを済ませ、再びワープゲートを展開する。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮

十二階層

 

 

 

 

 

 アイテムボックスから取り出したひもろぎのスタッフを腰のベルトへ差し、ダマスカス鋼の盾を左手に装備した。

 

「ロクサーヌ、頼む」

「はい。ご案内いたします」

 

 匂いを確認しながら歩き出した彼女の後に続く。

 

 まるでトヘロスでもかかっているかの如く、まったく魔物とエンカウントしない。

 そのため、俺たちの歩く速度は相当なものになっており、はたからは競歩を行っているように見えることだろう。

 

 

 

 そして、二時間近く経ったころに、通路の突き当りでロクサーヌが囁いた。

 

「この壁の向こうが小部屋になっており、おそらく誘き寄せる役なのでしょう。人が六人います。そして、その奥にはさらに多くの人がいるようです」

 

 盗賊で間違いなさそうだな。

 

 息を吐き出し二人の顔をうかがうと、どちらも好戦的な表情を浮かべている。

 前回は緊張していたというのに、たった数日でセリーも逞しくなったもんだ。

 

「鑑定で確認して盗賊なら即座に始末する。奥の方には狼人族がいるはずなので、戦利品を回収したら気づかれる前に強襲しよう。二人は絶対に前へ出ないでくれ」

「かしこまりました」

「分かりました」

 

 顔を見合わせ頷き合い、アイテムボックスへスタッフと盾をしまい、デュランダルを取り出す。

 

 さあ、行こう。

 

 突き当りへ進むと音を立てて壁が落ち、その向こうには人影が見える。

 鑑定を使ったところ、ロクサーヌの言った通り数は六人で、予想通り全員盗賊だ。

 レベルはそう高くなく、24が最高で次の21以外は全て10台。

 

 よし。速攻で片付けよう。

 

オーバーホエルミング

 

 即座にボーナスタイムを作り出し、立て続けに念じる。

 

ファイヤーウォール

ファイヤーウォール

 

 俺たちと奴らを防ぐように一枚。そして、奴らの背後に一枚、火の壁を作り出す。

 

ワープ

 

 さらに、横の壁にワープゲートを開いて飛び込んだ。

 

 

 

 奴らのサイドから抜け出し歩雲履のアシストを受けながら一足飛びに近寄り、呆然と火の壁を見つめている男の首を飛ばす。

 その横にいた男も同じように始末した後に地面を蹴って飛び上がる。

 

 少し離れた位置にいた奴の背後に回り、空中を蹴って距離を詰めデュランダルを振るう。

 頭と体を泣き別れにしたところで、こちらに気付いていない隣の男を屠った。

 

 再び地面を蹴ってファイヤーウォールの真ん前にいた二人に接近し、それぞれの首を落としていく。

 

 

 

「ふぅ」

 

 火の壁が消え、時の流れが元に戻ったところで口から息が漏れた。

 

 グズグズしている暇はない。さっさと戦利品の回収を済ませよう。

 

 盗賊の左腕を次から次に切り落とし、それが済むと装備品をアイテムボックスに放り込んでいく。

 同じようにロクサーヌは装備品以外のお金やアイテムの回収を。

 セリーも腕を拾ってリュックにしまっていた。

 

 

 

 黙々と作業をこなし、奴らの体が迷宮に飲まれたところでロクサーヌに尋ねる。

 

「奥の奴らの様子はどうだ?」

 

 彼女はスンスンと鼻を鳴らして答えた。

 

「まだ気付いた様子はありませんがこれほど濃密な血の匂いなのです。狼人族ならすぐに気が付くことでしょう」

「分かった。ロクサーヌ、奴らがいるのはどこだ?」

「あちらの通路の奥です」

 

 俺たちが入ってきた扉から見て左側の通路か。

 

「よし。気付かれる前に急いで移動しよう」

 

 抜き身のデュランダルを携えたまま通路を進むとすぐに扉があり、その先には通路が続いていた。

 そして、歩き始めたところでロクサーヌが告げる。

 

「道なりに進んだ先に開けた場所があり、そこに八人います」

 

 八人もいるのかよ……。

 

 ……いや。やることはこれまでと同じだ。

 ファイヤーウォールで気を逸らし、オーバーホエルミングとデュランダルのコンボで片付ければいい。

 それに今回は装備すればロクサーヌからもクリーンヒットをもらうことのない歩雲履だってついている。

 さらに小部屋の奴らは片付けているため、挟み撃ちの心配もない。

 盗賊如き、何するものぞだ。

 

 

 

 曲がりくねった通路を進んだところで再びロクサーヌが口を開く。

 

「ご主人様、この角を曲がった先にいるのですが、私たちに気が付いたようです。慌ただしく動き始めました」

 

 思わず舌打ちが出てしまう。

 

 くそっ。敵に狼人族がいると厄介だな。

 

 相手側には探索者だっているんだ。逃げられる前に片付けなくては。

 

「俺はオーバーホエルミングを使い先行する。もし逃げてくる者がいたら対応を頼む」

「お任せください」

「かしこまりました」

 

 彼女たちと言葉を交わしてから念じる。

 

オーバーホエルミング

 

 時の流れが緩やかになったところで、歩雲履の力を借りて一気に駆け出した。

 

 

 

 角を曲がるとひらけた空間が広がっており、そこにいる男たちは動揺した表情で伸びきったカセットテープのような声を上げている。

 

 よっしゃ! 仲間がやられたことで混乱しているようだ! 今がチャンス!

 

ファイヤーウォール

ファイヤーウォール

 

 正面に二枚の火の壁を張り、立て続けに念じた。

 

ワープ

 

 通路の壁に開いたゲートへ飛び込む。

 

 

 

 奴らの背後に展開されたワープゲートから抜け出すと、全員スローモーションで火の壁に顔を向けているところだった。

 

 兇賊レベル24のハインツ、海賊レベル67のシモン。それから、レベル42の探索者。

 他の盗賊も軒並みレベル40を超えているが、まずはこの三人からだ。

 

 一足飛びに距離を詰め、一番手前にいたハインツの首を飛ばす。

 所詮盗賊。身代わりのミサンガを持っていないため一撃で片が付いた。

 

 続いて、その先のシモンへ近づくと、驚いたことにこちらに反応し、手に持ったレイピアを背後に向けスローモーションで振るおうとしている。

 さすがは音に聞こえし狂犬シモンといったところか。

 

 だが、ロクサーヌには及ばない。

 

 そのスローモーションの一撃をデュランダルで叩き落とし、返す刀で首を断つ。

 さらに、逃走手段を奪うため探索者の男を始末した。

 

 そこでファイヤーウォールの効果が切れ、他の奴らがこちらへ振り向き始める。

 ロクサーヌとセリーの安全のため、もう一度ファイヤーウォールを張って入口を塞いでおく。

 

 広間をぐるりと見まわすと、少し離れた位置にいる者に目が留まる。

 

 よし。あいつからだ。

 

 狙いを定めて空中を駆け、そいつの背後へ到達したところで空中を蹴って背後をとった。

 即座に片付け、俺のことを見失っている者を次々と片付けていく。

 

 

 

「ふぅ」

 

 自分以外に立っているものがいなくなったところで体の力が抜け、口から息がこぼれた。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

探索者Lv48 英雄Lv42 遊び人Lv37 魔法使いLv47

装備 聖剣デュランダル 身代わりの硬革帽子 頑強の竜革鎧 倹約の硬革グローブ 藕絲歩雲履 よりしろのイアリング

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

フォースジョブ:7

詠唱省略:3

ワープ:1

鑑定:1

武器六:63

パーティー項目解除:1

パーティライゼイション:1

足装備:63

敏捷:5

 

所持金:2,313,645ナール

 

春の53日目

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