体の両側にあたる心地良い感触で目が覚めた。
「おはようございます、ご主人様。今日はミリアを迎えに行く日ですね。あの娘を待たせてしまわないよう、早めに準備を行いましょう」
ロクサーヌの優しい言葉には気遣いがあふれており、ミリアを迎えることに対しての不満やわだかまりといったものは感じられない。
「おはよう、ロクサーヌ。それじゃあ、手早く支度をしようか」
すると、反対側からも特徴的で愛らしい声が聞こえてくる。
「ご主人様、おはようございます。この家は普通じゃないのでミリアも戸惑うことが多いでしょう。私もそうでしたので、フォローはお任せください」
セリーさんや。普通じゃないって言い方はちょっと……。
いや、実際普通じゃないけどさ……。
「おはよう、セリー。それじゃあ、フォローはお願いね」
二人と朝の挨拶を交わし、ベッドから身を起こす。
さて、特別な一日の始まりだ。
素早く身支度を整えると、朝のミーティングはナシにしてベイルの商館へ飛ぶ。
辺りはまだ薄暗いというのにドアノッカーを叩くと、いつものように身なりが整っている商人が現れた。
「アユム様、お待ちしておりました。部屋へご案内いたします」
朝も早よからお疲れさんです。
といっても俺たちだってこの時間には迷宮探索をしているわけだしな。
文明開化の灯がない世界。生きていくためには早寝早起きをする必要があるのだろう。
部屋に通されると、セリーのときと同じようにミリアとアランが待っていた。
ソファーに腰を下ろして挨拶を交わし、ミリアの学習状況について伝えられる。
頻繁に訪れていたため把握しているが、やはり問題ないとのことだ。
それを聞いたミリアは嬉しそうに笑みを浮かべている。
うん。完全に理解しているようだ。よきかなよきかな。
「これで迷宮内での懸念事項が消えた。アラン殿、感謝する」
「正式な業務として請け負っておりますので、どうぞお気になさらず。それに先日は貴重な奴隷を四人もお売りいただいたのです。感謝をするのはこちらの方かと」
確実に大儲けできるはずだし、彼はウハウハなはず。
ロクサーヌのことを守り、そして彼女を紹介してくれた恩を少しは返せただろうか?
「それから侍女服につきましては、彼女に渡しておりますので後ほどご確認ください」
おうともよ! タガワ家メイド隊の発足だ! 全力でメイドプレイを楽しむぞ!
「アユム様、この度は大変お世話になりました。またのご来店を心よりお待ち申し上げております」
商館を出るとアランはそう言って例のポーズをとった。
またのご来店ねぇ……。今後、ここを利用することはあるんだろうか?
まあ、そこまで深く考えることもない。
「うむ。何かあったときにはよろしく頼む」
別れを告げてその場を後にする。
自宅へ戻り、靴を履き替えたところでミリアに告げた。
「おかえり、ミリア。一緒に暮らせることが本当に嬉しいよ」
すると、彼女は明朗快活な笑顔でこちらを見つめる。
「おんなじです。私もご主人様とおんなじことを考えていました。これから一緒に暮らせるのが楽しみなんです」
ミリアの特徴的な口元には、まるで『にゅふふ』という擬音が付いていそうな笑みが浮かんでいた。
めちゃくちゃ可愛いな、おい。
それに、こうやって改めて聞くと、声がめちゃくちゃ可愛らしい。
ロクサーヌやセリーともまた違う、ちょっと高めで柔らかな印象を受ける愛らしい声質だ。
ほんと、うちの娘たちは俺に対する特効を備えている。
「そっかぁ。それじゃあ、ミリアに楽しい生活をしてもらえるように俺も頑張るよ」
「えっと、はい」
俺の言葉を聞いて怪訝な顔をしたものの、コクリと頷く。
「ふふ。戸惑うのも無理はありません。ミリア、自宅で過ごしているときのご主人様はこのような口調でお話しになるのですよ」
ロクサーヌが説明をすると、彼女は首をコテンと傾けた。
「そうなんですか?」
この娘、あざと可愛すぎやしない?
「外では舐められないように気をつけているからね」
「私も初めて耳にした時は驚きましたが、きっとミリアもすぐに慣れます」
セリーの言葉に頷きながらロクサーヌも告げる。
「この口調のご主人様とお話しできるのは私たちだけの特権なのです。あなたもそのうちこのありがたさに気が付くでしょう」
この娘さん、またとんでもないことを言ってるぞ……。
セリーが加入したときも悪質な宗教による洗脳みたいなことをしていたが、ミリアにもするつもりなのか?
俺の内心には気付くことなく、ミリアの顔には笑みが戻る。
「そうなんですねー。いきなりだったので驚いちゃいました」
さて、いつまでも玄関にいるわけにはいかない。
やることを済ませて迷宮へ行こう。
二階へ上がったところでミリアの荷物を置くため、彼女たちの部屋へ入る。
すると、自分が選んだチェストが置いてあることに気が付き、ミリアのテンションゲージは一気にレッドゾーンへと到達したようだ。
チェストを指さしながらロクサーヌに問いかけた。
「これ! これ! 私の!?」
「ええ。あなたのですよ」
彼女が優しい笑みを浮かべながら頷いたところ、ミリアは俺の方へ向いて頭を下げた。
「ご主人様! ありがとうございます!」
おお。尻尾が上にピンと立っている。
思わず撫でたくなるほど可愛らしいぞ。
お礼を伝えると、ミリアは二人と楽しそうにおしゃべりをしながらリュックに入っていた服をしまい始めた。
中に入っていたオーダーメイドのセクシーランジェリーやエプロンを見て嬉しそうに笑い合っている。
可愛い娘さんたちが楽しそうにしている光景ってのは実に良いもんだ。
今日も『いせはれ!』は大好評オンエアー中らしい。
それが済むと、ロクサーヌは自分のチェストを開けて魔結晶を取り出し、ミリアに話しかける。
「この中から緑を二つと青を一つ選んでください」
「えー!」
彼女の口から悲鳴のような声が上がった。
そりゃ驚くだろう。
以前、ロクサーヌとセリーが緑魔結晶を持っているのを見てはいたが、まさか加入したばかりの自分がもらえるとは想像もつかなかったはずだ。
彼女たちの様子を見守っているとセリーが話しかける。
「私たちもいただいたので遠慮することはありません。好きな物を選ぶといいですよ」
「ほんとにいいんですか?」
二人の顔を交互に見ながら問いかけたミリアに、ロクサーヌもセリーも微笑みながら頷いた。
「ありがとうございます!」
お礼を言うと真剣な表情で魔結晶を見つめ、程なくて緑二つと青一つを選ぶ。
そして、それを融合したものの、やはりというべきか黄色になることはなかった。
うん。まあそうだよな。
ミリアの荷物の準備と俺たちの装備を整えたところで、物置部屋へ移動し、彼女の装備品を保管してあるクローゼットを開く。
「これは君の装備品だ。さあ、身に着けてみて」
「え? なんかすごそうな物ばっかりなんですけど……。いいんですか?」
以前はロクサーヌの物を借りていただけだ。
しかし、今回は彼女の専用品。戸惑うのも無理はない。
「もちろん。そのために準備したんだから、遠慮することはないよ」
その言葉を聞いて、ミリアの顔に満開の花が咲き誇る。
「はい! ありがとうございます!」
ロクサーヌとセリーは彼女の様子を微笑ましげに見守っていた。
左足に身代わりのミサンガを巻いてあげると、待ちきれないといった様子で装備品を身に着け始める。
ジャケットを着て、額金をかぶり、手甲をはめ、盾を取ったところでロクサーヌが自分の盾を差し出しながら声を掛けた。
「ミリア、盾はこれと交換しておきましょう」
ミリアはその二つを見比べ尋ねる。
「同じ物じゃないんですか?」
「いえ。これには体力二倍のスキルが付いています。さあ、どうぞ」
「えっ! それなら一番奴隷であるお姉ちゃんが装備した方がいいんじゃ……」
ロクサーヌは優しく微笑みながら困惑している彼女へ告げた。
「私の装備品には物理ダメージ削減と魔法ダメージ削減のスキルが付いているので問題ありません」
「えっと、ならセリーさんは……」
ミリアがセリーの方に視線を向けると、彼女も笑顔で答える。
「私の方にも体力二倍と魔法ダメージ削減のスキルが付いています。ちなみにご主人様の防具にもスキルが付いていますので、遠慮することはありません」
「やっぱりこの家はすごいですねー。噂で聞いていた奴隷の扱いとは全然違います」
彼女は感心したような表情を浮かべていた。
まあ、この世界の常識からはかけ離れているかもしれない。
盾を交換して左手に装着し、クローゼットからエストックを取ろうとしたので、しばらくはスキルの付いている強権のレイピアを使うように指示をする。
魔物に対するダメージソースは魔法とデュランダルなので、スキルが付いていない場合、ぶっちゃけレイピアでもエストックでもたいした違いはない。なら詠唱中断を備えた強権のレイピアを装備してもらうべきだろう。
すべての装備品を身に付けると、彼女は得意気な表情でこちらを見た。
ミリア ♀ 15歳
戦士Lv22
装備 強権のレイピア 剛健のダマスカス鋼盾 ダマスカス鋼の額金 オラクル竜革ジャケット 竜革の手甲 身代わりのミサンガ
腰に手を当ててビシッとポーズを決め、チラチラ様子をうかがっているのが何とも愛らしい。
「可愛い上に格好良くて、とても似合っているよ」
「そうですか? 可愛いですか?」
「うん。本当に可愛い」
「えー。そうですかー」
ミリアは口元を猫のようにしながら、照れたような笑い声を漏らしている。
うん。ロクサーヌともセリーとも全然違う、彼女だけの魅力でいっぱいだ。
「ご主人様、どうですか!」
ミリアの様子を眺めていたところ、ロクサーヌに声を掛けられた。
そちらに目を遣ると、エストックと盾を構えこちらを見つめている。
竜革のジャケットや古代樹の手甲、それから竜革の靴は女性らしい彼女の体にフィットし、さらに頭に載ったティアラが神聖な魅力を放っていることで、戦女神にしか見えない。
本当に美人で可愛い娘だなぁ。
改めて彼女の魅力に囚われていると、不安になったのか再び尋ねてきた。
「あの、どうでしょうか?」
おっと。いかんいかん。惚けてないで答えないと。
「ティアラがめちゃくちゃ似合ってて、我が家に女神が降臨したのかと思ったよ」
それを聞いたロクサーヌは表情をほころばせながら、責めるような言葉を口にする。
「ふふ。もう。仕方のないご主人様です。そんなことばっかり言うんですから」
とか言う割に嬉しそうじゃないですか。
それに、ニコニコ笑顔が可愛すぎますって。
そのままロクサーヌと見つめ合っていると、冷たい視線を感じる。
あっ。
そちらに目を遣ると、絶対零度の瞳を向けるセリーさんが……。
い、いかん。一人だけ褒めないのはいかん。
「えっと、セリーもよく似合ってるね」
すると、彼女は大きなため息を吐き出す。
「適当に褒められても嬉しくありません。それに、チェインメイルを似合うと言われても……」
確かにチェインメイルは野暮ったいもんなぁ。
いやでも、小さい娘がそんな恰好をしているのはコミカルで愛らしいよ?
まあ、そんなことを言われても嬉しくないだろうけど。
必死にセリーの機嫌を取っている俺を、ミリアは不思議そうに眺めていた。
これが我が家の日常なんです。慣れてくださいな。
セリーの機嫌が直ったところで、彼女たちに薬と警策を渡し準備完了。
さて、それじゃあ迷宮探索といきませう。
ハルツ公爵領の迷宮に入っていることを印象付けるため、今回も入口から三十四階層へ移動する。
俺がボーナスポイントの振り分けと装備品を身に着けている間に、ロクサーヌがミリアへ指示を出していた。
「以前、あなたも目にしたので分かっていると思いますが、私たちのパーティーはご主人様の魔法により魔物を倒しています」
「はい。あのときはびっくりしました」
彼女は頷きながら相槌を打つ。
「なので、私たちはご主人様の身を守らなくてはなりません。今までは私が魔物を引きつけ、セリーがご主人様の護衛についていました。今日からはあなたにも遊撃として動いてもらいます」
「遊撃? 何をすればいいんですか?」
ロクサーヌの言葉に不思議そうな表情を浮かべている。
「私が引きつけられなかった魔物の相手をしたり、スキルを使おうとした魔物がいれば攻撃を入れて発動を潰したり、ご主人様を狙おうとした魔物がいた場合、フォローに入ってください」
ミリアは少し考えてから花丸スマイルで返事をした。
「分かりました! 任せてください!」
本当に大丈夫? 可愛いんだけどちょっと不安になってしまうな。
まあ、そうはいっても人数が増えたんだし、今までより安定して戦えるようになるだろう。
さあ、みなさん。今日もヴァーッとまいりましょうか。
「ロクサーヌ、いつものように頼む」
「かしこまりました」
匂いを確認しながら歩くロクサーヌの後をついていくと、程なくして魔物とエンカウントする。
ヒツジが四匹に草が一匹、そして亀が一匹だ。
姿が見えた瞬間、バーンストーム二発とファイヤーストームをぶち込んでおく。
ロクサーヌがいつものように、火だるまのビープシープに攻撃を入れ、ヘイトを取り始めた。
そして、セリーはハーフハーブに槍を突き入れ、ミリアはタルタートルに剣を振るう。
昨日までは俺がタルタートルと戦っていた場面だ。
やはり人数が増えたことで安定感が増している。
いつでもカッカラで攻撃できるように備えながら、リキャストタイムが明けるのを待っていると、ロクサーヌが引きつけていたうちの一匹が、ヘイトを剥がしてこちらに向かってきた。
こいや! 脳天ぶち抜いたらぁ!
気合を入れてカッカラを握り締めていたが、ビープシープは俺の所へ到着する前に、顔面へ強烈な回し蹴りを食らい、顔が思いっきりひしゃげてしまう。
ミリアかっけー! やっぱこの娘も規格外だ!
奴は自分に攻撃を加えた者へとターゲットを変えて襲い掛かる。
しかし、彼女は何の問題もなく二匹を相手にし始めた。
いや、マジですごいって!
程なくしてエフェクトが消え、それと共にハーフハーブが倒れる。
よっしゃ! 俺のターン!
再び使用可能となったバーンストームを二発放った。
その後はいつものようにドンドン魔物を狩っていく。
ミリアが増えたことにより詠唱中断の手数が増えたため、ビープシープの睡眠攻撃を食らうことがなくなった。
しかも、彼女は周囲の様子を確認しながら的確に動き回っている。
ロクサーヌがヘイトを取りそこなった魔物の相手をしていたかと思えば、魔法陣を出した敵に強権のレイピアをぶち込み、俺に向かってくる魔物の攻撃を防ぐ。
ほんと、頼りになるわー。
きっと遊撃というポジションはミリアの性に合っているんだろう。
そして、ロクサーヌからパン屋の開店を告げられたときには、英雄のレベルが48に、セリーの鍛冶師が24に、そしてミリアの戦士も23に上がっていた。
いつものようにレベルアップを伝えると、ミリアの顔にきょとんとした表情が浮かぶ。
探索者以外にレベルはないと思われているのだ。そりゃそんな顔にもなるわな。
まあ、朝食の後でいろいろ説明をしよう。
一応念のために魔法使いを外してみたが、ダブルアタックでの二ターンキルはできなかった。
しゃーない。次に遊び人か魔道士のレベルが上がったら試してみよう。
ボーナスポイントとジョブの変更を済ませ、迷宮を後にした。
パンを購入して自宅に戻り、朝食の準備に取り掛かる。
正直、四人だとかなり狭い。
今日はミリアを歓迎するために全員で用意をするが、明日からはローテーションを決めて掃除担当も設けよう。
冷蔵庫から取り出した容器のふたを取ったところ、ミリアが声を上げた。
「マヨネーズと赤身!」
うっとりした表情をしてんなぁ。いまにもよだれを垂らしそうだぞ。
「じゃあ、ミリアには俺の手伝いをしてもらおうかな」
「はい! ツナサンドを作ります!」
ロクサーヌとセリーがほほえましげに見守るなか、彼女は嬉しそうにこちらへ近寄り容器に触れた。
その瞬間、ミリアの顔に不思議そうな表情が浮かぶ。
「これ冷たいですよ?」
ああ。冷蔵庫なんて見たことも聞いたこともないんだ。そうなるのも無理はない。
仕組みを説明したものの、あまり興味は湧かなかったようだ。
どうやら、意識は完全にツナマヨに持っていかれているらしい。
……まあいいけどね。
俺とミリアが作ったツナサンドにツナサラダ。
ロクサーヌとセリーが作ったハムチーズサンドと卵サンドをダイニングへ運ぶ。
食事が始まると、ミリアは以前と同じく幸せそうにツナサンドを頬張った。
そのまま笑顔で咀嚼を続け嚥下する。
「商館にいたときに何度も夢に出てきました。やっぱりツナサンドは最高です!」
そっかー。夢に出てきちゃったかー。
でも、喜んでもらえてよかったよ。
今後もこれを食べることができると思ったのだろう。
前回とは違い、ツナサンド以外にも手を伸ばしていた。
「ハムサンドも卵サンドも本当に美味しいです。お姉ちゃん、セリーさん、私にも作り方を教えてください」
ニコニコ笑顔で発せられた言葉に先輩方も大喜びで、あれやこれやと彼女のことをかまっている。
うちのミリアは原作と違い、割と甘えたちゃんな印象だ。
末っ子気質とでもいえばいいんだろうか? マイペースで甘え上手、その上それが嫌味に映らない。
めちゃくちゃ可愛らしいわぁ。
まあ、実際には弟がいるという話だし、ベスタやルティナが加わったら良いお姉ちゃんになってくれるだろう。
三人の和気あいあいとした様子を眺めながら美味しい食事に舌鼓を打つ。
朝食を食べた後はデザートタイム。
ロクサーヌとセリーは冷蔵庫に控えている、甘くて冷たく滑らかなものを知っているため、満面の笑みを浮かべている。
「ご主人様、準備をしてまいりますね。ミリア、とても美味しいので期待していてください」
ロクサーヌの言葉にセリーも続く。
「はい。予想を遥かに超える美味しさにびっくりすること間違いなしです」
めっちゃハードル上げますやん。
頭の上にハテナマークが浮かんでいそうなネコミミ娘に見送られ、二人はダイニングを出ていった。
デザートだってことも伝えていないせいで、ミリアは何が何だか分かっていない。
まあ、食べてのお楽しみってことで。
ネコミミ美少女から赤身の油漬けがいかに素晴らしいかを切々と聞かされるという、わけの分からない時間を過ごしていると、トレーにプリンを載せたロクサーヌとセリーが戻る。
二人は配膳を済ませて席へ着き、いたずらっぽい表情でミリアに視線を注ぐ。
あー。自分たちがそうだったように、デカいリアクションを取ると思ってるのね。
一方、ミリアはというと、彼女たちの視線を受けてコテンと首を傾げていた。
一つ一つの仕草があざと可愛くていいわぁ。
さて、あんまり待たせるわけにもいかないし、食べるとしよう。
スプーンで掬い口へ運ぶと、冷たくて滑らかな感触と濃厚な味わいが口の中を刺激した。
うん。やっぱ美味い。
次は牛乳とコーラルゼラチンでホイップクリームを作り、フルーツと共に添えてみよう。
きっと三人にも喜んでもらえるはずだ。
「んー!」
食べながら考えていたところ、大きな声が上がる。
そちらに目を遣ると愛らしい目をこぼれそうなほど見開いているミリアの姿が。
そして、口の中の物を飲み込み、ズビシッとプリンを指差し勢い込んで話し出す。
「こ、これ。この黄色いのは大変です!」
そうかー。大変だったかー。
「冷たくて甘くてつるっとしてて、美味しいんです!」
ミリアさん大興奮の巻。
彼女が興奮している様子を見守っていたロクサーヌが声を掛ける。
「ミリア、プリンは冷たい方が美味しいですよ。温くならないうちに食べましょう」
「そうなんですか? お姉ちゃん、教えてくれてありがとうございます」
少しでもその美味さを堪能したいのだろう、急いで食べ始めた。
すると、セリーが声を漏らす。
「ふふ。ミリアもすっかりプリンの虜ですね」
君らもあんな感じだったけどね。
内心で呟きながら俺もその味わいを楽しむ。
さて、この調子で昼も夜も喜んでもらおうじゃないの。
田川 歩 男 18歳
魔法使いLv51 英雄Lv48 遊び人Lv45 冒険者Lv35 探索者Lv50
装備 サンダル 身代わりのミサンガ
BP振分 残BP:1
キャラクター再設定:1
フィフスジョブ:15
詠唱省略:3
必要経験値二十分の一:63
鑑定:1
ワープ:1
ジョブ設定:1
MP回復速度二十倍:63
所持金:12,255,889ナール
春の66日目
いつも拙作をお読みいただき本当にありがとうございます。
更新を続けていけるのは、お読みいただいた皆様と素晴らしい作品を生み出した原作者様のおかげです。
また、UA、お気に入り、感想、評価、ここすきといった反応が本当にモチベーションになっています。
遂にミリアも正式加入となり、エピソード数も200に到達しました。
今回の連続更新はここまでとなりますが、これからもマイペースに更新していきますのでお楽しみいただければ幸いです。