伯爵であるコンラートに続き、公爵夫妻と俺が部屋に入ったところで重々しい音を立てて扉が閉ざされる。
どうやら関係者であるフィーネとリディアであっても立ち入りは制限されるようだ。
コンラートは壁際へ近づくと、明かりがぼんやり漏れているカーテンを開け放つ。
その瞬間、薄暗かった部屋を陽の光が照らし出した。
周囲を見渡したところ、まさに宝物庫と呼ぶにふさわしい光景が目に飛び込んでくる。
装備品だけではなく、今にも動き出しそうなほど躍動感にあふれた裸の女性がかたどられた石像や、等身大の木の人形に着せられている高級そうな服、どんな意図があるのか分からない幾何学模様のオブジェ。
何かの動物の牙か角で作ったと思われる台座には手触りの良さそうなビロードっぽい布がかけられており、その上には大粒の宝石たちが整然と並ぶ。
壁には絵画だけではなく、光り輝く金糸や銀糸を織り込んだタペストリーが見る者の目を試しているかのようだった。
すげぇ……。ガチもんの宝物庫だよ……。ここにあるものの総額は、いくらぐらいになるんだろう……。
あまりの光景に放心していたところ、口元をニヤリと歪めたハルツ公が話しかけてくる。
「美術品に目を奪われているようであるが、その方が選ぶのは装備品だ。その調子ではハズレを掴むやもしれぬぞ。気合を入れ直すがよい」
「私たちは口を挟みませんので、お気の済むまで吟味してください」
「ふふ。きっとアユム様であれば、間違いのない選択をなさるに違いありません」
コンラートとカシアも微笑みながらこちらを見つめていた。
この人たち、にこやかな顔をしながら、かなりのプレッシャーをかけてくるじゃないのさ。
だが俺も『装備品の値を決める男』と謳われた鑑定眼の持ち主。あなたたちの思惑通りにはいかんぞ。
「ありがとうございます。それでは装備品の確認をさせていただきます」
彼らに頭を下げてから、もう一度周囲を見回した。
とは言っても、最初に見るものは決まっている。
装備品なのかは判然としないが、ドレスを着せられているマネキンの中でも一際異彩を放っている一体。
どうしてもそちらに目が引き寄せられてしまう。
黒光りするレザーが束ねられた鞭に、まるで仮面舞踏会の参加者のように怪しく顔を隠しているマスク。幅広のチョーカーは首回りを覆い隠している。
肘まで覆う艶やかなダークネイビーのグローブに、我が家の物置にも二つあるハイヒールブーツ。
そして圧巻なのが、胸元が大きく開き、ウエストがキュッとくびれているボンテージドレス。
腰回りは黒くてふわふわのシフォン生地で覆われてはいるものの、スケスケなせいでハイレグ部分が丸見えだ。
女王様じゃん! 完全に女王様じゃん!
……いや、だって、こんなものを見せられたら確認せざるを得ない。アユムは男の子なんですもの。
内心で言い訳をしながら鑑定をかけてみた。
クイーンズウィップ 鞭
スキル 空き 空き 空き 空き 空き
マスカレイドマスク 頭装備
スキル 空き 空き 空き
エナメルのボンテージドレス 胴装備
スキル 空き 空き 空き 空き 空き
エナメルのロンググローブ 腕装備
スキル 空き 空き
エナメルのハイヒールブーツ 足装備
スキル 空き
チョーカー アクセサリー
スキル 空き 空き 空き 空き
その結果、脳内にとんでもない情報が映し出される。
「エッグッ! いやいやいやいや。マジか!? これマジか!? ヤバいだろ!?」
思わず大声を発したところ、深いため息が耳に届く。
聞こえてきた方へ目を遣ったところ、半眼でこちらを見つめる公爵夫人の姿が……。
「アユム様? まさかそれをルティナに装備させようなどとおっしゃるのではありませんよね? 真面目な方だとばかり思っていましたが、人間族らしく好色な部分もお持ちなのですね?」
誤解です……。今のはそういう意味ではなく、スロットの数に驚いただけなんです。
あと、俺や人間族のことをエロガッパみたいに言ってますけど、これはエルフの、加えてあなたの実家である、セルマー伯爵家の居城に置いてあるんですが……。
でも、高貴な身分の美人人妻に言葉責めをされるのって、なんかちょっとくるものがあるよね。俺は決してMではないが、ほんの少しだけあるM心がくすぐられてゾクゾクしてしまったぞ。
だが、この田川歩。言われっぱなしは性に合わぬ。
抑えきれない高揚感を覚えつつ、天女のような女性に舌鋒を振るう。
「そのようなつもりは毛頭ございません。私の故郷ではこのような性的に倒錯した装備品はセクハラ装備と呼ばれ、奇異の目で見られると共に忌避されておりました。まさかそのようなものが完全に揃った形で、しかも伯爵家の家宝として宝物庫に鎮座しているとは思わず、つい声を上げてしまったのです」
ドラクエ界隈ではそう言われてたんだ。嘘は吐いていない。
カシアよ。セクハラ装備が置いておるのはそちの実家じゃぞ? どちらの方が好色じゃ? ん? その愛い唇で申してみよ。ほれ、ほれ。
「そ、そうだったのですね……」
彼女は頬を朱に染め、うつむきながら呟きを漏らした。
あー。可愛いんじゃー。羞恥の表情がたまらないんじゃー。
高貴な身分の美人人妻に言葉責めをするのって、なんかちょっとくるものがあるよね。俺は決してSではないが、ほんの少しだけあるS心がくすぐられてゾクゾクしてしまったぞ。
「アユム殿、それにするのか?」
公爵夫人の恥ずかしそうな表情を堪能していると、呆れた様子でその夫が声をかけてきた。
彼だけでなく、その隣で伯爵閣下も苦笑を浮かべている。
おっと。いかんいかん。興味は惹かれるものの、この状況で選ぶようなものじゃない。
それに今回選べるのは一つだけ。セットだからこそ趣深いというのに、一つだけもらったところでなぁ。
「いいえ。確認を続けさせていただきます」
そう言いつつ、もう一度セクハラ装備に視線を送る。
クイーンズウィップ 鞭
スキル 空き 空き 空き 空き 空き
それにしても、鞭なんて武器種があるのか。
もっとも、スロットが五つ付いてはいるものの、俺たちのパーティーには鞭を扱える者がいないため、今後も求めることはない。
まあ、一・五倍の攻撃を二回放つことが可能な双竜打ちというスキルでもあれば、全員鞭に持ち替えることを検討するが、そんなことはないだろう。
ドラクエ8では主人公、ヤンガス、ククールといった男性陣を差し置いて、魔法職であるゼシカが物理攻撃で無双する姿に衝撃を受けたもんだ。
それが、3DS版ではナーフされててがっかりしたよなぁ。
益体のないことを考えながら再び部屋を見回したところ、台座に据えられた剣が目に留まる。
抜き身のまま立て掛けられており、傍らには鞘も添えられている。その剣身は濃いメタリックブルーに輝き、尋常ではない気配を放っていた。
雰囲気強いなぁ。とりあえず鑑定っと。
いかりのアダマンタイト剣 両手剣
スキル 攻撃力五倍 詠唱封印 断星剣
おお! なんかスゲー!
命名規則に沿っているということはユニーク装備ではないが、おそらく固定で出したものに違いない。
攻撃力五倍と詠唱封印、それに断星剣なんてスキルが付いており、かなりのレアものだ。
それにしても、断星剣ってのはどんなスキルなんだろう? 名称的に火炎剣とか水流剣のように、属性攻撃系だと思うが、断星ねぇ……。
うーん……。土属性だろうか? 星を断つとは何ともスケールのデカいスキル名である。
もっとも、普段使いしているボーナス呪文はガンマ線バーストという、さらにヤバい名称なんだけどさ。
ただ、強力そうではあるものの、デュランダルやアスカロンに比べれば遥かに劣る。
俺のメインウエポンはユニーク武器かつスキルが六つ。
対して、こちらは通常武器でスキルが三つ。
まあ、ないわな。次だ、次。
気持ちを切り替えて、物色に戻る。
宝物庫というだけあり、素のままの装備品はほとんどなく、例外であるセクハラ装備を除けば確認したもの全てにスキルが付与されていた。
中には見たことも聞いたこともないスキル名を持つものもあり、固定で出現したボーナス装備が混ざっているのは確実だ。
しかし、やはりどれも決め手に欠けるため、スルー安定。
エルフの高位貴族たちに見守られながら、ベテラン刑事が家宅捜索をしているかのように装備品を漁っていると、いくつもの長物が無造作に押し込まれた箱が目に入る。
ふむ。良いものはなさそうだが、一応こいつも確認しておくか。
一つ一つ、選り分けながら鑑定をかけていく。
封印のオリハルコン槍、詠唱封印。叡智のセプター、知力五倍。怒涛の聖樹スティック、ダメージ累増。雷鳴の聖槍、魔法攻撃力五倍。
……ん? 魔法攻撃力五倍!? マジか!?
慌てて、もう一度その槍に鑑定をかける。
雷鳴の聖槍 槍
スキル 魔法攻撃力五倍 レベル補正無視 対人強化
うわぁ。この聖槍ヤベーぞ……。
魔法攻撃力五倍もさることながら、ボーナス装備にしか発現しないと思われる、レベル補正無視と対人強化が付いてる。
きっと誰かが固定でゲットしたものをオークションに出品し、それをセルマー伯爵家が落札したに違いない。
杖じゃなくて槍ってところが引っかかるものの、聖槍は魔法の威力を高める効果があるって話だし、ユニーク装備の質次第ではこいつが候補になるだろう。
んじゃ、キープってことで。
雷鳴の聖槍を箱から引き抜くと、公爵と伯爵の表情がピクリと動いた。
今の反応を見るに、この人たち、あらかじめ装備品を確認して場所を変えてやがったな?
だって固定で出したと思しき高性能武器を、他とまとめて無造作に置くわけがないもん。
……まあいいさ。俺のやることは変わらない。
そうなると俄然この箱に入っている武器が気になってきた。
事によると他にも掘り出し物があるかもしれない。
ドラゴンプライスを見つけ出して純金のメダルをゲットしてやるぜ!
気合を入れ直し、選り分けを再開する。
お宝ハンティングを続け、ついにあたりを探し当てた。
箱の一番奥に隠すように入れられていた、先が二叉に分かれている槍。
バイデント 槍
スキル 攻撃力五倍 防御力無視 HP吸収 詠唱中断 海嘯剣
キターーー!!! ユニーク装備キター!
バイデントってあれだろ! 冥王ハーデスのあれだろ! すごいのキター!
その槍を抱えたまま踊り出しそうになるのを堪え、平静を装いつつそれをキープの場所に置く。
二人の領主は無表情を貫きながら、俺の行動を見守っていた。
……無表情な時点で、動揺しているのが丸分かりなんだよなぁ。
まあ、遠慮しないように言われているし、仮に言われていなかったところで遠慮する気なんかない。
性能も申し分ないし、候補としてキープしていた雷鳴の聖槍は落選だな。
厳正な選考の結果、誠に残念ながら今回はご期待に添えない結果となりました。
大変申し訳ございませんが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
雷鳴の聖槍様のこれからのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
テンプレメールのようなことを考えつつ、それを元の場所へと戻した。
さあ、まだまだ物色を続けるぜー。
逸る心に急かされながら確認を続けていると、氷のような静謐さを湛えた水色の表面に、黄金の縁やレリーフがあしらわれている盾を発見した。
こいつも他の盾と共に箱へ紛れ込ませてある。ということは……。
スヴェル 盾
スキル 火抵抗 物理ダメージ半減 魔法ダメージ半減 防壁展開 障壁展開 不壊
キター! ユニーク装備! しかもスキルが六つ! スキルが六つ!
「よっしゃー!」
叫び声を上げながら、思わずそれを頭上に掲げてしまう。
脳内では重要アイテムを入手したときのBGMが高らかに鳴り響いているかのようだった。
「……まことその方は底が知れん」
正真正銘のお宝を発見し、テンションが天元を突破していたところ、ハルツ公の声が耳に届く。
そちらに視線を向けたところ、苦笑を浮かべている公爵と伯爵の姿が目に映った。
一方、カシアは戸惑ったような顔で公爵を見つめている。
どうやら彼女はどれがレアものなのかは知らされていないらしい。
俺には鑑定という、圧倒的なボーナススキルがついていますので。
内心でそんなことを呟きながら、曖昧な笑みでやり過ごして確認作業に戻る。
目につく限りの装備品を確認したところ、候補として残ったのは二つ。
言うまでもなくバイデントとスヴェルだ。
天井裏や床下、それに隠し収納があった場合はユニーク装備を見落としていることも考えられるが、彼らの反応を見る限りその可能性は低いだろう。
もしそうだったとしても、そこまでして隠すような装備品をかっぱげば、高位貴族であるハルツ公爵家やセルマー伯爵家との間に不和が生じる。
それに、ロクサーヌがいればその鼻で容易く確認できるのだろうが、俺にはその手段がない。
今回はこの二つのどちらかを選ぶことにしよう。
二者択一か……。
ゲームでもよくあるが、俺はどちらかを選べばもう片方は絶対に手に入らないという展開が嫌いなんだよなぁ。
スパロボでいえばルート選択によって仲間になるキャラや機体が変わるとか、生き残るキャラを選ぶみたいな要素や、ドラクエ5で言えば結婚相手の選択。
FFだとガントレットと源氏の小手。モグの加入か、金の髪飾りか。魔石ラグナロックか、剣のラグナロクか。ラグナロクをライトブリンガーに変えるか否か。他にもオーディンのままにするか、ライディーンに変更するか。……全部6じゃねーか。
えっと、他にも5でブレイブブレイドかチキンナイフかってのもあるな。
……それだとチキンナイフ一択じゃん。
いやいや。馬鹿なことを考えている場合じゃない。もっと真剣にならないと。
ぶっちゃけ、この二つを両方とも手に入れる方法自体は存在している。
それどころか、ここにあるすべての装備品を入手することすら不可能ではない。
そう。俺にはどんな場所にでも移動可能なワープというボーナス呪文がある。
これさえ使えばいとも容易く、高性能な装備品が大量に手に入るだろう。
しかし、それはあらゆる意味でリスクが高い。
ここに入ることができた人は数えるほどしかいないはずだ。
そして、エルフ以外の種族かつ、貴族以外で入ったことがあるのは俺だけに違いない。
となれば、盗難が発覚すれば容疑者となるのは誰か?
……俺以外いないだろう。
無実を訴え、決闘で容疑を晴らしたとて、彼らとの関係は永遠に失われる。
何もかも捨てて他国へ逃亡したとしても、実家の宝物庫を荒らしているのだ。ルティナは絶対についてこない。
また、精神的な部分でも問題が大きすぎる。
もし仮にこれを実行した場合、悪事に対してのハードルが著しく下がるに違いない。
これくらいはいいだろうと、簡単に他人の家に入り込み、盗みを働くようになるはずだ。
そんな男にロクサーヌたちがついてくるだろうか? とてもそうは思えない。
これがRPGの勇者であれば、衛兵の目の前で扉を開けて宝箱からお宝を回収し、その場を立ち去ることもできるのだろうが、現実では到底実行不可能。
どうやら勇者のジョブを所持してはいるものの、俺の心根は勇者ではなかったらしい。
そう考えると、やはり三割アップや三割引を使うのもここまでにしておいた方がいいな。
あれは取引相手の思考を誘導しているため、本質的には説得や交渉で値切っているのと大差ないと言えないこともない可能性を否定する者がいた場合、それに対する反証を提示できるかと問われれば、いささかも揺るがない論拠を提示する用意がないわけではないと答えるのもやぶさかではない。
……しかし、どれだけ言い訳しようと、あのスキルは取引相手の儲けを不当に削っている。
もう遅いかもしれないが、これに慣れれば徐々に悪事に手を染めるようになっていくだろう。
やはり今後は使わないようにしよう。
……さて。自重や自戒はここまでだ。
公爵夫妻と伯爵に見守られながら思索を再開する。
バイデントとスヴェル、どちらを選ぶべきか……。
キープしていた槍を手に取り、鑑定をかける。
バイデント 槍
スキル 攻撃力五倍 防御力無視 HP吸収 詠唱中断 海嘯剣
攻撃力五倍と防御力無視で圧倒的なダメージを叩き出し、詠唱中断でサポートも可能。そして攻撃を食らってもHP吸収で回復することもできる。
おまけに海嘯剣ってのは、水属性のスキル攻撃が可能となるのだろう。
入手すればセリーの一生モノの武器となるに違いない。
それを置き、今度は盾を手に取った。
スヴェル 盾
スキル 火抵抗 物理ダメージ半減 魔法ダメージ半減 防壁展開 障壁展開 不壊
物理ダメージ半減に魔法ダメージ半減という圧倒的な防御性能に加え、火属性に対する耐性も備えている。
そして、防壁展開と障壁展開は意識を傾けると頭に呪文が浮かび上がるため、アクティブスキルであることがうかがえた。
どんなスキルなのかは判然としないが、スキルが六つのユニーク装備に付いているのだ。有用なものであることは疑いようがない。
さらに不壊まで付いていて、壊れる心配が要らないのもありがたい。
スキルの数を比べるのであれば、百パーこちらに軍配が上がる。
他にもバイデントには魔法攻撃力増加の効果が付いているのか分からないため、普通に考えると使用者はセリーのみ。強いて言えばベスタも使えるかも、といった具合だ。
対して、盾であればロクサーヌとミリアが。また武器と盾のスタイルにすればベスタも扱える。そして杖を持った場合は俺とルティナも装備可能。
もちろん、この二つに合わせて武器種を変更することもできるのだろうが、適性や習熟度の問題が発生するためそれは却下だ。
だが、俺はRPGでは防具より武器を優先して購入する男。
これだけの武器をスルーするのは何とも惜しい。
うーん……。どうしたものか……。
悩みに悩み、後ろ髪を引かれながらも結論に至る。
……一人だけが扱える高性能な武器と、五人が扱える高性能な盾。汎用性の差は歴然だ。
セリーには申し訳ないが、ここはやはりスヴェルを選ぶべきだろう。
……でもやっぱりもったいないよなぁ。
金銭での買取を持ちかけようにも、現在の俺の所持金は五百万ナール。
先日手放した、スキルが五つの貫通のオリハルコン剣。
ルークたちがオークションに出品する予定になっているが、その推定落札価格は最低でも二千万ナール。
それがユニーク装備ともなれば何をか言わんや。五百万ナールではまったくお話にならない。
くそー。装備品は使用することではじめて、その価値を発揮するんじゃないか。ここに置いているだけではただのオブジェじゃんよー。
それなら俺たちが迷宮で活用した方が有益なのにー!
両方を入手できないことに対して見当違いの憤りを覚えつつ、バイデントを元の位置に戻した。
そして、スヴェルを手に取り三人に告げる。
「報酬はこの盾でお願いします」
すると、ハルツ公とコンラートが大きく息を吐き出した。
「まさか固有名称を持つ装備品を二つとも選び取るとは思いませんでした」
コンラートがそう漏らすと、公爵もそれに続く。
「然り。それらを見つけ出す前は雷鳴の聖槍も候補に入れておったな。その方の目にはいったい何が映っておるのだ? まったく。信じられぬ眼力よ」
ふっ。勝負は目利き。鑑定を持たぬ者には分かるまい。
「装備品を見る目にかけては、少々自信がございますので」
それを聞いた三人の表情が緩む。
「であるか。余らはアユム殿にしてやられたようであるな」
してやられたって、俺は何もしてまへんがな。
内心で反論していると、カシアが微笑みながらこちらを見つめた。
「まさかアユム様がこのような能力までお持ちだとは思いませんでした」
公爵夫妻の言葉に頷き、セルマー伯爵閣下が口を開く。
「ハルツ公爵より、アユム殿は固有名称を持つ装備品であっても迷宮で使用すると聞き及んでおります。その盾はスキルが五つ付いた、固有名称を持つ装備品であるスヴェル。きっと迷宮攻略のお役に立つことでしょう。どうぞ、お納めください」
さすが伯爵閣下。惜しくなって、『やっぱなし』みたいなことは言わないらしい。
それにしても五つ、ね。不壊は確かめようがないため、そうなるわな。
盾を抱えたまま、頭を下げる。
「ありがとうございます。お言葉通り、迷宮攻略に活用させていただきます」
俺の宣言に三人は満足そうに頷いていた。
よっしゃ! ユニーク装備ゲットだぜ!
田川 歩 男 18歳
冒険者Lv62 勇者Lv57 遊び人Lv68 魔道士Lv62 防具商人Lv46 神官Lv49
装備 スヴェル オラクルビットローファー 身代わりのミサンガ
ロクサーヌ ♀ 16歳
巫女Lv39
装備 サンダル 身代わりのミサンガ
セリー ♀ 16歳
鍛冶師Lv37
装備 サンダル 身代わりのミサンガ
ミリア ♀ 15歳
探索者Lv35
装備 サンダル 身代わりのミサンガ
ベスタ ♀ 15歳
竜騎士Lv32
装備 サンダル 身代わりのミサンガ
ルティナ ♀ 15歳
魔法使いLv21
装備 サンダル
BP振分 残BP:25
キャラクター再設定:1
必要経験値二十分の一:63
シックススジョブ:31
鑑定:1
ワープ:1
MP回復速度十倍:31
パーティー項目解除:1
パーティージョブ設定:3
詠唱省略:3
所持金:5,143,119ナール
夏の18日目