冒険者ギルドを出たあと壺屋で容器を用意して、無事に牛乳を購入し家へ戻る。
ウェブ版では牛乳を放置して生クリームを採るという話があった。当たり前だがこの世界の技術力でホモジナイズなんて不可能だ。サブタイトルのとおりノンホモ牛乳ということなのだろう。
いずれ生クリームを作って色々なデザートを作ってみよう。
となると、冷やすという工程は重要になる。早いところ魔道士のジョブを獲得して氷魔法を使えるようになりたいもんだ。
それに、食事としてなら冷やす必要がないし、クリームシチュー、クリーム煮、クリームグラタンやカルボナーラ。近いうちに何か作ってみるか。
バスルームで薪に火を付け、キッチンに持っていきコンロにセットする。
あらかじめ準備をしないといけないのってめちゃくちゃ不便だわ。つまみをひねるだけで火が着くのってすごいテクノロジーだったんだなぁ。
調理をする前に水で手をゆすぐ。
ハンドソープがないのも気になるわ。
石鹸ができたら手洗いと食器洗い用としてキッチンに置いておくか。
「ロクサーヌはレタスを洗うのをお願いね」
「はい、おまかせください」
その間に俺はボウルに卵白を入れひたすら泡だて器でかき混ぜる。
ある程度のところでコボルトスクロースを入れツノが立つまでさらに混ぜる。
一心不乱に泡立て器を動かしていると声をかけられた。
「ご主人様、レタスを洗い終えたのですが次は何をすればいいですか?」
「それじゃあ、チーズを薄くスライスしてもらえる?」
指示をしたあと、コボルトフラワーと卵の黄身、牛乳にシェルパウダーを混ぜあわせ、さらにそれをメレンゲに入れてさっくりと混ぜる。
生地ができたところでフライパンを火にかけ、温度が上がったところでオリーブオイルをひいて、生地を流し込みプツプツと穴が開いたところでひっくり返す。
両面きれいに焼けたところでお皿に移し、これを四枚作る。
ホットケーキが焼き終わると、今度はハムを焼いていく。
この世界の衛生環境的に火を通しておかないと怖いしな。
ハムのあとは、塩コショウをした目玉焼きを二つ作る。
そして、パンを半分に切り、さらに上下に切ってバターを塗り、レタス、ハム、チーズ、目玉焼きを挟んだ。
……あれ? サンドイッチじゃなくて月見バーガーだこれ。
まあいいか。んじゃ、昼食にしよう。
サンドイッチ改め月見バーガーとホットケーキをダイニングに運ぶと、ロクサーヌはホットケーキが気になるのか、ソワソワとずっとそちらを見ている。
まあまあ、焦りなさんな。まずは食事から。
さあ、召し上がれ。
「それじゃあ、食べようか」
「はい」
「いただきます」
「いただきます」
パンを取り齧り付く。
うん。美味い。特にこのハムが美味い。迷宮産の豚肉を使ったものだろうか?
失敗する要素がないとはいえ上出来だ。
「ご主人様、とても美味しいです! ハムとチーズに、とろっとした黄身、それをパンに挟んでまとめて味わえるなんて最高です!」
ロクサーヌも美味しそうにモキュモキュと食べている。
良かった。お嬢様もご満悦のようだ。
完食した後はいよいよデザートの出番だな。
「ロクサーヌ、食後のデザートにしよう」
「はい!」
食事の前からずっと気になっていたようで、俺の言葉に嬉しそうな表情を浮かべる。
溶けたバターが染みたホットケーキを口に運ぶと、ふわふわでめちゃくちゃ美味い。
薪で調理したというのに我ながらたいしたもんだ。
コボルトフラワーも卵も牛乳も、どれも日本の物と遜色ない。いや、もしかしたらそれよりうまいかもしれない。
さすがファンタジー世界の食材。なかなか侮れん。
「ご主人様! これはすごいです! ふわふわで、甘くて、美味しくて、すごいです!」
おいおい、ロクサーヌさんや。語彙力をどこに置いてきたの。
「気に入ってもらえてよかった」
「はい、いままで生きてきた中で一番美味しいです!」
そこまで!?
いやまあ、こんなに喜んでもらえるなんて作り甲斐があるな。
これからもいろいろ作ってみるか。
食事を終えて洗い物や歯磨きを済ませ、リビングのソファーに座ってゆっくりくつろぐ。
「一休みしたら買い物に行こう」
「はい」
さて、今のうちにボーナス装備の確認をしておくか。
「ロクサーヌ、今からボーナス装備の確認をしようと思う。次々に装備品を出すから驚かないでね」
「ボーナス装備の確認ですか。どんなものが出てくるのか楽しみです」
「そうだね。俺も初めて見る物ばかりだから楽しみだ」
顔を見合わせて笑い合う。
大好きな女の子と楽しみながら何かをするのって幸せなもんだなぁ。
キャラクター再設定を開き三十パーセント値引を外してポイントを確保する。
とりあえず武器から順に試していこう。
武器一にポイントを振り出現した剣に鑑定をかける。
決意の銅剣 両手剣
スキル 攻撃力上昇
銅の剣かぁ。スキルがついていてもしょぼく感じるな。
「ご主人様、それはどんな武器なんですか?」
俺の持っている剣を見ながらロクサーヌが尋ねる。
「これは決意の銅剣。攻撃力上昇のスキルがついているね」
「攻撃力上昇ですか。それは貴重な武器ですね」
まあそうなんだろうけど俺が使うことはないかな。
しかし、『決意の』か。
この世界に来て最初に行った盗賊戦は、デュランダルと決意の指輪、それからタラリアで挑んだが、デュランダルと決意の指輪はスキル被りをしていたんだな。
原作では同系統のスキルを二つ以上合わせても効果は重複しないということだった。決意の指輪の効果は対人強化のみが有効だったのだろう。
……いや? まてよ? ここは原作とは微妙に異なった世界だ。もしかしたら効果が重複する可能性だってなくはない。
明日の探索のときに実験してみるか。
続けて武器二に変更する。
決意の鉄剣 両手剣
スキル 攻撃力上昇 詠唱遅延
デュランダルを知っているため全然惹かれないが、おそらくこれでも売りに出すと数万ナールになるのだろう。
いや、スキルが二つ付いているのだ。十万ナールを超える可能性もあるか。
武器鑑定や防具鑑定では一個目のスキルしか確認できないが、複数のスキルがついた装備品があることは知られているし、詠唱遅延なら確認もしやすい。
オークションに出せば目玉商品になって高額で落札されても不思議はないだろう。
三、四と確認していくと、一つずつスキルが増え、またスキル自体も強化されていった。
なるほどな。デュランダルとフラガラッハである程度推測は出来ていたが、ボーナス装備はひとつ前の装備のスキルを踏襲して、新たなスキルが追加されたり、前のスキルが強化されたりしていくわけか。
そして、三までが通常の命名規則に沿った名前がつき、四以降が独自の名前になると。
スキル結晶の融合で四つ以上スキルを付けた場合にも独自の名前がつくのだろうか? そして、スキル四個のときとスキル五個のときで名前は変わるのだろうか? 今後要確認だな。
「こんなにたくさんスキル付きの武器を自由に取り出すなんて、さすがご主人様です」
さすごしゅさんくす。ポイントには限りがあるから、自由にってわけじゃないけどな。
「同時に出すことはできないから、やっぱり武器はデュランダルに頼ることになるね」
「デュランダルにはどのようなスキルがついているのですか?」
そういえばMP吸収しか言ってなかったか。この機会に伝えておこう。
「デュランダルには、攻撃力五倍、HP吸収、MP吸収、詠唱中断、レベル補正無視、防御力無視の六つのスキルがついている」
「六つ!」
ロクサーヌから大きな声が上がる。
まあ、わからんでもない。とんだチート装備だもんな。
「数もそうですが、一つ一つのスキルもとんでもないです。レベル補正無視や防御力無視というスキルは聞いたこともありません」
うーん……。
これは単にロクサーヌが知らないだけなのか、それともこれらのスキル結晶は存在していなくて、ボーナス装備限定のスキルなのだろうか。その場合、二つ目以降につくスキルは鑑定できないために世の中に知られていないのか……。
今後、これについてルークやセリーに聞いてみよう。
……いや、まてよ。ルークに聞くのはまずいか?
何かを尋ねるということは自分の情報を渡すことと同義だ。変に勘繰られてしまうかもしれない。ボーナス装備のスキルについてルークに聞くのはやめておこう。
さて、気を取り直して次は盾だな。
一と二はすでに使用しているし三から確認していこう。
三、四、五と確認し、最後に盾六にポイントを振る。
アイギス 盾
スキル 精神五倍 魔法ダメージ半減 火抵抗 水抵抗 風抵抗 土抵抗
ボーナス装備の盾は魔法防御特化って感じか?
そして、スキル名が防御や耐性じゃなくて抵抗になっている。
五で耐性だったものが六で抵抗になったんだ。間違いなくそれの上位スキルだろう。
精神は魔法防御と状態異常耐性に関係していたはずだ。それに加えて魔法ダメージ半減に各属性の抵抗。
被ダメ計算式と属性の軽減率が不明だから正確なところはわからないが、えげつないダメージカット率な気がするな。
魔法を使う相手には有効だろう。
まあ、魔法が発動する前に詠唱中断で潰すのがベストなんだが。
しかし、アイギスという名前だがメドゥーサの首がついているわけではない。
当たり前のことだが、やはり名前を拝借しているだけで、それそのものという訳ではないってことだな。
「ご主人様。その盾にはどんなスキルがついているのですか?」
目をキラキラ輝かせ、ワクワクが隠せないといった表情でロクサーヌが尋ねる。
なんか、余興を見ているかのように、装備品を出すたびに嬉しそうにしているな。
まあ、楽しんでくれているのなら何よりだ。
「この盾の名前はアイギス。精神五倍、魔法ダメージ半減、火抵抗、水抵抗、風抵抗、土抵抗のスキルがついているね。魔法攻撃に対して効果的な盾ってことになるのかな」
「抵抗ですか?」
そうか。ロクサーヌも初耳なのか。
「俺も詳しくはわからないけど、防御や耐性の上位スキルだと思う」
「それはすごいです。この盾があれば魔法攻撃を受けてもダメージがなさそうですね」
おそらく、一つの装備品についているということは、効果は重複するのだろう。
精神五倍で魔法防御力が増加したうえで、さらに魔法ダメージ半減と属性抵抗の効果でダメージ量を数十パーセントカットって感じか?
ダメージがないというほどではないだろうが、かなりの軽減率となるだろう。
しかし、盾ということは両手剣のデュランダルとはトレードオフになる。
いくら高性能でもボス戦では出番がない。そして、雑魚戦ではレベル上げや資金稼ぎのためポイントの確保も難しい。
メタを張るときのワンポイント起用がせいぜいかなぁ。
でもこれ、スキルのラインナップ的にスキル融合で作れてもおかしくない気がするぞ。
どれもスキル結晶があってもおかしくない感じだし。
これもセリー案件だな。加入後に調べてもらおう。
お次は頭装備だ。
盾六のチェックを外し、頭装備一にポイントを振り出現した帽子に鑑定をかける。
強情のバンダナ 頭装備
スキル 精神上昇
いや、これマジか? スキルが盾と被っているんだが?
めちゃくちゃ損した気分になるわぁ。
二、三、四、五と確認していき、頭装備六にポイントを振る。
毘盧帽 頭装備
スキル 精神五倍 毒無効 睡眠無効 麻痺無効 石化無効 消費MP半減
頭装備は状態異常特化装備って感じか。
六まで振ると耐性から無効に変わり、消費MP半減という鬼つよスキルがつくと。
そして、消費MP半減だ。魔法の使用回数が二倍になるのはシンプルに強い。
……でもなぁ。この装備ダサくね?
毘盧帽って三蔵法師の帽子だよな? 外見があれそのまんまなんだが……。
他は西洋風の装備を身に着けているのに頭だけ仏僧ってどうなの?
歩雲履も中華風だがこれに比べるとだいぶましだ。
……でもまあ、性能第一か。
昔PSPのモンスターハンターポータブル2Gにハマっていたときはスキル重視で、どんなクソダサ装備だろうと使っていたんだ。
ましてや、命がかかっているのに外見なんか気にしてられないよな。
「ご主人様。これはどういうスキルがついた装備なのですか?」
ロクサーヌは服にはこだわりがありそうなのに、装備品の見た目については気にならないようで、性能について聞いてくる。
しかし、装備品を出すたびに、楽しそうにあれこれ尋ねてくるのがむちゃくちゃかわいいな。
美術館や博物館の展示物を見ている気分なんだろうか? それとも使うところを想像している?
「これは毘盧帽という装備で、ついているスキルは精神五倍、毒無効、睡眠無効、麻痺無効、石化無効、消費MP半減で、状態異常特化の装備品だね」
「すべての状態異常攻撃に効果があるうえに消費MP半減なんて、この装備もすごすぎます!」
「確かに、状態異常攻撃を多用する魔物には効果的だと思う。それに消費MP半減は魔法の撃てる回数が倍になるってことだから、ロクサーヌの言うとおりすごい効果だと思うよ」
俺の言葉にロクサーヌはしきりに頷いている。
これについてはボーナスポイントに余裕ができたら、いずれ雑魚狩りのときに出番が回ってくるかもしれない。
デュランダルでのMP回復の時間を半分にできるとなれば、レベル上げの効率も高まるだろうしな。
んじゃ、次は胴装備か。
キャラクター再設定を操作し、胴装備一を出す。
頑丈の皮鎧 胴装備
スキル 物理ダメージ軽減
まあ、こんな感じだろうなぁ。
想像していた通りの装備が出たせいで何の感慨もない。
ロクサーヌに名前とスキルを告げて次々と確認していく。
二から五までを確認し、続けて六にポイントを振ると薄いグレーのコートが現れた。
バブレバヤーン 胴装備
防御力五倍 体力五倍 火抵抗 水抵抗 物理ダメージ半減 クリティカル無効
見た目に反してゴリゴリの物理ダメージ特化型だ。
うーん。火と水の抵抗のスキルが盾と被っているのはもったいないなぁ。
だけど、この圧倒的な物理防御性能は頼もしい限りだ。
防御力に関係する体力が五倍で、さらにその防御力自体も五倍。そして、それらで減らされたダメージがさらに半減のうえ、クリティカルまで無効にする。
まさにチート装備といっていいだろう。
これについてはいずれ身に着けたいところだな。
ロクサーヌに性能を伝えると、もう大興奮である。
「ご主人様! 安全のためにも是非この装備を身に着けてください!」
いやいや、ボーナスポイントの関係ですぐには無理なんだって。
「俺のことを心配してくれてありがとう。でも、ボーナスポイントには限りがあるんだ。この装備を身に着けるのはレベルを上げてポイントに余裕ができてからね」
ロクサーヌをなだめて、バブレバヤーンというコートをよく見てみる。
これは何をモチーフにしたものなんだろう?
何らかの神話や伝承に関係するのだろうが見た目にも名前にも全然心当たりがない。
まあ、有用な装備なんだ。元ネタがわからなくてもありがたく使わせてもらおう。
それにしても、クリティカル無効か……。
こんなスキルがあるということはクリティカル攻撃をしてくる敵がいるということだよな。
原作の描写ではクリティカルの仕様がよくわからなかったが、RPGなんかだと攻撃力二倍とか防御力無視。作品によってはその両方なんてのもあったりする。
この世界だとそれに加えてレベル補正無視が含まれている可能性もあるだろう。
現実の世界でそんなものをくらうなんて考えるだけで恐ろしいわ。
このスキルは絶対に全員分揃えておきたいが、スキル結晶はあるんだろうか?
やはりこれもセリー加入後に確認だな。
それにしても、セリーに確認することがどんどん増えている。
忘れないようにメモを取っておくか。
「ロクサーヌ、部屋から書くものを取ってくるから少し待っていてもらえる?」
「はい」
断りを入れてから、一旦自分の部屋へパピルスと羽根ペン、インク壺を取りに行く。
「お待たせ」
「いえ、大丈夫ですよ」
リビングに戻るとかわいらしく笑顔で迎えてもらった。
これはいい。すごくいいな。
んじゃ、メモをしよう。
セリーに確認しておくことは何だっけか?
えーと、まずは、デュランダルの防御力無視とレベル補正無視、それから空中跳躍にクリティカル無効。これらのスキル結晶が存在するのかだな。
それに、削減や耐性の上位スキルとして、半減や抵抗のスキル結晶があるのか。
他にもスパイラルスパイダーのドロップ品について。
そして、何より重要なのが米を入手できるのかどうか。
なんか聞きたいことが結構あるわ。今後も思いついたら追加していこう。
「とても複雑な文字を書いていらっしゃいますね。これは昨日仰っていたカンジという文字ですか?」
「おお、よく気づいたね。もちろん漢字も使っているし、他にはひらがなとカタカナも入っているよ」
ロクサーヌくん、やるねー。
「ところでご主人様。何を書いていらっしゃるのですか?」
ああ、そういえば説明してなかったか。
メモを書きながら答える。
「これは、疑問に思ったことを書きとめておいて、セリーが仲間になったときに質問しようと思っているんだ」
ん? 何この空気。
ロクサーヌから返事がないんだけど。
顔を上げロクサーヌの方を向くと、不満そうな表情を浮かべながらこちらをじーと見つめていた。
え!? なんで? なんで怒ってんの?
「ロクサーヌ。怒っているみたいだけど、どうかしたの?」
「いえ、怒ってなどいません。奴隷が主人に対して怒ることなどあるはずがありません」
いやいやいや、怒ってますやん。
「ただ、ご主人様は疑問を、私ではなくセリーに聞くのだなと思っただけです」
あー……。
何も説明していないせいで、自分ではなくセリーを頼りにしていると思ったのか。
ロクサーヌからすればプライドを傷つけられたことだろう。
これは俺の落ち度だな。あらかじめ説明をしてからメモを取ればよかった。
「ごめんね、ロクサーヌ。俺の考えが足りなかった。先に説明しておくべきだったね。この書いている内容は、ボーナス装備についているスキルのスキル結晶は手に入るのかとか、さっきロクサーヌにも確認した、お米やスパイラルスパイダーのドロップ品について質問したかったんだ。セリーは物知りだし、図書館で調べたりもしてくれるからさ」
「それでしたら、私でも図書館へ行って調べることはできると思います」
あらま。意固地になってる。
原作でも嫉妬深かったけど、こういう形での発露はなかったはずだ。
俺だけのロクサーヌ。本当にかわいいなぁ。
「セリーは鍛冶師の知り合いから鍛冶やスキル融合について話を聞いていて、ある程度の知識があるんだ。それにゆくゆくは鍛冶師になるからその知識を活かしやすい。そのため図書館に行くことも多くなる。それなら調べ物はまかせた方がいいよね? それにロクサーヌには常にそばにいてほしい。俺から離れてもし変な男に声をかけられたらと思うと気が気じゃないからさ」
こっちとら、君に会うために生まれ故郷を捨てたくらいのストーカー気質を持つ男なんだぞ。俺の独占欲を舐めてもらっては困る。
二人でいけばいいのかもしれないけど、文字が読めないしなぁ。
それに、セリーだったら声をかけられてもいいのかというとそんなことはない。
まだ出会ってもいないが、セリー、ミリア、ベスタ、ルティナについてもちょっかいをかけるやつは絶対にゆるさん。
まあ、そうはいってもハルツ公領の災害救助とか、ベスタのオークションなんかでは別行動をせざるを得ないんだけどさ。
「ご主人様……。ありがとうございます。とても嬉しいです。わたしもずっとご主人様のおそばにいたいです」
俺の言葉を聞いたロクサーヌは顔を赤く染めながら嬉しそうにそう言った。
良かった。ぷんぷんタイムは終わったようだ。
あれはあれでかわいいけど、心穏やかに過ごしてくれる方がいいからな。
しかし、ロクサーヌは表情を曇らせると謝罪をした。
「あの、ご主人様、申し訳ありませんでした。私、また嫉妬を……」
さっきまでの態度を気にしているみたいだ。
俺は本当に嫉妬されて喜んでいるんだから気にしなくていいのに。
うーん……。
よし、イチャイチャしよう。
筆記用具を置き、ローテーブルをグーっと反対側へ押しのける。
いきなりとった俺の行動に戸惑っているロクサーヌを脚の間に座らせ、お腹の方へ手を回しぎゅっと抱きしめたままソファーに寄り掛かった。
「あ、あの、ご主人様、何を……」
「イチャイチャしたくなったんだ。ダメ?」
「いえ、あの、嬉しいです」
ゆっくりとお腹を撫でながら、かわいらしい犬耳をハムハムと甘噛みする。
なるほど。磯辺焼きか。
撫でている手に伝わる感触は、引き締まっており無駄な脂肪は一切ついていない。
……その上にある脂肪の塊には触れないようにしておこう。触れてしまうと絶対に歯止めが利かなくなるからな。
そうしているうちに尻尾がピクピクと動き俺の股座を刺激しだした。
「ロクサーヌ。尻尾が動いてる」
「その、とても嬉しくて。撫でられるのも、耳を刺激されるのも気持ちいいです。それに、ご主人様に包まれているようでとても安心できます」
「よかった。それじゃあ、しばらくこうしてようか」
「はい」
この後もやることはたくさんあるが、少しの間だけ憧れのイチャイチャを楽しもう。
田川 歩 男 18歳
探索者Lv24 英雄Lv19 魔法使いLv23 戦士Lv21 商人Lv18
装備 サンダル
BP振分 残BP:6
キャラクター再設定:1
フィフスジョブ:15
必要経験値十分の一:31
詠唱省略:3
鑑定:1
三十パーセント値引:63
ワープ:1
ジョブ設定:1
所持金:371,435ナール
春の5日目