異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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206 出張販売

 

 

 

 

 

ソマーラの村

ビッカーの家

 

 

 

 

 

 ワープゲートを抜け、建物の正面へと回り込む。

 開け放たれていた入口から中をのぞくと、俺たちの足音に気づいたのだろう。ビッカーが顔を上げた。

 

 目が合うと、彼はパッと笑みを浮かべ、椅子から立ち上がってこちらへと歩み寄ってくる。

 

「おお! これはこれは、アユム様ではございませんか! ようこそお越しくださいました」

 

 相変わらずの丁寧な物腰だ。俺のことを恩人だと思ってくれているのが伝わってくる。

 

 だが、セリーとミリアの姿に気付いた瞬間、彼は目を大きく見開いた。

 

「以前お目にかかった際には、たしかロクサーヌ様お一人だったと記憶しておりますが……。このわずかな期間のうちに、しかもこれほどまでにお美しいご婦人方がお二人も加わっておられるとは……。あまりの華やかさに、思わず目がくらみそうでございます。さすがはアユム様」

 

 だしょー?

 三人とも超美人で超可愛い上に、性格も能力も最高なんすわ。幸せ過ぎてごめんやで。

 

 内心で自慢しつつ、ひと通り再会の挨拶と近況の報告を交わしたところで、ビッカーが話を切り出してきた。

 

「それで、本日はどのようなご用件でございましょうか?」

「うむ。迷宮を探索しているうちに、寄生ワームがいくらか溜まっていてな。そちらで必要としているかと思い、立ち寄らせてもらった」

「寄生ワームでございますか! あれは本当に優れた肥料になりますからね。私どもの村でも使っておりますので、お譲りいただけるのであれば、大変ありがたく存じます」

 

 おっ。いい感じじゃん。これなら買い取ってくれそうだぞ。

 

 ビッカーは嬉しそうに顔をほころばせ、こちらに身を乗り出してきた。

 

「それで、いかほどお持ちいただけたのでしょうか?」

「三百十八個だ」

「さ、三百十八個でございますか!?」

 

 その数を聞いた途端、彼は目を丸くし、声を上げる。

 

「多すぎたか?」

「い、いえ。数そのものは問題ございません。寄生ワームは土に落とすまで動き出すことも、腐ることもありませんので、袋に入れて倉庫に保管しておけます。ですが、ギルドの買取価格が一つ三十ナールですので、すべて引き取るとなると合計で九千五百四十ナールになってしまいます。さすがに、それだけの額を一度には……」

 

 金銭感覚がおかしくなっているせいであまり高いと感じなかったが、よくよく考えればセリーが奴隷になった原因である滋養錠の価格ですら六千ナール。

 そりゃ、普通なら尻込みする金額だよなぁ。

 

 まあいいや。金額が問題だってんなら、値を下げるだけのこと。

 

「ふむ。それなら、一つ十五ナールではどうだ?」

 

 その提案に、ビッカーは目を見開き、勢いよく食いついてきた。

 

「ギルドの買取額の半額ですよ!? よろしいのですか!?」

「ああ。まったく問題ない」

「ありがとうございます。村には貧しい者も多いので、本当に助かります」

 

 そう言いながら、彼はコメツキバッタのように何度も頭を下げている。

 

 まあまあ、いいってことよ。そう気にしなさんな。

 

 ただ、寄生ワームの買取だけでそれだけの金額が厳しいとなると、マトン肉の購入は難しいだろうな……。

 でもまあ、懐は温かいし、ガツガツ稼ぐ必要もない。

 

「では、マトン肉もおまけで付けることにしよう。これは俺たちからの贈り物ってことで代金はいい」

 

 そう告げると、再び感謝の言葉を口にする。

 

「村の窮地をお救いいただいただけでも、感謝してもしきれないというのに、以前はウサギの肉まで分けていただき、さらには今回、寄生ワームをギルドの買取価格の半額でお譲りくださるだけでなく、マトン肉まで頂戴することになるとは……。本当にありがとうございます。アユム様は、私ども村の者にとって、まさに救世主のようなお方でございます」

 

 本気で恐縮している様子だったが、何せソマーラ村の住人には、ロクサーヌと出会い、共に過ごすきっかけを与えてくれたという、感謝してもし足りないくらいの恩がある。

 これくらいのことは何でもない。むしろ恩返しが足りてないまであるぞ。

 

 

 

 寄生ワームとマトン肉を渡すと、手際よく品物を確認し、代金として四千七百七十ナールを支払ってくれた。

 ビッカーは、支払いを終えるともう一度頭を下げ、それから口を開く。

 

「本当に、ありがとうございます。住民一同、心からアユム様に感謝するでしょう。それで、あの、もしお時間が許すのでしたら、村長や住民からのお礼の催しをさせてはいただけませんか?」

 

 そう言って、こちらを窺うような視線を送ってくる。

 

 といわれてもなぁ。ウサギ肉を渡したときにも似たようなことを言われたが、あんまり知らない人と歓談するとか面倒ですし。おすし。

 それに、やらなくてはいけないことだってある。

 

「いや、気持ちはありがたいが、このあと予定があるのであまり時間が取れないのだ」

 

 俺がそう返すと、ビッカーは一瞬残念そうな顔を見せたものの、すぐに表情を引き締めた。

 

「そうでございましたか……。それでは、次に私どもの村にお越しいただける機会がございましたら、是非感謝を伝える機会をいただければと存じます」

「うむ。次の機会があったら、受けるとしよう」

 

 絶対嫌だけどね。

 まあ、ここで本音を言うわけにもいかないので、適当に返事をしておく。

 

 その言葉に彼はもう一度深々と頭を下げた。

 

「ありがとうございます。本日は誠に、誠にありがとうございました」

 

 なあに。いいってことよ。

 

 ビッカーへ暇を告げ、次の目的地である森へと足を向ける。

 

 

 

 

 

ソマーラの村付近の森

 

 

 

 

 村から離れたところで、ロクサーヌが嬉しそうに口を開いた。

 

「ビッカー氏はご主人様のお気持ちに深く感銘を受けていたようですね。ふふ、さすがはご主人様です」

 

 はいはい。さすごしゅありがとさん。

 

 内心で軽くツッコミを入れつつ歩いていると、今度はミリアがニコニコと笑顔を浮かべながら言葉を続けた。

 

「すっごく喜んでましたねー。きっと今夜はお腹いっぱいお肉を食べて、ご主人様に感謝するはずです」

 

 その様子を見て、ロクサーヌは満足そうに頷く。

 しかし、セリーは少し困ったように眉を寄せていた。

 

「ですが、マトン肉を無償で提供したのは、後々問題になるかもしれません。今後も同じように求められるようでは、困ったことになるでしょう」

 

 その懸念があったからこそ、以前セリーは寄生ワームを無償で渡さないように言っていた。

 しかし、マトン肉をロハで渡してしまっては、結局同じような問題が起きかねない。

 

 考え込んでいると、ミリアがいいことを思いついたというように、パッと笑みを浮かべて口を開く。

 

「だったら、次に会ったときに『あれはたまのサービスです』って言えばいいんじゃないですか? それなら村の人たちも納得すると思います!」

 

 めちゃくちゃ可愛い娘だなぁ。

 

 原作ではブラヒム語が上手く話せていなかったので、あまり性格が掴めていなかったが、実際こうして一緒に過ごしてみると、本当に天真爛漫で愛嬌がある。

 

 それに、彼女の言う通りだ。

 実際にソマーラ村の住人が図々しい真似をするようになるのかもわからないし、とりあえずその案を採用ってことで。

 

「そうだな。次にビッカー殿やソマーラ村の住人に会ったとき、もし期待している様子があれば、そのことはきちんと伝えることにしよう」

 

 そう答えると、ミリアだけではなく、ロクサーヌとセリーも笑顔を見せた。

 

 さて、話もまとまったところだし、本来の目的に取りかかろう。

 

 

 

 ロクサーヌの案内で森の中を進むと、程なくして声が上がる。

 

「ご主人様、スローラビットです」

 

 彼女が指を差す方へ目を向けると白い毛玉が佇んでいた。

 

 スローラビットは迷宮外ではノンアクティブな魔物。

 奴の目の前でブリーフィング開始だ。

 

「今回はミリアが暗殺者と騎士を取得する条件を満たすのが目的だが、一応セリーもやっておこう」

 

 俺の言葉に三人が頷く。

 

 おそらく、セリーが鍛冶師以外のジョブを取得することはないだろうが念のためな。

 

 

 ボーナスポイントを腕装備五とアクセサリー五にポイントを振り、出現したスクリューミルの手袋とブリーシンガメンをセリーに渡す。

 

 ミリアより先に彼女に試してもらう方がいいだろう。

 ロクサーヌさんの手前、序列を無視するようなことはできない。

 

 セリーはブリーシンガメンをうっとり見つめながら小さな声を漏らした。

 

「本当に見惚れるほどの美しさです……。こんなにすごいものを身に着けることができるなんて……」

 

 いつまでも惚けられても困るので、それらを装備して槍で攻撃するように促す。

 

「あっ、そうですね。失礼しました」

 

 彼女は手早くスクリューミルの手袋とブリーシンガメンを身に着け、背負っていた強権のダマスカス鋼槍を手に取って、スローラビットへ歩み寄る。

 

「いきます」

 

 そう言うと、特に気構える様子もなく、槍を突き入れスローラビットを仕留めてしまった。

 

 ロクサーヌがウサギの毛皮を拾い、こちらに差し出している間に、セリーはスクリューミルの手袋とブリーシンガメン、それから強権のダマスカス鋼槍をミリアへ渡している。

 

 

 

 その後もロクサーヌの案内でスローラビットを探し出し、ミリアの槍での戦闘と二人の毒針を用いた戦闘をこなしていった。

 

 それにしても、何の緊張感もなくあっさり片付いたなぁ。

 

 まあ、現在探索している階層は三十四階層。今更レベル1のスローラビットなんかに緊張することはないのだろう。

 

 そんじゃ、本番開始といきますかね。

 

 気合を入れなおし、三人に声を掛ける。

 

「では、これからハルバーの迷宮二十八階層に向かう。今回からは帝国解放会の入会試験を見据えて、ドライブドラゴンとの戦闘だ。魔法もデュランダルも使用しないので、細心の注意を払ってくれ」

 

 その言葉を聞いた我らが戦女神は、好戦的な笑みを浮かべて応じる。

 

「ドライブドラゴンごとき、ご主人様の敵ではありません。きっと、すぐにクーラタルの三十三階層へ移動することになるでしょう」

「ロクサーヌさんの言う通りです。ご主人様なら何の問題もありません」

「私もお役に立てるよう、頑張りますねー」

 

 セリーとミリアも瞳を爛々と輝かせ、ロクサーヌの言葉を肯定していた。

 

 いや、まあ頼もしいんだけど、そのままドンドン上の階層まで突っ走りそうな感じがして、ご主人様は少し不安になるんですよねぇ……。

 

 内心、不安を覚えながらワープゲートを展開する。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮

入口

 

 

 

 

 

 ハルバーの迷宮へ移動し、入口に立っている男に尋ねた。

 

「攻略階層は進んだか?」

「はい。先ほど公爵家騎士団長のパーティーが四十三階層を突破しました。現在の最高到達階層は四十四階層となります」

 

 へー。ゴスラー、やるじゃん。

 

 まとめwikiによれば、討伐されるのは夏の四十日目あたりだから、あと六十日ほどということになる。

 俺の行動によって変化が生じている可能性はあるものの、一階層あたり十日くらいの攻略速度と考えていいだろう。

 

 あ、いや。あのwikiはウェブ版に準拠してるから、書籍版に近いこの世界では日付が少しズレているかもしれない。

 帰ったら書籍版を確認してみよう。ベスタの加入が夏の休日なので、順番にたどればそう難しくないはずだ。

 

 考えがまとまったところで、探索者に感謝を告げ入口を潜る。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮

二十八階層

 

 

 

 

 

 迷宮内へ移動してボーナスポイントの振り分けを行い、獲得経験値二十倍を付け、アイテムボックスから貫通のオリハルコン剣を取り出し腰に差した。

 

 セリーも強権のダマスカス鋼槍を背負っており準備が整っているようで、三人はこちらを見つめている。

 

 オッケー。問題ないな。

 

「これから、魔法なし、デュランダルなしでドライブドラゴンと戦おう。危険な状況にならない限り、オーバーホエルミングも封印するから戦闘時間は長くなるだろう。各自、気を付けてくれ」

 

 俺がそう告げると、彼女たちは一様に真剣な表情で頷いた。

 全員、顔つきが引き締まっており、入会試験に向けての意気込みは十分といった感じだ。

 

 そして、ロクサーヌは爛々と輝く瞳で告げる。

 

「油断は禁物ですが、入会試験に向けての訓練なのです。温い戦闘を行うわけにはいきません。楽に倒せるようなら、すぐにクーラタルの三十三階層へ移動するべきでしょう」

 

 まあ、そうだな。本番はクーラタルの三十三階層なんだから、あっさり倒せるようなら、早々に移動するべきだろう。

 

「分かった。その場合はクーラタルへ移動しよう。ロクサーヌ、まずはドライブドラゴンの所へ案内してくれ」

「かしこまりました!」

 

 俺の言葉を聞くと、彼女は大きな声で良い子のお返事をして、尻尾をブンブン振りながら通路を歩き始めた。

 

 この娘が嬉しそうだと基本的には俺も嬉しいけど、やっぱこの感じはちょっと不安になるのよね……。

 

 

 

「ご主人様、この先に敵です!」

 

 小部屋の入口の前でロクサーヌの声が響く。

 

 各自武器を手に取り、頷きを交わし合う。

 

「いつものようにロクサーヌは魔物を引きつけるのを頼む。セリーは俺を守る必要はないので、ミリアと一緒に遊撃に回り、ロクサーヌのフォローと魔物のスキル攻撃を潰してくれ。俺は攻撃に専念する。それじゃあ、行くぞ!」

 

 三人から力強い声が返ってきたところで、一斉に小部屋へと突入した。

 

 

 中には緑色の鱗に覆われた長い胴体をくねらせている四体の竜の姿が。

 

 ロクサーヌが真っ先に駆け出し、敵の注意を引く。

 セリーとミリアも状況を確認しつつ、的確に攻撃を入れている。

 

 俺はというと、ロクサーヌにあしらわれているうちの一体に近づき、貫通のオリハルコン剣を叩き込む。

 しかし、デュランダルとは違い、何度攻撃しても沈む気配がない。

 武器の基本攻撃力が低く、攻撃力五倍のスキルが攻撃力二倍に、防御力無視のスキルが防御力貫通になっているため、与ダメージが相当落ちているのだろう。

 

 そして、手間取っているうちに、ヘイトを取ってしまった。

 ドライブドラゴンの尻尾が唸りを上げて振り抜かれる。

 咄嗟に身を捩ったが、完全には避けきれず、横っ腹に一撃を食らう。

 

「ぐっ……!」

 

 体が一瞬、グラついた。

 

 くそっ! ダブルアタックを使うか!?

 

 心の中に誘惑がよぎるが、すぐにそれを振り払う。

 

 いや、今は入会試験を想定した訓練。

 たかが一撃食らっただけ。たいしたダメージは受けていない。

 この程度なら、ダブルアタックどころか単発のラッシュだって使うべきではないだろう。

 

 脚を止めて、ただ剣を振っているだけじゃ駄目だ。日々の修業を思い出せ。

 漫然と攻撃するんじゃなく、常に最適なタイミングと位置取りを考えろ。

 どんな攻撃をもかわし、こちらの想定できないトリッキーな動きを行う相手。そう、ロクサーヌのような存在だと思って戦うんだ。

 

 気を引き締め、再び剣を構える。

 

 いくぞ!

 

 

 

「ふぅ」

 

 戦闘が終わると、無意識に息が漏れた。

 握っていたオリハルコンの剣を鞘に納めて肩の力を抜き、手際よくドロップアイテムを拾っている彼女たちを見ながら考える。

 

 縛りプレーをしているせいで、何度も攻撃を食らったし、戦闘時間が長引けばその分スキル潰しも間に合わなくなる。

 結果、全体攻撃魔法の発動を何度か許してしまったが、それでも、すぐにロクサーヌが回復を入れてくれるため、俺も含めて全員落ち着いて戦うことができた。

 

 手応えは悪くない。どうやら、二十八階層のドライブドラゴンは問題なさそうだ。

 

 三人はドロップアイテムを手に、こちらへと戻ってくる。

 その手には、拾い集めたアイテム。そして、瞳には期待の光が灯っていた。

 

 それじゃあ、期待に応えるとしますかね。

 

 受け取ったアイテムをしまい込んで告げる。

 

「では、クーラタルの迷宮三十三階層へ移動しよう。とりあえず、一度家に戻って地図の確認だな」

 

 彼女たちの歓声を聞きながらキャラクター再設定を開き、鑑定とワープを入れ替る。

 

 

 

 

 

クーラタルの迷宮

三十三階層

 

 

 

 

 

 自宅へ戻ったところ、ロクサーヌ師匠がサクッとルートを覚えてくださったので、すぐさま三日後の試験会場へと乗り込んだ。

 

 ワープを鑑定へ戻したときについでにレベルを確認すると、盗賊が8になっている。

 先ほどまでは4だったから、一匹につき1上がったわけか。

 まるではぐれメタルを狩った感じで、獲得経験値がすごいことになっているのだろう。

 レベルアップ時の経験値繰り越しナシという仕様がなければ、さらに上がったんだろうなぁ。

 

 でもまあ、ガンガン上がっていくだろうし、気にするほどのことじゃないさ。

 

 

 

 セリー先生のブリーフィングを受けてから、ロクサーヌ師匠の案内で通路を進んでいく。

 そのたびに、次々と魔物が姿を現し、行く手を阻んできた。

 

 だが、何も問題もない。

 

 二十八階層のドライブドラゴンと比べれば、明らかに攻撃力も耐久力も上がっている。

 しかし、それでも戦況は安定していた。

 

 ロクサーヌは相変わらず、敵のヘイトをきっちり取り続けてくれているし、回復のタイミングだってバッチリ。

 どんなに戦闘が長引いても、彼女がいれば安心だ。

 

 セリーとミリアも、それぞれ遊撃としてしっかり仕事をしてくれている。

 すべてに対応できるわけではないが、要所要所で的確にスキル攻撃を潰していた。

 

 俺自身も、撃破までに時間がかかっているのは否めないが、それでもアタッカーとしての役割は果たせている。

 

 入会試験の予行演習のつもりだったが、これはこれでいい訓練になっているのかもしれない。

 魔法、デュランダル、オーバーホエルミング、アクティブスキルを封印しているため、ダメージ不足で撃破が遅れてしまう。正直、状況はボス戦より厳しい。

 そのため、丁寧な立ち回りが求められる。

 特にこのところ固定砲台として魔法をブッパしているだけの俺にとっては、意義のある訓練となっていそうだ。

 

 

 

 時間をかけながら魔物を倒し、先へ先へと進んでいると、ロクサーヌからいつもの言葉が聞こえてきた。

 

「ご主人様、そろそろ夕方になります。この先が待機部屋なので、ボスに挑んで終わりにしましょう。人もいないのですぐに挑めると思いますよ」

 

 タイミングが良すぎる。こやつ、狙いおったな?

 

 彼女の顔を確認すると、ニッコリ笑って見返してくる。

 あら、可愛い。

 

 ……別に問題があるわけではないし、まあいいや。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

英雄Lv48 遊び人Lv46 冒険者Lv37 戦士Lv38 盗賊Lv20

装備 貫通のオリハルコン剣 竜革の帽子 頑強のアルバ 身代わりの竜革グローブ オラクルビットローファー よりしろのイアリング

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

フィフスジョブ:15

詠唱省略:3

必要経験値二十分の一:63

鑑定:1

獲得経験値二十倍:63

 

所持金:14,142,234ナール

 

春の67日目

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