ロクサーヌとセリーが作った美味しい夕食をいただき、歯磨きと洗い物を終えたところで、待ちに待った時間が訪れた。
「じゃ、じゃあ、着替えを用意してお風呂に入ろうか」
あまりのワクワクで声が上ずってしまう。
いよいよ全員揃ってのお風呂なのだ。はだかんぼ祭りなのだ。興奮が止まらないのだ。こうなるのも当然なのだ。
思わずバカボンのパパみたいなことを考えてしまった。
あ、いや、そっちよりずんだもんの方が近いかもしれない。
どうでもいいことを考えていると、ロクサーヌの顔にいたずらっぽい笑みが浮かぶ。
「私たちはルティナに色々教えながら用意を行いますので、ご主人様は先にお風呂場でお待ちいただけますか?」
「え? あ、はい」
反射的に返事をすると、彼女たちは笑い合いながら、まるで花畑で戯れていた蝶の群れが飛び立つかのようにキッチンを出て行った。
あの、二階の途中までは同じルートなんだから、ご主人様も仲間に入れてほしいでござるよ……。
……まあいいさ。この後は地上に顕現した楽園に誘われることになる。この焦らしもスパイスというものだ。
自分にそう言い聞かせたものの、それでも興奮が収まらないため、無意味にシャドーボクシングをしながら自室へ向かい歩き出す。
バスルームの前に設置してあるかごに用意してきた着替えとタオルを入れ、そのまま中へ入る。
むわっとした湿気を感じつつバスタブへ近づき、お湯の中に手を入れてみた。
少し温いな。夕食だけじゃなく、明日の仕込みもあったから、いつもより長くかかってたもんな。んじゃ、追い焚きっと。
魔法でサクッと沸かし直し、温度を確認してみるとちょうどいい湯加減になっている。
これについては現代日本のテクノロジーを凌駕してんなぁ。
そんなことを考えながらも、手持ち無沙汰から今用意する必要のないスツールを並べているとまずいことに気が付いた。
あっ。ルティナのスツールがない。
まいったなぁ。鍵付きチェストを買いに家具屋へ行ったんだから、そのとき一緒に購入しておけばよかった。
俺もそうだが、他の娘たちも色々なことがあったせいで考えが回らなかったのだろう。
しゃーない。彼女の分は明日だな。
スツールを並べ終えると今度はさらに重要なブツを置く。
そう。極上の泡々ソーププレイを堪能するための必須アイテム。言わずと知れた、すのこである。
いずれエアーマットを手に入れたいところであるが、あれってどんな素材で作られてたんだろう? 塩ビとかかね?
石油由来の製品がなくても、他のもので代替可能なんだろうか?
もし作れるんなら、色々なものに応用できそうだよな。いやー、夢が膨らむわぁ。
もしかしたら、これは俺が将来を賭して取り組む、ライフワークとなるのかもしれない。
空気の漏れない素材についてあれこれと考えていると、賑やかで華やかで艶やかで健やかな声が耳に届いた。……健やかは違うな。
いや、違わないけどこの状況では相応しくない気がする。
そして、バスルームの扉が開く。
「ご主人様、お待たせいたしました」
「大丈夫。全然待ってないよ」
待ってたけどね。一日千秋の思いで待ちわびてたけどね。
しかし、できる男は焦りを表に出さないもの。笑顔を意識しながら答えておいた。
そう。俺はブランニュー田川。聞き分けのない坊やのようだった、昔の自分とは違うのだ。
でも、それはそれとして……。
「じゃあ、順番に脱いでいこうか。ロクサーヌ、俺の前に」
「かしこまりました」
だって、もう一秒も我慢できないんだもの。
いつものようにロクサーヌ、セリー、ミリア、ベスタと脱がせていくが、今日も彼女たちの美しさに見惚れてしまった。
美人は三日で慣れるという言葉、あれは絶対嘘だな。だって、まったく慣れないもん。
毎日、このルーティーンを行うたびに心臓は早鐘のように打ち鳴らされ、頭の芯がしびれるような感覚に陥っている。
いわゆる、ソースは俺というやつだ。
ベスタを脱がし終え、その巨大な物体に心を奪われていると、頬を朱に染めたルティナが恥じらいながら近づいてくる。
「……お願いいたします」
一つに結ばれていた髪は既にほどかれており、先ほどまで活動的なお嬢様から、初めて会ったときと同じ深窓の令嬢といった雰囲気に戻っていた。
服はそのまま動きやすいものを着ているというのに、髪型一つでここまで印象が変わるのは結構すごい。
「うん。脱がすね」
期待で震えそうになる両手にグッと力を入れ、それを抑え込みながら彼女の方へゆっくりと伸ばす。
アウター、ズボン、インナーシャツ。一枚脱がせるたびに、それをロクサーヌへと手渡していく。
その動作を繰り返しているうちにルティナの呼吸音がドンドン大きくなっていくため、緊張が高まっていることがうかがえた。
おいおい。コルセットで締め付けているわけじゃないのに、このままじゃヴィクトリア朝のご令嬢みたいに気絶するんじゃないか?
今すぐルティナの胸を直接拝みたいところではあるが、こんなに緊張している娘に無理強いするわけにはいかない。
両手をブラジャーではなくその上へ伸ばし、彼女の頬にそっと添えた。
「無理に脱がすつもりはないから心配しないで。嫌なら嫌と言っていいからね」
血涙が流れそうなほど口惜しいが、俺は可哀想なのは抜けない党のイチャラブ派に所属している。この娘の気持ちが一番大切だ。
その言葉を聞いたルティナは目をしばたかせ、それからふわりと柔らかな笑みを浮かべる。
「ふふ。アユム様はセルマー伯爵家の部屋で申した、わたくしの言葉をお忘れですか?」
「うん? ルティナの言葉?」
思い至っていない俺を見て、彼女の笑みが濃くなった。
「わたくしの決意を込めた言葉でしたのに、お忘れになるなんて酷いお方です」
そう言うと彼女も手を伸ばし、同じように俺の頬に添える。
「わたくしはアユム様をお慕いしております。肌をお見せすることが恥ずかしくはあっても、厭うことなどございません」
そしてそのまま顔を近づけ、唇をそっと重ねた。
キス!? ルティナにキスされた!?
うわっ! 柔らか! 柔らかくて滑らかだ!
あっ! これって、舌を入れた方がいいのか!?
そうだよな。彼女に恥をかかせるわけにはいかない。こちらも求めに応じるべきだろう。
決意を固めた瞬間に柔らかな感触が離れていく。
まるで体の半分を失ったかのような喪失感に苛まれていると、ルティナがいたずらっぽく微笑んだ。
「お分かりになりましたか?」
はい! アンダスタンドでございます! だからもっとチューしてもいいでしょうか!
思わずそう言いそうになるのを堪え、こちらも笑みを返す。
「ルティナ、ありがとう」
「ふふ。わたくしはアユム様のことを、誰よりも信用しているのです。その気持ちを見くびっていただいては困ります」
「そうだね。俺も君のことを信用しないといけないね」
「ええ。そうなさってくださいませ」
二人で笑い合っていると、咳払いが耳に届く。
「ルティナ、ご主人様との口づけには順番があるのです。抜け駆けをしてはいけません」
ロクサーヌの言葉に他の三人も大きく頷いた。
いや、でも、朝食前に俺の部屋でロクサーヌさんからキスをされたような気がするんですけど……。
一番奴隷だからなのか、どうやら自分についてはノーカンらしい。
「あら? そうだったのですか? それは申し訳ございませんでした」
ルティナはそう言うと、ぺこりと頭を下げる。
別にそんな気はないんだろうけど、ちょっと煽っているように見えるぞ。
ロクサーヌとセリーが少しだけピリッとしたじゃないのさ。
しかし、その空気を和ませるような、明るく元気な声がバスルームに響き渡る。
「じゃあ、じゃあ、公平を期すために全員キスしないとね。さあ、ベスタ」
ミリアに促されたベスタは、おずおずとこちらへ近づいてきた。
「よろしくお願いします」
そして、キスをしやすいように腰を曲げる。
なんかすごい展開になってるぞ。
でも、俺とのキスを望んでもらえるなんて、こんな幸せなことがあるだろうか。
ルティナの頬から手を離し、今度はベスタの頬に手を添えながら顔を近づけるために踵を持ち上げていく。
ベスタ、ミリア、セリー、ロクサーヌと、立て続けにキスを交わしたところで、再びルティナが俺の前にくるが、その顔にはワクワクしているような表情が浮かんでいる。
「アユム様。わたくしにも姉様たちとなさっていたような唇の重ね方をお願いいたします」
どうやら舌を絡めていたのを見て、自分もやってみたくなったようだ。
なんというか、実に健気で愛らしい。
「もちろ――」
「お待ちください」
もちろんこちらとてやぶさかではないため、喜んで応じようとしたところで、セリーからちょっと待ったコールが入った。
「今そんなことをすると、再び全員と口づけを交わすことになります。先にお風呂を済ませましょう」
そして、ミリアも頷きながら同意を示す。
「寝所では何度も唇を重ねることになるんだから、そのときにやってもらえるよ」
彼女たちの言葉にロクサーヌとベスタも頷いていた。
それを受け、ルティナの顔にも納得の色が浮かんだ。
「分かりました。それでは口づけは寝所でしていただくことにいたします。アユム様、それでは改めて肌着を脱がせていただけますか?」
この場でキスをすることができないのは残念だが、彼女の裸身を拝むことができるということで、体の一部がホット、ホットである。
……いや。四人の裸を見ているせいで、さっきからずっと臨戦態勢は整っているわけなのだが。
「それじゃあ、脱がせるね」
胸を覆っている布へと手を伸ばし、ルティナに万歳をしてもらいながら上にあげようとしたところでふと気づく。
そういや、スポブラタイプはいつもこういう脱がせ方をしてるけど、これって合ってるのかね?
昔テレビで見たブラトップだか何だかのCMでは、ズボンを履くように下から上げていき、胸にフィットさせていた。
もしかしたら、これは間違っているのかもしれない。
考案者ということになっている俺が理解していないため、今は正しい着脱方法というものがないわけだが、いずれ身に着ける女性や販売している店から正しい方法が考案されることだろう。
どうでもいいことを考えつつ、ルティナの体からブラをするりと外す。
その瞬間、あまりの美しさに息を呑んだ。
ロクサーヌ、セリー、ミリアの肌も白くて美しいが、エルフの種族的な特徴なのか彼女のそれはレベルが違う。
透けるような純白の肌に、華奢な体躯。しかしそれに反した大きさを誇る乳房。
そこには色素の薄いピンクの乳輪が添えられており、その中心では小さくて愛らしい果実が自己の存在を主張している。
すごい……。信じられないような美しさだ……。
圧倒されてしまっているものの、ずっとガン見し続けるわけにはいかない。
彼女の前にしゃがみ込み、今度はショーツに手を伸ばす。
そして、ショーツが移動したことで現れた光景を目にしたことで、思わず手が止まってしまった。
キュッとくびれた腰から伸びる長い脚。その脚の付け根で息づく金色の茂み。
毛量が少なく、範囲も狭い。ひっそりと秘密の花園の入口を淡く彩っているだけだ。
そして花園へと続く門には一切の色素沈着がなく、ぴったりと固く閉ざされていた。
綺麗だ……。めちゃくちゃ綺麗だ……。
我を忘れて見惚れていると、恥じらいのこもった声が耳に届く。
「アユム様……。そこを凝視されるのは……」
あっ。脱がせている途中でガン見するのはいかんよな。
「ごめんね」
一言謝り、そのままショーツを脱がせていく。
その際に左右の足を上げてもらったのだが、それでも秘密の花園から何かが飛び出してくるということはなかった。
他の四人もそうだが、実に素晴らしい。
全員を脱がし終わったところで、今度は俺の服を脱がせてもらう。
いつものように落ち着いた手つきで脱がせていく四人とは異なり、ルティナは恥じらいつつも興味津々といったご様子だ。
上半身を覆うものがなくなったところで、彼女はこちらを見つめながら声を漏らす。
「アユム様がこれほどたくましいお体をされていたとは想像しておりませんでした……。男性らしくて素敵です……」
でしょ! めっちゃトレーニングを頑張ったんだぜ! ほらほら、努力の成果を見て見て!
あまりにも嬉しい言葉に思わず前傾姿勢になり、両手を前に出しながら曲げて上半身に力をこめた。
「モストマスキュラー!」
それを見たルティナは目を丸くする。
「まあ。大きく膨らみました」
「でしょでしょ、気になるんだったら触ってもいいよ」
「よろしいのですか?」
「もちろん」
力を入れたままで答えると、彼女はそっと俺の胸に手を当てた。
「とても硬くて力強いです……」
ヤバい! 自己肯定感が高まるー!
この百日くらいの間、真面目に激しく体を鍛えてきた成果が実を結んだぞ!
よっしゃ! ここでいっちょ必殺技を披露してやるか。
ルティナが触れている左胸にグッ、グッと力を入れる。
「動きました! アユム様の胸がピクピク動きました!」
筋トレにハマった人が、これをする気持ちが分かるわー。
今はまだまだ細マッチョの範囲にとどまっているが、今後もトレーニングを続けて悟空みたいな体を手に入れてみせる!
興奮しているルティナや自尊心が満たされている俺とは違い、何度も体験している四人は冷静そのもの。
子供を見るような表情のロクサーヌに、呆れ顔のセリー。ミリアとベスタの顔には苦笑が浮かんでいる。
……まだまだポージングを決めたいところではあるが、自重せねば。
でも、おかしな話だよなぁ。
俺とセリーでは圧倒的に俺の方が筋肉質だ。しかし、実際の力は彼女の方がはるかに勝る。
これは腕力や体力のパラメーターによるところが大きいのだろうが、見ただけではその人の強さが分からないということだ。
もっとも、ロクサーヌやハルツ公、ゴスラーなどは見ただけで相手の実力を把握してたんだけどさ。
……本当に気でも感じてるんだろうか?
田川 歩 男 18歳
冒険者Lv62 勇者Lv57 遊び人Lv68 魔道士Lv62 防具商人Lv49 沙門Lv1
装備 身代わりのミサンガ
ロクサーヌ ♀ 17歳
巫女Lv40
装備 身代わりのミサンガ
セリー ♀ 16歳
鍛冶師Lv37
装備 身代わりのミサンガ
ミリア ♀ 15歳
探索者Lv35
装備 身代わりのミサンガ
ベスタ ♀ 15歳
竜騎士Lv32
装備 身代わりのミサンガ
ルティナ ♀ 15歳
魔法使いLv23
装備 身代わりのミサンガ
BP振分 残BP:29/160
必要経験値二十分の一:63
シックススジョブ:31
MP回復速度十倍:31
鑑定:1
ジョブ設定:1
詠唱省略:3
キャラクター再設定:1
所持金:4,605,847ナール
夏の18日目