異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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273 作戦会議

 

 

 

 

 

クーラタル

商人ギルド

 

 

 

 

 

 六つ!? スキルが六つ付いてるぞ!?

 それにアスカロン! 聖ゲオルギオスのあれか!?

 

 俺の動揺を察したのだろう。先制攻撃の効果を確信し、ヒルダの笑みが一段と濃さを増す。

 

「さすがアユム様、お気付きになりましたか。そうです、こちらは固定で賜った固有名を持つ武器、その名も聖剣アスカロン。さらにスキルが五つも付いた逸品となっております」

 

 五つ? いま五つと言ったか?

 

 得意げに由来を語っているヒルダの言葉を聞き流し、念のためにもう一度鑑定をかけてみる。

 

聖剣アスカロン 両手剣

スキル 火炎剣 水流剣 烈風剣 岩砕剣 防御力無視 不壊

 

 火炎剣、水流剣、烈風剣、岩砕剣、防御力無視、不壊。

 うん。やっぱり六つだよな? どういうことだ?

 

 少し考え、理由に思い至る。

 

 ……そういうことか。

 普通の人はボーナススキルの鑑定を持たないため、名称で判別できる一つ目のスキル以外は、実際に使ってみるしか確認方法がない。

 しかし、六つ目に付いているスキルは不壊。

 名称から推察するに、その効果は装備品が壊れなくなるというものに違いない。

 それを確認するためには、武器に著しい負荷を掛けるか、最上階のボスの攻撃を食らう必要がある。

 たとえスキルが付いていると理解していても、万が一を考えて試すのは躊躇してしまうだろう。

 ましてや、付いているかどうかも分からない状態で、国宝級のユニーク装備が壊れかねない実験をするなんて、完全に狂人の所業だ。

 

 さらに他のスキルについても、防御力無視を除けば一線級とは言い難いものばかり。

 火炎剣と水流剣は武器に属性を付与するというものだし、今回初めて見た烈風剣、岩砕剣についてもおそらく同じ効果なのだろう。

 魔法使いのいないパーティーが低階層で使用するのなら使い道もあるのだろうが、ユニーク装備品に付いているスキルと考えた場合、格落ち感が否めない。

 

 ……俺以外については。

 

 デュランダルの代替品と考えた場合、攻撃力上昇系のスキルはアクセサリーに付ければいいし、HP吸収やMP吸収についても湯水の如く回復薬を使用することでどうとでもなる。

 さらにロクサーヌたちが詠唱中断の付いた武器を持っているため、俺が詠唱を潰す必要はない。

 レベル補正無視に関しても、そこは自他ともに認めるチキンの田川さん。端から自分よりレベルの高い魔物と戦うつもりなんてない。

 

 そして、デュランダルを上回っている点としては、以前セリーが言っていた、属性付与が物理攻撃のダメージ倍率に乗るという推測だ。

 増加率は微々たるものだろうが、ダブルアタックやトリプルアタックと併用したときの倍率はエグいことになるはず。

 基本攻撃力はデュランダルに引けを取らないだろうから、腕力上昇系と攻撃力上昇系のスキルさえ用意すれば大化けするに違いない。

 

 ……この世界でアスカロンを使いこなせるのは俺だけだ。なんとしても入手しなくては。

 

 熱のこもった語りを続けているヒルダを見ながら、使命感にも似た決意を固める。

 

 

 

「あら? どうやら余計なお喋りが長くなってしまったようです。申し訳ございません」

 

 俺が落ち着きを取り戻したことに気が付いたのか、ヒルダは我に返ったかのように、胡散臭い笑みを顔に貼り付け直した。

 

「それで、その剣にはどのようなスキルが付いているのだ?」

「後ほど実際に確認していただきますが、こちらには火炎剣、水流剣、烈風剣、岩砕剣、それから防御力貫通と思しきスキルが付いております」

 

 おっ? 防御力無視と防御力貫通の区別がついていない?

 

「なるほど。防御力貫通か」

「ええ。腕力上昇と攻撃力上昇のどちらとも併用できるため、間違いはないかと」

 

 彼女の言葉を受け、あごに手を当て考える振りをする。

 さあ、ディールの始まりだ。

 

「ふむ。だが、中階層以降では身代わりのミサンガを外すことは不可能だ。それらのスキルを組み合わせて運用するのは難しいだろう。それに他のスキルも属性付与ばかりで、少々使いにくいな……」

 

 それを聞き、仲買人たちの顔に驚きの表情が浮かぶ。

 そして、おずおずとダリウスが問いかけてきた。

 

「固有名を持つ装備品を迷宮で使用するのですか?」

 

 あっ、そうか。ユニーク装備品は実用品じゃなく、美術品として扱われるんだっけ。

 となれば、スキル構成の悪さを指摘することで譲歩を引き出すという作戦は無理か?

 

 ……いや。他の手段がないんだ。この線で攻めるしかない。

 

「ああ。俺はまだ何者でもないからな。身を立てようというのであれば、装備品を出し惜しむわけにはいかない」

 

 以前、ハルツ公に対して行った説明の焼き直しである。

 

 その言葉を聞き、右側の椅子に座っているカイルが呟きを漏らした。

 

「なるほど……。噂に違わぬ豪胆さ。さすが根こそぎのアユム様でいらっしゃいます」

「は? 根こそぎ? なにそれ?」

 

 思わず言葉をこぼしたところ、ルークが訝しげに口を開く。

 

「おや? ご存じなかったのですか? アユム様の二つ名となっております」

 

 おいィィィ! なんだその二つ名は! めちゃくちゃかっこ悪いじゃねえかァァァ!!!

 

 いやいやいや! おかしい、おかしい! なんで根こそぎなんて二つ名がついてんだよ! 許可した覚えはねーぞ!

 

 

 

 あまりのことに思わず問いただすと、冷静な口調でルークに説明をされる。

 

 有用なスキル結晶に対し、高額での買い注文を常時出し続けていること。

 決闘でバラダム家のパーティーを叩きのめし、身ぐるみを剥がした上で奴隷として売り払ったこと。

 さらに彼らが放出した品のオークションでも、そのほとんどを落札したこと。

 

 それらが合わさり、このような二つ名が付いたらしい。

 

 感じが悪い上に、めちゃくちゃかっこ悪いんだけど……。

 もっとこう、多数の魔法を放つ『サウザンドスペルのアユム』とか、オーバードライビングで目にも止まらぬ動きを行う『電光石火のアユム』とか、トリプルアタックで強力な攻撃を繰り出す『一撃必殺のアユム』とか、実態に即したナイスなやつがあるじゃん。

 

 ……いやまあ、どれもこれも公にするわけにはいかないんだけどさ。

 

「それから、他にもこのようなものもございます」

 

 腑に落ちないものを抱えていたところ、今度はダリウスがアイテムボックスを開いて錫杖を取り出した。

 

カッカラ 杖

 

 へー、カッカラねぇ。でもまあ、スロットも付いてないし、ぶっちゃけお呼びじゃない。

 

 さらにルークがごついガントレットをローテーブルに載せる。

 

オリハルコンのガントレット 腕装備

 

 うーん……。こいつもスロットなしか。正直、要らないなぁ。

 

 そして、カイルもバイキングのような兜を取り出した。

 

猛牛の兜 頭装備

 

 おっ。これってハルツ公がかぶっていたやつ?

 公爵が装備していたものだし性能はいいんだろうが、こいつにもスロットは付いていない。スルーだな。

 

 

 

 それから四人は次々と装備品を取り出していく。

 カッカラなどもそうだったが、どれも取り出すのに手間取っていたので、装備制限がかかった高性能なものだと思われる。

 でもまあ、いずれもスロットは付いていなかったため、食指が動くことはない。

 

 装備品をアイテムボックスに戻したところで、ダリウスがいまいち信用できない笑みを浮かべながらこちらに視線を向ける。

 

「アユム様がスキル結晶をお求めになっていることは存じております」

 

 そう言って今度はスキル結晶を取り出し始めた。

 さらに彼だけではなく、ヒルダとカイルも同じようにローテーブルへスキル結晶を並べていく。

 

 おお! コボルトが六つも!

 

 えー! スライムもあるじゃん!

 

 竜とサイクロプス!? おいおい、マジかよ!

 

 螺旋蜘蛛にハイコボルト!? 嘘だろ! 最上位種のスキル結晶も出てきちまったぞ!

 

 

 

 最終的に彼らが取り出したスキル結晶はウサギ、ヤギ、はさみ式食虫植物、スライム、サイクロプス、竜、ハイコボルト、螺旋蜘蛛がそれぞれ一つずつ。そしてコボルトが六つ。

 

 ローテーブルに並べられたそれを呆然と見つめていると、ニヤついた顔でルークが口を開く。

 

「先ほどの装備品とこちらのスキル結晶の中からご希望の品をお選びいただき、バラダム家から得た物や、アユム様がお持ちの装備品と交換するというのはいかがでしょう? もちろん差額が生じた際には、金銭で補填いただいても構いません」

 

 なんでこっちが補填をする前提なんですかねぇ。

 まるで俺がアスカロンを上回る装備品を持っていないみたいじゃないか。

 こっちにはデュランダル、毘盧帽、歩雲履、ドラウプニルといった、考えられる限り最高の性能を持った装備品があるんだぞ。

 

 ……まあ、絶対に手放すわけにはいかないし、人目に触れさせるつもりもないんだけどさ。

 

 それにしても、ルークのこの表情。

 こいつはスキル結晶を出さなかったが、間違いなくこの中に奴の物も含まれているな。

 おそらく、あらかじめ三人に渡しておいたに違いない。

 そうであれば、他の仲買人から突き上げを食らったため、入手が難しくなったという話も怪しくなってくる。

 

 彼のこれまでの行動に疑念を抱いていると、ヒルダが言葉を重ねた。

 

「アユム様がどのような装備品をお出しくださるかにもよりますが、聖剣アスカロンは三千万ナールを下らない逸品。それ相応の品、あるいは金額をご提示いただきたく存じます」

 

 ……なるほどな。

 こいつらは俺がセブンリーグブーツを所有していることを知っているし、他にも貴重な装備品を持っていると推測しているのだろう。

 さらにこれまで躊躇なく金を使っていることで、莫大な資産を保有していると考えているに違いない。

 そのために四人で共同戦線を張ることにしたわけだ。

 アスカロンを見せ札に動揺を誘い、立て続けに高性能な装備品とスキル結晶を見せつけることで、俺から貴重な装備品と金を巻き上げる算段を立てている、と。

 

 奴らの計画に乗るのは癪だし、一度バラダム家へ売ると言った以上、撤回するのは仁義に悖る。

 たとえあいつらがロクサーヌの家を困窮させた憎むべき相手だったとしても、約束を反故にするのは筋が違う。

 かと言って、スキルが六つ付いた装備品をあきらめることなどできない。

 

 チラリと様子をうかがったところ、彼らは余裕の表情でこちらを見つめていた。

 

 こいつら完全に自分たちが主導権を握っているつもりだぞ。

 

 俺はまったく相場を把握していない上、交渉にも不慣れだ。

 状況は奴らの思惑通りに進んでおり、このままではケツの毛まで毟られてしまうだろう。

 

 でもなぁ、こっちには頼りになるネゴシエーターがついている。ここは一時撤退だ。

 

「待ってくれ。このような話だとは思わなかったため、金も装備品も持ってきていない。まずは家に戻り取ってこよう」

 

 それを聞いたヒルダは納得した表情で答える。

 

「確かにおっしゃる通りです。私どもはこちらでお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします」

 

 余裕を崩さない仲買人どもに見送られながら部屋を出た。

 

 その余裕がいつまでも続くと思うなよ! セリーに言いつけてやるからな! 覚悟しやがれ!

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 自宅に戻るや否や靴を脱ぎ、靴下のままで駆け出した。

 

「セリー! 助けてー!」

 

 大声を上げながらキッチンに入るが誰もいない。

 

 どうやら四人は俺がいなくても修業をしているようだ。

 

 そう思い至り急いで玄関へと引き返すと、外から扉が開かれ、ロクサーヌが動揺した表情で問いかけてきた。

 

「ご主人様! どうなさったのですか!」

「まさか、仲買人と事を構えることになったのですか!?」

 

 さらに険しい顔のセリーがそれに続き、ミリアとベスタも決意に満ちた表情で口を開く。

 

「決闘になっても私たちに任せてください!」

「はい! 何があっても全力でお守りします!」

 

 あ、えっと、そういうんじゃないです……。

 あの、大袈裟に騒いでしまい、申し訳ありません……。

 

 慌てて物騒な話ではないことを伝え、彼女たちと共にサンダルを履き、リビングへ移動する。

 

 確かに反省しなくてはいけないけど、本気で心配をしてもらえたことがたまらなく嬉しい。

 本当に俺は世界一の幸せ者だ。

 

 

 

 ソファーに腰を下ろし、商人ギルドで起きたことを話していく。

 

 彼女たちは仲買人のたくらみに憤りを示し、アスカロンに驚きの表情を浮かべ、大量のスキル結晶に歓声を上げる。

 

 話を終えたところ、普段なら仲買人に対する敵愾心をむき出しにしていそうなセリーはあごに手を添え、真剣な表情で考えを巡らせている。

 

 セリー先生、よろしくお願いいたしやす!

 

 一方、ミリアとベスタはアスカロンについてあれやこれやと話していた。

 

「スキルが六つも付いた武器なんてすごいよねー」

「本当ですね。六つだと分かっている場合、どのくらいの金額になるのでしょう?」

「きっと想像もつかないくらいの金額だと思うよ」

「貴族や皇帝が買い求めると聞きますし、そうなのでしょうね」

 

 そして、ロクサーヌは輝くような笑みをこちらに向ける。

 

「根こそぎですか。圧倒的なお力で魔物を殲滅するご主人様に相応しい二つ名です。おそらく名付けた者もそれを感じているのでしょう」

 

 え? そこ? いまはそこじゃなくない?

 それに、名付けた奴はそんなことを考えていないと思うぞ?

 あと、めちゃくちゃかっこ悪い二つ名だと思うんだが……。

 

 戸惑いながら、ロクサーヌの称賛を受け流す。

 

 

 

 やがて、考えがまとまったのかセリーが口を開いた。

 

「おそらく、全ての品を手に入れることが可能だと思います」

「そんなことできんの!?」

 

 思わず声を上げたところ、彼女は不敵な笑みを浮かべる。

 

「ええ。問題ないでしょう」

「どういう交渉をするのですか?」

 

 ロクサーヌの質問を受け、頼もしいネゴシエーターは説明を始めた。

 

「まずアスカロンについてですが、スキルが五つだと思われていることに加え、そのスキルもそれほど有用な物ではありません。実際に使用せず家宝として奉る場合でも、スキルによって金額に差は生じます。つまり、スキルが五つのユニーク装備品としては最低ランクと言っていいでしょう」

 

 なるほど。車のコレクターが観賞用であっても高性能車を求めるみたいなもんか。

 たとえ実用品ではなく美術品だったとしても、性能が高ければ高いほど箔が付くのだろう。

 

 彼女は口元に笑みを浮かべながら告げる。

 

「そこで、ご主人様がお持ちの貫通のオリハルコン剣を使います」

「貫通のオリハルコン剣?」

 

 ベスタの疑問の声に頷き、言葉を続けた。

 

「ええ。貫通のオリハルコン剣には防御力貫通、腕力二倍、MP吸収、詠唱中断が付いており、さらにもう一つスロットが残っています。ここに効果が分かりやすいスキル、そうですね……HP吸収あたりを付けるのです。そうすれば五つすべてが有用かつ効果が確認しやすい武器となります。ユニーク装備でこそありませんが、決して見劣りすることはないでしょう」

 

 おー! 確かにそうだ!

 

 セリーの説明を聞き、俺たちのテンションが一気に上がる。

 

「属性付与と防御力貫通しかないユニーク武器と防御力貫通、腕力二倍、MP吸収、詠唱中断、HP吸収が付いている貫通のオリハルコン剣。どっちを使うかと言われれば、普通はオリハルコン剣の方を使いますもんねー」

 

 ミリアの言葉にロクサーヌが頷いた。

 

「ええ。アスカロンの性能を引き出すことのできるご主人様はともかく、私たちのような凡人が使用するとなれば、貫通のオリハルコン剣の方に分があります」

 

 異議あり! あなたは凡人じゃありません!

 

 他の三人も同じことを考えたのだろう。空気が若干微妙なものへと変わる。

 

 しかし、すぐにセリーが咳払いをして仕切り直した。

 

「ですが、その場合でも依然として金額には大きな差が残ったままです。そこで、次はひもろぎのカッカラの出番です」

「ひもろぎのカッカラ?」

 

 俺の相槌に彼女は小さく頷きを返す。

 

「彼らは交換用の装備品としてカッカラを出してきたのですよね? 現在ご主人様が装備しているよりしろのイアリングには魔法攻撃力二倍、腕力二倍、知力二倍が付いています。そのため、杖に知力二倍が付いている必要はなく、スロットのないカッカラで十分です」

 

 なるほど。確かに今は知力二倍がダブった状態で、片方が死にスキルになっている。

 それにMP回復は回復薬で行っているため、MP吸収も意味がない。

 詠唱中断については、現在俺が魔物のスキルを潰すような状況はゼロとは言わないが、ほとんど発生していないため、彼女たちに任せておけばいいだろう。

 

「また、仲買人たちは把握していませんが、ひもろぎのカッカラには詠唱中断も付いているのです。交渉次第となりますが、私たちが狙っているアスカロン、カッカラ、スキル結晶については問題なく手に入れることが可能でしょう」

 

 目ぼしいものを根こそぎいただくってわけだな!

 イェアー! さすがセリー、さすセリだ!

 

 そして、彼女は酷薄な笑みを浮かべる。

 

「本来、スキルが六つ付いた固有名を持つ武器となれば、七千万や八千万ナールの値が付くはずです。スキルによっては一億ナールを超えてもおかしくはありません。たとえ有用なスキルがなかったとしても、五千万ナール以下ということはないでしょう。まったく、欲深い仲買人らしいみじめな末路です」

 

 そう言って、くつくつと忍び笑いを漏らしていた。

 

 この娘、めっちゃくちゃ感じ悪いなぁ……。

 でもまあ、この調子で奴らをシャークトレードの餌食にしてもらおう!

 

「セリー、一緒に来てくれる?」

 

 すると、彼女は自信満々の顔で頷きを返す。

 

「もちろんです。お任せください」

 

 頼もしい。マジで頼もしい。我が家のネゴシエーターは最強だ。

 仲買人どもめ、目にもの見せてくれるわ。

 

 ん? 俺も毒されてるのかね?

 

 少し気になったものの感謝を伝える。

 

「ありがとう。本当にセリーは頼りになるよ」

 

 その言葉を聞き、はにかんだような表情へと変わった。

 あら、可愛い。

 

 セリーのくるくる変わる表情にほっこりしていると、ロクサーヌが声を上げる。

 

「スキルの確認をするのでしたら、迷宮で魔物を相手にすることになるでしょう。私も同行し、素早く魔物を見つけ出してご覧に入れます!」

 

 こちらを見つめる彼女の顔には、『私も役に立ちますよ。褒めて、褒めて』と書いてあった。

 

「ロクサーヌもありがとう。君の鼻にはいつもいつも助けられているね。これからもよろしく」

「はい! 私にお任せください!」

 

 ロクサーヌが満開の花のような表情を浮かべ声を上げると、その下からバサバサと音が聞こえてくる。

 尻尾をブンブン振ってソファーを擦っているのだろう。

 実に愛らしい。

 

 さらにミリアとベスタもニコニコ笑顔で言葉を発した。

 

「それじゃあ、夕食の支度は私たちがしておきますねー」

「はい。美味しい料理を作って、お帰りをお待ちしています」

 

 ほんと、良い娘たちだよなぁ。

 

 方針が決まったところで幸せをかみしめつつ、ソファーから立ち上がる。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

遊び人Lv63 勇者Lv54 冒険者Lv58 魔道士Lv58 武器商人Lv40 僧侶Lv37

装備 サンダル 身代わりのミサンガ

 

BP振分 残BP:30

キャラクター再設定:1

必要経験値二十分の一:63

シックススジョブ:31

詠唱省略:3

鑑定:1

ワープ:1

MP回復速度十倍:31

 

所持金:3,541,913ナール

 

夏の12日目

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