異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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197 雨上がり

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 思いのほかあっさりとブクマ登録を終えて自宅へ戻り、お湯に浸かって体を温める。

 

 うーん……。やることがなくなったなぁ。

 このまま家にいてもダラダラ過ごすことになるし、それで居眠りでもしようものならあの娘たちをペルマスクの冒険者ギルドで待たせてしまう。

 あれだけ綺麗で可愛い女性たちが人を待っている様子だったら、ヤリチン共が絶対に声を掛けるはず。

 エロゲやエロ漫画、エロ同人誌で嫌ってほど見たシチュエーションだ。そうなるに決まってる。

 

 体育教師とサッカー部員、それにイケメンチャラ男に声を掛けられている彼女たちを想像してしまい、むかっ腹が立ってきた。

 

 いやまあ、想像している人物像に多少問題はある気はするが、間違いなくナンパとかされる。絶対される。

 

 よし。ペルマスクで待つことにしよう。

 

 

 

 

 

ペルマスク

冒険者ギルド

 

 

 

 

 

「ご主人様!」

 

 ワープゲートを抜けた瞬間、ロクサーヌの声が聞こえてきた。

 そちらに目を遣ると、満面の笑みを浮かべてこちらに向かってくる。

 

 俺が不思議そうな顔をしていたからだろう。セリーが事情を説明してくれた。

 

「コハクの装飾品を待ちきれなかったようで、皆さん約束の時間の前に集まったのです。そのためすぐに引き渡しが終わってしまいました」

 

 なるほど。奥さんたちはクリスマス前の子供みたいになっていたようだ。

 

「待たせてしまったか?」

 

 そう尋ねると、かぶりを振ってロクサーヌが答える。

 

「私たちも先ほど来たばかりなので大丈夫です」

 

 よかった。体育教師とサッカー部員とイケメンチャラ男には遭遇しなかったようだ。

 

「では、自宅へ戻ろう」

 

 彼女たちと共にクーラタルの我が家へ帰宅する。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 リビングへ移動して二人の話を聞くと、奥さんたちには随分惜しまれたようだ。

 めちゃくちゃぼったくっていたんだが、喜んでもらえていたのならなにより。

 

 もしかしたらハルツ公爵家が販売する物は、さらに高いと思っているのかもしれない。

 いや、公爵家というブランドが乗っかるのだ。実際に高いのだろう。

 

「こちらが売上金になります」

 

 セリーはそう言うとアイテムボックスを開き硬貨を取り出した。

 

 えっ!? 白金貨!?

 

 驚いている俺を見てロクサーヌの顔に笑みが浮かぶ。

 

「たくさんの金貨を見て、奥さんが両替してくれたのです」

 

 マジっ!? 奥さん神じゃん! 女神じゃん!

 

 テーブルには三枚の白金貨と三十四枚の金貨が。

 

 今日だけで白金貨を四枚。昨日も合わせると六枚も手に入れている。

 本当にとんでもないことになっているぞ……。

 

「ロクサーヌ、セリー。ありがとう。二人のおかげでだいぶ資金に余裕が出来たよ」

 

 いや、もうそういうレベルじゃないけどな。

 

「ふふ。ご主人様のお役に立ててよかったです」

「はい。ですが、もう少し価格を上げるべきでした」

 

 しかし、セリーは悔しそうにしている。

 これだけ稼いだというのに、彼女にとっては悔いの残る取引だったらしい。

 

 

 

 硬貨をアイテムボックスにしまっていると、両替について確認しようと考えていたことを思い出す。

 

「金貨を白金貨に両替する場合、手数料はいくらくらいかかるものなの?」

 

 すると、セリー先生の講義が始まる。

 

「両替手数料は硬貨の種類に関わらず、両替額の三パーセントとなっています。例えば金貨百枚を白金貨に替える場合は金貨三枚。反対に銀貨一枚を銅貨百枚に崩すようなときにも銅貨三枚といった具合です。ただし、一枚を百枚に替えるケースでは差引で九十七枚を渡されるということはなく、別途三枚を用意しておかなくてはなりません」

 

 なるほど。三パーセントね。昔の消費税みたいだ。

 

 現在の所持金は一千二百万ナール以上で白金貨の枚数は九枚だから、三枚交換することになる。

 そして、銀貨から金貨への両替もあるから、手数料は九万ナール以上……。

 黄魔結晶を売却しないといけないレベルの手数料とかありえない。いくらなんでももったいなさすぎる。

 もったいないお化けが出るくらい。いや、ツンツン娘とペアで出てきてもおかしくないくらいのもったいなさだ。

 うん。両替はナシってことで。

 

 それにしても、これを聞いたことで会ったこともない奥さんの株がさらに上がってしまった。

 何かの機会があれば是非お礼をさせてもらおう。

 

 

 

 ついでに思い出した芸術家のジョブについて確認することにして、そこに至る流れを彼女たちへ説明する。

 

「私の絵をご主人様のお部屋に飾るのですか? 少し恥ずかしいですが嬉しいです……」

 

 すると、はにかんだような笑みを浮かべこちらを見つめた。

 

 可愛い! 俺のロクサーヌが超可愛い! 思わず抱きしめたくなるわ!

 

「私の絵を……。あの、とても光栄です」

 

 そして、セリーはもじもじしながら呟きを漏らす。

 

 セリー可愛い! 超可愛い! シーソーキュート!

 

 

 

 俺たちの間にほっこりとした空気が流れてしばらく笑い合っていたが、盛大に横道へそれていたことに気が付いた。

 

「そのときに芸術家と創作者というジョブがあると聞いたんだけど、どういうジョブか分かる?」

 

 質問してみたところ、再びセリー先生のはちみつ授業が始まる。

 

「芸術家は画家や彫刻家、音楽家といった芸術系の仕事をしている人に多いジョブですね。創作者はその上位ジョブです」

 

 へー。聞いた感じだと商人や薬草採取士のように、迷宮探索には向いていないっぽい。

 

「見たものをそのまま記憶する視野記憶と、聴いた音をそのまま記憶する旋律記憶というスキルを持っているそうです。ジョブを得るには作品を制作する必要があるのだとか」

「作品は何でもいいの?」

「はい。絵しか描かない人や、作曲しかしていない人でもジョブ変更をしているという話なので問題ないようです」

 

 お前は何でも知ってるな。

 

 以前、下着の絵を描いたことがあるし、さっきもトランプの図柄を描いた。

 しかし、ジョブ設定に芸術家は表示されていない。

 本格的に描く必要があるのだろうか?

 

 次に行ったときに画材を購入し、絵を描いてみよう。

 

 

 

 その後は帝都で食材を購入し、早めに夕食の準備をしておいた。

 作り終わると大雨の中で修業を行い、食事の前に風呂に入る。

 食事を済ませたらいつもよりだいぶ早いが寝室へゴーだ。

 

 

 

 

 

 翌日、目を覚ましても雨の勢いは弱まっていなかった。

 とはいえ俺たちの職場は天気がまったく関係ないうえ、通勤時間もないため濡れる心配はいらない。

 

 ホワイトな職場だわぁ。

 まあ、命の危険が付き纏うんだけどさ……。

 

 

 

 

 

ボーデの迷宮

三十四階層

 

 

 

 

 

 デュランダルでのMP回復がないため、適度な休憩をとり、朝食や昼食を挟みながらひたすら魔物を狩りまくる。

 ワンターンキルができなくなっているせいでベイルの二十六階層に比べて倒している魔物の数は減っているのに、ガンガンレベルが上がっていく。

 やはり獲得経験値に大きな差があるってことか。

 

 そして遂に英雄のレベルが47に到達する。

 ファーストジョブを英雄にしても最小構成を維持できるようになったため、さっそく魔法使いを外して二ターンキルが可能なのかを実験してみることにした。

 

 その旨を伝えると、セリーの目がキラキラと輝きだす。

 

「ファイヤーストーム二回分のMPを節約できる上に、他のジョブのレベルを上げることも出来ますからね! もし可能だった場合、ものすごいことになりますよ!」

 

 それな。レベル上げがさらに加速するはず。

 

「さすがご主人様! すごいです!」

 

 はいはい。さすごしゅサンクス。すぐそこサンクス。

 

 

 

 次に遭遇したビープシープ三匹、ハーフハーブ二匹、タルタートル一匹の群れに、バーンストームのダブルスペルを二回叩き込んだ。

 しかし、ハーフハーブは倒れたものの、他の四匹は残ってしまう。

 

 くそっ。駄目だったか。

 

 魔法攻撃力が足りていないのか、それとも単純にトリプルスペルではないせいでファイヤーストーム二発分のダメージが出ていないのか……。

 

 とりあえず、魔法使いをファーストジョブに戻し、バーンストームのダブルスペルを二回で試してみよう。

 

 新たな実験と聞いてセリーはウキウキだ。

 ロクサーヌは微笑みを浮かべながらその様子を見守っている。

 可愛い娘たちだなぁ。

 

 

 

 通路を進んだところでビープシープ二匹とハーフハーブ一匹に鉢合わせ、ダブルスペルをぶちかます。

 すると、一ターン目にハーフハーブが倒れ、二ターン目にすべての魔物が消えていった。

 

 おお! いけた! 三十四階層の魔物がダブルスペル二回でいけた!

 考えてみれば今日だけでめちゃくちゃレベルが上がったもんなぁ。

 

 すごいすごいとはしゃいでいる二人を見ながら自分へ向けて鑑定を使用する。

 

田川 歩 男 18歳

魔法使いLv51 英雄Lv47 遊び人Lv45 冒険者Lv35 魔道士LV33

装備 ひもろぎのカッカラ ダマスカス鋼の盾 ズケット 頑強のアルバ 身代わりの竜革グローブ オラクルビットローファー よりしろのイアリング

 

 魔法使い以外のレベルが上がっているのに加え、遊び人は2つ。冒険者と魔道士にいたっては3つも上がっていた。

 きっと魔法攻撃力は相当引き上げられたのだろう。

 このまま英雄や遊び人、それから魔道士のレベルが上がれば魔法使いを外せそうだ。

 

 それにしてもレベルの上がり方がエグイ。それだけ獲得経験値が増えているってことか。

 今までは先へ先へと進むこの世界の人たちの気持ちがまったく分からなかったが、この結果を見せられれば理解せざるを得ない。

 

 探索者以外はレベルがないと思われているものの、魔物を倒して経験を積めば強くなることは広く知られている。

 そして、高階層の魔物ほどそれが多いことについてもだ。

 これほどの差があるのなら、少しでも早く強さを手に入れようと無茶なことを考える人がいても不思議ではない。

 

 でもまあ、俺は無茶をする気はないけどね。

 雑魚戦でオーバーホエルミングを使わなくてはならないような状況に陥ったら、その階層に挑むのはまだ早いということだ。

 彼女たちが何と言おうと即座に撤退するぞ。

 

 ただ、勇者のジョブを得て、オーバードライブを使えるようになったらどうするかなぁ。

 

 オーバードライブを使用中は、物理と魔法両方の攻撃力が引き上げられる。

 ミチオは攻撃魔法を放つ際にもこれを使用していた。

 それに、使用したほうがMP効率も良かったはず。

 

 うーん……。まあ、勇者を得てから考えればいいか。いま悩むことじゃない。

 

「では、探索に戻ろう」

 

 二人に声を掛け通路を進む。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮三十四階層

ボス待機部屋

 

 

 

 

 

 しかし、既に待機部屋の近くまできていたようで、魔物に出会うことなくたどり着いてしまった。

 

 うーん……。どうしよう? ボスに挑むか?

 

「ご主人様、もうそろそろ夕方になります。ボスを倒してから今日の探索を終えましょう」

 

 あっ、そうなの? じゃあそれで。

 そうと決まればボスの情報を確認だ。

 

「セリー。ここのボスについて教えてくれ」

「かしこまりました。ビープシープのボスはスリープシープで、この魔物はボス部屋で発生した際には眠った状態で現れます。ノンレムゴーレムやレムゴーレムと同じですね」

 

 エスタークみたいな感じだな。

 

「ダメージを食らうと目を覚ましますので、初手は強力なスキル攻撃を行うのがいいでしょう。ご主人様、ダブルアタックをお願いします」

 

 おうよ! 強烈なやつを食らわせてやるさ!

 

「三十四階層からはボスが二匹で出現するようになるのですが、スリープシープの場合は両方眠った状態で現れます。なので、片方は眠らせたままにしておき、一匹ずつ倒していくのがセオリーとされています」

 

 そういえばそうだ。三十四階層からはボスが二匹になるんだった。

 

 今回のスリープシープは別として、今後は片方をロクサーヌが抑えている間に、もう一方をどれだけ早く倒せるかが重要になるはず。

 戦士と剣士のレベル上げを頑張ろう。

 それにミリア加入後にトリプルアタックの確認もだ。

 

「攻撃方法は角を用いた頭突きや蹴りなど物理一辺倒ですが、どの攻撃もかすっただけで眠ってしまう可能性があるので当たらないように気を付けてください。また、攻撃ではないのですが、スリープシープの毛はふわふわしていて、それに絡め取られるとあまりの気持ちよさに眠ってしまうこともあるのだそうです」

 

 睡眠攻撃ばっかり。ほんと勘弁して。

 

 内心でうんざりしているとセリーが説明を続ける。

 

「そして、スキル攻撃はさらに強化された睡眠攻撃で、対策をしていない場合、食らえば確実に眠ってしまうでしょう。対策をしていた場合であっても防ぐことは難しいそうです。各自警策を持ち、誰かが眠ったらすぐに起こすようにしてください」

 

 オーバーホエルミング状態でデュランダルを振るい続けるためスキル攻撃は潰せるはずだが、万が一誰かが眠った時には警策の出番だな。

 

「ドロップアイテムはホゲット肉。それからレアドロップはスリープウールで割と残りやすいようです。これを使用した寝具はよく眠れる上にへたりにくいという話で、貴族や富豪が好んで使用しているのだとか」

 

 それって普通の羊毛布団なのか? それとも本当に何らかの効果が付いているのだろうか?

 いずれ羽毛布団とともに作ってみよう。

 

 

 

 ブリーフィングが終わったところで二人に告げる。

 

「準備をするので少し待っていてくれ」

 

 彼女たちに断りを入れ、カッカラと盾をアイテムボックスへしまい込んだ。

 そして、獲得経験値二十倍を外しジョブ設定を付ける。

 

 ボス戦なのだ。ここは実績のある戦士と剣士のタッグで挑むとしよう。

 

 遊び人を戦士に、魔道士を剣士に入れ替えたところでジョブ設定を外し、武器六を付けたら準備完了。

 

 念のため確認っと

 

田川 歩 男 18歳

魔法使いLv51 英雄Lv47 戦士Lv37 冒険者Lv35 剣士Lv12

装備 聖剣デュランダル ズケット 頑強のアルバ 身代わりの竜革グローブ オラクルビットローファー よりしろのイアリング

 

 オッケー。問題なし。

 

「では、いこう」

「かしこまりました!」

「はい! いきましょう!」

 

 二人ともテンション高いなぁ。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮三十四階層

ボス部屋

 

 

 

 

 

 扉が閉まるとフロアの中央に煙が集まり出す。

 

 いつもなら一気に駆け出しているところだが、ブリーフィングにより眠った状態で出てくることが分かっているため、そろそろと近づいていく。

 

 程なくして煙が晴れるとそこには体を丸めて眠る二頭の羊さんが。

 

 メルヘンチックな光景だな、おい。

 

 攻撃を受けるまで眠り続けるということなので、至近距離で作戦会議だ。

 

「セオリー通り各個撃破だ。間違ってもう一方を起こさないように、攻撃を入れたら遠くへ誘導しよう。ロクサーヌ、頼むぞ」

「はい! お任せください!」

 

 頼られたのが嬉しいのか、彼女の表情は眩しさを覚えるほどに輝いている。

 ほんと、可愛いわぁ。

 

 そんじゃ、いきますか。

 

 ターゲットに選んだ方へ移動して念じる。

 

オーバーホエルミング

 

 その瞬間、時間の流れが緩やかになった。

 

ラッシュ

スラッシュ

 

 スキル名を念じながら眠りこけているヒツジへデュランダルを振り下ろす。

 

 すると、引き延ばされて野太くなった悲鳴がフロアに響き渡った。

 

 スリープシープは怒りに燃えた瞳で立ち上がろうとしているが、その間にも繰り返しダブルアタックを入れていく。

 ヘイトを稼いでしまったせいでこちらへ方向転換を図るも、そうはさせじとロクサーヌが顔面目掛けてエストックを叩き込む。

 彼女の装備品には腕力二倍が付いているためか、それとも顔に対する攻撃が気に障ったのか、あっさりとヘイトを剥がしてしまった。

 

 さすがロクサーヌ! マジパネェ!

 

 こちらに向けられたケツを目掛けてガンガンデュランダルを振るっていく。

 

 

 

「ふぅ」

 

 スリープシープを倒し終え、思わず息が漏れてしまった。

 

 結局、終わってみれば被弾なしの完全勝利。

 デュランダル、オーバーホエルミング、ダブルアタックのコンボは強力すぎだ。

 やはり、雑魚戦よりボス戦の方が安定しているような気がするぞ。

 

 

 

 息を整えていると興奮した様子で二人が駆け寄ってくる。

 

「スリープシープを圧倒していました! さすがご主人様!」

「こんなに容易く三十四階層のボスを倒せる人などいないでしょう。本当にすごいです」

「奴の攻撃を引き付けてくれたロクサーヌと、情報を教えてくれたセリーのおかげだ。いつもありがとう」

 

 彼女たちはそれを聞いてくすぐったそうに笑っていた。

 

 

 

 残ったアイテムは両方ともホゲット肉で少しがっかりしてしまったが、スリープウールは残りやすいということなので、余裕が出来たらドラウプニルのレアドロップ率二倍で狙ってみよう。

 

 ボーナスポイントとジョブを変更して迷宮を後にする。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 ドロップアイテムの売却を終えたら、帝都へ食材を買いに出る予定だった。

 しかし、俺たちが午後の探索をしているうちにすっかり雨はやんでいたようで、クーラタルで買い物を行い自宅へ戻る。

 

 窓を開けて外を確認してみると、西の山々に向かって傾き始めている太陽がはっきり見えた。

 

 改めて見ても綺麗な景色だなぁ。

 こんなところで生活できるなんて本当に幸せだ。

 

 

 

 さて、いつまでも浸っているわけにはいかない。

 明日はミリアが正式に加入する大切な日なのだ。

 二人と相談のうえ修業はナシにして、夕食だけではなく歓迎の準備もしておく。

 ロクサーヌとセリーも気合が入っていたし、きっとあの娘にも喜んでもらえるはず。

 

 

 

 お湯に浸かっていると彼女たちは俺の腕をぎゅっと抱きしめていた。

 きっと三人で過ごす最後なので思うところがあるのだろう。

 

「明日は準備を整えたらミリアを迎えに行こう。それが終わったら自宅へ戻って彼女の荷物を置き、装備を整えて早朝の探索へ出る」

 

 その言葉に二人は頷きを返す。

 

「その後は朝食をとり、食休みになるんだけど、そのときミリアへ俺のことや物語について話そうと思う」

 

 すると、ロクサーヌが悟ったような笑みを浮かべながら答えた。

 

「はい。ミリアだけではなく、ベスタ、ルティナも含めて、私たちはずっと一緒に生きていくのです。それがいいでしょう」

 

 申し訳ない……。君のことだけを想うことができなくて本当に申し訳ない……。

 

「そうですね。そのためには情報を共有していく必要があります。全員がご主人様や物語について理解しておくべきです」

 

 セリーも薄く微笑みながらそう言った。

 

 

 

 その後、寝室へ移動すると二人は激しく俺を求めた。

 今日は三人で過ごす最後の夜となる。

 ミリアのことを歓迎してはいても、それとこれとは別なのだろう。

 

 君たちのことは一生大切にするから。

 本当に気が多いクソ野郎で申し訳ないが、それだけは絶対に違えるつもりはない。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

魔法使いLv51 英雄Lv47 僧侶Lv15 冒険者Lv35 探索者Lv50

装備 身代わりのミサンガ

 

BP振分 残BP:1

キャラクター再設定:1

フィフスジョブ:15

詠唱省略:3

必要経験値二十分の一:63

鑑定:1

ワープ:1

ジョブ設定:1

MP回復速度二十倍:63

 

所持金:12,256,111ナール

 

春の65日目

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