異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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186 手合わせ

 

 

 

 

 

ボーデ

宮城

 

 

 

 

 

 公爵を先頭にズンズン通路を進んでいくと、天井が高く、だだっ広い部屋に到着した。

 そこで待っていた多数の団員が一斉に視線を向けてくる。

 彼らにこちらを侮ったり、貴族ではないからと見下している様子は見られない。

 それにエルフ以外の団員も割といるし、俺たちが他種族だからといって差別的な感情も持ってなさそうだ。

 家臣に対する指導力の高さがうかがえる。

 

 ほんま、有能なお人やで。

 

 

 

 ハルツ公はこちらに振り向くと、ハッと気づいたように自己紹介を始めた。

 

「余はハルツ公爵であるブロッケンじゃ。アユム殿、パーティーメンバーの名は何と申すのだ?」

 

 え? 今? 今なの? さっきで済ませておくべきことだったでしょ。

 

 まあいい。こちらもちゃんと紹介しておかないと。

 

 まずはロクサーヌの方に手のひらを向けて告げる。

 

「こちらがロクサーヌ。武勇に優れ、特にその回避能力は圧巻の一言。また鼻を用いた索敵で素早く魔物を見つけ出してくれるため、パーティーに欠かすことができない人材です」

 

 それを聞いた彼女の顔に嬉しそうな表情が浮かぶ。

 

 そして、今度はセリーの方へ手を向けた。

 

「彼女はセリー。鍛冶師として装備品の製造やスキル結晶の融合をするだけではなく、迷宮や魔物についての情報を調べ、的確に伝えてくれるパーティーの頭脳。彼女がいなくては作戦を立てることもままなりません」

 

 すると、はにかんだような笑みを浮かべこちらを見つめている。

 

 うむ。二人とも実に可愛い。

 

 紹介が終わるとハルツ公はくつくつと笑い声を漏らす。

 

「であるか。アユム殿はパーティーメンバーに恵まれておるようだな」

 

 だしょー? 俺ほどパーティーメンバーに恵まれている者はいないっすよ。

 

 

 

 一頻り笑うと彼はロクサーヌへ話し掛ける。

 

「では、ロクサーヌ嬢。腰の物を預け、木剣を選ぶがよい」

「はい」

 

 彼女は返事をすると強権のエストックを外してセリーに預け、木剣を選び出す。

 

 買い物のときみたいに長い時間をかけて選ぶのではないかと心配したが、何本か試してすぐに決めていた。

 

 さすがのロクサーヌもこの状況では空気を読んでくれたようだ。安心したわー。

 

 彼女は選び終えると部屋の中央で待っていた聖騎士の所へ向かう。

 

「双方、自らの力を存分に示すがよい」

 

 公爵の言葉に二人はお互いを見据えながら頷く。

 

「では、参ります」

 

 そして、聖騎士は一言発して動き出した。

 一気に距離を詰め、両手剣を模した木剣を振り抜いたところ、ロクサーヌはいつものように体をずらし、ミリ単位でかわしている。

 

 すると、俺とセリー以外の者から驚きの声が漏れた。

 

 騎士団の中で一番の実力というのは伊達じゃないようで、彼は流れるような動作で、立て続けに攻撃を繰り出す。

 

 振り下ろし、薙ぎ払い、回転切り、突き。

 

 しかし、そこはバグキャラのロクサーヌ。

 次々と放たれる攻撃を木剣でいなし、盾でさばき、蹴りで軌道を変え、最小の動きでかわし続けていた。

 

 そのたびに団員たちからどよめきが上がる。

 

 ハルツ公とゴスラーは食い入るようにその様子を見つめており、天女のようなカシアの顔には驚きの表情が浮かぶ。

 

 その気持ちは分かる。よーく分かる。

 

 俺なんてオーバーホエルミングを使ってもかわされてるからね?

 そんなことができる人なんて他にはいないはずだ。

 正真正銘、世界一の回避能力だと断言できるぞ。

 

 ロクサーヌは手出しをせず、顔に余裕の表情を浮かべながら相手の攻撃を避け続けている。

 あらかじめ回避能力に注目されていると伝えていたため、それを見せつけているかもしれない。

 

 

 

 しばらくそれを続けていたが、頃合いだと思ったのか彼女は攻撃に転じた。

 

 聖騎士が突きを放った瞬間、ロクサーヌの体が宙を舞い、その木剣に着地したかと思うとそこを足場にもう一度ジャンプして、前方宙返りのように回転しながら彼の肩口を強かに打ち据える。

 俺とセリーが毎日食らっている例のやつだ。

 あれはめちゃくちゃ痛いんだよなぁ。

 

 そして、そのまま二回転宙返りを行い、しっかりと着地を決めていた。

 うん、十点満点。

 一方、強烈な攻撃を食らった聖騎士は体勢を崩して膝をついてしまう。

 

「そこまで!」

 

 それを見届けたところで、公爵は声を張り上げ終了を告げるのだった。

 

 

 

 手合わせが終わると、彼女は一礼してこちらへ戻ってくる。

 

 原作のロクサーヌは公爵家や相手の体面、それにミチオの立場などを慮ったのか、引き分けで終わらせていた。

 しかし、彼女の力を示す必要があると伝えていたため、きっちり勝ち切ることにしたのだろう。

 

 絶対に攻撃を食らっていないと分かってはいるものの、念のために確認だ。

 

「怪我はないか?」

「はい。問題ありません」

 

 ですよねー。

 

「さすがロクサーヌ。素晴らしい身のこなしだった」

「はい。本当にロクサーヌさんはすごいです」

「ふふ。ありがとうございます」

 

 俺とセリーからの称賛に彼女は微笑みながら答える。

 あれだけの強さを見せつけた上にこの美しさ。まさに戦女神のような女性だ。

 

 

 

 俺たちが話している間も聖騎士は立ち上がることができず、地面に膝をついたままだった。

 その様子を見て、ハルツ公は団員の僧侶に回復魔法を使うよう告げる。

 

 おっ。レベル90の僧侶か。おそらく、原作でゴスラーのパーティーにいた奴だろう。

 

 様子を見ていると冒険者がパーティー編成を使い、聖騎士と僧侶をパーティーに入れた。

 そして、僧侶が詠唱を始める。

 

 ん? なんでわざわざパーティーに入れたんだ?

 

 ……もしかしたら回復スキルはパーティーメンバーにしか使えない?

 原作にそんな描写はなかったはずだが、この世界だけのシステムなのだろうか?

 

 ……いや、考えてみればミチオやロクサーヌが、パーティーメンバー以外に回復魔法を使う描写はなかった気がする。

 逆に他の人から回復魔法をかけてもらうような状況もなかったはずだ。

 あるいはあの世界でもそうだったのかもしれない。

 

 

 

 思索に耽っているとハルツ公がこちらへやってくる。

 

「実に見事な闘いぶりであった。有能な鍛冶師もおるようであるし、先ほどの繰り返しになるが、まことアユム殿はパーティーメンバーに恵まれておるな」

「はい。世界でも五本の指に入るであろう有能な女性たちです。私以上に恵まれた者はいません」

 

 ガチでな。ガチガチのガチでな。

 

 それを聞いた公爵は唖然とした表情を浮かべたものの、すぐにくつくつと笑い声を漏らす。

 

「であるか。三人では厳しいだろうが、仲間が増えればすぐにでも迷宮討伐を成し遂げるであろう」

 

 彼の言葉にロクサーヌとセリーは、こいつはよく分かっていると言いたげな顔で頷いていた。

 

 こらこら。その表情は問題になるでしょ。

 無礼者とか言われる前にやめときなさい。

 

 内心で気を揉んでいると、ハルツ公はロクサーヌに話しかける。

 

「その方の動きは、今まで余が見てきた者の中で一番だと断言できるものであった。これからもその力でアユム殿を支えるのだぞ」

 

 すると、彼女は表情を引き締め答えた。

 

「はい。どのようなことがあろうとも、私は生涯ご主人様をお支えいたします」

「うむ。励むがよい」

 

 ハルツ公が笑顔で頷くが、ロクサーヌはそのまま言葉を続ける。

 

「ですが、公爵様は勘違いをなさっているようです」

 

 ちょっと! ロクサーヌ! なに言ってんの!

 

「む? 勘違いとは?」

「私の動きはご主人様より賜った薫陶によるもの。そのご主人様の動きは私など比較になりません」

 

 おいィィィ! なんてこと口走ってるんですかァァァ!!!

 

「なに! アユム殿、それはまことか!?」

 

 まことじゃないです! 俺のそれはオーバーホエルミングによるもので実力じゃないんです!

 

「まさか先ほどの彼女をも上回るというのですか………」

 

 ゴスラーも驚愕したようにこちらを凝視している。

 

 どうしよう。どうやって誤魔化せばいい?

 

 内心で焦り散らかしていると、公爵が口を開いた。

 

「どうやらアユム殿は随分と実力を隠すのが上手いようだな」

「はい。一見すると隙だらけにしか見えませんが、まさか擬態だったとは……」

 

 おい、ゴスラー。今までそんな風に思ってたのか?

 いやまあ、その通りなんですけど……。

 

「ふむ。そうなるとアユム殿の実力も見ておく必要があるか」

「ええ。確認しておくべきかと」

 

 ちょっとー! やめてー!

 

 彼らがそう言った瞬間、ロクサーヌの表情が輝いた。

 そして、まるで計画通りといった表情でこちらを見つめ、目が合うと満足そうに頷く。

 

 いやいやいや。めちゃくちゃ可愛い笑顔だけど、君ヤバいことをしでかしてるからね?

 

 どうしよう。このままじゃ本当に模擬戦をする羽目になっちまう。

 

 そうだ! セリーだ! セリーならきっと何とかしてくれるはず!

 

 助けを求めてセリーの方に視線を向けると、彼女の顔には『やっちゃえバーサーカー(ご主人様)』とか言い出しそうなくらい、好戦的な表情が浮かんでいた。

 

 セリータス、お前もか……。

 本当に君らはイケイケドンドンがすぎるぞ……。

 

「アユム殿、よろしく頼む」

「……かしこまりました」

 

 公爵の言葉に渋々答える。

 

 もうこうなったら覚悟を決めるしかない。

 それに、オーバーホエルミングを用いた動きは、ソマーラの村の住人やベイルの奴隷商館の人たちにも見られているし、バラダム家との決闘の際にはゴスラーにも目撃される。

 それならここでバレたところでたいした違いはないだろう。

 

 ん? あっ。そういうこと?

 

 ロクサーヌはバラダム家との決闘をハルツ公爵家で行うことや、俺が本気で闘うのかを確認していた。

 今後は迷宮討伐を狙っていくことと、彼女の実力を見せつける必要があると告げたことで、俺も自分の力を示そうしていると考えたのだろう。

 そのため、どうやったらその流れに持っていけるかを計画し、ハルツ公にあんなことを言ったってわけだ。

 

 今回の件は俺の確認不足が招いた結果だな。

 今後は小さなことでも、それぞれの意見の確認とすり合わせを行うことにしよう。

 

 でもまあ、それはそれとして俺のことを想って行動してくれた彼女の気持ち自体はとても嬉しい。

 

 ロクサーヌの方に目を遣ると、褒められるのを待っているかのような笑みを浮かべ、こちらを見つめていた。

 期待に応えるためにも後でめちゃくちゃ褒め倒しておかないと。

 

 彼女の目を見つめ頷くと、まるで太陽のように表情が輝きを増す。

 ほんと、可愛い娘だわぁ。

 

 

 

 アイテムボックスから装備品を取り出し身に着けたところで、ハルツ公が告げた。

 

「さあ、木剣を選ぶがよい」

 

 と言われてもなぁ。

 

「公爵閣下、私は無手を得意としておりますので木剣は不要です」

「ほう、無手とな?」

 

 その言葉に少し考え呟きを漏らす。

 

「魔物ではなく対人、それも武器の携帯が許されぬ場所を想定した武術を修めておるのか……」

 

 いえ。考えすぎっす。

 俺は武術なんか修めておらず、実際には無手が得意じゃなくて武器が上手く扱えないだけっす。

 でもまあ、日本には魔物がいなかったし、銃刀法があるため武器の携帯は許されていない。当たらずといえども遠からずといえなくもないか。

 

 公爵は感心したような表情で告げる。

 

「では、始めるとしよう」

「お待ちください」

 

 すると、その言葉をロクサーヌが遮った。

 

「ご主人様は普段の訓練でも、私たち二人を難なくあしらうお方。実力を確認するのであれば一対多で行うのがよろしいでしょう」

 

 ロクサーヌ! 何言ってんのー! 逆じゃん! 俺たち二人をあしらってるのは君の方じゃん!

 それに高位貴族の言葉に異議を唱えているけど、これ大丈夫なのか!?

 

 公爵の機嫌を損ねていないか不安になっていると、その言葉に一瞬驚いたものの、すぐに口を開く。

 

「であるか。それであれば一対三での手合わせといたそう」

 

 よかった。怒った様子はない。心の広い人で助かったわ。

 

 それに初見でオーバーホエルミングの動きに対応できるはずがない。なら一対三でも問題ないだろう。

 

「はい。よろしくお願いします」

 

 返事をすると、彼はニヤリと笑う。

 

「ほう。余の騎士団の精鋭三人が相手でも問題ないと見える。その自信を確認せねばな」

 

 えっと、あの、はい……。お手柔らかに……。

 

 

 

 部屋の中央に進むと、正面にはロクサーヌと闘った男が。

 そして、ある程度の間隔を空けて左右にも木剣を携えた聖騎士が並ぶ。

 三人ともレベルが30を超えているのがマジですごい。

 必要経験値二十分の一や獲得経験値二十倍なしに、最低でも戦士のレベルを30まで上げ、騎士のレベルを50にした上でこれってことだもんなぁ。

 

 思索に耽っていると公爵が告げる。

 

「アユム殿、手加減無用で頼む。その方らもハルツ公爵家騎士団の意地を見せよ」

 

 すると、彼らは気合十分といった様子で返事をしていた。

 

 俺の場合はずるっこだし、少しだけ申し訳なさを覚えたものの、そんなことを言うとロクサーヌに心配をかけてしまう。

 それに、天から授かった力という点で考えるなら、彼女の方も大概だ。

 あまり深く考えないようにしよう。

 

 

 

 公爵が離れ、俺たちがそれぞれ構えを取ったところで声が上がる。

 

「では、各々自らの力を示すがよい」

 

 その言葉が発せられるや否や、三人は一斉に動き出した。

 

オーバーホエルミング

 

 俺の方もすぐさまボーナスタイムを作り出し応戦だ。

 

 基本方針は相手が対応できないうちに各個撃破。

 真ん中の奴を狙うと左右から攻撃を受けてしまうかもしれないので、右から順番に片付けていこう。

 

 歩雲履がないため一足飛びに移動することも、宙を駆けることも不可能。

 まあ、そんなものを持っていると知られるわけにはいかないため、装備していたとしてもそれをするわけにはいかないのだが。

 とはいえ毎日のボス戦と同じ状況だ。慣れたもんよ。

 

 一気に距離を詰めると、驚愕の表情を浮かべながらそれでも突きを放ってきた。

 おそらく体が反射で動いたのだろう。それだけでも練度の高さがうかがえる。

 

 それを避けつつ木剣を握っている右手を取り、その勢いを利用して思いっきり地面へ叩きつけた。

 そして、念のため右手を蹴り、木剣を遠くへ飛ばしておく。

 

 ターゲットを真ん中の男に変えてそちらへ視線を遣ると、スローモーションで体の向きを変えようとしているのが見えた。

 

 オッケー。こちらを見失っている。

 

 相手の死角を取るべく右側から回り込み、先ほどと同じように地面に転がし武器を飛ばす。

 

 それが済むと左側にいた男がスローモーションでこちらへ迫っていた。

 

 上段の構えから渾身の力で木剣が振り下ろされる。

 しかし悲しいかな、現在の俺はボーナスタイム中。

 ゆっくりと放たれるその一撃を難なくかわし、カウンターでアゴにパンチを放ったところ、彼の体はゆっくり頽れていった。

 

 

 

 オーバーホエルミングの効果が切れると、二人のうめき声が聞こえ、パンチを受けた男はピクリとも動かない。

 

「そ、そこまで! 今すぐ回復を行うのだ!」

 

 冒険者と僧侶が近づいてきて、パーティー編成の詠唱を始めたものの、気絶しているせいでパーティーに加えることができなかった。

 冒険者はそれをあきらめ、アイテムボックスを開いて滋養剤を取り出し、無理やり彼へ飲ませている。

 一方、他の二人の下には探索者と禰宜が駆け寄り、パーティーを組んだ上で全体治療という回復魔法を使用していた。

 

 なんか大ごとになってるんだけど……。

 俺は悪くないよね?

 

 

 

 無事に治療が終わり、三人が立ち上がったところでハルツ公とゴスラーがこちらへ向かってくる。

 

「これほどの実力があったとは……。余はアユム殿のことを侮っていたようだ」

「はい。まさか一瞬のうちに我が騎士団の精鋭三人を倒してしまうとは……」

 

 えっと、これは何って答えるべきなんだ?

 

 余裕だったとか言えるわけがないし、だからといって謙遜なんてしたら嫌味と受け取られかねない。

 

「いえ、全力で動くのは心身に負担が大きいため、常にあのような動きができるわけではありません。訓練を除けばボス戦やここぞといった場面での使用に留めています」

「なるほど。確かに見たところ負担のかかりそうな動きであったな」

 

 公爵は納得したように頷いている。

 

 嘘じゃない。オーバーホエルミングの連発はMPをガンガン削って心身に負担がかかるし、本当のことしか言っていないぞ。

 

 すると、三人の聖騎士がこちらに近づいてきた。

 

「どうであった?」

 

 公爵が問いかけたところ、彼らは落ち込んだ様子で答える。

 

「完敗です。何をされたかもよく分からないまま地面に転がっていました」

「彼女もすごかったですが、アユム殿の動きは捉えられる気がしません」

「ファストラビットどころかクイックラビット並みの動きです。まさか人にあのような動きが可能だとは……」

 

 ファストラビットにクイックラビット?

 きっとラピッドラビットの上位種なんだろう。

 話を聞くに速さがさらに強化されているようだ。

 オーバーホエルミングやこれから獲得するであろう勇者のオーバードライブで対応可能なのだろうか?

 

 思索に耽っているとハルツ公が彼らに告げる。

 

「うむ。上には上がいると気が付いたことは大きな収穫となるであろう」

 

 そう言うと彼は周囲を見回し言葉を続けた。

 

「これからも高みを目指して励むがよい。余の騎士団員ならそれが可能だと信じておる」

 

 すると、目の前の三人だけではなく、見守っていた者たちからも口々に鬨の声が上がる。

 

 このまま『然り! 然り! 然り!』とか言い出しそうだ。

 

 この人、めちゃくちゃカリスマにあふれてんなぁ。

 王の軍勢(アイ・オニオン・ヘタイロイ)とか使えるんじゃないの?

 まあ、王ではなく公爵なわけだが。

 

 

 

 騎士団員たちが退室し、部屋には公爵夫妻とゴスラー、そして俺たちパーティーだけが残される。

 俺とロクサーヌの装備品をアイテムボックスへしまったところでハルツ公が口を開いた。

 

「カシア、余らは話があるのでアユム殿のパーティーメンバーをもてなしてはもらえぬか」

「はい。それではお二人はわたくしとお茶を飲みながらお話をいたしましょう」

 

 カシアは女神のような微笑みを浮かべロクサーヌとセリーを促す。

 すると、二人は問いかけるようにこちらへ視線を向ける。

 

「うむ。楽しんでくるといい」

 

 不安にさせないために笑顔を意識しながらそう言うと、彼女たちも嬉しそうに頷きカシアと一緒に部屋から出ていった。

 

「では、参ろう」

 

 そして、公爵の声と共に俺たちも歩き出す。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

冒険者Lv24 英雄Lv44 遊び人Lv40 魔道士Lv1 戦士Lv37

装備 竜燐の靴 身代わりのミサンガ

 

BP振分 残BP:6

キャラクター再設定:1

フィフスジョブ:15

詠唱省略:3

必要経験値二十分の一:63

鑑定:1

ワープ:1

ジョブ設定:1

MP回復速度十倍:31

 

所持金:4,346,095ナール

 

春の60日目

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