二人が部屋を出ていくと、ダリウスが話しかけてきた。
「交換が成立しただけではなく、アユム様と知己を得ることが叶い、大変実りの多い取引となりました。このつながりを強固なものとするため、明日のお取引の際は全力でサポートをさせていただきます」
明日の取引ってバラダム家とのことだよな? 俺のサポートってのはどういう意味だ?
カイルも頷きながら言葉を添える。
「アユム様が装備品をお出しになった際には、ヒルダやルークと交渉をしている姿を見せつつ、なるべく高値が付くよう取り計らいます。彼らとも話が付いていますのでご安心ください」
出来レースを演じるってことか?
おいおい。それって完全に談合とかカルテルじゃん。こいつら本気で言ってんの?
とんでもない発言を聞き、思わず彼らの顔をまじまじと見つめてしまった。
すると、ダリウスがにこやかな顔で口を開く。
「今回のお取引に対するサービスのようなものです。どうかご遠慮なさらず」
遠慮してるんじゃなくて、ドン引きしてるんです……。そんなことを恩着せがましく堂々と提案されても……。
それに君らが顧客であるはずのバラダム家を、一切悪びれることなく裏切っていることにも不信感が拭えないんだが……。
ドワーフが仲買人に心を許さないのも理解できるわ。
二人の顔をうかがうと、やましさを覚えている様子はまったくなく、ちょっとしたテクニックを伝授するような軽い雰囲気が漂っていた。
……不正競争防止法や独占禁止法といった法律がなく、市場の寡占が許されている世界なのだ。彼らにとっては、当然の権利だという認識なのだろう。
いや。なんなら、三割引や三割アップを使いまくっている、俺の方が悪質まである。
まあ、郷に入っては郷に従えというし、それにこちらには得しかないわけで、ここは清濁併せ吞むってことで。
「うむ。では、よろしく頼む」
提案を受け入れ、ダリウスが差し出してきた手を握り返す。
その後、彼らに乞われてバラダム家に売却予定の品をあらかじめ伝えておく。
やはりスキルが付いたものには食いつき、中でもひもろぎのロッド、吸精のダマスカス鋼ステッキ、頑強の竜革鎧、強権のダマスカス鋼槍と、彼らが所有する高性能装備品との交換を持ち掛けられた。
交換後にスキル結晶の融合を試み、それに成功すれば大金が入ると悪魔の囁きを受けたものの、奴らの持っている装備品はスキルスロットが付いていない物ばかり。
誘惑に乗って融合を試みてしまえば、装備品は素材に戻り、スキル結晶は失われてしまう。
融合を行わない場合、性能的にも金額的にもこのトレードには一切メリットがない。
一度約束したことを違えるのは仁義に悖ると伝え、今回は諦めてもらった。
もっとも、もし彼らがスロット付きを持っていたのなら、前言を翻していた可能性が高いんだけどね。
セリーは彼らが提示してきた金額を確認しながらも、狙いを悟られないよう、悔しそうな演技を継続中だ。
油断を誘うためとはいえ、その徹底ぶりに感心してしまう。
まったく、役者やのう。
「お待たせいたしました」
その後、世間話をしながら時間を潰していると、程なくして装備を整えたルークとヒルダが戻ってくる。
……実際のところ、カイルはずっとロクサーヌをガン見しており、話に加わっていなかったんだけどさ。
本当に罪なロクサーヌである。
そして、彼らの後ろから見知らぬ男が現れた。
無造作に切り揃えられた短髪に、まるでハリウッドスターのように彫りが深く男臭い顔立ち。無骨な金属鎧を身に纏ったその姿は、強者の風格を漂わせている。
「こちらは武者のジョブについている、サイラス。制限のある装備品を身に着けることができるため、貫通のオリハルコン剣とひもろぎのカッカラは彼に確認してもらいます」
ルークの紹介を受け、男がこちらに右手を差し出す。
「サイラスだ。よろしく頼む」
「ああ。こちらこそ頼む」
握手を交わしつつ、鑑定をかけてみた。
……なるほど。武者のレベルは28か。
同じ武者のジョブでレベル21のガストンが激情のオリハルコン剣を使いこなしているのだ、これなら何の問題もない。
ロクサーヌとセリーの紹介を済ませたところで、どこの迷宮へ行くかの話し合いを行う。
彼らをパーティーに加え、ハルバーの迷宮へ飛んでスキルを確かめる。
アスカロンはともかく、こちらの二つは効果が分かりやすいため、確認はあっさり終了。ホッと胸をなでおろした。
印象的だったのは、すっかりサイラスが貫通のオリハルコン剣を気に入り、いつオークションに出すのかルークたちに尋ねていたことだ。
もっとも、推定落札価格は最低でも二千万ナールになると聞かされ、ポカンと口を開いていたんだけどね。
まあ、どうしても欲しいのなら、金策に走りたまえ。
そして迷宮にいる間もセリーは眉間にしわを寄せたままだ。
迷宮に入ってなお、奴らに思惑がバレないように演技を続けている。
ほんと、徹底してんなぁ。
商人ギルドに戻り装備品の交換を済ませると、今度はギルド神殿を用いてスキル結晶の確認を行う。
ぶっちゃけ、鑑定で間違いないと分かっているため、お金を無駄にしている感がハンパない。
ウサギ、ヤギ、はさみ式食虫植物、スライム、サイクロプス、竜、ハイコボルト、螺旋蜘蛛に加え、コボルトが六つ。合計千四百ナールの出費である。
あと二百ナール足せばキャミソールが二着買える金額だ。もったいないお化けも激おこだろう。
全ての取引を終えると、ルークが憎たらしい笑みを浮かべながらこちらへ進み出た。
「貴重な装備品をお持ちだろうと考えておりましたが、私の予想をはるかに超える品でございました。さすがはアユム様。公爵様が目をかけておられるのも頷けます。今後とも良いお付き合いを続けていきたいものです」
そう言って右手を差し出してくる。
俺から金と装備品を巻き上げようとしたくせに、一切悪びれる様子がない。
いや。奴の中では通常の商取引の範疇であり、悪いことをしたとは欠片も思っていないのだろう。
まったく。本当に面の皮の厚い男だ。
差し出された手を握り返しながら応じる。
「ああ。こちらこそ世話になった。今後ともよろしく頼む」
この場で追及するのは控えるが、明日バラダム家との取引が終わった後に、スキル結晶についてガン詰めしてやるからな。首を洗って待ってやがれ。
ルークだけではなく、他の仲買人たちとも握手を交わして部屋を後にした。
三人で薄暗くなった廊下を歩いているうちに、抑えていた喜びが湧き上がってくる。
俺だけではなく、ロクサーヌの口元も緩んでいた。
だが、セリーの表情は悔しそうなままだ。
おそらく人目のないところへ行くまでは演技を続けるつもりなのだろう。
この油断のなさが実に頼もしい。
そうだよな。まだギルド内にいるんだ。気を抜くのは早いよな。
ロクサーヌと頷きを交わし、俺たちも表情を引き締める。
「よっしゃー! 手に入れた! アスカロンを手に入れた! スキル六個だぞ! ヤバすぎだろ!」
ゲートから抜け出した瞬間、感情を抑えきれずに叫び声を上げてしまう。
「アスカロンも相応しい持ち主を探していたのでしょう。これは運命に違いありません! さすがご主人様です!」
「やっぱり? ロクサーヌもそう思う?」
「はい。間違いありません」
彼女は輝くような笑みを浮かべ、大きく頷いた。
普段ならドン引きするような称賛だが、いまはそれすら心地よい。
「イェーイ!」
テンションの赴くままにロクサーヌへ右手のひらを頭上に掲げると、彼女はすぐに求めていることを察し、そこに自らの手を打ち合わせた。
玄関に小気味よい破裂音が鳴り響く。
「ふふ。ご主人様、子供みたいで可愛らしいです」
いやだって、アスカロンだよ? 聖ゲオルギオスが竜退治を成し遂げた聖剣をゲットしたんだもん。そりゃテンションも上がるってもんさ。
だが、ロクサーヌと喜びを分かち合っていたところ、セリーの顔に苦いものが浮かんだままであることに気が付いた。
もう人目はないってのに、どうしたんだ?
ロクサーヌも気になったのだろう。彼女に声をかける。
「セリー、もう演技をする必要はありません。目標を達成したことを喜びましょう」
しかし、セリーは悔しげに声を漏らした。
「もう少し装備品かお金を引っ張ることができたはずなのに、力が及びませんでした……。仲買人の財産を削り取る、またとない機会だったのですが……」
えー! この娘、ガチで悔しがってたの!?
あれだけの成果を得たのに!? とんでもない規模のシャークトレードをかましておきながら!?
あまりの言葉に思わずロクサーヌと顔を見合わせてしまった。
彼女の顔にも隠し切れない困惑の色が浮かんでおり、セリーの言葉が予想外だったことがうかがえる。
そりゃそうだよなぁ。俺だって戸惑ってるもん。
実際に三千万ナール近い利益を叩き出しているわけで、完全勝利と言っても過言ではない。
まさかそんなことを考えていたとは想像もしていなかった。
「セリーは途方もない取引を成立させたんだよ。誇りこそすれ、悔しがる必要なんか全然ない」
「ご主人様のおっしゃる通りです。セリーはすごいことを成し遂げました」
しかし、俺たちの言葉に小さくかぶりを振った。
「貫通のオリハルコン剣の最低落札価格は二千万ナールと言っていましたが、先ほどの様子を見ると、彼らはオークションまでにこの国だけではなく近隣諸国にも話を広めるでしょう。そうなれば各国の貴族や富豪だけではなく、皇族や王族も争奪戦に参加するはずです」
えー!? そんな規模の装備品だったの!?
いまさら足が震えそうになってきたんだけど……。
ビビり散らかしている俺を尻目に、セリーは言葉を続ける。
「有用なスキルが五つも付いた貫通のオリハルコン剣と、三つのひもろぎのカッカラなのです。そうなれば、合わせて三千万を超えてもおかしくありません」
え? あの、それでも二千万ナール以上儲けているんですが……。
話の規模にも驚いたが、それ以上に彼女が稼ぎ出した額のインパクトがデカすぎる。
それだけの利益を叩き出しておきながら満足していない様子に、器の違いを見せつけられた。
呆気に取られていると、ロクサーヌが穏やかな微笑みを浮かべ、セリーに言葉をかける。
「あなたは大きな仕事を成し遂げ、莫大な利益をもたらしました。ご主人様の信頼に見事に応えたのです。落ち込む必要などありません」
そして表情を戦闘中のような鋭いものへと変えた。
「彼らはご主人様を侮り、無礼な要求を押し通そうとしていました。私はご主人様を侮られることが何より我慢できません。ですがあなたは彼らを出し抜き、二千万ナールもの資産を掠め取ったのです。そのことに気付かず勝ち誇っているというのなら、こんなに滑稽なことがあるでしょうか? セリー、あなたは立派に役目を果たしています」
ロ、ロクサーヌさん? どうしたの?
その声は普段の柔らかな雰囲気とは異なり、冷たさすら感じられる。
あの場では気が付かなかったけど、実は怒ってたのか。
そういえば、以前ルークから大量のスキル結晶を購入したときに、俺が舐められたと激怒してたもんなぁ。
決闘で始末するべきだとまで言っていたし、今回も怒髪天を衝く勢いだったのかもしれない。
だが、セリーが奴らに大損をさせたことで留飲を下げたのだろう。
そういう意味でも、あの交渉はファインプレーだったわけだ。
欲しいものは全て手に入ったし、別に損をしたわけでもない。
なにせ、ルークが欲をかくたびにこちらは大儲けをしているのだ。
使い道のないものまで巻き上げて警戒されるより、油断してもらった方が今後もやりやすい。
せいぜい今後も俺たちの手のひらの上で踊ってもらうさ。
もっとも、あまりにも目に余るようなら、仲買人の変更も視野に入れておく必要があるけどな。
セリーに近づき、ちょうどいい位置にある肩にポンと手を乗せる。
「ロクサーヌの言う通り、セリーは期待以上の働きをしてくれた。物足りないなどと思うはずがないじゃないか。いつもありがとう。君たちのおかげで本当に助かっている」
すると、セリーの表情が徐々に綻んでいく。
「そうですね。ご主人様のお役に立てたのであれば、それで十分ですよね。仲買人のことなど、気にするだけ時間の無駄でした」
ロクサーヌもその言葉に頷きを返す。
「ええ。あのような者たちのことを考えるくらいなら、せっかく手に入れた品をどう迷宮攻略に役立てるかを考えましょう」
いい雰囲気のはずなのに、この娘たちナチュラルに毒を吐くなぁ。
……いやまあ、いいけどね。
三人で内履きに履き替えていると、好奇心で瞳を輝かせたミリアと、穏やかな笑みを浮かべたベスタが近づいてきた。
「ご主人様! ご主人様! アスカロンは手に入りましたか!」
ふふん。聞いちゃう? それを聞いちゃう?
ミリアだけではなく、ベスタも期待のこもった眼差しでこちらを見つめている。
期待に応え、アイテムボックスからお目当ての品を取り出した。
「これがアスカロン……。柄だけではなく、剣身にまできらびやかな装飾が……。まるでデュランダルのようです……」
ベスタが言葉を漏らすと、ミリアも頷きながらそれに続く。
「本当に綺麗だよねー。さすがはスキルが六つ付いたユニーク装備」
二人だけではなく、ロクサーヌとセリーも、うっとりと眺めていた。
普通の装備品と違って、ユニーク装備って独特な雰囲気があるもんな。
美術品扱いされているというのも理解できる。
まあ、セブンリーグブーツのような例外もあるんだろうけどさ。
彼女たちの気が済んだところでアスカロンを戻す。
「夕食の準備はできてる?」
問いかけたところ、ミリアとベスタが大きく頷いた。
「バッチリです!」
「はい。あとは運ぶだけです」
商人ギルドで結構な足止めを食らったし、支度の時間は十分だったらしい。
「じゃあ、夕食にしよう。俺は風呂を沸かしてくるから、みんなはダイニングに運んでて」
良い子のお返事と共に、行動を開始する。
ひもろぎのカッカラがただのカッカラに変わってしまったものの、いつものようにサクッとお湯を沸かし終えた。
知力二倍と魔法攻撃力二倍があれば何のその。迷宮でも戦力は低下しないだろう。
ほんと、セリーがこのことを見逃さなかったおかげだ。ありがたやー、ありがたやー。
バスルームからダイニングに移動すると、テーブルの上には料理が並んでいた。
おお。白身の煮付もブイヤベースもサラダも、実に美味そうだ。
四人に声を掛けて席に着くと、俺の右にベスタが、左にミリアが、そして対面にロクサーヌとセリーが腰を下ろす。
ブイヤベースを取り分け、食事の挨拶をしてからそれを口へ運ぶ。
魚の旨味が口いっぱいに広がった。
うん。美味い。
四人は食べながらも、先ほど商人ギルドであった出来事について、楽しそうに話していた。
ロクサーヌとセリーは、仲買人たちに悟られることなく目当てのものを手に入れたことや、明日の取引では彼らが価格を吊り上げる手はずになっていること、それに何の問題もなく確認が済んだことを、身振り手振りを交えながらミリアとベスタに伝えている。
聞いている二人も、タイミングが悪いと口に物が入ったまま声を上げていた。
あまり行儀はよくないが、まあ二千万ナール以上の儲けだもんなぁ。そうなるのも無理はない。
一頻り話を聞いたところで、咀嚼していたものを飲み込み、ミリアが疑問の声を上げる。
「魔法で戦うときはいいんですが、ボスと戦うときにご主人様は、よりしろのイアリングをドラウプニルに変更しますよね? そうなると腕力二倍のスキルがなくなっちゃいますけど、どうするんですか?」
ふむ。確かに彼女の言う通り、今までは貫通のオリハルコン剣に腕力二倍が付いていたため、問題にならなかった。
しかし、アスカロンにはそれが付いていないため、このままでは大幅に物理攻撃力が低下するだろう。
でもまあ、対策がないわけでもない。
「ベスタが装備制限に引っ掛からなくなった時のために置いてある剛腕のミスリル手甲だけど、これなら俺でも装備できるんじゃないかな?」
指まで金属で覆うガントレットと違い、手甲は肘から手の甲にかけてを守る形状で、しかもオープンフィンガー。
あまり適性は関係ない気がする。
その言葉を聞き、セリーも大きく頷いた。
「そうですね。手甲なら問題にならないと思います」
さらにロクサーヌもそれに続く。
「もし装備できなかった場合は、私が装備している剛腕の古代樹手甲をお渡しいたします。これなら間違いなく装備可能でしょう」
まあ、装備制限がない上に、回避主体で重装備が苦手なロクサーヌでも問題なく装備できるんだ。確実に俺も大丈夫だろう。最悪はそれでいくしかない。
「ロクサーヌ、ありがとう。それじゃあ、明日の探索で試してみよう」
「ふふ。どういたしまして」
感謝の言葉を伝えると、彼女はつぼみが綻ぶように笑みを浮かべた。
あら、可愛い。
「それから、ベスタ。もし剛腕のミスリル手甲が装備できた場合、良さそうな腕装備が見つかるまで君の装備を貸してね」
それを聞き、ベスタは柔らかく微笑み、心が落ち着くような優しい声で答える。
「お借りしているだけで、すべてご主人様の所有物なのです。私に断る必要はありません」
ほんと、良い娘だわぁ。めちゃくちゃ良い娘だわぁ。
癒しの空気に浸っていると、セリーがワクワクしたような表情で口を開く。
「明日はアスカロンの実験をする必要がありますね。まずは属性付与がどの程度与ダメージに影響を及ぼすのかを検証すべきでしょう。併せて複数の属性付与が発動するのかも確かめなくてはなりません」
そうだなぁ。これによって今後のボス戦における戦術が大きく変わるかもしれない。
階層がさらに上がってワンターンキルができなくなれば、雑魚もトリプルアタックで片付けた方が早い可能性だって考えられる。
俺たちが首肯すると、彼女はさらに続けた。
「アスカロンとデュランダルの性能差も気になります。アスカロンを装備する際、併せてドラウプニルを装備すれば、攻撃力五倍と防御力無視のスキルが付き、ほとんどスキル差はなくなるはずです。基本攻撃力を比較することが可能となるでしょう」
なるほど。確かにちょっと気になるかも。
デュランダルに付いているスキルのうち、与ダメに影響するのは攻撃力五倍、レベル補正無視、防御力無視。
だが、魔物のレベルを上回っているため、レベル補正無視は関係ないと思われる。
もしかしたら、上回っていてもレベル補正が働いている可能性もあるが、魔物もレベルに比例してHPが増えるため、検証は困難だ。これについては基本攻撃力の一部と考えておこう。
一方、アスカロンとドラウプニルの組み合わせで与ダメに寄与するのは、四つの属性付与と防御力無視。それから攻撃力五倍と対人強化。
このうち、属性付与はアクティブスキルなので使わなければいいし、魔物相手なので対人強化も与ダメに影響を及ぼすことはないだろう。
実際のところ、性能差はあるのかね?
明日の実験を楽しみにしておこう。
早口で自説を捲し立てているセリーを見ながら、のんびり食事を楽しむことにする。
食事の後、歯磨きと洗い物を済ませ、心と体を癒すバスタイムだ。
いつものようにロクサーヌ、セリー、ミリアの服を脱がせ、ベスタの番になったところで度肝を抜かれた。
ガチで問題なくスイカが二つ入るサイズ。小動物なら二世帯住宅を構えられそうな広々とした空間。きっと彼女の胸には二つの銀河団があるに違いない……。
「あの、何をやっているのですか?」
手の中にあるブラジャーを見ながら、哲学的な思索に耽っていると、ブリザードのような声が耳に届く。
声の聞こえてきた方へ視線を向けると、虫けらでも見るような目をしたセリーの姿が……。
愛するご主人様を何という目で見るんだ、この娘は。
「ご主人様、さすがにそれは……」
「ちょっとカッコ悪いですよねー」
「えっと、その、肌着をそんなにまじまじと見られると、恥ずかしいです……」
ロクサーヌ、ミリア、ベスタも困った顔でこちらを見つめていた。
あ、その、なんかごめん。
ベスタに抱きかかえられながらゆっくりお湯に浸かる。
座る位置を調整して大きなふくらみに頭を挟み込むと、まるで桃源郷で過ごしているかの如し。
浮世のしがらみを忘れていつまでもこの幸せに包まれていたい。
そんなことを考えていると、彼女たちは雑貨屋での買い物について話していた。
初めての買い物がよほど嬉しかったのだろう。普段は控えめで聞き役に回ることが多いベスタが楽しそうに喋っている。
彼女の身の上を考えると、そうなるのも当然か。
ベスタがこれからも幸せに過ごせるよう、俺も頑張ろう。
いや、ベスタだけじゃない。この娘たち全員が幸せに、だな。
全身の力を抜き、小鳥たちのさえずりに耳を傾ける。
風呂から上がり、寝室で待っていると、程なくしてノックの音が聞こえてきた。
入室を促したところ、色とりどりの花々が部屋に咲き誇る。
ロクサーヌのグリーン、セリーのピンク、ミリアのブルー、そしてベスタのレッド。
四人それぞれまったく異なる魅力であふれており、俺の目を引き付けてやまない。
今まで丈が合っておらず、ミニスカ状態で恥ずかしそうにしていたベスタも、オーダー品を身に着け、はにかんだような笑みを浮かべている。
その様子が実に愛おしい。
そして、ロクサーヌが他の娘たちに声を掛けると、彼女たちはキャミソールの裾をスルスルとたくし上げた。
スラリとした脚を覆うストッキングとそれを吊るしているガーターベスト。そして秘密の花園を隠すセクシーランジェリー。
「……すごい」
思わず漏れた俺の声に、四人の表情が妖艶なものへと変わる。
もう我慢できない。
ロクサーヌを抱き寄せ、ゆっくりと顔を近づけていく。
田川 歩 男 18歳
遊び人Lv63 勇者Lv54 冒険者Lv58 魔道士Lv58 武器商人Lv40 僧侶Lv37
装備 身代わりのミサンガ
ロクサーヌ ♀ 16歳
巫女Lv37
装備 身代わりのミサンガ
セリー ♀ 16歳
鍛冶師Lv35
装備 身代わりのミサンガ
ミリア ♀ 15歳
探索者Lv31
装備 身代わりのミサンガ
ベスタ ♀ 15歳
竜騎士Lv29
装備 身代わりのミサンガ
BP振分 残BP:29
キャラクター再設定:1
必要経験値二十分の一:63
シックススジョブ:31
ワープ:1
MP回復速度十倍:31
鑑定:1
ジョブ設定:1
詠唱省略:3
所持金:3,540,513ナール
夏の12日目