異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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235 イースト

 午後からは迷宮探索を再開し、その日のうちにボス部屋へたどり着く。

 

 ウドウッドのボスは以前話に聞いていたリンウッド。

 天井に届かんばかりの高さを誇るシダっぽい巨木で、その長い枝を振り回し、水魔法を使用してくる相手だ。

 だが、それでもオーバードライビングとダブルアタックの相手とはならず、三人がヘイトを取っている間に斬り倒してやった。

 残ったアイテムは装備品製造の消耗品となる石炭と、レアドロップである古代樹の枝。

 ドラウプニルのおかげで初っ端からレアが落ちたのはありがたい。

 こいつはスタッフや古代樹シリーズの防具の材料になるため、大切に保管しておかなければ。

 

 そして、次の四十一階層から出現する魔物はコボルトケンプファー。

 動きが遅く攻撃力が低い上に紙装甲と、走攻守三拍子揃った戦いやすい魔物だ。

 だが、ドロップアイテムがコボルトフラワーで売却額が不味いため、一長一短となっている。

 

 案の定、メテオクラッシュとバーンストーム二発が全て弱点に刺さり、コボルトケンプファーはワンターンキルで片が付く。

 しかし、他の魔物についてはトリプルスペルに加え、バーンストーム二発を放つ必要があった。

 間違いなく、次の階層では一回の戦闘でメテオクラッシュを二回使用する必要が出てくるだろう。

 そうなれば、燃費がとんでもなく低下し、万能丸がクーラタルの迷宮四十六階層まで持たない可能性だって考えられる。

 

 でも、考えてみると不思議な気がするよなぁ。

 現在、マックス六匹のグループが連続で出現した場合、二回の戦闘でMPがレッドゾーンへ到達し、回復を行っている。

 

 確かにボーナス呪文のMP消費量は通常の魔法と比べ桁違いだ。

 しかし、以前に五十匹以上の魔物がひしめく魔物部屋で、メテオクラッシュを含むトリプルスペルを放ったことがあるが、そのときは気分が思いっきり降下したものの、鬱状態というほどではなかった。

 つまり、延べ五十匹にメテオクラッシュを放っても問題にはならないはずなのだ。

 

 しかし、現実に六匹グループに二回撃っただけでも回復が必要になってしまっている。

 もしかしたらボーナス呪文には発動に必要な基本消費量のようなものが設定されていて、それプラス一匹ごとの消費が加算されているのかもしれない。

 

 まあそれはともかく、戦闘後に毎回万能丸をキメるのはさすがに不味いよなぁ。

 消費MP削減のスキルを付けるか? それとも状態異常攻撃に切り替えるべきだろうか?

 

 いやでも、それだとフィフスジョブを博徒にする必要があるため、他ジョブのレベルを上げることができなくなってしまう。

 戦士だけではなく、できれば剣士と薬草採取士のレベルも上げておきたい。

 この三つの上位ジョブを取得するまでは、ここで足踏みというのもありかもな。

 

 まあ四十二階層の状況を確認してから考えることにしよう。とりあえず、四十一階層はこのまま継続ってことで。

 

 

 

 

 

 翌日は早朝の探索を休みにして朝から風呂に入り、石鹸とカメリアオイルで本日の主役である、セリーの髪と体を磨き上げた。

 昨夜の残りで朝食を済ませたら、彼女の身支度を整える。

 パステルピンクのドレスを身に纏い、アップにした髪にはティアラが輝き、首元を彩るのはコハクのネックレス。

 ブリーシンガメンにしないのか確認したが、三人で声を揃えてこっちの方が似合うと言っていた。

 まあ、清楚なお嬢様っぽいセリーには、ゴージャスなブリーシンガメンより、こちらの方が似合っている。

 はにかんだような笑みも相まって、可憐で愛らしいその姿はさながらどこかの国のお姫様だ。

 

 リトルプリンセスをエスコートしながら帝都の美術店へ飛び、肖像画の契約とハルツ公へ献上するための豪華版トランプ、さらに一番安い画材を注文した。

 絵の引き渡しは夏の二十五日目で、トランプは夏の十五日目。忘れないようにしなくては。

 

 絵の依頼には三割引が効かないため、合計六万八百七ナール。ハルツ公には世話になっているのだ、これくらいなら問題ない。

 

 支払いが終わるや否や、セリーの魅力にやられていたドニに急かされ、すぐさま別室へ移動して視野記憶をすることに。

 それが済むと奴はものすごい勢いで店を飛び出していった。本当に絵を描くことしか頭にない男だ。

 

 それが済んだら自宅へ戻り、装備品を身に着けて迷宮へ出勤する。

 魔物を蹴散らしながら待機部屋を探したものの、その日のうちに見つけ出すことはできず、成果は魔道士と戦士、それからミリアの暗殺者のレベルが上がっただけ。

 とはいえ、戦士は2つ上がって49でリーチがかかった。

 きっと、明日は新ジョブ解禁となるだろう。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮四十一階層

ボス待機部屋

 

 

 

 

 

 一夜明け、今日も早朝から迷宮に潜る。

 

 ひたすら魔法を撃ち続けていると、やがて待機部屋へとたどり着いた。

 ロクサーヌによれば、そろそろお昼も近いそうだし、ボスを倒したらクーラタルに戻るとしよう。

 

 準備を始める前にレベルの確認を行うと、勇者が43になっている。

 ワンチャン、四十二階層の魔物もトリプルスペルとダブルスペルの組み合わせで倒せないだろうか?

 とりあえず昼食後に試してみよう。

 

 

 

 ジョブの変更とボーナスポイントの振り分けを済ませたら、念のため確認だ。

 キャラクター再設定で1、フィフスジョブで15、詠唱省略で3、必要経験値二十分の一で63、鑑定で1、結晶化促進八倍で7、アクセサリー六で63、残りが0でぴったしカンカン。うん、オッケー。

 

 準備が済んだところでセリーに尋ねる。

 

「コボルトケンプファーのボスについて教えてくれ」

「かしこまりました」

 

 彼女は一つ咳ばらいをすると、説明を始めた。

 

「コボルトケンプファーのボスはコボルトイェーガー。三十四階層以降に登場するボスの中では最弱と言われており、中階層のボスに挑む際の登竜門となっています。これに苦戦するようでは他のボスには手も足も出ないでしょうからね」

 

 どこまでもチュートリアル扱いされる悲しき魔物。それがコボルト。

 

 でも、俺は好きだよ? それだけ安全に狩れるってことだもん。

 それに奴らのスキル結晶がないと、融合の際にスキルが強化されない。一番好きまであるわ。

 

 そんなことを考えている間も、セリーの説明は続く。

 

「攻撃は弓による物理攻撃のみです」

「弓!?」

 

 思わず声が出てしまう。

 いやだって、弓だよ! 弓! 原作ではそんな描写なかったじゃん!

 

「はい。通常攻撃は手に持った弓を振り回してきます」

「はあ? 矢を射るんじゃなくて?」

「そうです」

 

 セリーは力強く頷きを返す。

 

 えっと、そうなんだ……。

 さすがコボルト系の魔物。予想の斜め下をいきやがる。

 

「ですが、スキル攻撃はその弓を使って矢を放ってきます」

 

 やっぱりじゃん! やっぱり矢を放つんじゃん!

 

「距離を取られて交互に射かけられると厄介なのですが、攻撃力はそれほどでもないため、防御力が高ければ刺さることはまずありません。前衛が被弾覚悟で距離を詰めるか、詠唱中断の付いた武器を持っていれば楽に倒せる相手です」

 

 被弾覚悟って……。嫌すぎるんだが……

 

 でも、放たれた矢が体に刺さらないってのは違和感があるよなぁ。

 これもそうだが、ツノの突き刺しや鋭い歯による噛みつき。

 どれもこれも食らえば一発アウトのはずなのに、防御力が高ければ刺さったり、食いちぎられることはない。

 さらにその防御力は全体に及んでおり、防具のない個所を攻撃されても同じように防いでくれる。

 なんともゲーム的なシステムだ。きっと、この世界を作り出した者がそのように設計したのだろう。

 

「また耐性はなく、全ての属性が弱点となっていますので、ボス戦はともかく雑魚として出現する場合、楽に殲滅することが可能でしょう」

 

 コボルトイェーガーが雑魚として出るのは、最低でも六十七階層ですやん。セリー先生? そんな話をするなんて、鬼に笑われちゃうぞ?

 

「残すアイテムはコボルトイーストとコボルトスクロース。どちらもほとんど同じ確率で残るのですが、パーティーに料理人がいる場合、コボルトスクロースの方が多く残るため、こちらがレアドロップだと言われています」

「コボルトイースト?」

 

 思わず漏らした声にセリーが反応する。

 

「はい。これを少量混ぜた生地を寝かせておくと、ふわふわで柔らかいパンになります。私たちがいつも購入している高級パンにも使われているはずです」

 

 イーストってイースト菌!? いつも買ってる高級パンってイースト発酵がされてたってこと!?

 

 あまりのことに驚いていると、ロクサーヌが話に加わった。

 

「クーラタルでは三十四階層で出現するので、これらを目当てにボス戦を繰り返す人もいるのですよね?」

「はい。コボルトイェーガー自体が強くない上に、階層が低いためさらに倒しやすくなっています。また二体だけで出現するので事故が起こる可能性もそう高くありません。それに、コボルトイーストもコボルトスクロースも需要が尽きることはないですし、スキル結晶が残ることも多いため、それなりの強さがあって安全に稼ぎたい人にとっては、美味しい狩場と言えるでしょう」

 

 セリーの説明を聞き、ミリアが首をかしげる。

 

「でも、ずっと同じ場所で戦ってたら飽きちゃいませんか?」

 

 そういうもんだから。毎日同じことを繰り返すのが仕事だから。

 そんな日々を積み重ねてどんどん効率を上げ最適化していく。仕事ってそういうもんだから。

 

 内心で反論していると、セリーが告げる。

 

「パーティーにはそれぞれ事情がありますし、能力やモチベーションも異なります。迷宮討伐を目指すより、安全に稼ぎたいという人たちも多いのです」

 

 まあ、三十四階層で戦えるほどの力量を身に着け、安全に稼げるようになったら、守りに入るのもありだろう。人生設計を真剣に考えた場合、安定は大事だもん。

 しかし、我らが戦女神はドヤ顔で口を開く。

 

「安定志向を否定するつもりはありませんが、ご主人様は迷宮討伐を成し遂げるお方。そのような守りの姿勢とは無縁です」

 

 いや、俺は現状維持を貴ぶ男よ? 君の中の俺はチャレンジャーすぎるぞ。

 

「そうですね。まだまだ余裕もありますので、どんどん先へ進んでいくべきでしょう」

 

 ロクサーヌの言葉にセリーが賛同を示し、ミリアもそれに続く。

 

「はい! 私も上の階層で暗殺者としてお役に立てるのが楽しみです!」

 

 ですよねー。君たちならそう言うよねー。

 まあ、四十二階層の様子を確認した上で、先へ進むかを検討しよう。

 

 ブリーフィングが終了したところで、扉へ向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮四十一階層

ボス部屋

 

 

 

 

 

 フロアに入り、セオリーに従い各々が行動を開始する。

 中央で煙が上がる中、背後を取るため走っていると、その中に人のシルエットが見えた。

 

コボルトイェーガーLv41

コボルトイェーガーLv41

 

 程なくして煙が晴れると服を着て、手に弓を持った姿が目に映る。

 コボルトやコボルトケンプファーに比べてかなり大きくなっており、身長はセリーとそう変わらない。

 ロクサーヌたちが駆け寄り戦闘を開始すると、手に持った弓をブンブン振り回し始めた。

 

 なんか駄々っ子が暴れてるみたいな感じだな。

 ……いや、そんなことを考えている場合じゃない。

 

 頭に浮かんだ余計な考えを追い出し、スキル名を念じる。

 

オーバードライビング

 

 ボーナスタイムを作り出し、セリーとミリアにあしらわれている方へ向かって駆けだした。

 

 

 

 ダブルアタックだったというのに、拍子抜けするくらいあっさり片が付く。

 

 めっちゃ弱かったんですが……。強化されているとはいえ、やはりコボルトはコボルトか。

 なるほどな。ある程度の力量と装備品、さらに詠唱中断の武器があれば、かなり安全に周回がこなせるだろう。

 迷宮討伐を目指さない場合、コボルトイェーガー専門になって安定を取るのもありかもしれない。

 まあ、成り上がりを目指す以上、俺はその道を選べないわけだが。

 

 

 

 ドロップアイテムを確認すると、コボルトイーストとコボルトスクロースがそれぞれ一つずつ。どうやらドラウプニルは仕事をしなかったようだ。

 

 コボルトイーストか……。これがドライイーストってんなら、そのうちドーナツでも作ってみようかね。

 

 そんなことを考えつつ、アイテムボックスへしまい、次の階層へ進んでから迷宮を抜け出した。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 食事が済んだらリビングで今後についての相談だ。

 脚の間に座っているミリアを抱きしめながら、懸念事項を伝えていく。

 

 四十二階層では一回の戦闘でメテオクラッシュが二回必要になるだろうということ。

 そうなれば万能丸が持たない可能性があるため、消費MP削減のスキルを付けるべきなのか、もしくはミリアの状態異常攻撃に頼るか否か。

 しかし、そうなれば俺のフィフスジョブが博徒で固定されてしまい、他ジョブのレベルがあげられなくなるため、いったん四十一階層でレベル上げを行うべきなのかについて話す。

 

 一通り話を聞いたところで、セリーが口を開いた。

 

「そうですね……。いま状態異常装備を作るとなると、エストックにスキル結晶を融合することになります。ミリアはそう遠くないうちにフランベルジュを扱えるようになるでしょうし、それだともったいない気がします」

 

 あー。確かにそれもあるわな。

 俺はすでにMP吸収の付いたひもろぎのスタッフを売却してる。スキルが複数付いた装備品なんて、そうそう売却できるはずもない。

 さらに三つ以上のスキルが付いた武器を売ってしまえば、絶対噂になるだろう。

 

 さらにロクサーヌも意見を述べる。

 

「別に二ターンで戦闘を終えることにこだわる必要はありません。メテオクラッシュは一回だけにして、残りは通常の魔法で倒せばいいのではないでしょうか。それでも他のパーティーに比べれば、信じられないような殲滅速度です」

 

 言われてみればそうだな。

 同じチート能力を持つミチオだって、一回の戦闘で魔法を十発以上放っていた。そう考えると許容範囲と言えるだろう。

 

 そして、ミリアが振り向きながらこちらを見つめ、不思議そうに問いかけてくる。

 

「とりあえずメテオクラッシュを二回使うことにして、もし万能丸が少なくなったら一回にすればいいんじゃないですか?」

 

 あっ。それだ。

 

 考えすぎてその方法を除外していたし、俺の伝え方が悪かったせいでロクサーヌとセリーも、提示された懸念について考えていた。

 目から鱗が落ちるような発言に、俺たち三人は思わず感心してしまう。

 

 この娘、割と核心を突くようなことを言うよなぁ。

 

 愛らしいネコミミを撫でると、彼女は嬉しそうに笑みを浮かべている。

 

 結局、ミリアの案を採用ということで話は付いた。

 

 

 

 その後、四十二階層の魔物について話を聞いてみると、パーンとのことだった。

 低階層のボスとして出現したときは、全体攻撃魔法を使う厄介な相手だったが、第三ランクの魔物は雑魚でもそれを使用してくる。もうすでに慣れたもんだ。

 これまでのように詠唱中断で発動を潰しまくり、食らった場合はロクサーヌに回復をしてもらうってことで。

 

 ブリーフィングが終わると時間までのんびり過ごすことにする。

 

 

 

 

 

ハルバーの迷宮

四十二階層

 

 

 

 

 

 迷宮探索を再開すると、やはりメテオクラッシュは二回必要になっていた。

 しかし検証の結果、トリプルスペルとメテオクラッシュではなく、メテオクラッシュ二回で済むことが判明する。

 燃費自体は落ちたものの、これで少しは消費MPを節約することができたはず。

 

 多少の被弾がありながらも進軍を続け、ロクサーヌからいつもの声が聞こえてきた。

 迷宮を出る支度をしようとジョブ設定を開いたとき、ついにその表示が現れる。

 

武者Lv1

効果 体力中上昇 HP小上昇 腕力微上昇

スキル バッシュ クリティカル発生

 

 おお! クリティカル発生がある! こいつはいいぞ!

 それに、微上昇だが腕力が上がるのもありがたい。きっとボス戦にかかる時間を大幅に短縮してくれることだろう。

 

 俺のテンションが上がっていることに気付き、ロクサーヌが問いかけてくる。

 

「戦士のレベルが上がったのですか?」

「ああ。確認したところ、武者のジョブを取得していた」

「おめでとうございます! さすがご主人様です!」

 

 さすごしゅをいただいていると、セリーとミリアからもすごいすごいの大合唱。

 ふふん。褒めるな、褒めるな。調子に乗ってしまうではないか。

 

 

 

 鼻を高くしながらアイテムボックスの中身を移し替えていると、セリーが声を掛けてくる。

 

「あの、いまは結晶化促進八倍にボーナスポイントを振っていますよね? 現状お金にはそれほど困っているわけではないので、冒険者をファーストジョブから動かさない方がいいのではないでしょうか?」

 

 え? あっ、言われてみれば確かにそうだ。

 ぶっちゃけ、めちゃくちゃ手間だし、省けるなら省いた方がいい。

 シックススジョブが付けられるようになるまでは、冒険者をファーストジョブにしておくべきだろう。

 えーっと、シックススジョブを付けるにはあと16ポイント必要だから、結晶化促進八倍を外して7ポイント、詠唱省略を詠唱短縮に落として2ポイントで、残りはあと7ポイントか……。

 ともあれ、遊び人のレベルが62になるまでは、ファーストジョブを固定しておこう。

 

 

 

 午後もひたすらハックアンドスラッシュに勤しむ。

 次にレベルを上げるジョブを剣士と薬草採取士で迷ったが、結局剣士を上げることにした。

 いま必要なのはどちらなのかを考えた場合、剣士の上位ジョブを獲得すれば即戦力としてボス戦に投入できる。

 対して、薬草採取士の上位ジョブを得ても、薬を作るための素材はすぐ手に入るわけではない。

 まあ、両方上げるつもりなんだから、ぶっちゃけどっちでもいいんだろうけどさ。

 

 

 

 午後の探索が終わるころには、剣士のレベルが26まで上昇していた。

 さすが経験値効率四百倍。反則にもほどがある。

 一方、三人はというと、ロクサーヌの巫女が31に、ミリアの暗殺者が21になっていた。

 ロクサーヌは今度こそミセリコルデを扱えるようになるのではないかと、鼻息を荒くしている。

 この娘がミセリコルデを装備できればパーティーの安定感も増すだろう。期待しておこう。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 自宅に戻ると、五日に一度のお楽しみ。ルークの伝言が挟まっていた。

 今回はコボルト二つに蜘蛛、そして牛という、なんとも小粒なラインナップだ。

 しゃーない。まあ、こんなこともあるさ。

 

 読み上げている間もロクサーヌはずっとソワソワしており、早くミセリコルデの確認をしたいのが丸分かり。ほんと、可愛いお嬢さんだこと。

 大好きなダーリンにソワソワしないでと言いたいところだが、焦らすのも可哀そうなのでさっさと中に入る。

 

 

 

 キッチンに食材を置いたら、早足で廊下を歩き、階段を上がって彼女たちの部屋へと移動した。

 

 俺たちが見守る中、ロクサーヌは緊張した面持ちでクローゼットを開き、ミセリコルデを取り出す。

 彼女の表情を見たところ、先日とは違ってこの段階で即アウトということはなさそうだ。

 

 それを腰に差し、鞘からスッと抜き放つ。

 しかし、一振りするたびにロクサーヌの表情は沈んでいった。

 

「ほんのわずかですが、まだ重たいと感じます……。どうやら今回も駄目だったようです……」

 

 いや、ほんのわずかなら問題なくない? 単純にエストックとミセリコルデの重量差かもしれないじゃん。

 あ、いや。見た感じエストックとミセリコルデでは、エストックの方が重そうだな……。

 まあそれはそれとして、ほんと戦闘に関しては厳格な娘さんだよなぁ。

 

 落ち込んでいるロクサーヌを慰めながら、修業を行うために部屋を出る。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

冒険者Lv51 勇者Lv43 遊び人Lv55 魔道士Lv51 剣士Lv26

装備 頑強のアルバ 倹約の硬革グローブ オラクルビットローファー 身代わりのミサンガ

 

ロクサーヌ ♀ 16歳

巫女Lv31

装備 強権のエストック 剛健のダマスカス鋼盾 オラクルティアラ 頑強の竜革ジャケット 剛腕の古代樹手甲 セブンリーグブーツ 身代わりのミサンガ

 

セリー ♀ 16歳

鍛冶師Lv29

装備 竜革の帽子 オラクル竜革ジャケット 頑強の古代樹手甲 駿馬の竜革靴 身代わりのミサンガ

 

ミリア ♀ 15歳

暗殺者Lv21

装備 強権のレイピア オラクル古代樹盾 耐火のダマスカス鋼額金 迅速の竜革ジャケット 頑強の竜革手甲 駿馬の竜革靴 身代わりのミサンガ

 

BP振分 残BP:1

キャラクター再設定:1

フィフスジョブ:15

詠唱省略:3

必要経験値二十分の一:63

鑑定:1

ワープ:1

ジョブ設定:1

三十パーセント値引:63

 

所持金:3,154,800ナール

 

春の86日目




いつも拙作をお読みいただき本当にありがとうございます。

今話で投稿を開始してから二年となりました。

ここまで更新を続けてこれたのも素晴らしい原作の魅力と、お読みいただいている皆様のおかげです。
皆様のUA、お気に入り、感想、評価、ここすきといった反応のおかげでここまで続けることができました。本当にありがとうございます。

連続更新はもう少しだけ続きますので、引き続きお楽しみいただければ幸いです。
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