ワープゲートを抜けて辺りを確認してみると、人が少なくカウンターに行列ができている様子もなかった。
ベイルに迷宮ができて日が経ったというのに賑わっているということはないようだ。
よくよく考えると迷宮のできた場所が悪すぎるか。
近くに冒険者ギルドがあるため、おそらくそちらで売却しているのだろう。
しかし、探索者ギルドに所属している者は探索者ギルドに売却する義務を負うはずだが、問題にならないのだろうか?
……ああ、考えてみれば当然のことかもしれない。
パーティー全員で倒すのだ。ドロップアイテムの所有権は個人のものではないのだろう。
ならパーティーメンバーに探索者や冒険者等のアイテムを所属ギルドに売却する義務を負った者がいたとしても、仲間が別のギルドに売却したところでペナルティを科せられるはずがない。
鑑定で確認していると探索者と冒険者が両方所属しているパーティーは多い。というか、ある程度高レベル帯のパーティーは確実にどちらも揃えていた。
迷宮探索の利便性を追求するとダンジョンウォークとフィールドウォークは必須となるのだろう。
そうなると、そんな義務を負わされても、どっちのギルドに売ればいいんだよって話だわな。
冒険者ギルドの方は賑わっていたし、迷宮ができた恩恵を受けている様子だった。
そもそも自分たちのホームタウンに戻り、そこで売却しているパーティーも多いはずだしな。
だとすると、この近くに迷宮が発生しない限りここが賑わうことはないのかもしれない。
受付嬢の前に立ちドロップアイテムの売却を行う。
糸とコボルトフラワーは確保するとして、コボルトソルトはまだまだ残っているのですべて売却で問題ない。
コボルトソルト、コボルトナイフ、ブランチの売却額は二千六十七ナールで、午前の売却額と合わせると四千ナール以上。
毒消し丸を売った分を差し引いたとしても、糸を残していることを考えると、すべて売却した場合、一日で五千ナール以上の利益を上げることも可能になるはずだ。
やはり、魔法一発で片付くのが大きい。
戦闘時間がほとんどかからないためサクサク進んでいくからな。
駆け出しの探索者としては上出来だろう。
受け取った硬貨をしまい込み、ボーナスポイントを振りなおして探索者ギルドをあとにする。
探索者ギルドを出て道の向こうを確認するが鑑定に盗賊が引っかかることはなかった。
「ふぅ」
緊張していたのか、盗賊がいないことで思わず息が漏れてしまう。
原作で襲撃が起きた春の十二日まではおそらく動きはないと思うが、何らかの影響で早まることがないとは言い切れない。今後も毎日確認しておこう。
しかし、アランの館を張っている盗賊を見つけたらどうしたものか……。
普通に考えるなら原作と同じようにアランに伝えて用心棒になり恩を売ることになるだろう。
だが、見張りをしている盗賊を発見したのは夕方前だが、襲撃が起こるのは明け方だ。
ずっと一人で見張りをしているとは思えないので、交代するか一度アジトに戻るはず。
そのときに追跡を行い、アジトを強襲し全滅させるという手もなくはない。
もしアジトに金をため込んでいた場合、根こそぎいただくことができる。これは途轍もないメリットだ。
しかし、これを実行するとアランに恩が売れなくなってしまう。
そうなると、帝都の奴隷商へ紹介状を書いてもらえるか分からない。
ウェブ版では盗賊の襲撃がなかったが紹介状を書いているのでおそらく問題ないとは思うが、もし書いてもらえないと困ったことになる。
紹介状なしに飛び込みで帝都の奴隷商に行った場合、オークションに出す予定のミリアがいた部屋を案内されない可能性が出てくるだろう。
うーん……。どうしたものか……。
「ご主人様。何かあったのですか?」
俺が考え込んでいるのに気づき、ロクサーヌが尋ねてくる。
そうだな。一人で悩むよりロクサーヌに相談してみるか。
「ここでは問題があるので家で話そう。ロクサーヌ。相談に乗ってもらえるか?」
「はい! おまかせください、ご主人様!」
頼られたことが嬉しかったのだろう、満面の笑みで弾むような声色の返事を返した。
こんなに想われていることが本当にたまらないよな。
「じゃあ、クーラタルに戻って夕食の買い出しをしよう」
「はい!」
買い物を終えて自宅に戻り、キッチンで食材をしまっているとロクサーヌが尋ねてくる。
「ご主人様。先ほどは何に悩んでいたのですか?」
「ああ、あのときはアラン殿の館を監視している盗賊を見つけた場合の対処について考えていたんだ。『異世界迷宮でハーレムを』ではそのままアラン殿を訪ね、盗賊が監視していることを告げて用心棒を買って出る」
「はい」
「しかし、これだと少しもったいない気がしたんだ」
「もったいないですか?」
不思議そうな表情を浮かべているロクサーヌを見つめ、一つ頷くと続きを口にする。
「そう。逆に盗賊を監視することでアジトを突き止めてそこを制圧すれば、ロクサーヌのいた商館を守ることができるし、それにアジトに隠し財産があった場合それをいただくこともできる」
「それは素晴らしい計画だと思います! さすがご主人様!」
俺のプランを聞いたロクサーヌは、大きな声をあげた。
「でも、問題がないわけじゃないんだ」
「そうなのですか?」
そうなのですよ。
「セリーを購入したとき、本当ならミチオは鍛冶師を仲間にする予定だったんだけど、アラン殿のところには鍛冶師がいなかった」
「確かに私が知る期間にも鍛冶師がいたことはありませんでした」
まあ、鍛冶師のまま奴隷になるドワーフはほとんどいないからなぁ。
「それで鍛冶師ではないセリーを購入することになるんだけど、鍛冶師の奴隷を求めているミチオのため、アラン殿が帝都の奴隷商に紹介状を書いてくれるんだ。そして、この対応は盗賊撃退に手を貸してもらったことに恩義を感じていたために行った可能性がある」
「なるほど。アラン様が恩義を感じていなかった場合、紹介状を書いてもらえないかもしれないのですね」
おそらく大丈夫だとは思うんだけど。もらえなかった場合がなぁ。
そのせいでアジト襲撃のプランを躊躇してしまう。
「そうなんだよ。そして帝都の奴隷商で仲間になるミリアは本来オークションに出す予定だったんだ。紹介状もないまま飛び込みで入った場合、見せてもらえないかもしれない」
「そういうことだったのですね。ご主人様が何を悩まれていたのか理解できました」
ぶっちゃけ、盗賊の襲撃自体起きない可能性があるし、恩を売っていなくても普通に紹介状を書いてもらえる可能性の方が高いだろう。
それに帝都の奴隷商についても、飛び込みで入った場合でもミリアのいる部屋を案内されると思われる。
しかし、考えすぎかもしれないが、万が一が怖いんだよなぁ。
話を聞いたロクサーヌは少し考えてから口を開いた。
「あの、どちらか一方にこだわる必要はないのではないでしょうか」
ん? どういうことだ?
「というと?」
「はい、アラン様の用心棒を引き受けて盗賊を撃退した後に、私が襲ってきた者たちの匂いをたどりアジトを突き止めればよいのではないでしょうか?」
あっ。
そうだ。その手があったか。完全に盲点だったわ。
それなら確かにどちらかを選ぶ必要がないな。
「全然思い至らなかったよ。さすがロクサーヌは賢いなぁ」
「ふふ。お褒めいただきありがとうございます」
褒められて嬉しそうにしていたが、何かに気が付いたようで尋ねてくる。
「ご主人様。おそらく、お話に出てくる私も同じことができたと思うのですが、行わなかったのですよね? なぜミチオさんはそれをしなかったのでしょうか?」
うん?
ミチオがやらなかった理由なぁ。
「理由はいくつか考えられるけど、まずそのときにミチオはMP切れに陥っていたため、一刻も早く回復しなければならず、それどころではなかったのかもしれない」
「MP切れですか? 盗賊相手に魔法を使ったのですか?」
ああ、そうか。
ロクサーヌからすれば、俺は出会う前から魔法が使えているのだ。そう考えても無理はない。
「いや、そうじゃないんだ。そのときミチオはまだ魔法使いのジョブを得ていない」
「そうなのですか!?」
その言葉に大きな声を上げた。
「うん。それで、盗賊との戦いで魔法使いのジョブを得るための条件を満たそうとしていたんだ。ロクサーヌはどうやって魔法使いになるかは知っている?」
「詳しいことはわかりません。貴族や大金持ちにしかなれないジョブで、確か子供のころに高価な薬を飲むのですよね?」
まあ、特別な家に生まれない限りは縁がないことなのだ。詳しく知る機会もないか。
だとするとセリーはたいしたものだな。さすが知りたがりのセリーさんやで。
「そうだね。一般に知られているのは自爆玉というアイテムを使って魔法使いになるんだ」
「自爆玉……。以前ご主人様がおっしゃっていた、バラダム家の彼女が使うことができなかったというアイテムですか……」
そういえば、以前バラダム家との決闘の話をしたときに自爆玉のことも出たか。あのときはなんとなくの理解で流していたのかな?
「自爆玉とは自分の命と引き換えに相手に大きなダメージを与えるアイテムで、大人がこれを使うと確実に死んでしまう。それを知っていたバラダム家の女が使えなかったのも無理はない」
「そうだったのですね」
ロクサーヌは頷きながら相槌を打つ。
内心ではあの女について思うところがあったりするのだろうか?
……気にしてもしょうがない。話を続けよう。
「しかし、大人だと確実に死んでしまう自爆玉だけど、子供はほとんどの場合発動しても起爆に失敗して命を失わずに済む。三歳未満なら確実に失敗するらしいんだ」
「なるほど」
「自爆玉を飲ませた子供を魔物の前に出し、それを発動させたうえで起爆に失敗させる。この一連の流れを経ることで魔法使いのジョブに就くことが可能になるそうだ」
「魔法使いになるためにそのようなことが行われていたのですね」
ロクサーヌは納得したように頷いていた。
「そのため、普通なら大人になった後に魔法使いのジョブを得ることは不可能だ」
「言われてみればその通りです。では、ミチオさんはどうやって魔法使いになったのでしょう?」
本当にこの娘さんは聞き上手だな。
めちゃくちゃ気持ちよく喋らせてくれるわぁ。
「魔法使いになるための正確な条件は自爆玉を使うことではなく、攻撃魔法を発動させることなんじゃないかな。そして、俺たちはボーナスポイントを振り分けることでボーナス呪文を使うことができる」
「そういうことですか。ボーナス呪文を使ったためにMP切れを起こしたということなのですね」
「そう。ボーナス呪文の種類は、えーっと……」
キャラクター再設定を開き確認しながら伝える。
「まずはワープ。これは移動魔法のため使用しても条件を満たさない。メテオクラッシュとガンマ線バーストはMP使用量が大きく発動に至らなかった。それからエクストリームドロップデッドはレベル1かレベル99の対象にしか発動しな――あっ」
そうだ! エクストリームドロップデッドはレベル1にも使える!
俺もミチオもあんなリスクを負わなくても安全に魔法使いになれたかもしれないのか……。
やっちまったなぁ。
「ご主人様?」
ロクサーヌはこちらを見て不思議そうな顔をしている。
……まあいい、続けよう。
「そして、残りの二つが自爆攻撃と等量交換になる」
「自爆攻撃……」
剣呑な響きにロクサーヌの顔が引き締まる。
「自爆攻撃は自爆玉と同じ効果だと思われるため論外だ」
「当然です。ご主人様も絶対に使用しないでください」
「もちろん使うつもりはないよ。ロクサーヌ、心配してくれてありがとう」
「私の大切なご主人様なのです。その身を案じるのは当たり前のことです」
俺の身を案じてくれている! すげー嬉しいぞ。
好き。大好き。
「残ったのは等量交換。ミチオはこれを自分のMPと相手のHPを相殺し、MPだけで相殺しきれなかった場合はHPまで使うスキルじゃないかと推測した。なので、HPやMPの量が不明な魔物相手に試すわけにはいかない」
「確かにそうですね」
「うん。だけど、盗賊相手なら話は別だ。複数のジョブを設定しているため、俺たちのHPやMPは普通の人よりはるかに多い。同レベル以下の相手なら間違いなく勝っていると断言できる」
「その等量交換を使ったためにMPの回復を急がなくてはならなくなったのですか」
ロクサーヌはここまで話を聞くと、合点がいったとばかりに頷いた。
でもまあ、MP回復がなくてもミチオが盗賊のアジトを襲撃することはなかっただろうな。
彼が明確に自分の意志で盗賊を狩ったのは、ロクサーヌの購入資金を得るために行ったあの一回こっきりだ。
それ以外はすべてやむに已まれぬ事情で撃退しているのみ。
等量交換を試した時は例外だとして、最初にソマーラの村で盗賊退治をしたのはゲームだと思っていたため躊躇なく倒すことができた。
迷宮内で行った二回については襲ってきたところを返り討ちにしているだけだ。
魔物を狩るのとは危険性が段違いだし、恨まれたり面倒ごとに巻き込まれたくないと考えていたはずだ。
そして、それ以上に人を殺すことに対して忌避感を抱いており、またパーティーメンバーの彼女たちの手を汚させたくないという言動もみられた。
……そう考えると俺はかなりのクソ野郎だな。
初陣ではゲームではないことを理解していたうえでやっちまっているし、翌日には通り魔からの押し込み強盗なんて真似をしでかしている。
それだけでは飽き足らず、おかわりを考える始末だ。
しかも、それを行うのにロクサーヌの手を借りるつもりだし、危険がないならロクサーヌが盗賊を倒しても問題ないと思っている。
でも、それを悪いことだとは全然思えないんだよなぁ。
人を襲うような奴らを始末することに対して、自分の中に戸惑いが一切感じられない。
日本にいた頃からこうだったのか、この世界に来て考え方に変化があったのか、それとも転移の際に精神をいじられているのか。
まあ、いずれにせよたいした違いはないし、何の問題もない。
チャンスがあればロクサーヌの考えてくれたプランを実行するさ。
話している間に片づけも終わっていた。
「それじゃあ、俺はアイテム整理をしてくるから、それが終わったら修行を始めよう」
「はい」
自室へ戻り、1スタックを残して銀貨を鍵付きチェストへしまい込む。
そして、物置部屋へ行き糸をまとめておく。
今後この調子で素材が貯まっていったらセリーがプレッシャーに感じるかもしれないな。
気負わないようケアする必要があるか。
お! 青になってる!
リュックの中身を整理していると魔結晶が青に変わっていた。
今日は結晶化促進を使っていないのにすごいペースだ。
うんうん。よきかな、よきかな。
その後、庭へ出て修行を行ったが素の状態ではまったく進展がなく、攻撃をあてることもかわすこともできない。
今日も今日とて、しばき回され地面を転がる羽目になる。
これに関しては地道に努力を積み重ねていくしかないか。今後も頑張ろう。
そして、問題なのはオーバーホエルミングを使った修行だ。
今日は一撃も入れることができなかった。
圧倒的なアドバンテージがあるというのにこれはまずい。ロクサーヌの修行になっていないだろう。
何とか工夫を凝らしてロクサーヌの虚を突き、攻撃をあてられるようにならなければ。
装備品の手入れを終えると二人で台所へ立ち、一緒に夕食の支度をする。
これいいよなぁ。まるで新婚さんみたいで実にいい。
食事を終えて身体を流し、ロクサーヌが洗濯をしている間に俺は物置部屋へ移動する。
明後日にはバスタブが届くかもしれないんだ、石鹸の確認をしておこう。
触れてみると、どちらもまだ全然固まっておらずゆるゆるだ。
そういえば乾燥時間がかかるから大量に作り置きするつもりだったのにすっかり忘れていた。
明日はベイルの市が立つ日だ。軍資金は心許なくなっているが予定通り午前中は武器屋と防具屋を回ろう。
予定ではその後は迷宮に入るつもりだったが、午前中は石鹸作りや他の細々とした雑事を行うか。
そうだ、市を回るときにロクサーヌへお金を渡しておこう。
買い物が好きな娘だし、自分の好きに使えるお金があった方がいいだろうからな。
ロクサーヌと出会ってからは幸せなことばかりで、まさに夢の中にいるような日々だ。
俺のことを受け入れてもらえたし、想われていることをひしひしと感じている。
本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
今後は五日に一度のタイミングで、心ばかりとはなるが感謝の気持ちとして渡すようにしよう。
……他の娘と金額に差をつけないと一番奴隷としてのプライドを傷つけてしまうかもしれない。
顔には出さなくてもロクサーヌは絶対に気にするだろう。
ここは原作に倣ってロクサーヌ千ナール、他の娘は五百ナールとしておくか。
……一回千ナールだと年間七万ナール以上貯金することができてしまう。
数年経てば自分を買い戻せる額を貯めることも不可能ではない。
でも、ロクサーヌが俺の下を去るということはないと信じることができる。
きっと、大丈夫だと思えるのだ。
しかし、フルメンバー揃ったら五日ごとに三千ナールか。
まあ、今日の稼ぎを考えると全然問題ないだろう。
彼女たちのモチベーションアップを考えるなら安いものだ。社員還元は大切だからな。
それだけじゃなく福利厚生も充実させていこう。
我が社はホワイトを目指していくのです。あのクソブラック企業とは違うのです。
……奴隷労働をさせている癖に何をいってんだか。
おっと、早いところ確認をしておこう。
持ってきたタオルに石鹸を付け、たらいの水で濡らして擦ると少しだけ泡立つ。
重曹とふすまの石鹸なのにこんなに泡立つのは不思議だよなぁ。
コイチの実のふすまの影響なのだろうか? さすがファンタジー世界だわ。
その泡を二の腕の内側に少量塗っておく。
右がふすまだけ。左がふすまとオリーブオイルだな。
明日のお風呂までにかぶれるようなことがなければ問題ないと考えていいだろう。
確認の方法が合っているのかはわからないが試験紙なんてないのだ。自分の体で確かめてみるしかない。
原作の描写を見るに、個人差については考えなくても問題ないだろう。
今日のお楽しみタイムでは二の腕がロクサーヌの肌に触れないように気を付けなければいけない。シャツも脱がない方がいいな。
そして、寝るときに抱きしめるのもアウトか……。
神はなんと辛く厳しい試練を与えるのだろう。
寝室へ行きロクサーヌを待っていると、程なくして緑のキャミソール姿で現れた。
「ロクサーヌ。今日も本当に美しい。毎日恋に落ちてしまうよ」
「ふふ。ありがとうございます」
思わず抱きしめそうになってしまうが、石鹸のテスト中だったことを思い出して堪える。
おそらく問題ないとは思うがロクサーヌの顔に触れてかぶれてしまっては可哀そうだからな。気を付けておかなければならない。
「あの、ご主人様。何かあったのですか?」
俺の様子を見て訝しげに尋ねてくる。
「肌に使っても問題ないか調べるために二の腕の内側に石鹸を塗っているんだ。明日の湯浴みまでにかぶれていないなら大丈夫だと思う。だから、今日は腕がロクサーヌに当たらないように気を付けるよ」
「それならご主人様の身体で試す必要はなかったのではないでしょうか。奴隷の私で確かめる方が良かったと思います」
言うと思った。
だけど、それは絶対ダメ。
「かわいいロクサーヌに万が一があったら悔やんでも悔やみきれないからね。絶対にロクサーヌの体で試すわけにはいかない」
その言葉を聞いて驚いたのか目を大きく見開く。
そして、しばらくしてからゆっくり微笑むと口を開いた。
「本当に仕方のないご主人様です。ご主人様に何かあったら私も同じように辛い思いをするのだということを忘れないでくださいね」
くっ。抱きしめたい。俺のことを想ってくれているロクサーヌのことをぎゅっと抱きしめたい。
本当になんと辛く厳しい試練なのだろう。
「では、ご主人様はそのまま仰向けになってください。今日は私にご奉仕させていただけますか?」
そう言うとロクサーヌは優しく俺の体に触れ、ゆっくりベッドへ押し倒した。
「まだ、慣れていないのにそんなことをしてもらっていいの?」
「昨日、一昨日とご主人様はとても優しく私のことを気遣ってくださいました。それが本当に嬉しかったのです。今日は私におまかせください」
やばい。ロクサーヌの言葉に心を撃ち抜かれてしまった。
本当にめちゃくちゃ嬉しい。こんなに幸せでいいんだろうか。
「ふふ。こちらがとても大きくなっていますね。ご期待いただけているようでとても嬉しいです。では、ご奉仕させていただきます」
あ、ロクサーヌの顔が俺の股間に。
本当にそんなことしてもらっていいのか?
ああ、どんどん近づいてきて……。
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ロクサーヌは喉を鳴らし、口に含んでいた物を飲み込むと俺に声をかける。
「ご主人様。いかがでしたか? 気持ちよくなっていただけましたか?」
いや、もう気持ちいいとかそういうレベルではない。
頭がどうかしてしまいそうなほど幸福感で満たされている。
「ロクサーヌ、本当にありがとう。まるで天国にいるような心地よさだった。女神に奉仕を受けた俺は世界一の幸せ者だと再確認したよ」
そう伝えると照れたようにはにかんだ笑みを浮かべ返事を返す。
「ご主人様はいつも大げさに褒めすぎです」
「いや。そんなことはない。ロクサーヌが俺の女神なのは当然のことだし、その女神に奉仕をしてもらえたんだ、俺が世界一の幸せ者なのも間違いない」
その言葉に尻尾が大きく揺れる。
「もう。本当に困ったご主人様です」
口ではそう言っても喜んでいるのは尻尾で丸わかりだぞ。この照れ屋さんめ。
「では、もっと幸せになっていただくため続きをいたしますね」
そう言うとロクサーヌは俺の上に乗りペタンと腰を下ろした。
まさか! これはあれか! あれなのか!
「ご主人様はじっとしていてくださいね。全部私におまかせください」
「本当にいいの?」
「はい。おまかせください」
ロクサーヌは微笑むと少し腰を浮かせ、こわばりに手を添えるとゆっくり腰を下ろしていった。
文字を表示することが出来ません
ああ、まるで夢の中にいるみたいだ。
田川 歩 男 18歳
探索者Lv24 英雄Lv20 魔法使いLv24 戦士Lv22
BP振分 残BP:0
キャラクター再設定:1
フォースジョブ:7
必要経験値十分の一:31
鑑定:1
ジョブ設定:1
詠唱省略:3
MP回復速度二十倍:63
敏捷:15
所持金:162,849ナール
春の6日目