異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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021 入居準備

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 ベイルの冒険者ギルドからワープゲートを潜り自宅玄関へ出る。

 MPはまだ大丈夫だろうがこのあとすぐにもう一度ワープを使うんだ。念のため強壮丸を飲んでおこう。

 

「部屋に服と荷物を置いたらまずは家具屋と雑貨屋を回ろう。その後は武器屋と防具屋だな」

「はい」

 

 自室となった部屋へ移動し服と日本から持ってきたリュックを置く。

 床に直置きはないわぁ。クローゼットとチェストは必要だ。あとはデスクセットも欲しいところだがそれは追々だな。

 

 廊下に戻ると荷物を置き終えたのだろう。ロクサーヌも自分の部屋から出てくるところだった。

 

「それじゃあ行くか」

「はい。ご主人様」

 

 

 

 

 

クーラタル

冒険者ギルド

 

 

 

 

 冒険者ギルドまで戻りオリーブオイルとシェルパウダーを二つずつ購入する。

 そして、家具屋と雑貨屋、それから武器屋に防具屋。そして、最も重要な桶屋の場所を教えてもらい通りへ出た。

 

「それじゃあまずは家具屋へ行こう」

「はい」

 

 

 

 

 

クーラタル

家具屋

 

 

 

 

 

 冒険者ギルドの受付嬢に教えてもらった家具屋へ入り中を確認する。

 商品は使用跡がある物ばかりだ。やはり原作と同じく中古販売が中心なのだろう。

 商品を確認していると女性の店員が話しかけてきた。

 

「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか?」

「今日、クーラタルで家を契約したばかりでな。一通り揃えたい」

「それはそれは。ありがとうございます」

「少し見て回るので必要になったら声をかけさせてもらおう」

「はい。よろしくお願いいたします」

 

 よし。店員は商人だ。三割引が使える。

 それじゃあまずはベッドから確認してみよう。

 

 

 

 いくつか置いてあるベッドをロクサーヌと一緒に一つ一つ見て回る。

 サイズは三種類あり、おそらくシングルにセミダブル、そしてダブルだろう。日本にあったベッドの規格とほとんど変わらないように見える。

 しかし、これ竜人族のような規格外の人たちはどうするんだろうか。

 どれも長さは絶対に二メートルもないよな? 作中でベスタは二メートルを超えていると予想されていた。女性のベスタで二メートル超えなのだ。男ならそれ以上になるに違いない。やはり特注になるのだろうか?

 中二感あふるるかっけー種族の人たちも大変だなぁ。

 

 彼女の目は真剣そのもの。ベッドを一つ一つ丁寧に確認している。

 いやいや、ロクサーヌさん。今見ているシングルはありえないです。一緒に寝るんだからダブル一択です。

 

「ロクサーヌ、二人一緒に寝るのだからダブルを選ぼう」

「そうですね。ダブルベッドを確認しますね」

 

 そう言うと彼女はマットレスを剥いで確認を始める。

 いやまあ、大切なことだけどさ。俺は根が気弱なせいか日本ではなかなかこういうことができなかった。

 でも、そうだな。展示品を確認して在庫を買うのではなく現品を買うのだ。

 そりゃあちゃんと確認するべきだよな。

 

 しかし、原作ではロクサーヌ以外のパーティーメンバーがここまでやっている描写はなかったのだが……。

 

 一緒に確認した中で一番綺麗なダブルベッドを選び問いかける。

 

「ロクサーヌ、ベッドはこれでいいだろうか?」

「はい。このベッドがいいと思います」

 

 店員を呼び購入する旨を告げ念のため確認をするとマットレスだけではなくシーツや毛布、掛布団、枕も付属でそれらは新品に交換してくれるとのことだった。

 

 なるほど。ベッドのみではなくベッドセットの販売だったのか。

 説明や金額が書いてあると思われる紙が貼られていたものの、書かれている内容が全く理解できない。

 文字が読めないと本当に不便だな。

 

 その後は六人掛けのダイニングテーブルセット。それから、タンスをそれぞれの部屋と寝室に一つずつ。さらに、クローゼットをそれぞれの部屋と寝室に一つずつと物置に三つの計六つ。鍵付きのチェストがあったのでこれも購入だ。それから靴箱にする用のラックだな。

 そして、三人掛けソファーとローテーブル。これは絶対に買っておかなければ。

 

 

 

 一通り必要なものを選び終え他に必要なものがないか店内を見回していたところ、あるものを見てとんでもないひらめきが。

 

 すのこと低めの木製スツールだ!

 

 このすのこシングルベッドと同じくらいのサイズだぞ!

 風呂用のすのことしてバッチリ使えそうだ。

 それに板の幅が広く隙間が狭い。そのまま寝そべっても問題ないだろう。

 まさに風呂で使用するために生まれたようなすばらしい逸品だ。

 これは買うっきゃない!

 

 そして、低めの木製スツール。おそらく踏み台か、もしくは何かの作業をするときのための椅子なのだろうがこれは風呂用の椅子にぴったりだ!

 やっぱりこれしかない! 

 

 あまりのハイテンションっぷりにロクサーヌが引いているような気もするがこれは絶対に買っておかなければならないのだ。

 店員に声を掛け、すのことスツール二つを購入することを伝える。

 夢に一歩近づいた瞬間である。

 

 

 

 家具類はこんなもんかな?

 

「ロクサーヌ、他に必要なものはあるか?」

「大丈夫だと思います。あの、ご主人様。私の部屋にもタンスとクローゼットを準備していただいてよろしいのでしょうか……」

「大丈夫だ。これから服も小物も増えていくから絶対に必要になる」

「ふふ。ありがとうございます」

 

 顔には嬉しそうな笑みが浮かび尻尾も揺れている。

 今後もいろいろな服を着てもらいたいしロクサーヌにも喜んでほしい。

 手始めに今日この後、原作に出てきた帝都にある高級な服屋へ行ってキャミソールを買おう。きっと喜んでくれるはずだ。

 ……たぶん喜びの度合いは俺の方が大きいのだろうが。

 

 さて、そろそろか。

 キャラクター再設定を開きMP回復速度二十倍を三十パーセント値引に付け替えて店員に声をかける。

 

「それでは会計を頼む」

 

 店員は購入する物を俺たちに一つ一つ確認し全ての確認が済むと金額を告げた。

 

「これだけたくさんご購入いただいたことですし、クーラタルの新たな住人への歓迎の意味も込めまして今回は一万六千百七十ナールで結構です」

「悪いな。何かと物入りなので助かる」

 

 本当に不思議な口上だ。本人の中ではどう処理されているんだろう?

 支払いを行うと店員が配達について確認してきた。

 

「配達先はどちらになりますか?」

「六区の七丁目百二十三番地だ」

 

 住所を告げるとパピルスに羽根ペンでメモをしている。

 あ。俺もパピルスと筆記用具を準備しないとな。

 どうでもいいメモなんかに日本から持ってきたコピー用紙と文具を使うわけにはいかない。

 あれはここぞというときに使おう。

 しかし、俺はラストエリクサー症候群を患っている男。ここぞというときは訪れるのだろうか?

 

「なるべく早く使用したいのだが配達はいつになるだろうか?」

「そうですね……。これだけの量ですから数回の往復が必要になるでしょうが、明日の午前中にはすべてお届けできると思います」

「それではよろしく頼む」

「ありがとうございました。これからも必要なものがありましたらよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

クーラタル

 

 

 

 

 

 よし。これから一番大切なものを買いに行くぞ。

 

「次は桶を買いに行こう。洗濯に使う桶を選ぶのはロクサーヌにまかせるな」

「はい。おまかせください」

 

 

 

 桶屋に着くとまたもや彼女は真剣な表情で桶を選び出した。

 

「おう。いらっしゃい」

 

 桶屋の店主だろう男が奥から出てくる。村人か……。

 ロクサーヌにはそのまま選んでいてもらおう。その間にバスタブの発注だ。

 

「大きな桶を特注で作ってもらうことはできるか?」

「ああ。何度も請け負ったことがあるから大丈夫だ。任せときな」

 

 よっしゃ! グッジョブ桶屋! 村人なのは残念だがナイスだ!

 

「そうだな……。直径はあんたの身長くらいでお願いしたいんだがいけるか?」

「そりゃ分かりやすくていいな。そのくらいなら全然問題ないぜ」

 

 この男が百八十センチくらいだからベスタでもゆったり足を伸ばせるだろう。

 

「深さはこの一番深い桶くらいで頼む。それから水を抜く用の栓をつけてもらいたい」

「ああ。深さも大丈夫だ。栓の方も問題ない。うーん……。そうだなぁ……。特注になるから二千ナールほどになるが?」

「よろしく頼む」

 

 これは俺の夢そのものなのだ。値段なんか関係ない。注文するに決まっている。

 

「受注生産になるから五日はもらうぜ? 出来上がったら使いをやるから住所と名前を教えてくれ」

「名前はアユムで住所は六区の七丁目百二十三番地だ」

「おう。ありがとよ」

 

 注文を終えロクサーヌを確認すると選び終えたのか桶を手に取りこちらの方へ近寄ってきた。

 彼女が選んだ洗濯用の桶と湯桶サイズの物を二つ、それから特注品の会計を行う。

 

 

 

 会計を終え今度は雑貨屋を目指して歩いていると、その途中でロクサーヌに声をかけられた。

 

「ご主人様、まだ水がめの準備が出来ていません。あちらで扱っているようなので先に水がめを用意しませんか?」

 

 あー。そうだよな。それは大事だわ。

 一昨日から水道なんて使っていないのにどうにもまだ日本の感覚が抜けていない。

 

「教えてくれてありがとうな。本当にロクサーヌは頼りになる」

「どういたしまして。ご主人様のお役に立てて嬉しいです」

 

 お礼を伝えるとめちゃめちゃ嬉しそうにしてくれる。これはちょっとしたことでも感謝をしたくなってしまうな。

 結婚生活が上手くいく秘訣は相手に感謝の気持ちを持ち、それを言葉にすることだと聞いたことがある。

 いずれはロクサーヌと結婚したい。今のうちからこれを実践していこう。

 

 

 彼女の勧めに従い先に水がめを購入する。

 キッチン用に二つ、トイレ用に一つ、それから風呂を沸かすときに使う分を二つで合計五つ。

 風呂用は絶対に要る。絶対に要るのだ。

 

 購入後、桶と水がめを抱え自宅を二往復して街中に戻ってくる。

 

 その後は雑貨屋に行きペッパーミル、ハンガー、ほうき、ちりとり、バケツ、雑巾、蝋燭に薪、トイレ用品、食器類を選んだ後に、メモ帳と文字の学習用に紙を確認するとパピルス、羊皮紙以外にも和紙のような紙もあった。

 でもこれ、むちゃくちゃ高いぞ。

 おそらく羊皮紙と紙は契約書や公文書、それから製本で使うんだろう。普段使いをするつもりなんだからパピルスで十分だな。あとは羽根ペンとインクか。

 

 購入した後は念のために強壮丸を飲み込んで再び自宅へ置きに行く。

 

 

 

 家具、桶、水がめ、雑貨。新居に必要なものは一通り揃ったかな。

 まあ、常設の店があるんだ。必要なものができたらその都度買えばいい。

 食料品については明日だな。

 

「それじゃあ次は装備品を見に行こう」

「はい。ご主人様」

 

 

 

 まずは武器屋を見て回るがあまり心惹かれる武器がない。

 攻撃力何倍とか防御力無視のようなスキルがついていなければ、よほど良い武器じゃない限り物理攻撃ではカスダメしか出ない。そのため、延々と攻撃し続ける必要があり戦闘時間が長くなる。

 

 うちのパーティーでメインとなるダメージソースは俺の魔法かデュランダルだ。

 なので、武器による攻撃は基本的に状態異常を入れるか詠唱中断を狙うというのが役割になる。

 しかし、ここには複数スキルスロットがついている武器がほとんどない。

 

 槌であるウォーハンマーにスロットが二つ付いていたところでなぁ。

 鍛冶師を得るまではセリーに槌を使ってもらうが、ジョブを取得した後は槍を使って詠唱中断を狙ってもらうことになる。なので、良い槌なんて全くお呼びじゃない。

 

 店売りで最上位だと思われるダマスカス製の武器なんてスロット付きすらない。

 ダマスカス製の槍や片手剣ならスキルスロットが一つでも買っていたんだが。

 

 こうしてみると昨日買ったスキルスロットが二つのロッドはあたりだったな。

 そして、この腰に差しているスロットが二つ付いているシミターもなかなかの品だ。

 スキルスロットを認識できないはずなのにソマーラ村の元冒険者はどんな判断でこれを大切にしていたのか。

 

 パーティーメンバー全員の武器に詠唱中断をつけるのはマストだ。

 魔物のスキル攻撃を封殺しておけば生死にかかわる事態を減らすことが出来るだろう。

 

 

 

 改めて店内を見回してみるがスキル付きの武器は火炎剣や水流剣といったアクティブスキルの武器ばかりでどうにも食指が動かない。

 魔法使いのいないパーティーでは重宝されるのだろうがうちでは持て余すこと間違いなしだ。

 

 杖については昨日ベイルで見たものと差がなかった。スタッフでもあればスロットが一つでも飛びついたんだがなぁ。

 まあ、スタッフは魔道士レベル61のゴスラーや公爵夫人で魔法使いレベル41のカシアが装備していた杖だ。そう簡単に手に入る物ではないのだろう。

 どこかの放出品やオークションを狙うしかない。

 オークションではスロット付きを狙う以上、仲買人を利用するわけにはいかないのがなんとも面倒だ。

 

 

 

 結局、何も買わずに武器屋を後にしてそのまま近くの防具屋へ入る。

 

 うーん……。やはり防具屋もそう変わらないんだよなぁ。

 金属製の装備は俺やロクサーヌの戦闘スタイルには合わないし、それ以外だと一番いい装備で硬革シリーズか。

 複数スロットの物も見当たらない。うん。急いで買う必要はなさそうだな。

 

 とりあえず、スリッパ代わりとしてサンダルを買っておくか。

 装備品は脱ぎ履きがしやすいからもしかしたら普通のスリッパより便利かもしれん。

 そもそも、俺は部屋では常に裸足だったしあまり必要もないんだが一応二足購入しておこう。

 

 支払いを済ませサンダルをアイテムボックスにしまってから店を出る。

 

 

 

 原作でもそうだったがやはり店売りにたいした品はない。

 セリーが言っていたように良い装備品は知り合い同士で融通し合うか、もしくはオークションに出すのだろう。

 いくら良い素材を使った装備品でもスキルスロットがなければ意味がない。

 そして、店売りやオークションに出品されているスキル付きの装備品が高額となるのは需要があるのに加え、それまでの失敗分が価格に転嫁されているためだろう。

 鑑定で狙ったスキルをつけることが出来る俺には大金を出してそれらを買うメリットがない。

 ちょくちょく覗いて複数スロットの出物を探すとしよう。

 

 しかし、高レベル帯になったときの装備をどうしたものかなぁ……。

 

 ……一応考えがないわけじゃない。

 ジョブの固定で出るボーナス装備の存在だ。

 もちろんパーティーメンバーのジョブを固定するわけにはいかない。

 

 例えば金に困っている人に数万ナールの報酬で固定を持ち掛け、あらかじめそのとき出現した装備品は俺が受け取るという契約をしておく。

 そして、装備品が出る確率を上げるため迷宮には連れて行かないがパーティーに加え、上階層で経験値効率二十倍の狩りを行えば経験値が共有される。

 これを行えば上がりやすいジョブなら数日でかなりレベルを上げることが出来るだろう。

 その後、一緒にギルド神殿へ行って固定を行い狙い通り装備品が出ればそれをいただく。

 この固定ガチャが可能なら出現率次第になるがパーティー全員をボーナス装備で固めることも夢ではない。

 

 借金で首が回らないとか税金が払えないといったどうしようもない状態の人だったら受けてくれないだろうか?

 上階層で戦えるようになるまでは実行できないが今夜ロクサーヌに相談してみよう。

 

 

 

 

 

クーラタル

商人ギルド

 

 

 

 

 

 商人ギルドへ入るとロビーにいた者たちが一斉にこちらを見てきた。

 待機している仲買人たちなのだろうがこれだけの人数に見られるとめちゃくちゃ威圧感があるな。

 

 その中の一人が商談を持ち掛けてくるがそれを断りルークを呼び出してもらう。

 

「ご主人様。お知り合いですか?」

「いや、直接は知らないのだが良い評判を聞いたものでな」

 

 正確には聞いたじゃなくて読んだだけどさ。

 

 

 

 ロビーで待っていると程なくして男が近づいてきた。

 

「仲買人をしておりますルークと申します。私をご指名とのことですが?」

 

ルーク・アシッド 男 28歳

防具商人Lv2

装備 身代わりのミサンガ

 

 おー。ルークだ。こいつには今後色々と世話になるだろう。

 

 ……しかし、イケメンすぎん?

 ベレー帽なんか被っていて、しかもそれが似合ってやがる。

 俺のコンプレックスを刺激しっぱなしだ。

 

「ああ。スキル結晶の買いを出すことを検討していたところそちらの評判を耳にしてな」

「なんと。それは、ありがたいことです。では、商談室でうかがいます」

 

 

 

 ルークに案内され部屋に入るとソファーに腰を下ろすように勧められる。

 ロクサーヌと一緒にソファーに座ろうとすると俺の後ろに立つと断られた。

 ああ。身辺警護をするつもりなのか。これはロクサーヌの矜持だろうから無理に座らせるわけにもいかないな。

 

 ソファーに腰を下ろすと早速ルークが話しかけてくる。

 

「スキル結晶の買いを出すとのことですが?」

 

 それで商売をしているのだ。やはり食いつきがいい。そりゃそうだよな。

 ルークよ。今後常に買いを出し続ける俺はなかなかの太客だと思うぞ。

 末長く良い付き合いをしようじゃないか。

 

「ああ。いくつかあるのだがとりあえず芋虫、ウサギ、サンゴ、潅木、コボルト、ヤギ、はさみ式食虫植物をしばらく継続して頼みたい。それぞれ直近の落札価格はどんなものだろうか?」

 

 俺の言葉を聞きルークは驚いているようだ。

 まあ、こんな頼み方をする奴はなかなかいないだろうしな。

 俺だって成功確実じゃないとこんなことは絶対しない。

 

「これだけの数を継続してですか? すべて落札できた場合相当な金額となります。恐れ入りますがご予算の方は問題ないでしょうか?」

「大丈夫だ。大体の相場は把握している。問題ない」

 

 こっちとらアイテムボックスに四十万ナールがうなってる。ばっちこいだ。

 

「ありがとうございます。私を信用してくださりこれだけの買い注文をおまかせいただけるのです。こちらも全力で当たらせていただきます」

 

 いつもは全力じゃないんかーい。

 多分太客を逃がさないため他の仲買人と調整して価格を融通してもらうつもりなんだろうなぁ。

 セリーの言葉ではないが仲買人同士のカルテルは絶対にあるだろう。

 まあ、少しぐらいのお手盛りは大目に見るさ。

 仲買人を通してオークションで落札した品に三割引は効かないが手数料には有効なんだ。複数落札したときは三割引の餌食にしてやる。

 

 

 商談を始めると芋虫、ウサギ、サンゴ、潅木については前回、前々回の落札価格が通常の相場通りとのことなので落札価格に少しだけ上乗せした額で買いを出した。

 そして、コボルト、ヤギ、はさみ式食虫植物。こちらについても特段買い漁られているようなことはなさそうだ。

 よしよし。どこぞの公女様の結婚が決まるまでにため込んでおこう。こちらは更に上乗せした額で買いを出す。

 

「それでは、芋虫、ウサギ、サンゴ、潅木、コボルト、ヤギ、はさみ式食虫植物のスキル結晶についてお客様に代わりオークションに参加いたします。代理購入の手数料は先払いで五百ナール。また、複数の品を落札した場合は購入の際に手数料をお支払いいただきます」

「分かった」

 

 アイテムボックスから銀貨五枚を出し支払いを行う。

 原作を読んでいたころから思っていたがこいつめちゃくちゃ記憶力いいよな。どのスキル結晶についても前回、前々回の落札価格をカンペもなしに即答していた。

 やはり公爵家に目をかけられているだけのことはある。

 

「無事落札した際には使いを向かわせますので、ギルドまで引き取りに来ていただき窓口の者に防具商人のルークを呼ぶよう伝えてください」

 

 

 

 

 

クーラタル

 

 

 

 

 

 ルークに住所を告げ商人ギルドを出たところで不安げな顔でロクサーヌが問いかけてきた。

 

「あの、ご主人様。スキル結晶の融合は失敗が多いと聞きます。あんなにスキル結晶の買いを出して大丈夫でしょうか?」

 

 そりゃ心配だよな。せっかく手に入れた大金で博打を打つような男だと思われてしまっただろうか?

 彼女の耳に顔を寄せ小声で囁く。

 

「こんなところで話せることではないのでこれについては夜に説明しよう」

「はい。よろしくお願いします」

 

 ボーナスポイントに係る何かがあると理解したのだろう。安心したような表情に変わっていた。

 

 

 

 よし。そんじゃ次は帝都だ。

 

「ロクサーヌ、次は帝都の店を回ってみよう」

「はい。ご主人様」

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

探索者Lv18 英雄Lv16 魔法使いLv19 戦士Lv13 僧侶Lv6

装備 シミター 皮の帽子 皮の鎧 皮のグローブ 皮の靴

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

フィフスジョブ:15

鑑定:1

必要経験値十分の一:31

詠唱省略:3

ワープ:1

ジョブ設定:1

三十パーセント値引:63

 

所持金:413,843ナール

 

春の3日目

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