異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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188 冷菓

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 卵と大量の牛乳、そして昼食の食材を購入して自宅へ戻る。

 二人が昼食を作っている間に俺はパティシエへ変身だ。

 

 水とコボルトスクラロースでカラメルソース。

 牛乳に卵、コボルトスクラロースとバニラエッセンスでプリン液を作る。

 滑らかになるよう何度か漉し、蒸しパンのときに使った容器へカラメルソース、プリン液と入れていく。

 すが入らないよう温度に気を付けながら、せいろでじっくりと蒸しあげて完成。

 

 オッケー。バッチグー。

 ガスコンロも無しにプリンを作れるなんて、天才じゃなかろうか?

 

 自画自賛しながらまだまだ大量に残っている牛乳を冷蔵庫にしまった。

 このまま置いておけばクリームラインができるだろう。

 ミチオは夏場に常温で丸一日置いていた。氷冷蔵庫でも問題ないはずだ。

 

 そして、粗熱が取れたプリンも冷蔵庫に入れて冷やしておく。

 

 よっしゃ! 六つだから夕食後と明日の朝にもプリンが食えるぞ!

 

 

 

 片づけを行なっていると、こちらの様子をチラチラうかがっていたロクサーヌが話しかけてきた。

 

「ご主人様、とてもいい匂いがしていましたね。昼食後にあれがいただけるなんて、本当に楽しみです」

 

 え? 昼食後じゃないんですが……。

 

「いや、冷やす時間が必要だから食べるのは夕食の後だね」

 

 すると、ロクサーヌだけではなくセリーまでもが呆然とした表情を浮かべている。

 

 あー。期待を煽りすぎたのだろうか?

 

「がっかりさせてごめん。でも、本当に美味しいと思うから楽しみにしてて」

 

 その言葉で二人のテンションが戻り、顔には期待の色が浮かぶ。

 

 

 

 美味しい食事の後に食休みを取っていると、彼女たちはカシアについて話し始める。

 

「ご主人様からうかがっていましたが、想像していた以上に美しい女性で驚いてしまいました」

 

 ロクサーヌの言葉に頷きながら、セリーも口を開いた。

 

「はい。それに身分に大きな差があるというのに、私たちに対しても見下しているといった様子はなく、高慢なエルフとは思えないような対応でした」

 

 公爵のパーティーメンバーだということは、彼女も帝国解放会に出入りしていると思われる。

 となれば種族や身分による差別は行わないという、あの会の理念に触れることもあるのだろう。

 彼女は俺が勧誘されることを知っているし、今後そのパーティーメンバーとも帝国解放会の関係者同士として接する機会があると考えたはずだ。

 だとすれば二人に対し、そういった対応になるのも理解できる。

 まあ、もともと心根の優しい女性だというのが一番大きな理由なのだろうが。

 

 カシアとの茶会について楽しそうに話している二人の声に耳を傾けながら心と体を癒す。

 

 

 

 

 

ベイル

二十六階層

 

 

 

 

 

 リラックスした後は迷宮へ移動し、ボーナスポイントの振り分けとジョブの設定だ。

 

田川 歩 男 18歳

魔法使いLv50 英雄Lv44 遊び人Lv40 冒険者Lv24 魔道士Lv1

装備 スタッフ ダマスカス鋼の盾 身代わりの硬革帽子 頑強の竜革鎧 倹約の硬革グローブ 竜燐の靴 よりしろのイアリング

 

 オッケー。今回からは遂にトリプルスペルの解禁となる。

 だが、ミリアをパーティーに加え、魔法使いと冒険者のジョブを動かすことができなくなったため、トリプルアタックを試すのが難しくなった。

 まあ、英雄を外したり、シックススジョブを設定すれば確認することはできるのだろうが、そこまで急いで試すことじゃない。

 トリプルアタックはミリアが合流してからだな。

 

 思索を振り払い、ロクサーヌに声を掛ける。

 

「では、いつものように頼む」

 

 しかし、彼女は匂いを確認しながら眉根を寄せた。

 

「どうかしたのか?」

「この階層に入っている人がだいぶ増えているようです。まだ人がいない魔物のところへご案内できると思いますが、この調子で増え続けていけば今後どうなるか分かりません」

 

 嘘だろ? 俺たちが入るようになってから数日しか経っていないんだぞ?

 いずれは混雑するかもしれないと思っていたが、そんなに早く情報が回るものなのか?

 

 ……いや、攻略情報はどこのギルドでも確認できる。

 美味しい狩場が見つかれば、そこに群がっていくものなのだろう。

 ネトゲでもそうだったもんなぁ。

 

 まあ、今回は大丈夫らしいし、このまま続行だ。

 

「分かった。それについては家に戻ってから考えることにしよう。今は魔物のところへ案内してくれ」

「かしこまりました」

 

 匂いを確認しながら通路を進む彼女の後に続く。

 

 

 

「ご主人様、敵です!」

 

 通路の奥から姿を確認した瞬間、魔法名を念じる。

 

バーンストーム

バーンストーム

ファイヤーストーム

 

 その瞬間、まるで地獄の炎が顕現したかのようなド派手なエフェクトが発生した。

 

 エグイ! エグイ! エグイって!

 

 ストーム系の魔法はフレンドリーファイアがない仕様とはいえ、延焼するのではないかと不安になってしまうほどのエフェクトだ。

 

 しかし、そんな俺とは違い、ロクサーヌとセリーは激しく燃えている魔物へ果敢に攻撃を加えている。

 この思いっきりの良さは本当にスゲーわ。

 

 

 

 そして、表面を覆っていた炎と共に、奴らの体も空気に溶けるように消えていく。

 

「二十六階層の魔物が一撃で! さすがご主人様! すごいです!」

「魔法を同時に放つだけでもすごいのに、中級魔法を含めて同時に三発だなんて! 空前絶後の偉業でしょう!」

 

 どうやら俺は超絶怒涛の魔道士らしい。

 

「ありがとう。さあ、アイテムを拾ったら続きといこう」

「かしこまりました!」

「はい!」

 

 二人ともテンション高いなぁ。

 

 

 

 アイテムを拾いながら思索に耽る。

 

 魔法の威力はどのくらい上がったんだろう?

 それに消費MPについても気になるところだ。

 

 先ほどはトリプルスペルで仕留めたため、それらについて推察することが難しい。

 次の戦闘ではバーンストームのダブルスペルで試してみるか。

 

 それで倒すことが可能であれば、魔法の威力は二倍になっていると考えていい。

 また、消費MPについても体感で把握することができるだろう。

 

 ロクサーヌとセリーから受け取ったアイテムをしまい、再び通路を進む。

 

 

 

 次にエンカウントしたのはハーフハーブが三匹にケープカープが一匹。

 

 おっしゃ! いくぞ!

 

バーンストーム

バーンストーム

 

 炎を纏わりつかせながら動き出した魔物に対し、ロクサーヌが攻撃を入れてヘイトを取っていく。

 反撃をされながらも華麗にそれを避けているが、ケープカープが彼女から離れ体の下に魔法陣を展開した。

 だが、すかさずセリーが駆け寄り右手を伸ばして槍を突き込む。

 その瞬間、魔法陣が掻き消えた。

 

 ナイス、セリー!

 

 彼女のファインプレーに感心していると、魔物にへばりついていた炎が消え、程なくして奴らの体も霧散していく。

 

 おっしゃ! バーンストームのダブルスペルでも問題ないぞ!

 与ダメは二倍以上だと考えてよさそうだ。

 

 ただ、これは複数ジョブを持っている者だけの特権だと思われる。

 普通なら魔法使いと魔道士を入れ替えることになるため、いくらパーティー効果の知力上昇が小から中になったとしても、レベル50と一桁では上昇値に大きな差が生じるだろう。

 その場合、魔法の威力自体は上がっても、知力を加味した魔法攻撃力が下がるため、単純に与ダメージが二倍になることは絶対にない。

 要するにキャラクター再設定がなければ不可能ってわけだ。

 

 それに消費MPは増えてはいるものの、体感では倍というほどは増えていないため、コストパフォーマンスにも優れているといえる。

 まるでドラクエでメラミやベギラマ、イオラといった呪文を覚えたような気分だな。

 

 こいつぁ、すげーことになってきやがった。レベル上げが加速するぜ!

 

 口元が緩むのを止められずにいると、戸惑った様子のセリーが疑問を投げかける。

 

「先ほどの魔法と違うような感じがしたのですが、何か変えたのですか?」

「うむ。魔法三発ではなく、バーンストーム二発で試してみたのだが、問題ないようだ」

 

 すると、彼女は納得したように頷く。

 

「なるほど。魔法使いと魔道士のジョブを両方付けているため、知力が下がっていないのですね」

 

 その言葉だけで意味を察するとは。さすがセリー。さすセリだ。

 

 全然関係ないけど、知力が下がるってなんか嫌な響きだなぁ。

 

「それなら私も次々に案内していきますね」

「ああ。いつまでこの階層で狩りが行えるか分からない。それで頼む」

 

 このボーナスステージを最大限に活用しよう。

 

 

 

「ご主人様、そろそろ夕方になります」

 

 適度な休憩を挟みつつ魔物を焼き払っていると、ロクサーヌが難しい顔で告げた。

 

「どうかしたのか?」

 

 尋ねたところ、困り顔で答える。

 

「待機部屋で待っている人が多いため、ボス部屋に入るまでに相当な時間が掛かりそうなのです」

 

 あー。通路や小部屋なら人を避けることができても、待機部屋だとそうはいかない。

 

 うーん……。それじゃあ、ミリアへの差し入れとしてトロをゲットしに行くか。

 

 その旨を伝えたところ、二人も賛成してくれた。

 

 んじゃ、クーラタルの迷宮十七階層へレッツラゴー。

 

 

 

 

 

クーラタル

冒険者ギルド

 

 

 

 

 

 十分なトロを確保したあとはドロップアイテムの売却だ。

 その間、彼女たちはいつものように迷宮情報を確認していた。

 

 

 

 査定が終わり、硬貨をしまってから二人の下へ行くと何やら掲示板に視線を向けている。

 

「待たせたな」

「ご主人様、これを……」

 

 声を掛けたところ、ロクサーヌが貼り紙を指し示す。

 

 ん? なんだ? あっ!

 

 それに目を通して、声を上げそうになってしまった。

 

 これ、シモンの手配書だ!

 

 奴の身体的特徴と共に情報が記載されている。

 

 セルマー伯爵領で暴れまわっていたハインツ一味が、ハルツ公爵領へ移動した上そこで壊滅。

 しかし、狂犬のシモンはそれを搔い潜り、一人、もしくは少数で逃亡中。

 ハルツ公領の迷宮内に潜伏している可能性が高い、か。

 

 でも、懸賞金の受け取り時にインテリジェンスカードのチェックをしないとは書いていない。

 原作のハルツ公がそれをした理由は、盗賊に盗賊を倒させるためだ。

 蛇の道は蛇。盗賊同士ならお互いのことを把握しているだろうということで、被害を最小限にとどめるために行われた超法規的措置。

 

 だが、今回は手配書を作成する前に一味が壊滅しており緊急性が低いため、盗賊の手を借りる必要がないという判断に至ったのだろう。

 

 手配書の確認を済ませて頷くと、彼女たちも頷きを返した。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 修業を終え、装備品の手入れをしながらギルドで見た手配書について話し合う。

 

「シモンの手配書が回ったのでバラダム家の奴らもそれを見るはず。そして、物語と同じようにハルツ公領の迷宮へ乗り込んでくると思う」

 

 原作では春の七十五日目だったが、手配書の掲示がだいぶ早い。

 もしかしたら奴らがボーデの迷宮に来るのも早まる可能性がある。

 七十日目くらいから、ボーデの迷宮十二階層へ入っておくほうがいいかもしれない。

 

 あっ。七十日目は帝国解放会の入会試験があるから七十一日目からにしておこう。

 

 それを伝えたところ、ロクサーヌの顔に葛藤の表情が。

 そして、しばらく考え結論を出す。

 

「……十二階層では温すぎますが、バラダム家を倒すためには仕方がありません」

 

 そっかぁ。十二階層は温いかぁ。

 いやまあ、俺も同意見ではあるけどね。

 

 細かいところを詰めながら装備品の手入れを続行する。

 

 

 

 今日も二人と共に楽しい夕食タイム。

 だが、ロクサーヌとセリーはこの後のデザートが気になるのか、夕食を食べている間もずっとソワソワしていた。

 

 夕食を終えたところで、キッチンへ移動してデザートの準備に取り掛かる。

 冷蔵庫から取り出したプリンを容器から出し、皿に移した。

 

 うん。オッケー。カラメルソースがとろーっとしていて実に美味そうである。

 やはり天才……。

 

 

 

 それぞれの前にプリンを置くと、ロクサーヌもセリーもそれに釘づけだ。

 

「それじゃあ食べようか」

 

 俺が食べ始めないと彼女たちも食べることができない。

 待たせるのも悪いので二人に声を掛け、カラメルソースが掛かった部分をスプーンで掬い口へ運ぶ。

 

 うっま! めちゃくちゃ美味いぞ!

 だが、これは俺の腕というより素材の力によるものだろう。

 ファンタジー世界の食材、侮りがたし。

 

 すると、ロクサーヌも一口食べて歓声を上げた。

 

「んー! ご主人様! とても美味しいです! 冷たくてツルっと食べることができるのに、卵と牛乳の濃厚な味わいがたまりません!」

 

そして、セリーもそれに続く。

 

「卵と牛乳を使用しているのにバニラエッセンスのおかげでまったく臭みがありません! それに滑らかでいくらでも食べられそうな舌触り! こんなにすごい料理を食べたのは初めてです!」

 

 二人の幸せそうな笑顔が実に愛らしい。

 作った甲斐があるなぁ。

 

 

 

 

 

 翌日も早朝から迷宮探索だ。

 

 よほどプリンが気に入ったのか、彼女たちは様々なテクニックを駆使して、俺を喜ばせようとしてくれた。

 その気持ちが嬉しすぎて、ついつい何度も求めてしまったため、無理をさせたのではないかと不安になってしまう。

 だが、ロクサーヌもセリーも問題ないどころか、調子が良いと言っている。

 

 ……やはり色魔には性交相手の体調を整える効果があるのだろうか?

 

 まあ、彼女たち以外と致すつもりもないので、気にする必要はない。

 

 

 

 

 

ベイル

二十六階層

 

 

 

 

 

 迷宮へ移動したところ、ロクサーヌの顔に渋面が浮かぶ。

 

「昨日よりだいぶ人が増えているようです。まだ案内は可能ですが……」

 

 うーん……。

 俺たちも美味しい狩場だと聞いてここへ来た口だから人のことは言えないが、混雑したら美味しい狩場じゃなくなるでしょうよ……。

 ネトゲで順番待ちをしてモンスターを狩っていた光景が頭に浮かぶぞ。

 

 とりあえず、可能な限りここでレベル上げを行い、ロクサーヌが無理だと判断したら狩場を変えよう。

 

 それを二人に告げ、探索を開始した。

 

 バーンストームのダブルスペルで魔物を倒し、MP回復は万能丸で済ませる。

 ワンターンキルが可能となったため、ダメージを受けることはなくなり、ただただ無心で魔法を放つ。

 

 期間限定のボーナスステージなのだ。この機会に稼げるだけ経験値を稼いでおかなくては。

 

 

 

 

 

 ロクサーヌから夕方を告げられたものの、今日も待機部屋には多くの人がいるらしい。

 

 しゃーない。今日は蜂蜜でも補充しますかね。

 

 二人にそれを伝えてクーラタルの迷宮十五階層へ移動する。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 買い物を終えて自宅へ戻ると、扉にパピルスが挟まっていた。

 

 ああ。明日はミリアの面会と買い物に行く日だもんな。

 

 ロクサーヌは荷物をセリーに預け、それを手に取る。

 

 そうだね。危険が危ないだからね。

 

「いつもありがとう。お願いね」

「ふふ。お任せください」

 

 感謝を伝えると彼女ははにかんだような笑みを浮かべた。

 あら、可愛い。

 

 遊び人と商人のジョブを入れ替え、それを伝える。

 

「では読み上げますね。コボルトのスキル結晶五千三百ナール、同じくコボルトのスキル結晶五千五百ナール、蜘蛛のスキル結晶四千七百ナール、ウサギのスキル結晶四千九百ナール、芋虫のスキル結晶四千三百ナール、コウモリのスキル結晶六千七百ナール。以上です」

 

 ふむ。合わせて三万一千四百ナール。

 んで、手数料が三千ナールの三割引で二千百。

 合計三万三千五百ナールか。

 

 四百万ナールもの資産を持つ俺だ。この程度ではビクともせんぞ。

 

 日本にいたときにこれだけ稼げていたら、全然違う人生だったかもしれない。

 まあその場合、この世界に来ることはできず、彼女たちと会うこともなかったんだろうし、今の人生で満足満足。

 

 それはともかく、コボルトとウサギ、それに芋虫は温存だ。

 蜘蛛とコウモリについてはそれぞれ敏捷と回避力が上がるが、今すぐに必要というわけでもない。

 いずれロクサーヌ用として、移動力増強、跳躍力二倍、空中制動と一緒に運用してもらおう。

 彼女がいったいどんな動きを見せてくれるのか、めちゃくちゃ気になるわぁ。

 

 

 

 修業と風呂焚きを済ませたらデザートの準備に取り掛かる。

 原作でミチオもやっていた例のやつ。

 俺も小学校のころ理科の実験でやった、凝固点降下によるアイスクリーム作り。

 

 冷蔵庫の中の牛乳にはしっかりとクリームラインが浮かび上がっていた。

 スプーンで掬ったそれと牛乳、卵黄、コボルトスクラロースを小鍋に入れ、火にかけて混ぜていく。

 十分加熱して混ざり合ったところで火からおろし、粗熱が取れたら濾しながらボウルに入れる。

 一回り大きいボウルに氷と水、そしてコボルトソルトを入れ、そこに先ほどのボウルを重ねたところで日本から持ち込んだ泡立て器の出番が到来。

 

 なんという慧眼。やはり泡立て器を持ってきたのは間違いじゃなかった。

 

 自画自賛しながらバニラエッセンスを加えてひたすら混ぜ続ける。

 

 アイスが固まり出し、泡だて器では厳しくなってきたところで木べらに持ち替え、十分固まったところで氷水ごと冷蔵庫へ移した。

 

 アイスはこれでオッケー。

 残った低脂肪乳でクリームチーズを作ろう。さらに残るホエーはジュースだな。

 氷冷蔵庫でも明日までなら問題ないはず。

 

 料理をしている間、二人は興味深そうにこちらを見つめ、あれこれと尋ねてきていた。

 きっと近いうちに彼女たちも作れるようになるだろう。

 

 

 

 ロクサーヌとセリーが作ってくれた夕食をいただく。

 クリームチーズを挟んだパンは美味いし、ホエーのレモネードもかなりのものだ。

 

「チーズも美味しいですが、この飲み物も酸味と甘味が絶妙なバランスでとても美味しいです」

 

 うんうん。ロクサーヌも気に入ってくれたか。

 低脂肪乳でもちゃんと美味しいもんな。

 

「味だけではなく、氷が入っているのもすごいです。この季節に氷を手に入れようと思ったら、魔道士への伝手とかなりの報酬を用意する必要があるでしょう。庶民には望むべくもありません」

 

 確かにセリーの言う通り、この世界だとめちゃくちゃ贅沢なことかもしれない。

 魔道士以外で氷を手に入れることができるとなると、気温がマイナスの場所へ移動可能な冒険者くらいだろう。

 そんなことができる奴がいたとしても疲労回復薬の大量服用が必要になるだろうし、とんでもない金額になりそうだ。

 

 

 

 食事が済むと、いよいよお待ちかねのデザートタイム。

 それぞれの前に配膳されたアイスクリームを見て、二人の表情は期待でキラキラと輝いていた。

 俺が先に食べないと彼女たちも口をつけるわけにはいかないため、今か今かとそのときを待っている。

 

 焦らすわけにはいかないため、スプーンで掬って口へ運ぶ。

 

 うっま。本当にすごいわ。

 品種改良もされていないというのに嘘みたいに美味い。

 

 アイスクリームを味わっていると、部屋に大きな声が響く。

 

「ごしゅ、ご主人様! これはすごいです! 甘くて美味しくて冷たいものが口の中でスッと溶けていきました! こんなの初めてです! スッと溶けていきました!」

 

 なんで二回言ったん? ロクサーヌさんや。落ち着きなされ。

 

 彼女は表情を輝かせ、興奮で体を揺らしている。

 ここからは見えないがおそらく尻尾も動いていることだろう。

 

「確かにこれはすごいです! 味も抜群な上に滑らかな舌触り、そして口の中で溶けていく不思議な感覚! こんな食べ物は見たことも聞いたこともありません!」

 

 セリーも興奮しながら口へ運び続けている。

 

 二人ともめちゃくちゃ可愛いなぁ。

 

 連日というわけにはいかないが、今後も彼女たちを喜ばせるため、定期的にデザートを作ることにしよう。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

魔法使いLv50 英雄Lv45 遊び人Lv42 冒険者Lv29 探索者Lv50

装備 サンダル 身代わりのミサンガ

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

フィフスジョブ:15

詠唱省略:3

必要経験値二十分の一:63

鑑定:1

ジョブ設定:1

ワープ:1

MP回復速度二十倍:63

 

所持金:4,376,655ナール

 

春の61日目

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