異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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028 行列

 

 

 

 

 

クーラタル

 

 

 

 

 

 冒険者ギルドから出て通りを歩きながらロクサーヌに確認する。

 

「とりあえず先に木剣を買っておくか」

「はい」

 

 

 

 武器屋に入り彼女の案内で木剣を確認する。

 なるほど。こんな隅に置かれていたのか。鑑定にも引っかからないし、そりゃ見落とすわ。

 

「ロクサーヌは自分が使う分を選んでくれ」

「分かりました」

 

 剣での戦闘訓練の場合、デュランダルを使った戦闘を想定して両手剣の扱い方を学んでおかなければならない。

 同じようなサイズの物を選んでおこう。

 

 両手剣サイズの木剣を手当たり次第に取り出し確認してみる。

 その中で一番しっくり来たものを選び、彼女の方を見ると真剣な表情で木剣をジッと見つめていた。

 

 うん。まあ、心行くまで手に馴染む物を選んでもらおう。

 

 

 

 しばらくして、ようやく選び終わった片手剣タイプの木剣を持ち俺のところに来る。

 

「ご主人様、これをお願いします」

「うむ。では、会計を済ませよう」

 

 ロクサーヌからそれを受け取り、一応念のため掘り出し物がないか店内にある武器へ鑑定をかけてみた。

 

 うーん……。やはり掘り出し物なんてそうそうある物じゃないか。

 

 

 

 木剣二本の会計を済ませ店を出て中心地まで戻り、迷宮正面に店を構えているパン屋へ入る。

 

 これからは迷宮探索をして暮らしていくことになる。

 原作でもいわれていたが、体が資本の肉体労働だ。

 そのためには良いものを食べて身体を作っていかなくてはならない。

 食に妥協は禁物だ。一番良いパンを二人分購入する。

 

「あの。ご主人様。私の分はそんなに高い物じゃなくても……」

 

 何を言いなさる。

 可愛いロクサーヌに粗末なものを与えて、自分だけ高い物を食べるなんてできるわけがないだろうに。

 

「いや。前にも言ったが俺はロクサーヌと同じ食卓で同じものを食べるのが望みなんだ。今後もずっとそうだから慣れてくれ」

「ご主人様……。本当にありがとうございます……」

 

 パンを買い終えると今度は野菜を購入する。

 

 普通にじゃがいもやトマト、ニンジンがあったんですが……。

 確かウェブ版と書籍版だとどれもなかったよな? ニンジンというと薬用ニンジンの方に翻訳されていたはずだ。

 

 だが、ホワイトシチューを作ったときにコミック版では白黒でよくわからなかったが、アニメ版では明らかにニンジンとジャガイモと思われるものが描かれていた。

 それにロクサーヌもミネストローネっぽいものを作っていた気がする。

 というかオープニングで出てきた天ぷらには椎茸、アスパラ、さつまいも、茄子のような野菜もあったよな?

 

 今までにも引っかかる点がいくつもあったが、やはりここは原作の媒体ごとに異なる要素が混ざりあった、さらに別の世界なのだろう。

 なんなら原作ではなかったようなことも色々あるし。

 

 ……まあ、今考えることでもないか。

 

 

 

 野菜を購入したところで彼女に声をかけられる。

 

「ご主人様、ブーケガルニを買ってもいいでしょうか?」

「もちろん大丈夫だ」

「ありがとうございます!」

 

 ハーブを扱っている店に入ると彼女は例によってじっくりと選び出す。

 ちょうどいい。歯磨きに使えるミントについて確認してみよう。

 

「すまない」

「はい。なんでしょうか?」

「歯磨きに使うためのハーブなどは取り扱っているだろうか?」

「それでしたらこちらなど、いかがでしょうか?」

 

 そう言うと店員は袋に入れられた物を持ってきた。

 

「レシピを明かすことはできませんが、ペパーミントの粉末と各種材料を混ぜ合わせた当店独自の歯磨き粉となります。ご確認なさいますか?」

「うむ。頼む」

 

 店員は小匙で少しだけ取ると俺の手へ乗せる。

 口元まで持ってくるとミントの香りが鼻腔を刺激した。

 そのまま口の中に入れてみるとフレーバーが口内に広がり、苦みと塩気が感じられる。

 これはおそらく重曹と塩じゃないだろうか?

 この世界風にいうとシェルパウダーとコボルトソルトだな。

 もしそうなら研磨効果が高すぎて毎日使うわけにはいかないだろう。

 それとも手当てでケアすれば大丈夫なのか?

 

 うーん……。三日に一度、朝だけに使用して念のため手当てもかけておくか。

 そして、磨かないときはうがい薬として使おう。口臭予防に役立つはずだ。

 

 ロクサーヌはいくつか選んだハーブを束ねてもらっている。

 それが終わったところで店員に声をかけ、こちらも購入する旨を伝えると小さな袋に歯磨き粉を移し始めた。

 いやいやいや。はかりとか使わなくて大丈夫? そんなアバウトでいいもんなの?

 

 

 

 束ね終えたブーケガルニと歯磨き粉を購入し店を出る。

 まったく量らなかったが本当に大丈夫か? 規定量より少なくて損をしているとかないだろうな?

 

 その場では言えないくせに後になってぐじぐじと気にする。

 我ながら本当に小さい男だわ。

 

「それじゃあ次は牛肉だな」

「はい。お願いします」

 

 

 

 店に入ると先ほどと同じように彼女は真剣な表情で選び始めた。

 

 並んでいる肉を確認すると鑑定に引っかかるものがいくつかある。

 これは魔物のドロップ品なのだろう。迷宮産のものは美味しいという話だし、今日は二人で暮らし始めた記念日だ。せっかくならいい肉にしよう。

 

「ロクサーヌ。新居での初めての食事となるんだ。値段は気にせずいいものを選んでもらえるか?」

「よろしいのですか?」

「もちろん。二人暮らしを始めた記念の日だからな」

「ご主人様! ありがとうございます!」

 

 

 

 それからのロクサーヌはすごかった……。

 

 俺の迂闊な一言が彼女の心に火をつけてしまったようで、迷宮で魔物に対峙しているときと同じような鋭い目で肉を確認し始め、長い時間をかけて様々な部位を確認していた。

 

 いやまあ、少しでも美味しいものを俺に食べてもらいたいというその心は本当にありがたいことだけどさ。

 

 

 

 次に、調味料を買いに行く。

 今日使う分だけではなく、今後使う分も選んでもらおう。

 

 彼女が選んでいるうちに俺は別のものを探してみる。

 

「すまない。ビネガーはあるだろうか?」

「はい。取り扱っております」

 

 おお! よかった。とても重要なものだからな。

 

「匂いが少ない物。もしくは果物の良い匂いがするものが欲しいのだが」

「そうですね……。この辺りはいかがでしょう?」

 

 樽から取り皿へ少量注いだものをいくつか確認させてもらう。

 

 うん。フルーティーな匂いの物もいいが、この一番匂いが少ないやつにするか。

 

 

 

 ロクサーヌが選び終えた調味料とビネガーを購入し外へ出る。

 

「他に必要なものはあるか?」

「いえ。大丈夫です」

「それじゃあ家に戻ろう」

「はい」

 

 路地裏に入り、適当な壁へワープゲートを開く。

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 ワープゲートを潜り抜け自宅に戻るとサンダルに履き替え、皮の靴をラックにしまってキッチンへ移動する。

 ロクサーヌと手分けしながら、買ってきたものをキッチン収納へ片付けた。

 

 

 

 食材をしまい終えると自室となった部屋へ行き、小さな布袋に入っている歯磨き粉を日本から持ってきたフリーザーバッグに詰め替えておく。

 布の袋だと湿気ったりしそうだし、こっちの方がいいだろう。

 使う時のため小さいスプーンも中に入れておきたいが、家にあるやつはすべて鉄製なんだよなぁ。

 明日、木のスプーンを買うことにしよう。

 

 

 詰め替え終わった歯磨き粉をタンスに入れ、キッチンへ移動してロクサーヌに声をかける。

 

「では、俺はクーラタルの迷宮に行ってくるのでロクサーヌは食事の支度を頼む」

「はい! お任せください、ご主人様!」

 

 両手を握りしめてフンスと気合を入れている。

 ロクサーヌの手料理。本当に楽しみだ。

 

 薪を持ってバスルームに行きファイヤーウォールで火をつけて彼女に手渡す。

 

 さて、それじゃあ行くとするか。

 

 

 

 

 

クーラタル

騎士団詰め所

 

 

 

 

 

 町の中心部まで再び戻り、騎士団詰め所から伸びている列の最後尾に並ぶ。

 ……これは結構な待ち時間になりそうだ。

 

 スマホもなしに時間を潰すなんていつ以来だ? なかなかしんどいものがあるぞ。

 

 他の人たちを確認するとパーティーメンバーとブリーフィングや雑談をしていた。

 数少ないソロだと思われる人は手元の紙の束に目をやっている。おそらく迷宮の地図なのだろう。

 

 迷宮地図は入口直前の入場料を払う場所で購入するようになっている。

 列が進むまでは地図を買うこともできないため、暇つぶしの手段が全くない。

 

 いや、今日は探索をしないがこの機会にキャラクター再設定を見直しておくか。

 

 当然だがキャラクター再設定は絶対に外せない。

 それから必要経験値十分の一も貯まっている経験値に対して不利益が生じる可能性があるため、これも動かすことができない。

 現在、MP回復速度二十倍に使っている63ポイントについては、獲得経験値二十倍とデュランダルの運用に使用するためこれも除外。

 

 詠唱省略は魔法攻撃に使用するために動かすわけにはいかないし、鑑定、ワープ、ジョブ設定も必要だよなぁ。

 フィフスジョブは複数のジョブを並行してレベルアップさせるために必須。

 

 ……結局、今腕力上昇に振っている3ポイントしか動かせないか。

 まあ、まだこの世界に来たばかりなんだ。ボーナスポイントのやり繰りが厳しいのは想定内。

 

 この3ポイントを何に振るか……。

 

 キャラクター再設定のボーナススキルの項目をつらつら眺めていると結晶化促進が目に留まった。

 

 ……やっちまった。知らないうちに昨日はもう一個やらかしていたようだ。

 

 これを付けていれば四倍で魔力が貯まってたじゃねーか!

 あー、もー。自分の馬鹿さ加減に呆れてしまう。

 

 

 

 ……いや、大丈夫だ。全然問題ない。気に病むな。

 昨日倒した数なんてたいした数じゃない。ミチオだってロクサーヌがパーティーに入るまでは魔結晶を持っていなかったんだ。平気平気、平気の平左だ。

 

 ……でも、俺は原作知識があったくせに見落としているんだよなぁ。

 

「ふう」

 

 思わずため息が漏れてしまう。

 落ち込んでいてもしょうがない。金額にするとたかだか百ナールくらいのものだろう。

 この失敗でこれからは結晶化促進を意識するようになるはず。いい勉強になったと思っておこう。

 

 今のうちに結晶化促進四倍に付け替えておくか。

 探索中はワープとジョブ設定を外せるだろうから、探索者のレベルがあと二つ上がったら八倍にできるな。

 

 

 

 キャラクター再設定をいじっているうちに少しだけ列が進む。

 うーん……。まだまだ先は長そうだ……。

 

 周りを見回すと多種多様な種族の人が様々な装備品を身に着け迷宮に挑もうとしている。

 改めて見るとこの光景はすごい。ファンタジー感満載でワクワクしてくるな。

 

 よし。鑑定で周りの人の職業やレベル、装備品を確認して時間をつぶそう。

 

 

 

 やはり、エルフはどうしても目についてしまう。なにしろ奴らときたらどいつもこいつも美形ぞろいだ。

 だが、ロクサーヌはそんな美形種族と比べても見劣りしないどころか、俺の主観だが完全に上回っている。

 ふふん。どんなもんよ! うちのロクサーヌは世界一美人で可愛くスタイル抜群の上に性格までいいからな!

 

 

 

 おっ。逆ハーのパーティーがいるぞ。

 

 おそらく人間族であろう魔法使いのお姉ちゃんが、他種族の美形の兄ちゃんたちを侍らせている。

 首輪をしているということは彼らは奴隷なのだろう。

 男たちは明らかに寵を争いギスギスしている様子。

 まさかの『奴隷逆ハーレムを』である。

 

 魔法使いのレベルこそレベル28とそこそこ高いが、他の者たちは全員一桁でジョブも探索者、探索者、獣戦士、戦士、剣士。

 これでやっていけるんだろうか? 他人事ながら心配になるぞ。

 

 それにしても、魔法使いってことは良家のお嬢様で家の金を使って奴隷を集めたってところか。

 

 ……あのお姉ちゃんは色魔を持っていそうだ。

 人間族の面目躍如だな。

 いや、それでいいのか人間族。

 

 しかし、本当に良家のお嬢様だったとしたら貞操とか問題にならないのかね?

 子供ができないからセーフとか?

 

 

 

 うっわ! すげーやつらがいる!

 

聖騎士Lv38

沙門Lv29

百獣王Lv47

魔道士Lv41

冒険者Lv39

探索者Lv74

 

 いやいやいや。ヤバすぎるだろ。

 

 一体どのくらいの階層を探索しているパーティーなんだ?

 めちゃくちゃ気になるわー。

 

 装備品も当たり前のように全員身代わりのミサンガを装備しており、オリハルコン製の武器にひもろぎのスタッフ、防具もスキルがついた品がたくさんある。

 

 おいおいおいおい!

 聖騎士の装備している武器!

 

オリハルコンの剣 両手剣

スキル 空き 空き 空き 空き 空き

 

 すげー武器を持ってんじゃねーか!

 

 あれをどうにかして売ってもらうことはできないだろうか?

 

 確か原作では仲買人達が共謀してオークションで価格操作を行い、バラダム家の放出品である聖槍を最低入札価格の十五万ナールで落札していた。

 しかし、通常のオークションだと最低入札価格の数倍、下手したら十倍以上で落札されると推測できる。

 となると、聖槍の相場は間違いなく五十万ナール以上の可能性が高く、百万ナールを超えてもおかしくはないだろう。

 そして、オリハルコンの剣の攻撃力は聖槍より上ということだし、皇帝や高位貴族が装備している武器なんだ。それより安いということはないだろう。たとえ聖槍に魔法の威力が上がるという付加価値があったとしてもだ。

 

 現在の持ち金、三十八万ナールでは話にならないかぁ。

 

 くっそー。この世界であれの真の性能を引き出せるのは俺だけなのにー!

 

 融合に成功したオリハルコンの剣にさらに融合を試みるやつはそうそういないだろう。

 ましてや、それを四度も繰り返す常軌を逸したギャンブラーがいるとは思えない。

 

 もったいねぇー!

 

 

 

 ん? あのパーティーには探索者がいないな。

 迷宮には、ボスを倒してから次の階層に進んだ後に、ボス部屋へ戻ろうとゲートを潜った場合、入口に飛ばされるという仕様がある。

 それを利用すれば問題ないという判断なんだろうか?

 

 でもなぁ。探索の途中で怪我をしたり、何らかのアクシデントがあった場合はどうするつもりなんだ?下手をすれば全滅するよな?

 それとも、上を目指さず安定して狩れる範囲で活動しているのかね?

 

 

 

 観察しているうちにどんどん列が進み迷宮の入口が見えてきた。

 

 ゲートの横には探索者が立っており、お金を支払えば希望の階層まで移動させてもらえるのだろう。

 おそらく、ダンジョンウォークで行ける最高階層は九十一階層。

 

 もしセーブ&ロードが可能なゲームの世界だったなら間違いなく最高階層へ行っていた。

 なにせこちらには防御力無視とレベル補正無視のスキルがついたデュランダルがあるのだ。

 ロクサーヌに一匹だけの敵を探してもらった上で敵のタゲを取ってもらい、俺がオーバーホエルミングとラッシュの連発で仕留めれば経験値がたんまりもらえるはず。

 

 だが、この世界はゲーム的なシステムはあれど紛れもない現実だ。

 死んでしまえばそれまでで、セーブポイントから再開なんてことは起こらないだろう。

 

 身の丈に合わない挑戦は慎み、今後も安全第一を心がけよう。

 いくら可愛いロクサーヌの頼みでもこれだけは譲るわけにはいかない。

 たとえ彼女がどんどん先に進もうと言っても頑として却下する。

 中身はアラフィフの大人なのだ、その威厳をもって諭せば聞き入れてくれるだろう。おそらく、きっと、そうだといいなぁ……。

 

 

 

 離れているときから聞こえていたが、詰め所の近くまで来ると地図の販売をしている大きな声が響いている。

 

「迷宮攻略地図はいかがですかー。階層ごとの地図は一枚二十ナール。全階層冊子は一冊千ナールと大変お買い得になっていまーす。また、羊皮紙製の特別版は二万ナールでーす」

 

 テーブルに置かれている地図を確認すると、バラ売りのものとそれを束ねた冊子はボロボロの紙が使われており、すぐにでも破れそうなほど粗末な作りだ。

 そこそこの階層を攻略するころには使えなくなっているんじゃないのか?

 かといって二万ナール出して羊皮紙製を買うかといわれるとなぁ。

 

 いずれは上層で戦うつもりなんだ。全階層分を買っておくべきなのは間違いない。

 

 うーん。ちょっとカルクで計算してみるか。

 

 ジョブ設定から僧侶と商人を入れ替え確認だ。

 全階層地図は九十階層分だから通常版の千ナールだと一階層あたりだいたい十一ナールくらい。

 羊皮紙版の二万ナールだと一階層あたりだいたい二百二十二ナール。

 差額が二百十一ナールか。

 

 あっ! もしかして今が日本から持ってきたコピー用紙を使う時か?

 地図とコピー用紙をガラス窓に押し付けて線をなぞれば簡単に写し取れる。

 クーラタルの迷宮が攻略されない限り、ずっと価値があるのだから使ったところできっと後悔しないだろう。

 

 ……いや、待てよ。

 差額は二百十一ナールなんだよな?

 コピー用紙をこの世界で再現しようとすると順調に技術の進歩があったとしても数百年後になるだろう。

 二百十一ナールぽっちでは絶対手に入れることはできない。

 やはりコピー用紙を使うのはなしだ。

 

 ……でもなぁ。二万ナールはいくら何でも高すぎる。

 三割引を使わない価格で考えると三十冊でロクサーヌと同じ額だ。セリーは十二冊半で、ミリアが二十冊、ベスタだと三十二冊か。

 こう考えるといかに高いかがわかるというものだ。

 

 

 

 うん。そうだな。通常版を買っておこう。

 破れたらその都度階層別のものを買い足してもいいし、買い替えるのもありだ。

 まさか二十回も買い替えることはないだろう。

 

 

 

 前のパーティーが入場料を支払い詰め所を出て行った。

 ようやく俺の番か。長かったなぁ。

 

「一人分で頼む。あとこの冊子も一つ貰えるか」

 

 銀貨十一枚を差し出すと騎士はもたもたと計算をして銀貨をしまい、入場券らしき茶色の紙を差し出してきた。

 

 おっと。戦闘はないだろうが入る前に商人と僧侶を入れ替えておこう。

 入場券を受け取り、ジョブの入れ替えも終えた。

 よし。これで準備オッケー。それじゃあ行くか。

 

 

 

 

 

クーラタルの迷宮

一階層

 

 

 

 

 

 ゲートを抜けたその先はうんざりするほど人であふれていた。

 これはもう完全にどこかのテーマパークだ。

 ここにポップするコボルトは罰ゲーム状態だな。魔物だとしても同情してしまうわ。

 

 さて、今日は他にもやることがたくさんある。長居は無用だ。人のいないところを探してとっとと退散しよう。

 

 

 

 ある程度人から離れ、小部屋の壁にワープゲートを開き一気に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

探索者Lv21 英雄Lv18 魔法使いLv21 戦士Lv18 僧侶Lv15

装備 シミター 皮の帽子 皮の鎧 皮のグローブ 皮の靴

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

フィフスジョブ:15

鑑定:1

必要経験値十分の一:31

詠唱省略:3

ワープ:1

ジョブ設定:1

MP回復速度二十倍:63

結晶化促進四倍:3

 

所持金:386,357ナール

 

春の4日目

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